とめどもなく。 打ち寄せる波のように、それは龍麻の靴先を濡らした。 「ッ痛!」 「・・・ッげふ、げふっ、げふん!」 化水に全身を紅く染めながらも起き上がり、途端にむせる二人。 二人の姿に、龍麻はただ目を開いて絶句した。 「げふっ、げふっ、げふん!」 龍麻が見下ろしていることも知らず、二人は咳き続ける。 「げふっ!げふ!・・・はッ、げふげふっ!」 「・・・・・・・」 「げふ、げふっ・・・!」 「・・・・・・」 「だ、だいじょうぶか?ちゃん」 龍麻はピクリと眉を上げ、ツカツカと京一に近づいた。 「てっめえは!なんで一緒に化水の中なんだよ!?」 「あだし・・・?とりえず落ち着けひーちゃん!!男のヤキモチはみっとめねえって。シメんなって、苦しいって、吐くって!」 「なにがヤキモチだ誰がヤキモチだ!!もとはといえば・・・!」 そこで龍麻は、京一からへと視線を移す。 「お前もお前だ!こんなトラブルメーカーにひょこひょこついてくんじゃねーよ!!馬鹿か!?この馬鹿!!」 「えええ・・・?」 「まあまあ、説教は後にしよーぜ?龍麻」 「オウ、如月に聞いた。・・・中で」 京一の言葉に、片方の眉を吊り上げる龍麻。 「・・・・そーかよ」 そして、凶悪に笑う。 「・・・あっ」 膝をつく如月に、は声を上げる。 の声に龍麻は振り返り、ひときわ低い、ザラリと錆びた声で言った。 「お前はそこで倒れてろ。喋るな。潰れてろ死んでろ」 「・・・・・た、龍麻」 言われたは舞子の言葉を思い出した。 なんだか理不尽な気持ちでいっぱいになる。 逆再生のように、地面を汚した化水が浮き上がり、吸い上げられ、一つに渦巻いてゆく。 再び、如月の身体を乗っ取ろうと、近づく。 「翡翠!」 「・・・大丈夫だ」 そう言って、如月は龍麻からへと視線を移した。 続く如月の言葉は、昇り龍のごとき水の柱の轟音にかき消された。 いずこからともなく噴出した清水は化水を貫き、四散させた。 霧雨のように降り注ぐ清水を、は見上げる。 そして振り返り。 「、動くな!!」 「!!」 落ちてくる数滴の紅い飛沫が集まり、形を成す。 まるであぎとを開く蛇のように。 だがそれは、京一の放った剣圧に一瞬で霧散した。 「ま、ほかならぬ相棒の頼みだからなッ」 その声から、京一は痛いほど感じ取っていた。 焦りを。 そして、思い出させた。 如月の放った清水の霧雨が化水を洗い流してくれたが、生臭い匂いは落ちていない。 「あ〜、くっそ、お前らよく平気だな、この臭い!」 「平気じゃねェよ、なあ?ちゃん」 「鼻がバカになった。頭痛までしやがるし・・・」 「オイオイ、今更繊細ぶるなよ〜?」 「・・・・」 「だ、だいじょうぶ・・・?緋勇君」 「うるせェ。ヒトの心配してる場合か、真っ青な顔しやがってバーカ!」 「・・・・」 「女の子に向かってその言い方は無いだろう?龍麻・・・」 そのままゆっくりと横に倒れる如月。 雨紋にぴよこを差し出され、は自分がギターを持ったままだということを知った。 「ご、ごめんなさい!わたし、勝手に・・・!」 「いいっていいって」 「離せ雨紋。僕は一人で歩ける」 舞子の回復術を受けたものの、如月の顔色は悪い。 「とっとっと行けよ。それとも桜ヶ丘に送られてーか?」 「・・・桜ヶ丘?」 「舞子のいる病院だよ〜」 「か、看護師さんですか・・・?」 「うん、今度遊びに来てね〜〜、ちゃん」 「あ、はあ・・」 「気にしなくていいわよ、病院でいらっしゃいませって言う子だから。じゃ、アタシたちも帰るワ」 汚れた服を気にもせず、颯爽と去る美少女二人。 龍麻の、何度目かの怒りの爆発とともに小気味のいい音が夕暮れの街に響いた。 アレ結局このパターンの終わり方・・・ |