そら




窓の側に寄りかかって、じーっと外の何かを見ている恋人の姿を発見したのは午後1時過ぎ。
とりあえず、昼休み中だし中尉に怒られることもないだろうと思って、
声を掛けないまま側を通り過ぎた。
彼は、なんとも軍人らしからぬことに、オレの気配にさえ気付いていないようだった。



その後大佐と中尉との食事を終え、
同じ廊下をさっきとは反対側から通りかかったのが午後2時過ぎ。
オレの恋人は、まだ同じ姿勢で外を見ていた。



…何か、そんなに興味を引くようなことでもあるんだろうか。
それとも、実は目を開けて寝ているとか。
さすがにそろそろ午後の仕事が始まる時間だし、声を掛けることにした。



「ハボック少尉、どうしたの?」
「ん?あ、エド。お前こそ、どうした?」
「…何かボーっとしてるから、寝てるのかと思ったんだけど」
「目を開けたままか?…一応オレは魚類じゃないから、それはないと思うぞ」
「じゃ、何してたの?」


苦笑して、やっと思いだしたかのようにたばこに火を付ける少尉。
ゆっくり息を吐き出した後、ポリ、と頬を掻いた。



「空を…見てたんだよ」
「…何で?」
「理由は…特にないけど…」
「そういうもん?」
「そ。」


大人って、そういうものなんだろうか?
それとも、少尉だけ?

何となく納得できないでいると、わしわしと頭を撫でられた。



「そーやって、何でも理由やら理屈やら付けようとするのはエドの悪い癖だぞ?
 …ま、これは大佐にも言えることだが…たまには、理由がないことがあっても良いじゃねぇか」


いっつも考え込んでると、気疲れしちまうぞ?





そう言って笑うハボック少尉の顔は、凄く大人に見えた。


何が書きたいのか。 …そんな日もある、ってお話。 ホントは、少尉は空を見ながらエドのことを考えてたんですけどね。 …後日、そこの部分書けるかなぁ… 04.7.20  一宮由香 拝 戻る