今日は午後から雨が降ると聞いたので、
予定より少し早めに図書館を出て、宿に帰ったら。



Tree?




部屋の扉を開けるなり、



…と、目の前に大きな木があった。
かなり驚いた。



「………。」

落ち着け、オレ。
そう言い聞かせ、改めてその木をまじまじと見る。



――よく見なくてもそれは、クリスマスツリー以外の何物でもなかった。



「…登場の仕方が心臓に悪いけど、本来驚くべきじゃないよな」
『うん、まぁね。』
「!?…なっ……?」


いきなり、木がしゃべった。
今この部屋にアルは居ないし、廊下に居るわけでもないから、
多分、いや間違いなく、この木がしゃべったことになる。


――って、木がしゃべるわけねぇっつの。



そうセルフツッコミして、オレはツリーから距離を取る。
路地に面した窓を開け、下の地面から槍を錬成すると
ためらわず絢爛豪華なクリスマスツリーを突き刺した――否、刺そうとした。


その、刹那。
細い雷電状の光が奔る。




「やっだなー、鋼のおチビさん。本気で突っかかってきちゃって」


案の定、と溜息をつきたい結末にオレがへたり込んだのは言うまでもない。




Fin.

絶対一度やろうと思ってたネタ。 04.12.26  一宮由香 拝 戻る