神無

「人はすでに神から見放されている」
そう、ルティルは言ってその目線で虚空を見つめる。
定まらぬ目線はルティルが今、どんな思考に陥っているか読めもしない。
ただ、時折何かを考えている最中であるかのようにぼんやり上に目線が動く。
「だから、僕は…僕らは、いくら神に願ったところでなにも変わりはしない。
…いくら祈ろうと、その願いが聞き届けられることは一度もない」
ルティルは静かに目を閉じる。
「どんなに、例えどんなに僕が心から叫んでいても…それは無かったのだから」

ルカはそのルティルの横顔を無言で見つめた。
ルティルはそれ以上何も話さない。
ルカも何も話さない。
お互い黙り込んだまま、ただ刻々と時が過ぎていった。
しかしルカは、その刻を心地よいと感じていた。
ルティルが黙る。
ルカも黙る。
それは、その場にもし他の者がいたら、耐えられず逃げ出してしまうような、一種異様な雰囲気に包まれることを意味する。
だが、当人達にとっては、その沈黙では別の感情を示すのだろう。

ルティルが黙る。
ルカも黙る。

それは、彼らにとって、何よりも代え難い時間…


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神無かみな

神無月は—…一説には、八百万の神々がこの月に出雲大社に集まるので、他の国にはいないと考えられた為…と云われております。
ただ—…この話では、言葉通りに「神は無い」と云う意味で使っております。
ルティルにとって、神に祈ると云うのは…全くの無意味な行為なのでしょう。
しかしルティルほど、神を求めている人もいません。
「罪」だの「罰」だのと云うのは…神がいるからこその言葉でしょう。
愚かな程に…自分を戒めるのです。
そしてそんな愚かな姿ほど人を惹き寄せると云う設定を付けたのは—…真白です。
真白は人間、誰しもが愚かなものだと思います。
愚かしい程、魅力があるのだとも思います。

 2007.04.02 真白茶飴

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