それがいわゆるぷろぽぉずって奴

「どうしたの?トキ」
いきなり訪ねた僕を見て、クゥさんは驚いた顔をした。
「 大事な話があって…今日は来ました」
「…大事な、話?」

あの戦争が終わってから…僕とナナミとジョウイは、三人で世界の色々な 所を旅した。
偶に…旅先でクゥさんと偶々一緒になって、それで四人でわいわい楽しく旅したこともあった。
そうこうして…幾年かが過ぎ て行った。
色々なものをー…見てきた。
きっとクゥさんが見てきたものよりは、まだ全然僕の視野は小さいんだろうなって思うんだろうけ ど。
…僕達はもう、戦争している国とは絶対に関わろうとしなかったし、できるだけ…のんびり、そして当てのない旅をずっと続けてきた。
でもまぁ、そろそろ…潮時かなって。
三人で…あの戦争も忘れる程、楽しい思い出を作る事ができた。
僕らの心の傷だって…最初の 頃は皆、どこかぎくしゃくしてたけれど…でも、やっぱり僕が思った通り、時が解決してくれて。
これで良かったんだ。
僕もナナミもジョ ウイも、皆そう思える様になってきた。

そんな頃、ナナミが頻繁に、「ごめん、ちょっとあたし寄る所があるんだ♪トキ、ジョウイ、悪い けど…先にあの街で待っててね」と、一行から外れる事が多くなった。
いや…、別に僕らはいついかなる時だって一緒であった…なんてわけで もなくて。
ジョウイだって、ジルさんやピリカちゃんの所へ時々行ってるし、僕だって居場所が分かる時は、クゥさんに会いに行ったりだなん て…そんなことも、この三人の間ではしばしばあった。
でもナナミがいなくなった時は…ジョウイと二人きりでの旅路になるわけで。
最初 の頃は、別にそれでも良かったんだけども…やっぱりジョウイは僕と二人で居ると、しばしば夜這いしてきたりだの森ん中で押し倒そうとしてきたり だの…まぁ、色々とウザくてさ。
ナナミが居る時は、も少し我慢していてくれるっつーか…ナナミがそんなジョウイの行動に色々と茶々入れて てくれたからね。
ナナミに茶化されたりして…ま、まだマシな状態だったわけ。
でもさー、頻繁にナナミが離れる時期が多くなってくると …やっぱりね、どうにもそういうの、意識しちゃうみたいで。
…まぁ、んなジョウイのキモいアタックの話なんてどうでも良いんだ!
重要 なのは、ナナミで。
…どうやら…ナナミにも、恋人が出来たらしいんだよね。
僕とジョウイは、なんとなく薄々感じ取ってた。
多分 …あの村で出会った、あの生真面目な青年だろう。
………つか…ナナミって、ああいうの…好きだよなぁ…(汗)
ええと、なんていうの?
綺麗系美青年?
…や、訂正する。奴は「美少年」も好きだった。
しかもこう、大人しくて優しい感じの人が…妙に多いんだよね…
はぁ…同盟軍時代では、クゥさんにもなんか色々とあらぬ視線を送っていて…僕は幾度も冷や冷やしたよ。
ナナミのこの美男子好き、どう にかならないものかなぁ…
ま、そこはナナミだって女の子だから、仕方の無い所なんだけども…
うんまぁ、別にナナミの好みも、どうだっ て良い話なんだ。
大切なのは…ナナミに恋人ができたってこと。
いつしか…ジョウイと二人して、内緒でナナミの後を付けて行った事があ るんだけども…相手の青年も、どうやらちゃんとナナミを好きでいてくれてるみたいだった。
それ以来、僕とジョウイは、僕らのこの旅路も、 そろそろ潮時なんじゃないかって、思い始めた。
ジョウイも、ジルさんがいるし…そして僕にはクゥさんがいる。
それぞれに帰る場所もで きて…一緒に暮らしたい人も皆いる。
ナナミ、僕らはもう…孤児じゃないんだ。
根無し草じゃない。
もう、僕らには…帰る家が出来 たんだよ。

