姉ちゃんはぐらりと傾いたかと思うと、地面に倒れた。
「・・・姉ちゃん!?」
その姿に、オレは血の気が引いた。
『事故だってさ。どうも・・・』
なに?
なんでこんな時に思い出すんだよ!
振り切るように立ち上がる。
「おい、ツナ!」
「10代目!?」
二人の声は、耳に入らない。
ヒバリさんを追い越して、姉ちゃんに駆け寄る。
「ね、姉ちゃん・・・?」
うつぶせに倒れた姉ちゃんの表情は髪に隠れて見えない。
オレは、恐る恐る手を差し出した。
すると、うなじあたりの髪の毛がもぞりと動いた。
にゅうっと飛び出す黒い筋。
今、ヒバリさんを縛りつけているモノに似ているけど、少し違う。
マッチ箱くらいの骨ばった細長い顔に、針金のような前脚。
頭には二本の角。
その姿はまるで、漫画で見たことのある生き物・・・・ドラゴン。
「ちょ、姐さん!しっかりしてや!術式の途中やで!?」
どこかで聞いたことのあるようなイントネーションで、ソレは喋った。
・・・・術式?
オレはただあっけに取られてその生き物を見つめる。
姉ちゃんの肩に乗ったその生き物は、オレの視線に振り返った。
「あン?なにジロジロ見とんねんクソチビがあ!!」
ど、怒鳴られた。
「なんや!なんやねん!?お前もワシのこと見て黒トカゲとかゆうか!?違うでー!デュランダ様やでー!!」
デュランダとかいう生き物は、姉ちゃんの肩に乗ってぎゃんぎゃんとわめく。
「言ってないし、聞いてないし・・・」
なんだろうこのノリ。
テンションは違うけど、姉ちゃんと似てるような・・・・?
「お前なんぞどーでもええわい!今はそんなことより姐さんや!姐さーん!」
そうだ、姉ちゃん!
顔を覗き込む。
(真っ青だ・・・!)
姉ちゃんは眉を寄せ、きつく目を瞑ったままピクリとも動かない。
刺青のような黒いものは、ゆっくりと薄れていく。
「・・・・・・なんで増えてるの?」
背後の声に、身体が固まった。
「う、嘘やろ・・・。いくら二式程度の術やからって人間が・・・!」
デュランダは、明らかに動揺している。
姉ちゃんの術式とやらに縛られていたはずのヒバリさんが、平然とそこに立っていた。
引きちぎられた黒い筋がハラハラと地面に落ちて消えていく。
二本のトンファーを携えて、一歩また一歩と近寄ってくるヒバリさんの表情は嬉々としていた。
それが、逆に恐ろしい。
「ま、待って下さい、ヒバリさん!姉ちゃんが・・・!」
オレの震えた声なんかじゃ到底、ヒバリさんを止めることはできなくて。
「邪魔だって言ってるだろ」
問答無用で腕を振るヒバリさん。
「お前が何とかしろ、ツナ」
目の前に迫るトンファーの軌跡の向こう。
拳銃を構える、リボーンがいた。
リプレイ
16
死ぬ気弾が、オレの額に命中した。
その勢いで、仰向けに倒れる。
指先の毛細血管まで冷えていく感覚はあるのに、地面へと倒れる衝撃は感じない。
「なんやワレ、姐さんに近づくな!」
視界の端で、デュランダがヒバリさんに威嚇していた。
「うるさい」
無慈悲なトンファーが、デュランダを打つ。
デュランダは吹き飛ばされ、黒い飛沫となって消えた。
(ああ、そんな)
額で発生した熱はすぐに全身に伝わり、力がみなぎる。
死ぬ気の炎を燃え上がらせ、オレはいつもの姿で起き上がった。
「死ぬ気で、姉ちゃんを助ける!!」
そうだ、思い出した。
なんで忘れてたんだろう。
あの日、姉ちゃんは。
『事故だってさ。どうも、トラックが急に左折してきたらしい』
・・・続。
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