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「如月の身体を乗っ取ってるヤツの狙いが、この子なのよ。龍麻はソイツを足止めしてるわ」

そう、雨紋に説明する亜里沙。




この子、というのは・・・




「わ、わたし・・・?」
は目を丸くした。

「て、龍麻が言ってたの。心配しなくてもだいじょーぶよ!アタシたちをココによこしたのは、京一がいるとわかってての判断・・・だったんだけど。まさか京一があんなもんにッ」

亜里沙の口調は軽く、その鞭はしなやかにそして鋭く舞う。

澱んだ真紅に染められた不良たちは、どれだけ強く打たれても、倒れても、また起き上がり向かってくる。




ミミズ腫れや裂傷を苦にもせず、赤く濁った目にを映して。

だけを、狙うかのように。







「わたしを、狙ってる・・・?」
愕然とする




「ま、京一なんかいなくてもアタシにかかればこんな連中!」

そう言う亜里沙だが、息が上がってきている。

「ッ亜里沙ちゃん後ろ!」
叫ぶ舞子。

同時に襲い掛かった不良たちは、一人は亜里沙の鞭に伏したが、もう一人は・・・その口から、有り得ない量の澱んだ深紅を吐き出した。

疲れを見せ始めた亜里沙の、一瞬の隙を突いて。

「ッ!!」
その勢いはすさまじく、亜里沙の声すら飲み込んで押し倒す。

「藤咲!!」
雨紋は振り返り、小さくなった渦に背を向けてこちらに走り寄る。

だが、それより早く残った不良たちがと、を庇う舞子に襲い掛かる。




「悪い子は、眠っちゃいなさ〜い!」
舞子は先ほどとは違うビンを取り出し、向かってくる不良たちに振り撒いた。

ぱっと広がる微粒の粉に、不良たちは顔を歪めて動きを止める。

次々と膝を崩すが、すべてに効いたわけではなかった。




「ウ、ガアアアア!!」

「きゃあ!?」
舞子の死角をついて、襲いかかる不良。

背後のはなにもできず、ただ、壁にもたれて気を失う亜里沙の姿を見た。
浴びせられた深紅に身を汚した様は、まるで全身から血を流したかのよう。

それが、数秒後の舞子の姿でもあるということは、容易に想像できる。

雨紋の攻撃が残りの不良をなぎ払うが、舞子を助けるには間に合いそうもない。

















は血の冷える感覚、というものを生まれて初めて経験した。















「駄目えッ!」

思わず、は持っていたギターケースを振るった。




それは舞子に襲い掛かった不良の背中にぶつかり、その衝撃で不良はつんのめって、倒れた。

だが勢いのついたギターケースはそのまま地面へと叩きつけられた。

激しい音ともに、ケースが開く。




「ご、ごめんなさい!!」

思わず叫ぶ
もちろん雨紋へ、だ。




ケースは開いたが、ギターは固定してあったのか、少し浮いただけ。

慌ててもとに戻そうとしたところに、別の不良が吐き出した。











大量の澱んだ深紅を、に向かって。








を庇う、舞子に向かって。










わたしを狙ってるのに。

(わたしのせい・・・?)

京一も、雨紋も、亜里沙も舞子も・・・、そして龍麻も、如月も。







の視界一杯に広がる澱んだ深紅。

その向こうに、垣間見たものは、




(・・・あッ)







その瞬間、の中から戸惑いも恐怖も吹き飛んだ。








「高見沢!!!!」
雨紋が叫ぶ。




大量の澱んだ深紅は、地下道の床にぶちまけられる。
吐き出した不良は、精も根も尽き果てたようにその場に倒れた。






「・・・どうしよ、あの子、・・・・・・・いっちゃった」

泣きそうな顔で雨紋を見上げる舞子は、深紅を浴びせられる寸前に突き飛ばされ、しりもちをついていた。




「いっちゃったって・・・どこに?」

呆然とする雨紋。




















その場には、澱んだ真紅に汚れたぴよこと、空のギターケース。

















そこに、の姿はなかった。













【続】







 

 

 +  + 

深紅に飲まれたヒロイン。その頃龍麻は・・・

(06/09/28)