そんなこんなでナナミが帰ってきた時、僕とジョウイは、そろそろ身を落ち着けないか、と話を切り出した。
ナナミだっ て…もう既に結婚してたっておかしくない歳なんだしね。
そしたら「そっか…うん、そうだよね」と少ししんみりしつつも、ここはやっぱりナ ナミらしく、爆弾発言をかましてくれた。
「もう二人とも多分知ってるんだろうけど、あたし好きな人がいるから!ちょっと前に、後付けて来 てたでしょ?」
気付いてたんかい。
僕もジョウイも…一応、そういう技術は…人並み以上に持ち合わせている筈なんだけど。
「やっ だー、そんなの、女の勘よ!カ・ン♡でね、実は今度結婚することになったの♪もう約束取り付けちゃった!あのね、日程が…」
…ついて けません、このテンション…
僕ら男二人、完全にナナミの行動力に呆気にとられてしまった。
…でもまぁ、ナナミがそれで良いのなら…と 、僕らも、それで納得したのだった。

その三日後…僕は早速クゥさんに会いに来ていた。
クゥさんは、今は人里離れた山の中で一人 で住んでいる。
…とはいっても、1、2年ここに住んだら、またグレッグミンスターのグレミオさんの元へ戻ったり、それからまた旅に出たり してるだけれども…まぁ、なんだろ。
ここは僕とクゥさんの…待合所?みたいになってる、っていうか…
クゥさんは定期的に、ここに戻っ て来てくれた。
「ここならば、いつまでいたって他人を僕の紋章の暴走に巻き込む恐れは無いし…それに、景色も綺麗だし…とても静かな場所 だから…気に入ってるんだ。…それだけっ!」
って、前に言い訳してた。
僕はそれが嬉しくて、ジョウイとナナミと三人で旅してた時でも …クゥさんがここに来たって気付いたら、直ぐさま僕は一人、クゥさんに会いにいったもんだった。
…僕は…クゥさんの紋章の波動を、いつだ ってなんとなく掴める位にはー…自分の紋章の扱い方の感覚を、掴めてきていたから。

