21 殺す



避けられないことだと、知っていても。
どうしても、顔を背けたくなることはある。


――例えそれが、自ら選んで進んだ道に横たわっているものでも。







「こんな子供まで…どうして殺さなければならなかったのでしょうね」
「…憎しみは、人を盲目にするからな」


担当地域で起きた一家惨殺事件。
その現場に立ち会った時、めまいを覚える自分に気が付いて。

つい、本音に近い部分から言葉が零れてしまった。
でも。


「ある意味私達は、もっとも人に恨まれやすいところにいる。
 もっとも、死に近いところで生きている。
 だから、こうして刺されることもあるかもしれない」


貴方が、そんなことを言うものだから。



「大丈夫です。私が、この身に代えても貴方を守りますから」
「そうか。なら安心していいな」
「もちろんです」




私の存在意義を主張している内に、少しだけ、悲哀は薄れていった。




母性に基づいて、子供の死体から目を背けそうになるリザさん。 でも、自分もかつてイシュヴァールで子供を撃ったことがあるんだろうな…。 30題に戻る