「あ痛!」

花太郎のその声に、眠っていたは目を覚ました。

「ナニしてるの?花太郎」

顔を向ければ、枕元で正座していた花太郎は人差し指をくわえている。






































                 くちづけだけで満たされる

























ここは、四番隊の救護詰所。
その一室で、は花太郎の看護を受けている。







「ふいはへん」
痛みに眉を寄せながら、花太郎が言う。

「・・いや、なに言ってるかわかんないよ」
がそう言うと、花太郎は人差し指を抜いて、もう一度言い直した。
「すいません起こしちゃって。繕い物を・・・」
「ふーん。貸して?」
は身を起こした。
「え?」
「やったげる」
「でも・・・」
「いーから」
は半ば奪うように花太郎の着物と針を手にすると、早速繕い出した。

その様子をじいと眺める花太郎。

の手つきは流れるようで、思わず見入る。




「はい、出来上がり」
「あ、ありがとうございます」

受け取った着物は、ぱっと見てどこを縫ったかわからないほどで。
さん、見かけによらず家庭的?なんて言ったら怒られそうな思いが浮かんだ。

「じゃあお礼」
「お、おれい?」
きょとんとした顔を上げる花太郎。
「はやく」
「え、そ、そんな事を急に言われても・・・」
思わず我が身をワタワタと探る花太郎。
「5秒以内。はい、4・3・2、・・・」
「ええ!?えっとえっと・・・!」
カウントダウンされ、さらにあわてる花太郎。

すぐそばの、の顔は花太郎の様子を楽しむかのように笑っていて。

その表情に、引き寄せられて。

「・・・!」
笑むその唇に、とっさにキスをする。




ほんの僅かで、離して。




「・・・・・・・こ、これじゃあ・・・だめ、ですよね・・・」

うつむく花太郎。

遅れて、真っ赤になる。





「・・・んふふ」




「・・さん?」
笑い声に、花太郎は顔を上げる。




「オヤスミッ」

頭から布団をかぶって、は横になった。




「あの、ぼく・・・ええと。さん?」



もう一度名を呼んでも、が応えることは無かった。









【終】

ブラウザバックでお戻りください。(06/01/03)