京子の護衛のため、シャマルは病院帰りの京子の後をつけている。
行動を共にしていたは、ちょっとしたトラブルからシャマルと離れてしまった。

「・・・あーあ」
その姿を見失い、途方に暮れる

(京子ちゃんはまあ・・・先生がついてるから大丈夫だろうけど・・・・)
シャマル自身が危険人物、ということはこの際おいといて。


(ツナ・・・・・・)

腹が立つくらい晴れた空を見上げる。


今、おそらく戦っているだろう彼らに思いを馳せれば。


「!?」
ふいに青い空が迫ってくるような感覚がを襲う。

耳に届くのは、ここにいないはずの。

『わかった!山本、獄寺君殴って!』

(・・・なにこれ・・・・、ツナの声?)
自分の身になにが起こったのかわからないまま、視界いっぱいの青が弾けた。

『ふげっ!』

の目に飛び込んできたのは、ビアンキに殴り飛ばされたツナの姿だった。


(これ・・・もしかして)

が思い当たるのはただ一つ。
六道骸に敗れ、幽閉されたと思われる雲雀にサクラクラ病の処方箋を届けに行ったデュランダ。

おそらくその目が見る風景には見入る。

敵はやはり、リボーンの読みどおりツナの周りの人間を人質にした。
用意されたスクリーンに映るのは京子と花。もうひとつには他校生の少女。

ツナや他のメンバーの表情はわからないが、苦渋に満ちているに違いない。

シャマルは、京子をちゃんと追いかけられただろうか。
もう一人の少女に護衛はついているのだろうか。

聞こえていた声も、遠くなったり近くなったりひどく不安定だ。

デュランダの龍氣に同調しようとしても、自分一人並盛町にいて状況だけを見せつけられては集中できない。

は焦燥にかられた。
心を乱せば、映像も歪む悪循環。

もう一度意識を集中すると、敵に脅され自らにナイフを突きさそうとするツナの姿があった。

「・・・・ッ!」
ツナの周りにいる仲間と同じように息を飲む

すんでのところで人質となっていた少女達は救い出された。
スクリーンには、刺客に対峙するシャマル、そして見たことの無い男女が一組。

どちらも、あっという間に刺客を倒した。


(ったく先生は!心臓に悪すぎる・・・・!)

突如、風景が急速に流れた。

荒廃した施設が見える。
おそらく、そこに雲雀が幽閉されているのだろう。

複合施設と呼ばれるだけあって広い。
だがまた流れ、ツナたちを見下ろす光景に変わる。

(デュランダ・・・もしかして迷ってるの?)

持っているサクラクラ病の処方箋を建物の中を探索して直接渡すか、ツナたちに託すか。


(・・・・姐さん?)


頭の中に、デュランダの声が響く。

「デュー・・・?」

(ああ、やっぱり姐さんや。この処方箋、チビどもに渡した方がエエ?龍氣が途絶えてしもて、ニィさんの気配がわからんようになって・・・・)

「・・・あっ」
は声を上げた。

ツナがメンバーから離れ、雑木林に入っていく姿が見えたからだ。

(デュー、追って!)

(え、ナニ。チビを?)

(そう、早く!)















  リプレイ 38


















黒曜センターは、なだらかな丘にいくつもの娯楽施設が建っている。
その頂上に位置する黒曜ヘルシーセンターの内部は、他の施設と同様荒廃していた。
ところどころ人為的に破壊された箇所もある。

もとはレストランだったその広間も荒れ果て、薄暗い。
照明が無いどころか天井自体抜け落ちて鉄骨がむき出しで。
カーテンは無残に破れ、窓ガラスは割れて破片が床に散らばっている。

ただ置かれたソファーだけは新品同様で、そこに座る少年ともども異質だった。

「骸様」
眼鏡をかけた少年が、ソファーにくつろぐ彼に声をかけた。

「どうかしましたか?千種」

「人質が・・・」

「・・・ああ、彼らを見てホームシックにでもなったのでしょう。仕方のない子だ」
視線もやらず、まるで知っていたかのように返す。

「・・・・・」
千種と呼ばれた黒曜生は立ち上がる彼を黙って見つめた。

「散歩がてら、連れ戻しましょうか・・・。千種も来ますか?」

「・・・、はい」

広間を出る前、千種・・・柿本千種は窓を振り返った。



・・・・・ここからでは、連中の姿が見えない。























・・・続。











 

 +  + 

(06/12/20)