20 シーツにくるまる



きゅ、という何とも言えない感触が、私を包む。
何だろうと思って見てみれば、全身に絡まる白いシーツ。



…夜中寒かったから無意識に巻き付けたってところかしら。



何とも芋虫な状態の自分を観察してそう結論づけると、
朝食の準備をするべく立ち上がった。

否、立ち上がるつもりだった。



べち。


「・・・・・・・っ」



どうも、今日は頭が冴えていないらしい。
身体からシーツをはがすのを忘れて立ち上がろうとしてしまった。
当然、盛大にこけた。

こんなドジは久しぶりかもしれない。
…いや、初めての可能性も否めない。
幼少からの記憶の限り、こんな状態で転んだのは初めてなのだから。



「…取り敢えず、これをはがして、キッチンに……?」




そこでふと気付く、良い香り。
ベーコンと卵の焼ける、朝食の香りだ。
それに乗ってくる甘い味の空気は多分、
昨日買っておいた生クリームをたっぷり織り込んだ食パン。


思考がそこにいたって、やっと思い出した。
昨日ロイが家に泊まったこと。



「ロイ…朝食くらいは美味しく作れるはずよね」

以前作っていた野戦食は微妙な味がしたものだけど、
男の一人暮らしなら、まぁ食べれるレベルにはなっているはずだし。



少しだけ躍りそうになる心を抑えながらリビングに向かった。






「やぁ、おはようリザ」
「おはよう、ロイ。朝食の準備してくれたのね…ありがとう」
「いや、何。…ところで、私が起きてベッドから出た後、寒そうにしていたから
 シーツなど巻き付けてみたのだが、お目覚めは爽やかだったかな?」
「…あなたがしたの、あれ…」





妙な脱力感に囚われ、起きたことを説明する気にもなれず、
とりあえず席に着き、美味しそうな朝食を食べることにした。



ちなみにロイは、何かが倒れる様な物音がしたので、 扉の向こうで何が起こったのか大体察しが付いております。 30題に戻る