に濡れてる濡れてると散々言われたためか、デュランダは身体を拭いていた。

ベッドを仕切るカーテンで、だが。




針金のような前脚で器用に身体を拭くその様子を、山本はものめずらしそうに眺める。

獄寺は興味ないのか、勝手にパイプ椅子を出して座り、喫煙している。
視線の先は、向かい合うように座るシャマルと

ツナは、の隣に立っている。
・・・保護者のように。




「とりあえずな、今日はもう帰れ。担任にはオレから言っといてやるから。明日は土曜だし休め。月曜まで学校に来るな。つーか家から出るな」
ボールペンを走らせながら言うシャマル。

「ええええ!?」
不満の声を上げる

、お前今日だけじゃなくて昨日もおとついも使っただろう?」

「・・・・・・・リボーンか。あいつ〜」
は唇を尖らせた。

「シャマル、あの・・・」
ツナが口を開いた。

ちらりとを見て、またシャマルを見た。

「なんだ?」

「いや、あの・・・・」
口ごもるツナ。

「ちょうどいい、お前、を家まで送れ」

「え、お、オレが?」

「そんなチビ必要ないで!ワシがおるんやから!!」

「10代目に向かってチビとはなんだ、この黒トカゲ!!」
勢いよく立ち上がる獄寺。

「誰が黒トカゲやコラァ!!ニコチン臭いんじゃボケえええ!」
拳を突き出し、獄寺に向かって飛ぶデュランダ。

「・・・・、ふー!」
そのデュランダに紫煙を思いっ切り吹きつける獄寺。

「げふげふげふ!てめ、げふげふげふん!?」
前脚をばたばたさせて空中でもんどりうつデュランダ。




「虫かごに入れられて、煙草の煙に負けて・・・お前ソレでホントに最強のドラゴンなのか?」
呆れるシャマル。

「ううう、うるさいわー!」
の髪の毛の中に逃げ込むデュランダ。

「ははは、姉さんのペット面白いっすね」
いつものように一人ずれている山本。

「ペットちゃううううう!」
の髪の間から顔だけを出すデュランダ。




「ていうか虫かごって・・・あ、あった。・・・なんで保健室に虫かごが?」
置かれていた虫かごに気付く

「イヤああああ!そこには触れんといてえええ!!」
ガクブルしながら叫ぶデュランダは、やがてすうっと消えた。

「・・・?」
首を傾げる

雲雀から受けた所業がトラウマになったようだが、それを知っているのはデュランダ自身とシャマルだけ。










「まァ、とりあえずお前らは帰れ。・・・・・二人で話せ」






シャマルの最後の言葉に、ツナとは顔を見合わせた。




































  リプレイ 21

























というわけで。

オレも姉ちゃんも早退して帰路についている。









正直、何から話していいかわからなかった。

口を噤んで俯いて歩く。

「ツナ」
ぽつ、と姉ちゃんがオレの名を呼んだ。

「な、なに?」
慌てて顔を上げる。

「手ェ繋いで帰ろっか?」

「・・・・はあ!?」

な、なに言い出すんだよ急に!

「いーじゃんいーじゃん!昔はこうして一緒に帰ったでしょ?」
そう言って、姉ちゃんは強引にオレの手を握った。

「帰ってないよ!」

「ほら〜、帰り道の途中の家で飼ってる犬が怖くて、遠回りして道に迷って・・・迎えに来たこと、覚えてない?」

「・・・・あ」

そういえば、そんなこともあったけ。

道がわかんなくなって、しかもどんどん暗くなって、怖かったなあ。
姉ちゃんが見つけてくれるまで、一生家に帰れないと思ってた。




「あの頃は毎日泣いてたよね〜、ツナ」

「む、昔のことだろ!」

「・・・・・・・、そうだね。今はもう、中学生だもんね」

「・・・・・・・」
姉ちゃんの言葉に、オレは黙って耳を傾けた。

「友達もいて、倒れたあたしを運んでくれて。ツナは強くなったね」

まっすぐ前を向いて、姉ちゃんは言う。

「・・・姉ちゃん」

の記憶の中には、ちっちゃい頃のツナの記憶しかなかったから」

「・・・・・・・・・・」
自分のことをフルネームで呼ぶ姉ちゃんに戸惑いつつ、尋ねた。

「姉ちゃんは?」

「・・・ん?」

目が合う。

「姉ちゃんは、どうしてたの?・・・事故に遭って、引っ越して・・・・」




「・・・ああ、両親はね、随分前からダメだったみたい」

「ダメって・・・」
想像はついても、言葉が続かない。




「事故をきっかけに離婚したみたい。今はもう、二人とも別の家庭を持ってるんだって。子供もいるらしーよ?」




「え、・・・・・そんな」

隣の家で、姉ちゃんが一人暮らしていたのは知っていたけど・・・。
家族を他人のことのように言う姉ちゃんに、オレは言葉が出なかった。

オレの表情に気付いたのか、姉ちゃんは苦笑した。

「・・・・あんまり覚えてないのよ、両親のこと。事故の後遺症みたいで、記憶に障害があってね。長い間意識不明で寝たきりだったし・・・・」

「そっか」

妙な言動も中学に編入してきたことも、ようやく合点がいった。






「やり直したかったのよね、もう一度」

そう言う姉ちゃんは、ずっと遠くを見ていて。
歳相応の、けれどまるで別人のような横顔。

「やり、なおす・・・・?」

事故に遭って、ずっと眠っていて。

目を覚ませば、周りだけが未来に進んでいる。
それに気付いた時の気持ちなんてオレには想像もつかない。

・・・・ただ、『やり直す』と言う言葉に、違和感を感じた。





「並盛中に謎の美少女転校生来たる!気の良いクラスメイトからは質問攻め、嬉し楽しいスクールライフ!みたいな予定だったんだけど・・・・・何をどう間違えてパンツ公開になったんだろ。どこに選択ミスがあったんだろう・・・?」
姉ちゃんは真剣に悩んでいるみたいだった。

「いや、あちこちで間違ってたと思うよ・・・?選択」

そうかなー、とブツブツ呟く姉ちゃん。

「・・・・・」
オレは、ふいに屋上で見たあの不思議な力と、デュランダの事が脳裏をかすめた。




「ん、どしたの?ツナ」

「・・・ううん、なんでもない」




(・・・・いいや)

オレだって姉ちゃんに言えないことがある。
ボンゴレファミリーの事や、リボーンの事。

(あ、Dr.シャマルが主治医なら聞いてるのかな?でも知ってたら反対しそうだし・・・知らないか)




「姉ちゃん、今日はうちで晩御飯食べてったら?」

「えー?急に行ったら迷惑じゃない?」

「いいよ、今ウチ居候多いし。一人ぐらい増えたって」

「そう?」

「うん」
















きっと今夜は、いつも以上に賑やかな食卓になるにちがいない。

























・・・続。











 

 + 

もう一度繋がれた手。
(06/11/15)

リプレイ第三章 家に来る! (クリックでGO!)
に続く。