■ 断崖の花・5
ある日、歌が途絶えた。
見上げれば、断崖に咲いていた花は居ない。
待てども待てども。
歌は響かず、花は無い。
風も止み。
世界は、無音に包まれた。
断崖に立ってみれば、そこに広がるのは果てしない地平線。
ああ。
あのヒトはここで何を見ていたのだろう。
誰のために歌っていたのだろう。
もう、戻ってこないのだろうか。
とたんに世界は、色褪せる。
ひどく、悲しい。
カナシイ?
誰が?
・・・僕が?
僕。
僕とは、誰?
「貴様、見ない顔だな!そこで何をしている!?」
振り向けば、そこに。
君が、いた。
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(06/03/02)