「どうしたの?トキ」
いきなり訪ねた僕を見 て、クゥさんは驚いた顔をした。
まぁ、驚いたのも無理ないかも。
なにせ前に会ったのはー…一週間前。
こんなに短い周期で会いに 来るのも、ここ近年ではわりと珍しかった。
「大事な話があって…今日は来ました」
そう切り出すと、クゥさんは不思議そうな顔をする。
「…大事な、話?…まぁ、とりあえず…戸口で立ち話もなんでしょ。さ、中にお入り」
入ると、既に部屋の真ん中に置いてあるテーブルに は、クゥさんの得意な紅茶と、ちょっと形のいびつなクッキーやら、お菓子が用意されてて。
僕が会いに来るのを紋章の動きで気付き、わざわ ざ用意して待っててくれたみたい。
僕が席につきつつ、くすっと笑うと、「何?」と聞いて来たから、「クゥさん、新妻みたい」って言ったら 棍で頭を殴られた。
…どうやら照れてるみたい。
ズキズキと痛む(←酷いんだよ!クゥさんってこういう時でさえ容赦ないんだから…!! )頭を押さえつつ、クゥさんも席に付いたのを見届けてから話し出す。
「実は…今度、ナナミが結婚する事が決まったんだ」
「え?ナナミ ちゃんが…?そっか…おめでとう」
嬉しそうに笑って、祝ってくれて。
クゥさんにとっては、ジョウイもナナミも、可愛い弟や妹みたいな もんなんだろう。
…あ、あぁ、多分、僕って存在も、半ば弟の様に思われてるんじゃないの?
一応、恋人なんだけどもさ…クゥさんってさ …いつも僕を子供扱いしてさ…
まぁその分、夜は僕が主導権を握ってるけれどもね?
「あのナナミちゃんが結婚かぁ…あ、それってあの、 もしかしてこないだ話してたあの村の青年のこと?」
「うん、やっぱりそうだった。もーー始終にっこにっこにっこにっこ、気味が悪い位嬉し そうな顔しちゃってさ」
「ふふ、良いじゃない。本当に嬉しいんでしょ。…でも…結婚か……ちょっと寂しくなるね」
少し目を細めて、手 に持ったティーカップの中身を見つめるクゥさん。
「そこでクゥさん、大事な話があるんです」
「…あ、そうそう、どうかしたの?そんな 真剣な顔しちゃって」
僕はぐっと腹に力を入れる。
流石に…ちょっとだけ、勇気が必要だった。
万感の想いを込めて、僕は言葉に載 せる。
「…あ…あのっ!…これから僕と一緒に…暮らしませんかっ!?」
「………暮らすって…別に今でも、時々一緒に暮らしてるじゃな い?」
ガクーーッッ!!と脱力。
僕は一気に気力が抜けた。
「ちょ…ま、待って下さ……なんて天然…かましてくれるんですか…ク ゥさ…」
「えっ?天然て…僕は別に…何もしてないけど…えっ、な、何か悪い事言った?」
あまりに僕ががっくりきてるのを見て、こちら を窺う様な視線を向けてくる。
ううぅ…僕、負けないからねっ!
クゥさんっっ!!
「だ、だから…あのですね…、僕が言ったのは… …ええと、つまり…その、これからずっと、一緒に暮らさないか、って事で…」
「……え?どうして?」
ガクガクガクーーーッッッ |||orz
え?あの…それってまさか、嫌だとか言われてるってこと…なわけないか。ふぅ。
クゥさんの様子からして、ただ単純に疑問を持っ ただけ、って感じ…
あああそれってもしかして、僕ってそういう対象に見られてないって感じーっ!?
「つ…つまり……えっと、僕はその …これからクゥさんと、一生を共にしたいな、と……」
「…………。…はぁっ!?」
「ぅおっとぉっ!!」
一瞬何の事を言われたか わからなかったらしく、ぽけらとした表情を見せたクゥさんだったけど、でも言われて漸くわかったらしく…持っていたティーカップをぽろりと取り 落とした。
…が、僕があわててキャッチして、無事に事無きを得たんだけれども…
「ふーっ、いきなりティーカップ取り落とさないで下さ いよーっ!これ、クゥさんのお気に入りのカップなんでしょ?」
「あっ、えっ、う…そ、そな…ちょ……」
顔を真っ赤にしてあわあわし始 めたクゥさん。
かっ…可愛い…vv
しばし言葉にならない言葉を呟いた後、両手を両頬に当てて俯いて…クゥさん、まるで顔からふしゅーっ と湯気が立ちそうなくらいだよ。
「そっ…それはつまり……いわゆる、ぷろぽぉず…って、奴で…?」
小さく吐き出された言葉。
そ の言葉の意味に、僕は図らずも更に動揺することとなった。
「あっ…いっ、いえ…そ、その……いや、そ、そうなのか…。思ってみれば、プロ ポーズの言葉…みたいなもんだよね、いちお…」
「そっ、そ…そう、なの…」
「は、はい…そう、です…」
二人して赤くなって黙り 込んでしまった。
いや…気付かなかった。
