「君、丸一日の遅刻だよ」

まるで猛禽類が獲物を狙うような鋭い目を姉ちゃんに向けるヒバリさん。




「なんだ?なんか用かよ」

先に反応したのは獄寺君だった。
腰を浮かして、今にもダイナマイトを取り出しかねない雰囲気だ。

山本は、隣の獄寺君を気にしつつも黙って状況を窺っている。




そもそも、丸一日の遅刻って、なに?
それって昨日の昼休みにここで、屋上で待ち合わせしてたってこと?

「なんで来なかったの」




・・・・・多分それは、姉ちゃんが屋上に辿り着けなかったからだと思います。




なんて言えるわけもなく。
見れば、姉ちゃんは我関せずと弁当を食べている。

「ちょ、姉ちゃん!食べてないで何とか言いなよ!」

「ノーコメント」

芸能人かよ!?

「食うな」
ヒバリさんのトンファーが閃く。

姉ちゃんの手から弁当箱が弾き飛ばされた。
遅れて中身も飛び散る。

「テメエ!」
獄寺君が声を上げた。

「うるさいな」
立ち上がるタイミングを見計らったかのように、ヒバリさんのトンファーが獄寺君のこめかみを殴打する。

「ご、獄寺君!」

「獄寺!」
倒れる獄寺君をとっさに支える山本。

「いッ」
予想以上の勢いだったのか、山本は背後のフェンスに思いっきり背中をぶつけた。

そのままバランスを崩して二人とも地面に倒れる。











これじゃ、昨日の朝と同じ状況だよ!

いやそれより悪い展開じゃないか!









































  リプレイ 14








































「・・・あーあ。なにしてくれてんの?このお弁当箱気に入ってたのに。もう使えないや」

オレの隣に座っていたはずの姉ちゃんは、いつの間にか弾き飛ばされた弁当を拾い上げていた。

「昨日、屋上で待つって言ったよね?」
まるでカウントするようにリズムを取ってトンファーを回すヒバリさん。

殺気が、ひしひしと伝わってくる。

オレがヒバリさんから目を離せないように、ヒバリさんは姉ちゃんから目を離さない。

「まだ半分も食べてなかったのに。まあ弁当箱は百均ショップだからいいけど。明日の昼飯おごりね」




「・・・僕の話、聞いてる?」




「あ、動かさない方がいいよ。脳震盪だと思うから」
山本に話し掛ける姉ちゃん。

言われた山本は気を失った獄寺君を地面にそっと寝かせた。

たった一撃で獄寺君を昏倒させるなんて、やっぱりヒバリさんは恐ろしい。

(ていうか、姉ちゃんヒバリさんをシカトしてる・・・!)

張り詰めていく空気に、声を出すどころか身動きすら出来ない。
声を出すことすら憚られる。

「君も、邪魔」
機嫌を損ねたのか、ヒバリさんは一歩踏み出し、ちらりともオレを見ずにトンファーを振り下ろす。

「ひ!?」
頭を抱えて、地面に伏せた。

髪の毛をかすめるトンファーに、背中の産毛が逆立つ。






姉さん!」

山本の鋭い声に、オレは慌てて起き上がった。














姉ちゃんはいつの間にかまたヒバリさんの目の前まで移動していた。




その手は、まるで手綱のようにヒバリさんのネクタイを引っ張っている。









・・・・そうか、だからオレはヒバリさんのトンファーを避けられたんだ。









でも、よく見れば姉ちゃんの喉元にもう一方のトンファーが突きつけられている。



















交差する、ネクタイの赤とトンファーの銀。





















一触即発のその雰囲気に、オレと山本は固唾を呑んだ。




















。君を咬み殺す」












ヒバリさんはそう言って、笑った。


























まるで良い玩具を見つけたように。




































・・・続。











 

 

 +  + 

戦闘マニアに火がつきました。
(06/11/12)