焼きたてのパンはすっかり冷めていたが、美味しい。


登校中にパンをかじるという一昔前の女学生テンプレを行いながら一人歩く

デュランダは今、姿を消している。

昨日雲雀にしたように体内に潜りこんでいるというわけではない。

デュランダは自分の身体を龍紋レベルにまで分解し、不可視にしている。
髪の中にまぎれたり、刺青のようにの身体に張り付いている。

髪をかき分けてうなじから出入りするように見せるのはただのクセだ。

学校では姿を見せず声も出さないようにと前もってが言いつけているせいか、する事がないデュランダは眠っている事が大半だが。

リボーンと共に学校に訪れたあの日、ワケがわからぬまま雲雀に襲われて逃げ出した時出現したこうもりの羽のようなものは姿を変えたデュランダなのだ。

パンくずのついた指をぺろりと舐めて、は自販機の前で立ち止まった。
紙パックのイチゴ牛乳を買って、その場でストローを差して飲み始めた。

「あ、ニィさんや」
後ろ髪からひょこりと顔を出すデュランダ。

「エ!?」
ストローから口を離し、あからさまに嫌そうな顔で振り向く

しかし、雲雀はどこにもいなかった。
は歩道の前後、車道を挟んで向かいの歩道まで視線を巡らせる。

歩くのは並中生や通勤途中の大人だけ。

「居ないじゃない」
ほっとするの目の前で、一台のバイクが止まった。

メットを脱いで顔を見せたのは、雲雀恭弥。
「やあ」

「・・・朝っぱらからバイクでエスケープ?いい身分だね委員長。手下がボコボコ、とばっちりで罪の無い一般生徒もボコボコだってのに」
思いきり嫌味を込めては言った。

「そのたちの悪いイタズラの犯人を今から咬み殺しに行くんだよ」
どこか嬉しそうに雲雀は言う。

「・・・・それって黒曜?」
「耳が早いね」
「笹川から直接ね」
「ああ、彼もやられたらしいね。君、現場にいたの?」

「相手はもういなかったけど。結構ひどくやられてた」

「そう。じゃあ、結構楽しめそうだ」
手にしたメットを撫でる雲雀。

「犯人ってさ、もしかして最近来た転校生?」
「そうかもね。黒曜をシメたって噂は聞いてるけど・・・まあ、誰だろうと全員潰すからどうでもいいよ」
「どこに乗り込む気?」
「隣町の閉鎖した複合娯楽施設。うまそうな群れのたまり場だから近い内に潰そうとは思ってたんだけど」

「首謀者が転校生なら、用心した方がいいと思うけど」

あまり思い出したくはないが、黒曜に来た転校生・六道骸の存在がの頭から離れない。

あれは異端だ。
異端を隠し、この世界にどうにかおさまろうとする自分とも違う、異端。

静謐な狂気をはらんだ異端。

「そんなに気になるなら、一緒に行く?」
メットからへと視線をやる雲雀。

「はあ!?なんであたしが!」
いつの間にか俯いていた顔を上げる

「言ってみただけ。邪魔だから連れてなんかいかない」
「頼まれたって行かないし!もうね、危ない事はしないの。近づかないの」

「・・・ふーん。別にいいけど」

「ニィさん!果物うまかったで!」
雲雀にむかって挨拶するように前脚を上げるデュランダ。
「ああそう」
あっさりと返して、雲雀はメットを被った。

「アンタ何なついてんのよ!」
デュランダの鼻の頭を人差し指ではじく

「ね、姐さんひどいわ!」
デュランダは鼻をおさえてぴい!と鳴く。

「じゃあ」

雲雀のバイクはカーブを曲がって姿を消した。





「ところで姐さん」
バイクが走り去った車道を眺めながら、デュランダが口を開く。

「んー?」

「腕章、返すんやなかった?」

「あああ!もう!なんでもっと早く言わないのよ、ばか!!」

「エエ、またワシのせい!?」

「・・・まあ、いいわ」
がっくりと肩を落とす

「姐さん、なんかあったん?ボコボコとか黒曜とかってなんなん?」
デュランダは首を伸ばしての顔を覗き込む。

「いいのいいの!今はそれより学校学校!安全第一!留年回避!」

イチゴ牛乳を一気に飲み干し、は足早に学校に向かった。






















  リプレイ 33






















しかし。




並中生徒襲撃の噂は学校中に広まり、さらにあまりにも登校者が少ないため一時間目の授業が終わるやいなや休校となった。





























・・・続。











 

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(06/12/15)