や、そりゃ大事な話だ、って…思ってたんだけどさ。
これからの一生を共にする、って… 結構…いや、結構どころか、かなーり重要な話じゃない?
それがまさか…そ、そうなのか…これがいわゆる…ぷろぽぉず、って奴なのか…何の 気無しに「大事な話」って言ったんだけれども。
「そっか…ナナミちゃんが結婚するから……ジョウイ君も、きっとジルさんの達の所へ行くだ ろうし…だから、トキも…」
ちいさくぶつぶつそう呟いたクゥさんが、顔をあげてチラッと僕の方を見てくる。
目が合うと、いきなりクゥ さんはガタッと椅子から立ち上がった。
「えっ、クゥさ…?」
「ごっ、ごめんちょっと…ぁっ、その…ごめんっ…!!」
「………は ?」
バタバタと戸口に向かって走って行ってしまうクゥさん。
…はぁ!?
え、何、それってもしかして…僕、断られたってこと…っ !?
「クゥさん…っ!!」
信じられなくて、慌てて僕もクゥさんの後を追いかけ始める。
戸を開けると、走ってくクゥさんの後ろ姿 が見えた。
急いで追いかけると、クゥさんがそれに気付き、ゲッ!?という顔をする。
「やっ…やだっ…!!も、追いかけて来ないでよっ !!トキっ…!!」
「なっ…なんでですかっ!?ちょっと待って下さいってば!クゥさんっ!!」
「う…うるさいうるさいっっ!!お願い だから、一人にしといて…っっ!!」
「ちょっと、せめて良いのか悪いのか、それだけでもハッキリと言って下さ…」
「わぁぁぁぁっっ! !聞こえない聞こえないっ!!」
「クゥさんが大きい声出してるからでしょーーっっ!!」
「いやっ…も…来ないで来ないでってばぁ!! 」
「だからどうしてですかっ…!?」
「う゛っ…うあぁーっっ!!やだもーっ!!!」
「あ…クゥさ…」
「なんだよっ!?…っ てぅわぁーっ!?」
ばしゃーーんっ!!
「…はぁ、はぁ、はぁっ…っん、や、やっと追いついた…クゥさ…」
荒い息で、僕はクゥさ んを見ると…僕が危惧した通り、脇目もふらずに走っていたクゥさんは、途中あった川に気付かず落ちてしまって…
「………」
「だ、大丈 夫ですか?クゥさん」
無言で川の真ん中に座っているクゥさんを救出しようと、僕は直ぐに川に入ろうとする。
「来ないでっ!!!」
「えっ…」
「やだ…ぁっ!来ちゃ…やだってば…っ!!」
僕は良く意味がわからなくて…
でもこのままじゃクゥさんが風邪引い ちゃうし、クゥさんに拒まれて一瞬足を止めたけど…でも、やっぱり川に入っていく。
だって…まだハッキリとした返事さえ聞いていないし… それに、この様子って…もしかして。
なんとなくだけど。
「…クゥさん」
僕が川の中に座り込んでいるクゥさんの肩に手を置くと、 びくっとクゥさんは肩を竦めた。
ぱたぱたっ、と川に何かが落ちる音がした。
…?
僕が屈んで、俯いていたクゥさんの顔を覗き込も うとすると…
「うっ…やだ…な…に、こっち見てるの…っ!!」
クゥさんがしゃくり上げて、涙を拭いつつ、僕を追いやろうと僕の胸を押 してくる。
「クゥさん」
「やだ!!」
子供みたいな声を出して。
でも、僕にはその理由が…長年の付き合いで、なんとなくもう 、わかってしまっていたから。
僕は愛おしくなって、川の中でクゥさんを抱きしめた。
「ぁっ……トっ…トキ…」
「クゥさん、心臓 がどきどきいってる…」
「う、う、うっ…うるさ…ぃ」
「またそんなこと言って…。ホントは、嬉しくて嬉しくて、仕方がないクセに」
「ち、違…ぅもん…」
「嘘をついて。…逃げたのも、実はあまりの幸せに、耐えきれなかっただけでしょ?ねぇ、クゥさん」
「うっ …ちょっと…」
「何ですか?」
「何でそんな…いじわる…言うの…っ!」
「…別に、指摘しただけじゃないですか、クゥさんの考え 」
「当たってない…」
「嘘つき」
「っ………わ、わかったから…返事するから……だからお願い、離して…」
「…とか何とか言 いつつ、引っ付いて離れようとしてないのは、どこのどなたさんですかねぇ?」
「ホント…お願い…離して…」
「どうしてそう、クゥさん て素直じゃないんですか?」
「離して……お願い……」
クゥさんの声が小さく、力が弱くなっていって…
僕がクゥさんの顎を掴んで 僕を同じ目線の高さにする。
クゥさんの顔は真っ赤で…泪が、後から後から、零れてきて。
「やだ…見ないでよ…ぅ…」
「やですよ 、クゥさん…」
零れてくる涙に舌を這わせる。
クゥさんはもう、抵抗もしなかった。
時々しゃくり上げて、ただ僕に身を任せて…僕 がキスしても、もう何も言わずに目を閉じた。

