拍手SSです。

骸・ディーノ・山本



 【プレゼント】



「宅配便でーす」
受け取ったそれには、何故か送り主の名が無かった。

気がついたのは、中身を見てから。

「・・・・なんで?」

それは黒曜中学の制服だった。

並盛中学に通う自分に、黒曜の制服に当然用はない。

なので、そこで宛先を確認した。

宛名は間違いなく自分で、住所も合っている。
だがどこをどう見ても送り主の名がない。

・・・いったいだれがなんのために?

首を傾げる。

「まさか並中から出て行けって言う遠回しのメッセージ・・・?」

制服に添えられた一枚のメモには。

『きっと君に似合うと思います』




書かれていたのはそれだけ。




「・・・・・・・・」

心の底からどうしていいかわからず、次の資源ゴミはいつだったかしらと思いを馳せた。








【終】
(06.12.24)




ディーノ 【おさがり】




「ねェ、
ディーノ。もうこれ着ないの?」

そう言ってクローゼットから出してきたのは、着古したジャケット。
毎日リボーンに無茶苦茶な修行をさせられ、逃げ出すことばかり考えていたあの頃よく着ていたものだ。

「懐かしいな」
袖を通すと丈が短い。
あちこちすり切れ、色あせている。
動くと少し窮屈で。

染み込んだ匂いがさらに懐かしさを誘う。

「ハハ、こりゃもう着られねーな」
そう言って笑うと、つられるようにお前も笑う。
あの頃よりもずっと綺麗に。

「じゃあ、あたしに頂戴?」
「・・・これをか?」
「うん」
「ジャケットが欲しいなら新しいのを、」
「ううん。これがいいの」
細い腕がジャケットを奪い、すぐに着込む。

「・・・・ほら、ちょうどいいでしょ?」
そう言って両腕を広げるけれど、袖が親指まで隠している。

ボンゴレ10代目の教育のため日本に行くと言い出したリボーンから、助手のお前を下手な言い訳で引きとめたのはオレ。

時折届く日本からの手紙を読んで。
お前の幼馴染でもある弟分の近況を耳にして。

お前は、いつまでオレの側にいてくれるのだろう。

尋ねる事すら憚られて。

引き止めるために必要な言葉なんて一つしかないのに、オレはまだ言えずにいる。

身体はでかくなっても、オレの中にはあの頃のへなちょこがまだいるんだ。
膨らんだ感情の中に、隠れてやがる。




「実は前から狙ってたの。いいでしょ?」
お前は、なにも知らずに無邪気に笑う。

「いいよ、そんなんでよければやるよ。・・・・その代わりに、くれないか?」

「なに?あたしが持ってるもの?」

「ああ」




オレは、ジャケットごとお前を抱きしめて。






「実は前から狙ってたんだ。貰っていいか?」










【終】
(06.12.08)



山本 【手】





「どっち?」

武は手の甲を上に向けて両の拳を差し出してきた。

あたしはというと、その行動の唐突さに驚くよりも手の中に握られたモノに興味を覚えて、視線を左右に泳がせる。



「こ、こっち・・・?」
少しドキドキしながら右手の拳を指差す。

「うん」
武は嬉しそうに頷いて手を開くと、すぐにあたしの手を取って歩き出す。




・・・・あれ?

「ね、ねェ武?」

「ん?」

「左手の拳の中見せて」

「うん」
武はポケットから手を出して、手を開く。

目に飛び込むのは長生き出来そうなくっきりとした生命線。

大きなてのひらには、飴玉一つ乗ってやしない。




「なんだ、なにもないじゃない」

「あるよ」
そう言って、武はまた笑う。

「一体何を選ばせたの?」
眉間にシワを寄せて見上げると、武はさらに笑って繋いだ手を上げる。






「右手の愛と、左手の愛」









絡んだ指の間から、沈みかけた夕日の赤が差し込んだ。




【終】
(06.12.05)

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