09 瞳だけは透き通っていて
「うわ!?」 突然オレの部屋に入ってきたのは姉ちゃんだった。 の、ノックぐらいしろよな〜・・・。 「な、なんだよ姉ちゃん急に!」 「今日は日曜だよ?だから遊ぼう」 「あそぶって・・・やだよ。今日はリボーンもチビ達もいないし、ゴロゴロしたいんだよ・・・」 「なによお、せっかくの休みだってのにアンタ、デートの予定も無いわけ〜?情けない」 「ふなッ!?なにいってんだよ!」 で、デートって! そ、そりゃオレだって・・・きょ、京子ちゃんと・・・ 「だからあ、いずれ来る・・・かもしれない京子ちゃんとのデートの日のために、この姉様が予行練習してやろうってのよ?ありがたくつきあいなさいよ〜」 「・・・いいよそんなの」 余計なお世話だ。 大体姉ちゃんが私服になると途端に中学生に見えないんだよね。 こんな風に化粧までされたら、不釣合いで横に並んで歩けないよ・・・。 「ハイハイ、いってらっしゃい」 やれやれ。 「・・・まあ、ツナも一人でゆっくりしたいときもあるよな」 その声にあわてて起き上がれば、ドアのそばに山本がいた。 「や、山本まで・・・いつの間に・・・?」 「下で姉さんと会ってさ。俺もツナを誘いに来たって言ったらじゃあ一緒に遊ぼうって」 「姉ちゃんなんで先にそれを言わないんだよ!?」 「なによお〜、言う前に断ったんじゃないの。それともなに?あたしの誘いは断るけど、山本くんの誘いなら受けるの?」 う、それは・・・。 「ま、とにかく!山本くんはもらっていくから、アンタは一人でだらだらしときなさい!」 そう言って姉ちゃんは山本の腕を掴んで引っ張ってった。 「じゃ、じゃあまた明日な?ツナ」 「・・・う。うん」 そんなわけで、優しいあたしは獄寺くんに電話をして、ツナのところへと誘導してあげた。 「んー?いいのいいの。ツナも昔はさあ、いっつも後ろにチョコチョコ引っ付いてきてたのに、今じゃこっちから誘ってもついて来やしない。まー、男の子だしねェ」 「はは、ホント、ツナの姉貴分なんすね」 笑う山本くんを見上げる。 年の割りに背ェ高いよな〜、山本くん。 て、腕組んだままだった。 あー、今更解くのもアレだし・・・どうしよこれ。 「オレも今日は暇なんで」 「デートする彼女は?」 ツナからは、結構女子に人気あるって聞いてるけど。 「姉さんこそ。そーいやツナがヒバリと付き合ってるって・・・」 「無いから!ただのデマだからそれ!」 ツナか!アイツ今度くすぐり地獄! 「・・・そーなんスか」 「大体、アレが彼氏だったらツナや山本くんを誘えると思う?」 「ああ、そりゃそーだ」 よかったよかった、誤解が解けて。 「よし、じゃあ今日は映画を見にゆくぞ!」 「おうっ」 うんうん、ノリがいいね〜。 「・・・・・・」 そういや、ツナを介しての顔見知りというだけで山本くんのこと全然知らないんだよね・・・。 そもそも学年が違うし、部活やってるから獄寺くんより会う事も少ない。 「あは、ばれた?」 「何の話しようかな、とか」 「考えてた」 「オレ、沈黙とか平気なんで」 「そーお?」 でもまあ、お言葉に甘えて。 「・・・・・」 電車の揺れに身を委ねる。 スピードすら、遅いように感じる。 山本くんは同じように窓の外を眺めていて。 視線に気づいてあたしを見た。 ガタンゴトンと揺れる振動と音で、知らず知らずの内に・・・・。 ふわりと香るのは・・・・なんだろう。 制服のときと雰囲気がまるで違っていたから。 腕と腕が絡み、肌が触れる感触は未知のもの。 映画館は次の駅にある。 駅はもうすぐそこ。 このまま電車に乗れば終着駅は海の近く。 (それもいいかもな) 少し季節外れだけど。 手を繋いで、海まで。 ドアが開く音に、顔を上げる。 オレは寝ぼけ眼をこするその手を取って、電車を降りた。 真っ直ぐ映画館に向かって。 手ェ繋いでるだけなんだけどね、うん。 「あ、いいスね。じゃ、それで」 「さん」 笑って手を差し出されたら繋ぐしかないじゃない・・・? 「う、うん」 獄寺君が家にきた。 まったく・・・姉ちゃんったら余計な気を回すんだから。 「ええ?だって・・・」 「あんな野球しか知らねェ野球バカにさんがエスコートできるわけないっスよ!!」 「エスコートって・・・・そんなデートじゃないんだから・・・」 「二人っきりならデートじゃないスか?」 「あ、そっか・・・・」 「さんがあんなヤツと付き合うようになったらどーすんですか!?」 「どうするって、別に・・・・」 獄寺君、さっきはエスコートなんかできるわけないって言ってたのに・・・・。 「り、リボーン!?おま、いつの間に帰って・・・」 ていうか余計なお世話だ!! 「男は時に強引にならねーとな」 そう言ってリボーンはニヤッと笑った。 「んん?」 「あのさ」 「な、なに?」 「予行練習の次は本番っスよね?」 「へ?」 つか近い!顔が近いよカオが! 「ツナを誘った時、予行演習だって言ってたっしょ?」 「あ〜、いやあれはその・・・」 近すぎる距離に戸惑って思わず一歩下がるが、手を掴まれていて離れられない。 「え?えっと・・・・・・、え?」 ああ、思わず二度聞いてしまった。 そ、そーゆー真剣なカオで言われるとおねーさん困っちゃうんだけど。 「いや、えーと・・よ、よーしどんとこい!」 「じゃ、また電話します!」 山本くんは笑って、ようやく手を離してくれた。 ほっとしたような、でもっちょっと寂しいような・・・。 立ち止まって振り返ったその顔は笑っていたけれど。 コレはもしかしてもしかすると。 アレですか。 火ィ、つけてしまいましたかね・・・・?
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