18 サイン 私の出す、ほんの小さなサイン。 私でさえ、それに気付かないことがあるのに、 それに、過不足なく気付いてくれるあなたが好き。 「今日はなんだかご機嫌斜めだね?」 「そう見えますか?」 いつもの無表情で仕事をしていたのに、そんな一言。 ポーカーフェイスは大佐以上に上手くやれる自信があるのに。 「あぁ。どうも少し、イライラしてるように見えるが」 「…大佐がこんなに仕事を溜め込むからでしょう」 ちなみに現在午後10時。 とっくに規定の就業時間は過ぎている。 無能な上官のおかげでこんな時間まで仕事に付き合うハメになった身としては、嫌味の1つも言いたくなる。 けれど、あなたは。 「そこは悪いと思っているが、こうでもしないと君と二人きりになれないからな」 「…撃ちますよ?」 「言っておくが、冗談で言ったわけじゃないからな」 「……」 黙ってホルスターに銃を戻す。 冗談で言ったのなら肩のあたりに掠らせてもいいかと思ったけど、本気ならまぁ許しましょう。 そんな私を見ながら、大佐が笑って。 「君は、他の誰かに話を聞かれるような所では、決して弱音を吐かない。 だから、こういう空間を演出してみたのだが、お気に召さなかったかな?」 「…ありがとうございます、大佐」 あぁ、もう。 本当に、この人は。 私が朝から不機嫌だったのを気付いていたのだ。 私が無意識に出していたサインに、しっかり気付いてくれていたのだ。 おかげで私は、心穏やかに話し出せる。 「実は…」
さて、不機嫌の原因は何でしょう? とりあえず、大佐の浮気とかセクハラとかではないと思いますが。 30題に戻る