手を、伸ばす。
今日も、また。


13 手を伸ばす


我が上官がお気に入りの「市街視察」。
最近何かと物騒だというのに、
嬉々として出掛けるその姿にいささか神経を疑ってしまう。
しかし苦言を呈したところで、
「君が守ってくれるから大丈夫」という答えが返ってくるに決まっている。

本当に、困った人。







「―――――!」
「中尉、君も気付いたか」

うららかな午後、活気のいい町並を渡りゆく中に感じた一筋の殺気。
明らかに、大佐を狙っている。


「こんな所で焔は出さないで下さいね」
「その位、私だって分かっている」

どうだか。
つい3日前だって、侵入してきたスズメバチを室内で焼き殺そうとした人だもの。


「ここは君に頼るほか無いな」
「お任せ下さい」



そして私は、手を伸ばす。
相手に気付かれぬよう、細心の注意を払ってさり気なく、腰のホルスターへ。


今日もまた、大佐のために。
貴方を、守るために。







私は銃に、手を伸ばす。











シリアス調。 スパイラルにハマってから、 人を殺すことの重さについての考えが変わりまして、 どうもこれまでとは作風が変わりそうです。 オリジナルで書いてる軍人さんの話も、 大きく視点が変わっちゃったしなぁ… 何が契機になるか分かりませんね、実際。 30題に戻る