「一日目、早退。二日目も早退。三日目は休み。そして休み明け四日目休校・・・ってなにこれ?あたしなんか悪いことした?それとも誰かの陰謀?どこのメケメケ団?」

一緒に下校する友人もまだ見つけられず、はとりあえず保健室にやってきた。

「めけめけ・・・?」
朝っぱらからビール片手に雑誌を読むシャマルはブツブツと文句を言うの言葉を右から左に流していたが、その単語にようやく顔を上げる。

「先生、知ってる?風紀委員を筆頭に生徒が次々襲われてるんだよ」

「知らねェわけねーだろ。職員会議でも一番に話題になってたぜ。だからお前も早く帰れ」
雑誌に視線を戻すシャマル。

「先生、一緒に帰らない?」

「はあ?なに言ってんだ、お前」

「いやだって、蝶よ花よと育てられた患者が襲われたらどーすんの?」

「襲われるような覚えがあんのか?」

「無いよ。全然無い」

「じゃあいいじゃねーか、一人で帰れ」

「いやだって、むさくてエロい女の敵が襲われたらどーすんの?」

「オレか!?それはオレのことか!?オレが襲われるってのか!?」
シャマルは雑誌を閉じてを睨みつける。

「だからさー、一緒に帰ろうよ?」

「断る!」




「お前が女の誘いを断るなんて珍しいな」

窓から聞こえた声に、二人は視線をやった。

「・・・リボーン!?」

「ちゃおっス。・・・シャマル、急患だぞ」
窓の桟に立って、リボーンは言った。

「急患?」
















「獄寺がやられた」




























  リプレイ 34
























「Dr.シャマル!」
廊下に足音が響いたかと思うと、保健室のドアが開く。

ツナと山本に肩を抱えられてやってきた獄寺は、肩から胸にかけて数え切れないほどの針が刺さっていた。
制服に染まった血はどす黒く、顔は土色。
意識はなく、息は浅い。

「シャマル、獄寺君が・・・!」
真っ青な顔でツナは言う。

「落ち着け、リボーンから話は聞いてる。奥のベッドに寝かせろ。・・・
「うん」
仕切りのカーテンを引く

既に治療の準備はできていた。

シャマルとが中に入ると、再びカーテンが引かれて処置が始まる。

ツナと山本は椅子にも座らず、じっとカーテンを見つめる。
カーテンの向こうで動く影を。




しばらくすると、中で動いていた影が一つ大きくなり、カーテンを開けて出てきた。

「姉ちゃん!」
姐さん、獄寺は!?」
二人はに駆け寄る。

「まだ治療は続いてるけど、もう大丈夫。それより二人とも、怪我は?」

二人の服は、獄寺の血で汚れていた。

「いや、オレは・・・」
「オレも平気っス」

「そう。じゃあ何か飲み物買ってくるから座って待ってて」
そう言ってはまだ何か言いたげな二人を置いて保健室を後にした。


人気の無い廊下に、リボーンはいた。
手に持つのは不思議な色を放ち、形が定まらない塊だ。

「・・・それ、なに?」
近づく

「レオンだ。尻尾が切れて、形が保てねーんだ」

「なんで尻尾が?レオンってカメレオンでしょ?」
はリボーンの前でしゃがみこむと、指先でそっとレオンに触れた。

やわらかくてあたたかい。
触れられたレオンは丸い瞳が開き、を見つめた。

「レオンの尻尾が切れるのは、不吉な事が起こる前触れだ」

レオンはすぐ目を閉じ、また形を変え始める。
それを見つめるリボーン。

「・・・・それって、例えば並中生が黒曜生に襲われたりとか?」

「知ってたのか」
リボーンの表情は変わらないが、声は少し驚いている風だった。

「襲われてるのは風紀委員を含めてそれなりに実力のある生徒だよね?」

「そーだな」

「連中の目的は何?首謀者は誰?」
は、リボーンの瞳を覗きこむように見つめる。

獄寺を理由も告げずに病院でなく保健室に運んだことが気になっていた。

シャマルは名医だ。
ただ、男は診ない。そのポリシーを覆す何かがあるのだ。

リボーンが多くを語らずとも、シャマルは動いた。
つまりそれはどういうことか頭でわかっていてもは直接聞きたいのだ。

この、言いようもない漠然とした不安がどこから来るのかわからないことが、一番の不安なのだ。

「・・・レオンが繭化する」

リボーンがそう言うと、レオンは長く伸びてリボーンの手から離れて天井に張り付いた。
大きく広がると、レオンは数度瞬きしてから目を閉じた。

「リボーン!」
返事を急かす

「レオンがああなる時、オレの生徒は死にかけるんだ」
リボーンはレオンを見上げた。

「・・・つまり連中の狙いはツナで、マフィア関係って事ね」

「そうだ。そして、連中を捕まえるのがツナに下された指令だ」

リボーンの言葉に、は目を見開く。

「首謀者が誰だかかわかっててそう言ってるの!?」

「お前は知ってるのか、ヤツを。・・・六道骸を」

返事の代わりに立ち上がり、リノリウムの廊下を上履きできゅっと鳴らして身を翻す




「待て、

リボーンが呼んでも、は止まらない。


「あら、じゃない」
突然、廊下の角から姿を現したのは、悪臭を放つ果物かごを持ったビアンキだった。

思わず足を止める

「び、ビアンキ・・・どうしてこ、」
「ビアンキを止めろ」

驚くの言葉を遮るリボーン。

「わかったわリボーン!」
リボーンの命令に、ビアンキは嬉々としながら虫だらけのリンゴをの顔面に押しつける。

「ぴょ!?」
その勢いにの口から奇声が漏れた。


リンゴは、熟れすぎたトマトのように顔面でぐちゃりと潰れ、あまりの異臭には気を失って倒れた。



結局は、獄寺と並んで保健室のベッドに横になるハメとなった。





















・・・続。











 

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(06/12/15)