(今この瞬間だけは、僕のものでいて)
「優しいのですね、君は」
それは違う。
言おうとしたが、肩に押し付けるように頭を抱えられていて。
「・・・・・・・・・」
無言を返す。
その願いを拒否しなかったのは、確かに自分自身。
もう一方の腕が腰に回り、強く抱きしめられた。
なすがまま、この腕を回すこともなく。
伝わらない熱。
奪われない熱。
非現実なその存在に、囁かれる。
「・・・・ありがとう」
同時に流れ込むものは。
冷たい水の感覚。
重く、頑丈な戒め。
それは犯した罪への罰。
当然の報い。
「これで。このぬくもりで」
耐えられます。
「・・・・・・・・」
やがて何もかも消えうせて。
部屋には、自分ひとり。
とり残されたような気分で、思う。
たとえ幻でも。
その一瞬だけでも。
せめて手を差し伸ばして。
嘘でも、言えばよかったのだろうか。
「優しくなんか・・・ない」
一人、呟く。
い 一度だけでいいから抱きしめさせて
愛 し て
あ 遊びなんて言葉知らないから
い 一度だけでいいから抱きしめさせて
し 思考回路はいつだって優先されている
て 手加減できないよ、そんなの無理に決まってる
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