
三つ編み少女とノスタルジー
夏休みの真っ最中
私はひとり、学校に来ていた
飼育委員会の当番で、今日は青い鳥の世話
鳥籠のなつこい鳥は、今日も綺麗な声でピィと挨拶をしてくれた
学校帰りに鳥が飛んでいた
青い鳥
学校の鳥に似ているなと見つめていたら、スゥと優美に旋回し、道の脇の朝顔の蔦が絡んだ、石垣の出っ張りにとまったの
「ねぇ、夏休みが終わったら、もうすぐ文化祭ね」
くすり
笑われた気がした
【夏休みの宿題は終わっていて?】
「いいえ、終わっていないわ…あら?」
まるで
青い鳥がその小さな黄色いくちばしからしゃべったかの様な 甲高くて謡うような声
【アア それは残念だわ、冷たいお水のお礼に 良い所へ連れていってあげたのに】
「水のお礼?…確に、私は学校の青い鳥のお水、新しいのに換えたけど…」
暑い真夏の空
見ているだけで、くらくらとした心地になる、蒼穹の空
きっとそのせいだろう
私は学校からの帰り道
蒼い空に惑わされたのだ
【どうなの?行くの行かないの?行くわよね?…ただし、来たら貴女は宿題を早めに終わらせないといけなくなるけどね】
キッキと鳥が笑う
「ああ、なんだかもうわからないけど、行くわ、やるわ」
だからこの暑い空の下から解放して
汗を制服の袖口で拭いながら、そうぼやりと考えると…
……必ずよ?
……約束よ…?
よ、よ、よ、よ、と反響した鳥の声にくらりときて 思わず瞳を綴じて…
次に目を開いた時
私は小洒落たドアの、煉瓦造りの小さな建物の前に立っていた
「喫茶店?」
不思議な感覚に捕らわれながらも、ドアを開けてみると…
「ごきげんよう…あら、貴女も文化祭のお手伝いに来たのかしら?」
「…え?」
「青い鳥に、導かれたのでしょう?…ねぇ貴女、夏休みの宿題は終わっていて?」
「いえ…終わってないわ。それが…どうかしたの?」
「それはいけないわね。宿題は、ちゃんと終わらせなきゃだめよ?貴女の宿題は…ああ、そうだった、確か『店内の飾りつけ』、だったわね」
素敵な内装を考えてきてね…その女の人は、そう謡うように言って微笑んだ
その微笑みは、どこかあの青い鳥を連想させた
【宿題】
とか、私はよくわからなかったけど
でも…
『店内の飾りつけ』
なんて宿題、普通ないわよね?
学校の文化祭とは、違う文化祭
喫茶店で開く、文化祭
なにからなにまで…不思議なことだらけだけど
「…そうね、それは楽しそうな宿題、ね」
そんな風にして
私はこの不思議な文化祭に、参加してゆくことになったのでした
*・・・・・・・*・・・・・・・*・・・・・・・*
『トリオンプ文化祭』と云うイベントのパンフレットの表紙イラストとして、描かせて頂きました。
…同人イベントではありませんが…ちょっと一風変わった、「文化祭」と云う(名目の)イベントです(笑)
私もオリジナルのポストカードなど販売致します。
「ノスタルジー」がお好きな方、どうぞお立ち寄り下さい。
2009.10.13