はジャージ姿で家を出る。 長い間寝たきりで衰えていた身体を少しずつ慣らして体力をつけ、龍紋と術式に耐えられるものにしていた。 ・・・つもりだったが、転校した早々術式の反動で倒れた。 その後色々と面倒な事になって。
それは誰よりも自身がわかっていることだ。 なにより使う必要に迫られるほどこの世界は危険ではない。 日常生活や体育程度の運動には困らないほど、の身体能力は回復している。 力を、使わないのなら。 そもそも使う必要だって無いのだ。 わかっている。
それでも、使う時の事を考えてしまう。 この力を駆使しなければならない相手など、状況など、あるはずがないのに。
この力は、必要なもの? なんのためにここに戻ってきたの? なにをすればいいの? (・・・なんて迷ってるうちはまだ)
リプレイ
31
「ええと、笹川・・・?」 「うん?お前は転校生の」 「だよ」 「もロードワークか?」 「あは、ただのランニングだよ。ちょっとなまってるみたいだから軽くね」 「身体を鍛えるのは良い事だ。病気にも掛かりにくくなる」 「うん」 「ではオレはこっちなのでな」 は公園の広場を一周半し、入ってきた入り口とは別の商店街に面したところから出た。 焼きたてパンのいい匂いを放つ袋を提げ、スピードを落として走る。 しかし。 「あれ?」 ガードレールに背を預け、歩道に座り込む笹川の姿を見つけた。 「・・・・ッ笹川!?」 笹川は頬を腫らし、頭から血を流していた。 「笹川!しっかりして!誰にやられたの!?」 「・・・ッ、か・・・・」 「動かないで。今救急車呼ぶから・・・!」 「クッ、しかしヤツめ・・・」 「相手は誰?誰にやられたの」 「ヤツは・・・我がボクシング部に入ろうとして間違って他校に入学したあわてん坊だ!」 「・・・・・は?・・・いやだから、知り合いなの?」 「いや。だがヤツはオレの事を知っていた」 「他校生なんでしょ・・・?」 「ああ、アレは黒曜の制服だった」 「こ、黒曜・・・・・・」 「しかし強い男だった・・・!」 「・・・まあ、勝つときもあれば負けるときもあるよ」 「あのパンチ力は我がボクシング部に欲しかった!!」
ここにも戦闘マニアがいたか、と呆れ果てる。
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(06/12/14)