「あのさあ・・・・・・じっと見るの、やめてくれない?」






「どうしてだ?」







































10  愛情の注ぎ方はいつも突然





























喫茶店の大きな窓から行き交う人を眺めていたは、ようやくそう口にした。

向かいに座るのは金髪の青年。

その世界で名を出せば知らぬ者はいない、マフィア・キャバッローネファミリーの若きボスだ。




(でも後姿はヤンキーよね)

見返れば彫りの深い顔立ちで、イタリア人だと分かるが。

(日本語も流暢だし)

おかげで「校門でかっこいい外国人がを待ってるぞ!」と伝言を受けた。

他人事ながらテンションを上げるクラスメートから逃れるように教室を脱兎する羽目になった。







「よう、。逢いたかったぜ?」

そんな言葉も右から左、は校門前にいたディーノの腕を取って駆け出した。













そして今、この喫茶店にいる。




「・・・じっと見られてると居心地悪いのよ」

「そうか、悪い。でもなあ、なんだか視線が外せないんだ」

「見られてるこっちはすんごい迷惑なの。つかなに笑ってんの。何?なにがそんなにおかしいのよ」

「いや、ものすごい勢いでやってきたから。もしかして、」
「都合のいいように解釈してない?してるなしてるよ絶対。ソレ違うからまったく違うから。あと今度校門の前で待ってたらシャイニングウイザードかますから」

ディーノの言葉を遮り、ノンブレスで言い放つ

「なんだよ照れてんのか?

「それはない」

「そっか」
しかしディーノは相変わらず見ている。

どこか落ち着きなくコーヒーカップのソーサーをいじるの姿を。




「だから見るなってば!」
はディーノを睨みつけた。

「そりゃ無理だスマン」
はは、と笑うディーノ。

は、その瞳を見つめ返す。

(下まつげが長いのよね、ディーノって)







まるでにらめっこのようにお互い見つめ合う。



















ディーノは笑みを崩さず。

は、少し呆れたような表情を変えず。

















無言で。














ディーノの瞳の中に、自分の顔が映る。






瞳の中のは、頬杖をついてディーノを見ている。





そこばかり集中していると、周りの光景や自分を見つめるディーノの姿が視界から消えてしまって。




まるで鏡を見ているような錯覚に陥った。














だからはその表情に飽きて、つい。

そう、ついうっかり。





















微笑んだ。










その次の瞬間、唇が触れた。










「誰がキスしていいとゆーた!?」
ディーノの胸倉を掴む

「いや、だって目の前に顔が・・・」

「目の前に顔があったらちゅーするんかおのれは!?イタリア人は!?」

「ス、スマン。の笑顔には引力があるんだよ、だからつい」

「ついもつんくもあるか!!」

「あはは」

「なぜ笑う!?」

、オヤジギャグ」

「ギャグ違う!」

掴んでいた手を離し、がっくりとうなだれる










?」





















「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、なに?」

たっぷり間を置いてから顔を上げる



















「好きだぜ?」















「・・・・・知ってる」
















出逢った時から。











いつだって、その瞳はまっすぐあたしを見てるから。
























どんな鈍感もきっと白旗よ。




















【 終 】

















ディーノさんとにらめっこなんて無理。
(06/09/20)