京子たちを人質に取った卑劣な刺客を倒したツナたちの前に姿を現したのは
人質にされているフゥ太だった。

『僕・・・・骸さんについていく・・・』
そう言って、フゥ太は雑木林の中に姿を消した。

(なんであんなこと言うんだよ、フゥ太・・・!)

ツナは仲間から離れ、一人フゥ太を追って雑木林を走る。

「フゥ太、どこー!?」
生い茂る雑草や枝を掻き分け、少しおぼつかない足取りでツナは進む。


その後を追うのは、の意識を同調させたデュランダ。



  リプレイ 39







フゥ太を追っていたのは、ツナだけではなかった。

「・・・おや?」
それは、あまりにも唐突な出会い。

雑木林の中の、少し拓けたその場所でツナは黒曜生の一人と対峙した。

「ひいっ、こ、黒曜生・・・!」
身構えるツナ。


(姐さん、アイツ!アイツやでニィさんやったの!)
デュランダの緊迫した声がの脳内にビリビリ響く。

(うん、わかってる)
デュランダの目を通して、は見る。

ツナの前に現れたのは今回の襲撃の主犯・六道骸本人だ。

(姐さん、どないすんの!?あのチビが敵うはずないで!)
デュランダの声に返せる策などにあるはずもなく。

しかし、六道は。

「助けに来てくれたんですね!」
そう言って、笑った。

「いやー、助かった。こんなところに連れてこられてしまって・・・一生ここから出れないかと思いましたよー」
ツナに近づき、ほっと胸をなでおろしたような動作をする六道。

やや芝居がかった六道の様子にツナはしばらく呆けていたが、申し訳なさそうに言った。
「あの・・・期待してるとこ悪いんですが・・・まだ助け出す途中と言うか・・・」

「す、すいません一人で先走ってしまって・・・でも助けに来てくれたと言う行為に純粋に感激してるんですよ。ありがとう」

「いや、そんな〜」
複雑な表情のツナ。

(な、なんなんや・・・?アイツ)
上空の枝に止まったデュランダは戸惑う。

ツナは六道骸を知らない。

(・・・・・・)
それを知っていて逆手に取った六道に、は絶句した。

(・・・ね、姐さん〜)
理解できないデュランダはに助けを求めるように話し掛ける。

(・・・・少し様子を見よう)

ツナを狙っているなら今ここでわざわざ囚われの黒曜生を演じる必要はないはずだ。
一体なんのつもりなのか、にも計りかねた。

「やはり選りすぐりの強い仲間と一緒に来られたんですか?」

「いやあの・・・女の人と赤ん坊もいたりするんですけどね」

(バカツナ!)
の叱咤は当然ツナには届かない。
わざわざこちらの戦力を教えてやる必要などないのに。

「赤ん坊?赤ん坊が戦うんですか?」
面白そうに質問をする六道。

「ま、まさかー。でも実際戦ってくれたらどんなにいいかとは思うんですけどね・・・」
目の前の黒曜生が主犯だと知らないツナは、勢いあまって愚痴を漏らす。

「というと間接的に何かするんですか?」

「いや、まあ・・・・くわしくは言えないんですが・・・あ、それより、ここにヒバリさんっていう並中生知りませんか?」

「ここのどこかの建物に幽閉されてますよ」

「どこの建物ですか?」

「・・・・・質問しているのは僕ですよ」

六道の声のトーンが変わった。

「え・・・・」
ツナはその異変に戸惑う。

「その赤ん坊は、間接的になにをするんですか?」

六道の前身から滲み出す異様な気配。
虹彩の違う瞳が、怪しく光る。

その瞳を見たツナは息を飲んだ。

「・・・そーだ!はぐれちゃったんでみんなのところに戻らなきゃ!」
友達とまた来ます!と言ってツナはその場を逃げ出した。

(・・・・・・・)

六道が後を追いかける様子はない。

「・・・クフフ」
その場に残った六道は、一人ほくそ笑む。

「うれしそうですね」
背後から現れたのは、柿本千種だった。
脇にはフゥ太がいる。
その顔に表情はなく、瞳は虚空を見つめている。

「あっけに取られてるんですよ」

そう言う六道は、やはりどこか嬉しそうだった。

「神の采配と謳われ、人を見抜く力に優れているボンゴレ9代目が後継者に選んだのは、僕の予想をはるかに超えて弱く小さな男だった」

ツナが去った後を見つめる六道。

「骸様、あの赤ん坊はアルコバレーノでは」

「そのようですね。戦列には加わらないようですが・・・手の内はすぐにみれるでしょう。さあ、帰りましょう」

六道が歩き出せば、その後をフゥ太がついていく。
しんがりに、柿本。

(・・・・・洗脳されてるみたいやな、あのガキ)

デュランダと同じことを思ったが、はなにも返さない。

ツナは逃げた。
あの人質の少年の命も、連れ帰るところを見ればいますぐ危険に晒されることはないだろう。

(一体なにが目的なの・・・)

「彼らの手には負えないでしょうからね・・・・・あちらの<六道骸>は」

そう呟く六道はゆっくりと振り返り、枝に止まった黒い物体を見上げた。

「覗き見は、行儀が悪いですよ。・・・・そこの君」

パンッ!!と何かが弾ける音で、の視界が白濁した。



「ッ!?」

額を小突かれたような衝撃に、一瞬眩暈する。
瞬きを繰り返せば、蘇った視界は見慣れた並盛町のそれ。

「・・・・デュランダ!?」

意識を引き離された。

否。
デュランダが意識を失ったのだ。

「デュランダ!聞こえないの!?デュランダ!!」

デュランダは応えない。
どれだけ龍氣を探っても、辿れない。

おそらく身体の形を保てぬほどの攻撃を受けただろう。



「・・・・ックソ!」

あの少年は狡猾だ。
己の異質を隠しもしない。

内なる狂気を楽しんでいるかのよう。


対抗する術も策すらないまま、己の不甲斐なさに動くことも出来ずにはその場に立ち尽くす。


















・・・続。











 

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(06/12/20)