残り少なくなった夏休みのある日。 「ふお!?」 突然鳴り出した携帯の着信音に、ぼんやりと歩いていたは心底驚いた。 取り出した携帯のディスプレイには<蓬莱寺京一> この間の図書館の帰り、京一に電話番号を入力させられて電話をかけ、その番号を登録した。 「も、もしも・・・」 「へ?」 『いーから振り向けちゃん!』 図書館の時とは違い、今日は私服だ。 そう思いながら近寄ってくる京一を待つ。 「う、うん、まあ・・・蓬莱寺君は?」 「俺?俺はオネーちゃんをナン・・・じゃなくて。ブラッとしてただけだ」 「そ、そっかあ・・・」 「一人なんだろ?暇なら俺とデートしようぜ♪」 まるで生まれてはじめて聞く単語のように反復する。 「え?あの、うええ!?」 そう言って足を止めるのは、大人びた長髪の少女だった。 「ホントだ〜。アレ?隣に女の子がいるよ、亜里沙ちゃ〜ん」 「・・・アイツ彼女いたっけ?」 ある事件をきっかけに京一たちと知り合った亜里沙と舞子。 二人は興味津々で通りの向こうを行く京一とを追った。 「じゃあ〜舞子、ひーちゃんに電話する〜!」 舞子からの電話を取った龍麻は、ザラリと錆びたような声で答えた。 「・・・京一の女ァ?知らねーよ。・・・デート?どうせどっかで引っかけた女だろ」 『女っていうかあ〜、女の子なの。私たちと、おんなじくらいだよ〜?』 「別にアイツが誰と付き合おうがどーでもいい。用がそれだけならもう切るぞ?」 『ねェ、龍麻。アンタはなにやってんのよ?』 「あん?布団干してる」 聞かせるように、ばふ、と布団を叩く龍麻。 「う、うるせえな!!俺は今日布団干す日なんだよ!!」 『そんなこと言ってると、京一にどんどん先越されるわよ?布団なんか干してる場合じゃないわよ!どうせアンタ一人しか寝ないんでしょ!』 「一人暮らしなんだから一人で寝るのが当たり前だろーがなに言ってんだお前!?お前らこそ他人の色恋沙汰なんざほっとけよ!」 声をハモらせる亜里沙と舞子。 『ヤダ龍麻オヤジ臭い!』 「・・・・・・」 『アンタ、布団とアタシたちどっちが大事なの?』 『どっち〜〜?』 『ひーちゃん、おねがァい〜』 二人に押し切られ、部屋を後にする龍麻だった。 ひーちゃんは押しに弱い。 |