あの後、僕はまだしゃくりあげてるクゥさんの片手を引いて、クゥさんの家まで二人してび しょ濡れで戻った。
…ホントはお姫様抱っこでもして、クゥさんの可愛い泣き顔を眺めながら帰ろうかとも思ったけれども…、まだ心の整理の ついていない、酷く弱々しい印象を受けるクゥさんを見て、これ以上虐めてしまうのも可愛そうだと思って、ただ手を引くだけに収めた。
帰っ たらシャワーを浴びて、着替えてまたお茶のテーブルに戻った。
僕が入れ直した紅茶を一口飲んで、ふぅ、と一息ついた時を見計らって、僕は クゥさんに声を掛ける。
「どうですか?考えは…纏まりましたか?」
「………ん」
「今度は…逃げたりしませんね?」
「……… ん」
「それじゃあ…まぁ、僕の考えはー…さっき言った通りなんで…」
「………ん」
こく、こく…と一言ずつ頷いてくれるクゥさん 。
あああマジ可愛いぃぃ〜〜〜♡♡♡
抱きつきたい衝動を我慢して、辛抱強く、返事を待つ。
「………」
また 一口、紅茶を口に含むクゥさん。
こしこしと赤く充血した目を擦り、ふぅ、と溜め息をつく。
じりじりじりじりじり…
元から我慢強 くない僕は、手持ち無沙汰にテーブルの上にまだ並べてあった、クゥさんの手作りクッキー(何故か妙にしょっぱい…)を齧ってみたりする。
うーん…やっぱりクゥさんって料理下手だなぁ…
「…………良い、ょ……」
それは唐突に、しかもめちゃくちゃ小っさな声で。
「く …ぶっ!!ごふぉっ!ごほっ!げほっ!!」
余りの驚きに、僕は咽にクッキーを詰まらせてしまう。
「あ…あぁぁ、あの、だ、大丈夫…? 」
クゥさんが差し出してくれた紅茶を一気に飲み干そうとして、
「っあちっ!!!…げっ…舌がひりひりする…っ」
思わずべっと舌 を出す。
そ…そういやさっき僕が入れたばっかだった…
立ち上がって水!水!と水を溜めてある瓶に向かおうとすると…
「くすくす くす…っ」
笑い声が聞こえて来て。
見るとクゥさんが笑っていて。
「ちょっ!な、何笑ってんですか、クゥさん…!!」
「ふふ ふっ…ぁっ、ごっ、ごめん…つい…」
酷いですよーっ、と僕が言うと、
「ごめんごめん、僕が水、取って来たげるから…」
と、スッ っと立ち上がって向こうへ行ってしまった。
その後ろ姿の肩が震えていたのも、僕が見間違えたわけでないだろう。
もークゥさんってば… 酷いし…
ぶすっ、としてると、笑いを収めたクゥさんが、僕に水を渡してくれる。
「はい……ホント大丈夫?」
「………ん、大丈夫 …です…」
ふぅー、と一息つくと、クゥさんがにこにこと僕を見つめてた。
「………ホントに、良いんですね?」
「………う、うん …」
「…クゥさん、後悔しません?」
「べ、別に…今更何を…」
「僕、クゥさんより、先に死んでしまいますよ?」
「ー…」
「…紋章を、完成させていないから…」
「………うん」
「見て分かる通り…僕は身長も伸びた。声も低くなったし…どんどん、歳を 取っている」
「……そうだね。」
「多分僕の紋章は…半分だから、不老の力が…きっとないんでしょう。…まぁそれでも、通常の人よりは 、成長が遅いから…多少なりとも、もしかしたら効いてるのかもしれないけれども」
「うん…僕も、そう思う。…君みたいなタイプは、急激に 身長が伸びたりなんて…しそうだしね。なんとなく」
「でも…クゥさんの紋章を、抑える力になることはできる」
「………ぁ…」
「 だから僕は、死ぬまでクゥさんの側にいる」
「……ん……ありがと…」
クゥさんの目の端にちょっぴり浮かんだ涙を、僕は手を伸ばして拭 ってやって。
「…ぁ……や、やだ、僕、なんでまた泣いて…」
「ん…?」
僕は笑顔でクゥさんの言い訳を制し、
「…まぁ、いざ となったら、僕がジョウイの紋章、奪ってくれば良い話だよ」
「…え…そ、それは……さすがにジョウイ君の…意向を聞いてみないことには… 」
苦笑したその顔の頬にしばらく手を置いて、クゥさんの顔を眺めて。
「なっ…何だよ…」
かあっとまた赤くなるクゥさんに、僕は にへらと笑って、
「これから…毎日が楽しみだね、クゥさん…今日、クゥさんが逃げたことに関しては…あとでたっぷりじっくりと…夜にでも 、ベッドの上で問いつめてあげるからね?」
「え゛っ…」
「駄目だよ…今から逃げちゃ。手に入れたんだ…もう絶対に、クゥさんを逃さな い」
「や、や、やっぱりっ…!やっぱりさっきの言葉、訂正する…っっ!!」
「だぁめ。男に二言あったら、駄目でしょう?」
「う 、え、あ゛……あぁぁ…!そ、そうだった…トキと一緒に暮らすってことは…もしかして…まっ、毎日…」
「そ、ま・い・に・ち♡」
「げっ!う、そ…そ…っ、そんなの!嫌だからね!!僕、やだからね!絶対、やらないよっ!?」
「さっき言いましたよね?逃しません ♡」
「ぅわっ!ちょ、ちょっといつの間にこっち来て…ひぁっ!」
「あんまりにもクゥさんが可愛いから…今日はさっそく、いただ いちゃおうかなー?僕の…大切な、獲物だもの」
「やだっ!やだってば…ちょ、耳を舐め回さないでってば!そこ!!」
「んふふー…、今 まで随分忙しくて、あんまし食べてあげられなかったもんネー?」
「君は一体いつの間に獣になったんだよっ!!僕は獲物じゃないっっ!!」
「ううん、クゥさんは獲物。僕だけが捕まえて良い…小動物なんだからね」
「いっ、いっ、いっ…んむっ!!んっ…んぁぁ……っ」

