始業を告げるチャイムが鳴った。

生徒達が教室へと戻っていく。

















保健室と書かれたプレートの下、少年が一人、授業をエスケープして座り込んでいる。

トランクス一枚履いただけの裸同然の格好で。




俯いて額を乗せた膝を抱き、身じろぎもしない。


















ただ、ドアが開くのを待っている。


























幼馴染の少女が、いつもの人懐こい笑みで出てくるのを。




































  リプレイ 18




























「ツナ」

声を掛けられ、オレは顔を上げた。









「リボーン・・・」

「情けねェ顔するな」

頭をはたかれてようやくそこに獄寺君と山本がいることに気付いた。

「ツナ・・・」
「じゅ、10代目、あの・・・、さんは・・・・?」

「・・・中で、Dr.シャマルが診てる」

「あのヤブ医者スか!?」

「シャマルはの主治医だぞ」
リボーンが言う。

「主治医・・・・?」

・・・オレも、知らなかった。
オレはただ前にオレのドクロ病を治してくれたシャマルなら、と思っただけで。

「・・・・・・もしかして姉ちゃん、持病が・・・?」

「持病と言うより、体質だな」
さらりと答えるリボーンに、オレは無性に腹が立った。

「リボーン!お前、知ってて!わかってて姉ちゃんをファミリーに入れようとしたのかよ!?あんな、急に倒れて!顔が真っ青になって・・・!まさかオレたちの時みたく、わざとヒバリさんに会わせたのか!?」

リボーンに詰め寄りながら、オレの頭の中ではぐるぐると記憶が廻る。




血溜りが。

倒れる姿が。

頭に響く、救急車のサイレン。






「ツナ、落ち着け」
山本の手が肩に触れ、オレは我に返った。




「あー、うるせェな!」
声と共に、ドアが開く。

Dr.シャマルだ。

「シャマル!姉ちゃんは!?」

「心配すんな。あと、野郎は診ねェって言ってんだろ、帰れ帰れ!」
邪魔臭そうに手を振るシャマル。

誰がテメエの世話になんざなるか!と獄寺君がかみつく。
よく見ると、こめかみの辺りが腫れて皮膚が変色している。

(そうだ、獄寺君もヒバリさんに・・・・)




「本当に大丈夫なんスか?姉さん」

「あァ」
山本の問いにシャマルは短く応えるだけで、ドアの前から動かない。

まるで、オレたちを中に入れたくないように。

「オレが代わりに見といてやるからお前たちは授業に出ろ」
リボーンがシャマルの足元から中に入っていく。

「リボーン!おま・・・!」
代わりってなんだよ!と続けようとしたオレの顔面に、くるんだ制服が投げつけられた。




「さっさと戻れ」

そして、ドアが閉じた。













オレは制服を持ったまま、閉じられたドアを見つめた。








野次馬を見ていたあの時と同じように、動けなくなる。









ここはアスファルトではなく冷たく硬い、リノリウムの廊下。

でも、足の裏からは何も感じない。













忘れていた後ろめたさ。




もっと早く止められたんじゃないか。

姉ちゃんが、倒れることなんてなかったんじゃないか。

いまさらの後悔。

目を瞑っても、青白い顔が頭から離れない。













「10代目・・・」

「・・・・ツナ、戻ろうぜ?」

「授業が終わったら、様子を見に来ましょうよ?」




二人が話し掛けてくる。









「・・・・・・・・・・・」









あの頃と違って、同じように姉ちゃんを心配してくれる友達がいる。

オレのことも心配してくれる友達がいる。



















「・・・・・・・・うん」








オレは制服を着て、教室へと戻った。

























・・・続。











 

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(06/11/14)