先日の宴でツナから無理矢理好きな子を聞き出していたは、ようやく知った事実に目を丸くした。 「でけー声出すんじゃねェよ」 禿頭で痩躯、さらに少しおぼつかない足取りで歩く怪しいその生徒を、二人は距離を取って後をつけていた。 さらにその先にいるのは、今話題になっていた笹川京子とクラスメートの黒川花。 二人は、後をつける気味の悪い黒曜生の存在には気付いていない。 「今すぐ襲う気配は無いね」 「・・・誰かの指示を待ってるのかもな」 「その誰かって、まさかあの妙な鳥?」 は空を見上げた。 黒曜生の頭上を、小鳥が飛んでいる。 「・・・そうかもな。もう少し距離を開けるぞ」 「うん」
リプレイ
37
並盛を裏で統べる風紀委員が次々襲われた事件は、彼らが起こしたものだ。 日本にやってきた彼らの真の目的は並中生を襲い、マフィアをいぶりだすことだった。 ボンゴレファミリー9代目ボスより、ツナは脱獄囚の捕獲を命じられ彼らのアジトに向かった。 「ツナにリボーン、獄寺くんに山本くん。あとはビアンキ・・・・大丈夫なの、その面子」 相手は、マフィアを追放されたほどの凶悪な脱獄犯だ。 「ただの捕獲ならボンゴレの精鋭メンバーに任せればいい」 「精鋭メンバー?そんなのいるんだ。ゴルゴ?」 「違う。ヴァリアーつって・・・いや、それはいい。とにかく、そうしなかったのは」 「・・・ツナのため?9代目も酷な事するのね。それとも、それだけ家庭教師のリボーンを信用してるって事なのかな」 「さァな」 「でも先生がこうして京子ちゃんの護衛をしているのは、リボーンに頼まれたからなんでしょ?」 「だから、自分だけ声が掛からなかったからってスネんなよー」 「スネてないってば!」 「声がでかいってば」 「・・・・ッ!」 が睨むとシャマルはヘラリと笑い返した。 「まあ、どうしても行きたいって言うんなら止めねーよ」 今更そういうこと言うか・・・、と呟くだか。 「行かないってば。あんな危なそうな連中に関わりたくないよ」 吹っ切るように前を向いて言うに、シャマルは蒸し返す。 「飛び出していきそうになってポイズンクッキング食らったくせに」 「あれはリボーンが出し惜しみするから!」 「手の内を明かさねーのはお前も同じだろ。はぐらかして相手の神経逆撫でる分お前の方がタチが悪い」 「わかってるよそこは反省してるんだから・・・。もうすでに痛い目に遭ってるんだから勘弁してよ」 「状況は変わってる。しかも予想より悪く。見ろよあの野郎、塩酸持ってやがるぜ」 もそれは気付いていた。 「なおさらあたしが行ったって状況が良くなるわけじゃないでしょッ」
「先生のそういうとこムカツク!」 は頭を撫でてくるその手を払いのける。 いっそ、後先考えず飛び出していける性質なら。 その方が楽なのかも、そうしようかとも考えて。 でも結局出来ない自分がいて。
振り向くと、巡回中らしき警察官が自転車を止めて二人に近づいてくる。 「君、並中生だろう?こんな昼間になにをしているんだ?」 「え、あ、いや学校は今日休校になって・・・」 「で、アンタは?この子なに?」 「オレは並中の保険医で」 「保健医ィ?保健医がなんで生徒と二人っきりで歩いてるの?」 「・・・・」 二人は突然の職務質問に、ただ無言で顔を見合わせた。 「じゃあ、ちょっと調べるから交番まで来てもらえる?」 「いやあの、急いでるんで・・・・」 「急いでどこに行くつもり?それに今並中生が襲われる事件が続いてるの、知ってる?」 その元凶を尾行してるんです、とも言えずまたしても無言になる二人。 こうしてる間にも京子たちとの距離は開く。 「・・・先生、行って。あたしなんとかするから」 「そうか?」 「うん、まかせて」 「頼むぞ」 「あ、コラ待ちなさい!」 しかし、 「おまわりさん!」 は腕を上げ、警官の目の前に手をかざす。 次の瞬間、てのひらいっぱいに広がる漆黒の龍紋。 「よく見て?」 龍紋の動きは、人に強い催眠効果をもたらす。 催眠にかかった警官は抗うことなくその場に立ち尽くす。 それを合図にするかのようにはてのひらを閉じ腕を下げた。 龍紋は、次第に動きを止めてゆっくりと薄れていく。
我に返った警官は、辺りを見回す。 「何してたっけ・・・?オレ」 そうだ、たしか巡回中だった。 サドルには跨らず、スタンドを倒して押して歩く警官。 はとうにその場を去り、シャマルを追いかけていた。
しかし、はシャマルを見失っていた。 |
(06/12/20)