なんとなく、胸騒ぎがして。
普段は通り過ぎる曲がり角を曲がって。
そこで見つける。
倒れた貴方を。
「さん!?」
道端に倒れている死神を、すぐに彼女だと気づいたのは。
その髪が、色素が抜けたような淡い色だったから。
持っていた荷物を投げ捨て駆け寄ってみれば、荒く弱い息遣い。
青ざめた顔色。
「どうしたんですか!?しっかり!」
声を掛ければ、ゆっくりと目が開く。
「・・・・・」
返ってくる声は無く、その瞳の焦点はどこかぼんやりしている。
酷い状態だ。
それでも身じろぐ身体。
「ああ、動いちゃダメです!じっと・・・。ええと、一番近い救護詰所は・・・!」
立ち上がると、何かが袴を引っ張る。
細い、白い腕。
心臓が、ぎくりといやな音を立てた。
「ど、どうしました!?」
もう一度膝を折って、傍で声を掛ける。
「・・・・」
返事は無い。
けれど。
「、さん・・・?」
瞬きのたびに、彼女の瞳に光が戻ってくる。
「・・・、もう平気だから」
かすれた声。
ちっとも、平気なんかじゃないはずなのに。
「平気って・・、カオが真っ青じゃないですか!」
「元々、白いの」
そう言って、起き上がる。
億劫そうに。
どうして、この人は、こんなに。
「さん・・・」
ひどく歯がゆい。
さんが所属するは、護廷十三隊最強といわれる十一番隊。
でも、その身体はとても繊細で。
ぼくは、お荷物なんていわれる四番隊所属で。
でも、護廷十三隊で唯一、霊力で治癒することができる。
できるのに。
「大丈夫。ちょっとクラっとしただけだから。もう大丈夫」
そんな身体を隠さなければいけないほど、貴方は。
偽るほど、ぼくを。
「・・・、駄目です!!」
立ち上がろうとする彼女の身体を、抱き上げた。
それはささやかな抵抗。
抱えたまま歩き出したのは、彼女の身体を慮ったからだけではなく。
「や、山田・・・」
「駄目です!!」
困惑した声を、一蹴する。
「自分で、歩くから・・・」
「駄目です!!」
歩けるはずなんか無いのに。
「恥ずかしいんですけど・・・」
「駄目です!!」
降ろさない。
離さない。
歩くのを、やめない。
「山田・・・」
「駄目です!!」
ぎゅ、とその細い体を抱いて。
「山田、力持ちだね・・・」
「ありがとうございます!」
呆れられたって、かまわない。
ただ、僕は、貴方が。
貴方に。
・・・思い至った感情は、どうしようもなく。
(ぼく、幼稚だ)
でも。
「山田も、やっぱり男なんだなァ」
そう言って、両腕を回して抱きつかれて。
「・・・・・世話になるよ」
それでもう。
それだけで
ぼくの胸を占めるのは。
ただどうしようもなく君が好きなのです
【終】
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