屋上は、学校の中で一番空が近い。
「あー、イイ天気だなあ」
うん、と伸びをする。
授業から解放された昼休み、オレたちは屋上にいた。
「それにしても・・・」
視線を空から出入り口へと向けた。
購買に昼メシを買いに行った山本が、まだ来ない。
天気がいいから屋上で食べよう、と言い出したのは山本だ。
「10代目、あんなヤツほっといて先に食いましょう!」
獄寺君はそう言ってパンの袋を開けた。
「え、でも・・・」
たしかに、弁当を目の前にしてのおあずけ状態だから、腹が減ってしょうがない。
どうしよう・・・先に食べちゃってもいいかな?
「悪ィ!遅くなった」
開けっ放しのドアから、山本がやってくる。
「ケッ、別にテメエなんざ待っちゃいねえよ」
むしゃむしゃとパンを食べながら言う獄寺君。
「購買混んでたの?」
「いや、途中で会ってさ」
・・・会う?
と尋ねる前に、山本の背後から声。
「ちゃおっス!」
・・・え、リボーン!?
「なんてね〜。似てた?今の似てたでしょ!?」
山本の後ろから現れたのは、姉ちゃんだった。
リプレイ
13
山本は購買部でばったり姉ちゃんに会い、話を弾ませそのまま一緒に屋上に来たらしい。
「いや〜、購買部にたどり着くのに昼休みまでかかるとは思わなかったよ」
しみじみ言いながら弁当を広げる姉ちゃん。
「・・・もしかして、午前中ずっと購買部探してたんスか?」
恐る恐る尋ねる獄寺君。
「あはは、まさか。休み時間ごとに探しに行ったんだけどね、帰る道がわかるようにパンをちぎって廊下に置くの。でもね、ちぎったパンは森の鳥に食べられちゃうのよ」
「童話入ってるよそれ!」
ああ、しまった思わず突っ込んじゃった。
「はは、姉さんおもしれー!」
一人ウケる山本。
「笑い事じゃないよ。ホント、移動教室とか大変なんだから。屋上も覚えとかないと・・・。いっそ矢印とかつけてくんないかな」
姉ちゃん、もしかしてものすごい方向オンチ・・・・?
「・・・・・・・・・・・」
獄寺君が無言でオレを見た。
・・・・うん、まあ、なにを言いたいかはわかるよ。
姉ちゃんはオレの幼馴染だけど、ずっと会ってなかった。
再会したと思ったら、なんだか性格が変わってるし。
年誤魔化して中学に通ってるし。
(・・・あれ?でもそういえば)
姉ちゃん家、なんで引っ越したんだっけ。
・・・・・・・・いなくなったのはいつだったっけ?
遠くで、救急車が走ってる。
(どこだ?誰を・・・乗せるんだ?)
でも、屋上からじゃ空しか見えなくて。
「・・・、な」
違う。
見えなかったのはオレが、
「・・・・ナ、ツナってば!」
「えッな、なに!?」
「なにぼうっとしてんの?ツナ」
姉ちゃんが顔を覗き込んできた。
「な、なんでもない!」
オレは視線を逸らして弁当にハシを入れた。
(・・・今、オレ)
なにか思い出しかけてた。
なんだろう。
なんで、こんな全力疾走したみたいに心臓が。
『事故だってさ』
ドクン。
(え?)
「また、君達か」
静かな声が、オレの追憶を邪魔した。
手元に影が差す。
「・・・・・?」
顔を上げれば、そこには。
腕には風紀委員の腕章。
手にはすでに、トンファーが握られていて。
「君、丸一日の遅刻だよ」
ヒバリさんはそう言った。
姉ちゃんを見下ろして。
・・・続。
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