「君・・・何者?」
静かなその声に、を囲んでいた風紀委員たちは青ざめ、姿勢を正した。
「い、委員長!」
「この女子が草壁さんを!」
「おそらく一連の窃盗もこの・・・!」
「うるさいな」
わめく風紀委員の一人を、仕込みトンファーで軽くいなす雲雀。
途端シンとする風紀委員たち。
「僕は彼女に聞いてるんだよ」
「・・・や、やっぱり校内暴力あるんじゃんリボーンのうそつき・・・!」
ぼそりと呟く。
目の前の少年がとんでもなく危険だと、は一瞬で気づいた。
リプレイ
08
「君、名前は?」
雲雀はにゆっくり近づく。
その身から発する闘気をひしひしと感じ、は一歩下がった。
「・・・だよ。どーぞよろしく?」
スカートのすそを持って広げる、時代錯誤な挨拶をして。
「そしてさいならっ」
は脱兎した。
横たわる草壁をぴょいっと飛び越え、廊下を駆ける。
「逃がさないよ」
雲雀は右手のトンファーを投げた。
うなりを上げて回転するトンファーは、真っ直ぐの後頭部に向かって飛ぶ。
「危ないモン投げてくるなっ」
はリノリウムの廊下を上履きでキュ!!と鳴らして振り向く。
遅れて髪がひるがえり、なんとトンファーを弾き返した。
草壁を投げ飛ばした時と同じ黒い紐のようなものが幾束も、の髪に混じっていた。
弾かれたトンファーは廊下に落ちて滑る。
「・・・・それ、なに?」
その時には、雲雀は走りざま落ちたトンファーを拾い、に向かって直接打撃を加えようとしていた。
「ッ!!」
そのすばやさには息を呑み、身を引く。
鼻先をかするトンファー。
「あ痛!」
勢いよく避けたため、は背後の壁にぶつかった。
「ねえ!いまのなに?」
攻撃しながらも、なぜか雲雀の表情は喜々としている。
(コ、コイツ・・・!?)
その表情に、はゾッした。
強烈な第三打、第四打を紙一重で避け、はようやく間合いを取る。
「草壁を投げ飛ばした。僕のトンファーを弾いた。・・・その黒いものは、何?」
足の早いしなやかな肉食獣の獲物を狙うような目が、を射る。
(目ェいいなコイツ・・・!)
内心舌打ちする。
アレを見られたのは少々マズい。
使うな、と言われたのに。
(でもこの場合はしょうがないじゃない!)
とりあえずこの状況をどうにかしなくては。
目の前には、トンファーを振り回す物騒な少年。
後ろは、窓。
(んん!?)
窓の外、体育館へと続く渡り廊下に一人の男子生徒の姿。
「あー!アイツ!!」
それは、先ほど教室から出てきた挙動不審な男子生徒だった。
「アイツ!アイツだよ犯人!あたしじゃなくて!!」
窓を開け、指差す。
そして雲雀を見た。
が、
「そんなの、今はどうでもいいよ」
そう言って、雲雀は笑った。
「わけわかんねー!!」
何を言っても無駄だと悟ったは、窓に足を掛け身を乗り出した。
「おい!」
「三階だぞココ!?」
二人の闘いを見守っていた風紀委員たちが声を上げる。
そんな声にひるむことなく、跳ぶ。
「デュー、お願い」
重力に従って落ちながらも囁く。
身の内の、何者かに向けて。
次の瞬間、バッサ!と黒い物がの背中に広がる。
それはまるで、こうもりの羽のよう。
それのおかげで、はゆっくりと地面に降り立つ。
広がった羽のようなものは数回羽ばたくとともに縮み、消えた。
渡り廊下を歩いていた男子生徒は、そこで振り向く。
「テメこのやろ、アンタのせいでヘンなヤツに目を付けられちゃったじゃねーかこの盗人がああああ!!」
「ひ!な、なんだあ!?」
突如現れた少女が先ほど犯行を見られたで、しかも怒りのオーラを全身からみなぎらせていては驚かないはずがない。
駆けてくるから慌てて逃げ出そうとするが、その時。
「うおおおおお、死ぬ気でマラソン一着ううううう!!ッ邪魔だ!」
校庭の方からやってきたトランクス一丁の少年が叫びながら男子生徒を突き飛ばした。
そして、ものすごい勢いで走り去っていく。
「・・・・・・・・・・・・・・・な、なにあれ・・・?」
あっけに取られる。
それがまだ見ぬ幼馴染、沢田綱吉の姿だとは想像もつかないだろう。
リボーンに死ぬ気弾を撃たれ、死ぬ気モードになっていてはわからないのも無理はないが。
「」
下からの声に我に返れば、リボーンがいた。
「あ!どこにいってたのよリボーン?」
「帰るぞ」
「ええ?ちょっと!」
の手を取って歩き出すリボーン。
「とりあえず候補としては合格だぞ、」
「はあ?ナニ言ってんのよもう!ヘンな連中に絡まれて大変だったんだから!」
「わかったわかった」
リボーンはツナに突き飛ばされた男子生徒を踏んで歩く。
もちろんも踏んだ。
「アイツは雲雀恭弥だ。覚えとけよ、」
そう言ってリボーンは校舎を見上げる。
つられても見上げた。
が跳び降りた窓には、こちらを見下ろす雲雀の姿があった。
・・・まあまあ面白かったよ、赤ん坊。
その声はリボーンには届かなかったが、その表情で何を言ってるのかはわかる。
「へんなガッコ!」
雲雀から目を逸らしたは、苦虫を噛み潰した顔でリボーンを肩に乗せて足早に学校を去った。
・・・続。
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