目の前を、何かオレンジ色の物体が横切った。
と思った次の瞬間、反対側からも同じ様な動きが。



オレンジとハメ外し




「って、君達は何をしているのかね?」
「見ての通り」
「…私には、オレンジでキャッチボールをしているようにしか見えないのだけれど?」
「だから、見ての通りだっての」


言っている間にも、オレンジを延々投げては返す少年二人。
食べ物を粗末にしてはいけないと教わっていないのか?


「それは食べるための物であって、投げるための物ではないと思うがね?」
「まぁ、これが本当にオレンジならね」
「…?オレンジではないのか?」

訊ねた次の瞬間、投擲と同時にそれはリンゴに姿を変え、
さらに投げ返される時には小ぶりなスイカに変わっていた。
そして、エドワードの手に戻るや否や、一塊りの藁くれに身をやつす。


「これが正体。これなら投げて遊んでも問題ないだろ?」
「植物繋がりで、藁から果物に錬成してみたんです」

礼儀正しい弟君が解説を入れてくれる間にも、再び鋼のは藁球を錬成に掛ける。
ほう、今度はトマトか。


「…大佐、ちょっと南方の風習で『トマト祭』ってのがあるんだけど、知ってるか?」



彼に顔に悪戯な笑みが浮かんだ気がした。





…さて、どう応戦したものか。
とりあえずお仕置きとして今夜、思いっきり睡眠時間を削ってやろう。




三題噺。 妹「(ロイエドと)オレンジとハメを外す」 私「じゃ、投げればいいか」聞いた瞬間の返事。 ハメ外しすぎー。と返されました。 多分、そっちの方が正しい。 しかしタフだね、ロイ…夜通しエドと遊ぶ気だよ。 04.11.26  一宮由香 拝 戻る