雲雀恭弥。










並盛中学の風紀委員長にして並盛町の不良を統べる少年。

その名は、隣町にまで轟いている。









その日の午後。

廊下をゆく彼の姿は、いつもと違っていた。

授業中だったため、目にした生徒は少ないが。














その手に携えていたのは、仕込みトンファーではなかった。

まったくもって彼には似合わない代物。




見れば誰もが我が目を疑うだろう。








「出せ!出せやこらああああ!龍攫い!鬼畜!あほおおおお!」









蝉でも蝶でもなく、流暢な関西弁を話す正体不明の生物を閉じ込めた虫かご。











彼がそんなものを持つ理由は。















そして、向かう先は。




































  リプレイ 19




























時間は少し遡る。







倒れたを抱えて、ツナが屋上から出て行く。

追いかけようとした雲雀に、ダイナマイトが投げつけられた。

一瞬の隙に、獄寺と山本が先に二人を追いかける。





「またな、ヒバリ」
リボーンも、姿を消した。






















「・・・・・・・・・・・・・・・」

一人、屋上に残った雲雀は。


















「つまらないな」

呟き、トンファーをしまう。












せっかく面白そうな獲物を見つけたのに、水を差された。













血相を変えて連れて行ったが、あんな目をする女がそう簡単にくたばるものか。









「・・・・・・・ふん」





しょうがない、授業をサボってる連中でもシメようか。

退屈しのぎを考える雲雀の視界に、黒いモノが映った。







「うう、グラグラする〜。吐く、めっちゃ吐きそう・・・・ハッ、そや!姐さん!?姐さーん!?」

その場でぐるぐる回る漆黒の物体。

多分、生き物。





「・・・・・・・・」

雲雀は関西弁を話すその生き物に近づき、むんずと捕まえた。





「ふおう!?な、なんや!誰や!?馴れ馴れしくさわん・・・、きゃあああああ!?」
雲雀の顔を見て悲鳴を上げる生き物。





それは、を姐さんと呼び慕うデュランダ。

消し飛ばしたはずのソレが復活していて、雲雀は興味を持った。






「キャー!キャー!キャー!!キャぎゃっふ、ゲフ!ぐえッフ!?」

叫んでむせてジタバタ暴れ、それでも逃れようとするデュランダに向かって、雲雀は言った。




















「・・・・・・・・・・君、何?」











口調は穏やかだが、その眼光は鋭い。


















「・・・・・・・・・・デュランダゆいます、よ、よろしゅうにいいい〜〜?」





デュランダは動きを止め、しどろもどろに己のことを語り出した。

































逃げないように掴んでいるのがタルいので風紀委員に用意させた虫かごにデュランダを突っ込んで、雲雀は廊下をゆく。






「ちょお、ニィさん。ええかげん出してくれへん・・・?なんかカブトムシの気分!」
デュランダは虫かごの中、前後に揺られながら抗議した。

「うるさいな」

「セミの気分!!」

「・・・・・・・・」

雲雀はシカトした。

「みーん!みーん!み゛いいいんッ!!」

「・・・・・・・・」

「!み゛いいんッ!ボケェ!み゛いいいんッ!!あほおー!み゛いいいんッ!!目ェ噛んで死ね!!」





「・・・・・」

足を止め、トイレに入る雲雀。

「え、なに、なんや!?」
デュランダは、不穏な空気を察してビビる。




雲雀は手洗い場のシンクに虫かごを置いて蛇口を思いっきりひねった。




勢いよく虫かごを直撃する水。

「あばばばばばッ!冷た!ふげ!?はにゃ!はにゃに入ったばばばばっ!?スンマセ、ゲフ!!ホンマすんまっせん!!おぼれる!死ぬ!しんでしまふ!」

虫かごは透明なプラスチック容器で、フタだけ網になってるタイプのため水はドンドン溜まっていく。

さらには雲雀の手で、無慈悲にもグルグルと回される。

「はぷ!ごガボボボ!?」
渦巻く水に翻弄されるデュランダ。

「・・・・・・・・」
それを無表情で眺める雲雀。





水が一杯になったところで、雲雀は水を止めた。

水中を漂うデュランダをチラリとも見ずに虫かごをひっくり返して網目から水を流す。

そしてまた元へと返す。

水責めに遭い、左右に、そして上下に回されたデュランダは完全に沈黙した。





「・・・・・・・・・・・」




それを確認し、雲雀はトイレを出た。





























そして。













水が滴る虫かごを携え、保健室の前に立つ。

























・・・続。











 

 +  + 

オリキャラは気を使わなくていいので楽です。
(06/11/15)