…そんなこんなで、僕らは一緒に暮らす様になりました。
僕らの幸せは、まだまだ始まったばっかり♡
そして僕は…この幸せ同 棲生活を壊す出来事が、まさかこの数年後に待ち受けている事を知らずに…
ただ、ただ。
毎日を楽しく、幸せに穏やかに過ごす事だけ…と にかく今はそればっかりに、頭を向けていたのだった。


*………………… POSTSCRIPT…………………*

「君のうなじにくちづけを」と「その手を振り払う勇気」の間の話です。
これー…題名にちょっと迷 いました。
最初にかんがえたのが、「ぷろぽぉず」ってタイトルだったのですけれども、でもその後に
「や?これは「ぷろぽぉずって奴」 の方がなんか面白いかな?」とか思って、ちょっと長くしてみたのですよ。
でもそうして見てみると、むしろ「いわゆるぷろぽぉずって奴」っ てタイトルでも良い様な気がしてきまして、とりあえず打ち込んでみたんです。
そしたら、
「…これはもう、いっそのこと「それがいわゆ るぷろぽぉずって奴」とかにしちゃった方が潔いのでは…」
と思い、打ち込んでみたんです。
そしたら…「長い;」
長かった(笑)
でも、どれが一番良いのかなーと推敲してはみたものの…
「いいや♡やっぱこれが一番面白いだろ♡」
と一番長い題名に 決まりました(笑)
「君のうなじにくちづけを」に「その手を振り払う勇気」ときたのだから、これはもう、題名長いシリーズでいくべきだろ う♡と。

というわけで、プロポーズ話でした。
あああもぉぉぉおお!クゥが書いてくたんびにどんどこつんでれ化してくよぉぉ ぉぉおお!!!(笑)
や、昔っからそうっぽくはあったのだけれども…
ていうか真白、クゥがつんでれだってことにむしろ自分が気付いて いなかった(笑)
無意識につんでれ好きだったみたいです(笑)
知らなかっター!(笑)
…や、大好きです、つんでれvv可愛い www
今では素直に認めるようになりました(笑)

この話、実際書いた日は2007.03.28あたりです。
改装作業中、色々読み返して たらふと思い付きました。
まぁとにかくそんなこんなで、クゥとトキは一緒に暮らし始めるわけです♡
良かったね♡
この 後二人とも不幸のドン底に突き落としますが♡♡♡
話が前後しちゃってて済みません;
多分いつか、同人誌に纏めるんじ ゃないかなー。
トキとクゥの話は。

 2007.04.02 真白茶飴

*……………………………………………………*

↓この小説を裁く。
すっごく面白かったよ!
ku

うん、面白かったよ。
ku

ん〜普通かな?
toki

微妙(汗)
toki

さいあく
luc

よろしかったらチェックボックスにチェックを入れ、「裁き!」を下してやりましょう(笑)
感想は書いても書かなくてもOKです。