病弱なくせに薬嫌いの恋人に、花太郎はいつも頭を悩ませていた。
























     嘘でも冗談でも文字でも声でも、嫌いなんて言えない

















「はい。これ、三日分の薬です!」

そう言って花太郎が紙袋を差し出すと、はあからさまに嫌な顔をした。

「薬じゃなくってさあ・・・ホラ、花太郎のハンドパワーでちょいちょいと・・・」
「だめです」
にこにこ笑いながら、花太郎は霊力での治療を拒否した。
「・・・・薬、嫌いなんですけど」
決して受け取ろうとしない
「嫌いでも飲んで下さい」
もう一度差し出す花太郎。
「無理!」
つっぱねる
「無理でも飲んでください!」
「ダメダメ!吐くし!」
「吐いても飲んでください!」
「私はうしか!?反芻か!?」
「四の五の言わず飲んでください!」
「イヤですう〜」
そっぽを向く
言い方がこれまたこにくらしい。

「我侭言わず飲んでください!でないと、き・・!」
言いかけて、花太郎は我に返った。

「・・・き?」

「き、きら・・・」
目を泳がせ、どもる花太郎。

「飲まないと、ナニよ?」
その顔を覗き込む

「き、きき・・」




嫌い、なんて。

冗談でも言えない。






「き・・・き、聞き耳を立てます!!」

「ストーカーかよ!?」









結局花太郎は、この日もに薬を飲ませることができなかった。
















【 終 】

 

 

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