地球に来たのは、ブルーとの約束を果たすためだった。
地球へ行き、我々ミュウの思いを伝え、人としての生き方を問う。
その約束は果たされた。ブルーの焦がれた蒼い星ではなかったけれど、それでも最期に、人のすばらしさを知ることができた。
ああ――
静かだとジョミーは思う。とても静かだ。
トォニィの温もりが、まだ手の中に残っている。
いやだと泣いてジョミーにすがった小さなトォニィ。身体は大きくなっても、心はまだあんなにも幼い子どもを突き放してしまったことに、心残りがないと言えば嘘になる。それでも、彼なら大丈夫だという満ち足りた思いがジョミーにはあった。
ブルー……
ジョミーは心の中でその名を呼んだ。
あなたもこんな気持ちだったのですか?
もう何も見えない瞼の裏に、ジョミーは白い人の姿を見る。
ねえ、ブルー。いまになって、やっと僕はあなたの気持ちがわかった気がするよ。
ブルーと出会い、ミュウとして、ソルジャーとして生きた日々をジョミーは思う。
彼が、ブルーがどんなに自分を望み、愛してくれたか。どれほど慈しんでくれたか。次代の長として、トォニィを選んだいまなら、よくわかる。
自分の思いを託せる相手。その相手を見つけることができた奇跡。道半ばで倒れても、自分の遺志を継ぎ、次代を担うものを選べたという、満ち足りた。
ブルー
ジョミーは静かに笑みを浮かべた。
やっと、あなたとの約束が果たせた。
途中で寄り道もしたけれど、あなたがすばらしいと言ってくれた子どもたちが、きっと未来を繋いでくれる。
そう、すべては必然。
もしかしたら、あれはブルーの予知だったのだろうか。ブルーはミュウの未来を見ることができたと言っていた。
ああ、そうか。
ジョミーは思う。
彼の焦がれた蒼い星も、もしかしたら彼の予知だったのかもしれない。
だとしたら、きっとこの星は生き返り、いつか彼の夢見た通りによみがえるだろう。
緑の大地、すべての母なる星――地球。そのときには、きっと彼もこの星にいるはずだ。それなら自分は、ここで待っていればいい。
彼が、気の遠くなる時間、ひとりで待ってくれていたように。ずっと待ち望んでくれていたように。今度は自分が待つ番だ。
この星を守りながら、彼を夢見て、そして。いつか、きっとこの星で、僕たちは――
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