新年早々





指で解した狭く小さな穴に性器を沈めると、震えるような吐息が聞こえてきた。
身体を前に倒し、ゆっくりと腰を動かしていく。赤木は苦しそうな声を上げながら、矢木の背中に手をまわして強くしがみついてくる。 唇を重ねている最中に細い足が腰に絡みついてきて、互いの身体が密着した。 口の減らない生意気な子供が、こういう時だけは年相応の可愛らしさを見せる。それがたまらない。
数日前に迎えた元旦はふたりで初詣に行って帰ってきた後、昼間から何となくおかしな雰囲気になって新年早々、結局性交になだれ込んでしまった。 あれが姫始めというやつか、と俗っぽいことを思いながら苦笑いをする。
年が明けて、最初に抱くのは赤木だろうという予感はあった。他に相手が居ないからだ。
今年で赤木は14歳になる。何年経っても年の差は埋められないが、男として育ちきっていない子供の身体をこうして貪ることに、いつの間にか抵抗を感じなくなっていた。
煙草の匂いで満たされた部屋で、仕事が休みなのをいいことに赤木とこうして淫らな行為に浸る。夢中になり腰の動きを早める中で、色褪せた畳が視界の端に入り込んだ。

「なあ、お前いつから学校始まるんだ」
「……確か明日からだった気がする」
「何でそんなに曖昧なんだよ、ちゃんと確認しとけ」
「ああもう、こんな時にまでうるさい人だね」

急に性器を締め付けられて、思わず呻いてしまった。矢木の性器を根元まで咥え込んだままの赤木が意図的にやったのだ。
まるで食い千切られるような感覚に襲われ、もう射精してしまうところだった。最初の頃は流されるままだったのに、恐ろしいほどの進歩ぶりだ。

「ねえ矢木さん、今度は後ろから……」
「欲しいのか?」
「うん」

矢木が性器を引き抜いて解放すると、四つん這いになると思っていた赤木は布団から出て近くの壁に両手をついた。足を開き、尻をこちらに向けているのを見て矢木は自分も 布団から起き上がると、少し冷たい空気が裸の身体にまとわりつく。どうせこれから、すぐに熱くなりそうだが。
どちらかと言えば相手の顔を見ながらするのが好きで、こんな体勢で抱くことはあまりない。なのでどこか新鮮に感じた。
再び赤木の中に性器を突き入れ、細い腰を掴んで激しく動いた。赤木が上げる声は先程よりも更に高く、大きなものになっている。普段は淡々とした口調で喋り、大人びた 言動で矢木を振り回す赤木にしては珍しい乱れ方だった。体勢を変えて、特に感じる部分に性器が当たっているのかもしれない。

「本当に気持ち良さそうだな」

冷静を装ってそう言った矢木のほうも、感じている赤木の姿や声に刺激されて限界が近づいていた。血管が浮き出て、濃い色をした性器を赤木の小さな尻が飲み込んでいく 様子を目の当たりにして、抑えがきかなくなっている。
赤木は腰を掴んでいる矢木の手に触れると、自身の胸に導く。言いたいことを何となく察して、両方の乳首を摘みながら挿入を繰り返した。
甘い声で名前を呼ばれて、頭の中がとろけそうになる。これほど乱れている赤木の顔を見たくなったが、今更体勢を変える余裕はなかった。

「可愛いよ、お前……」

赤木に聞こえるかどうか分からないような小さく掠れた声で呟き、深く貫いたまま熱い精を放つ。遅れて達した赤木は崩れ落ち、畳に膝をついた。


***


行為を終えて服を着たふたりは、何事もなかったように焼きたての餅を食べた。
気がつくとちょうど昼を過ぎたあたりになっていたので、腹が減っていたのだ。終わった後に互いの顔を見て恥らうような初々しい関係でもない。
赤木はこちらに視線を向けると、からかうように薄い笑みを浮かべた。
何かたくらんでいるのかもしれないと警戒しながら、餅を口に運ぶ手を止める。

「あんたって、やってる時とそうでない時って全然違うよね」
「どう違うんだよ」
「普段は俺のこと、可愛いとか言わないし」

痛いところを指摘されて、動揺のあまり飲み込みかけた餅を喉に詰まらせそうになる。確かにその通りなのだが、最後のあれは絶対に聞こえていないと思っていたのだ。
こんなことになるなら言わなければ良かった。最中のことを色々突っ込まれると、逃げ出したくなるほど恥ずかしい。

「やっぱり面白いね、矢木さんは」
「このっ……!」

熱くなった頬を隠せないまま、勢い任せに赤木を押さえつけようとしたが軽くかわされて、畳に倒れ込んでしまった。
頭上から微かな笑い声が聞こえてきて、矢木は舌打ちをする。少なくとも普段の赤木には可愛らしさの欠片も見当たらないと心底思いながら。




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2008/1/13