貴方が忘れた髪止め。



誰に託すこともなく、ぼくは懐にしのばせて。


次に逢うその日を。
この手で返せる時を。


胸を躍らせながら、待つんです。



返したときの貴方の喜ぶ顔を、笑みを。
密やかに、思い浮かべて。

















             密やかなひそやかな恋






















「ああ、なんだ山田のとこに忘れてたんだ」

見たかった、嬉しそうな顔でそう言って。

「じゃ、改めて。山田にプレゼント〜」

・・・・・・・え?

パチンと、止められた髪止め。

「お、やっぱ似合う」

予想だにしない展開に、花太郎は固まる。

「・・・・あ、あの。さん?」
「ん?」
「こ、こういうのは・・・普通女性がつけるんじゃ・・・?」
「そう?いーじゃん似合うから。それに男でも頭に飾りつけてるヤツはほかにも居るし〜」
「それって・・・」

もしかして朽木隊長のことだろうか。
それとも更木隊長?

「山田にはいつも世話になってるからさあ。お礼、みたいな」

貴方が忘れた髪止め。
ぼくへのプレゼント。

「・・・あ、ありがとうございます」

「どーいたしまして」





かえってきた貴方の笑みは、ぼくが思っていた以上に。


















【 終 】

 

 

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