18 電話



便利な道具だと、つくづく思う。
離れていても声が聴けるというのは、
遠距離恋愛中の二人にとって生命線みたいなものでは無かろうか。

私と彼の場合もまた、無機質な音によって開始される愛の会話が絆の証明だ。





「あ、大佐?明日そっちに帰ろうと思うんだけど」
「ご苦労様。帰り着くのは何時になりそうなんだい?」
「最終便に乗るから…遅い時間ってのは間違いないかな」
「了解。温かいスープを用意して待っているよ」
「やったv」


時間にすれば、ほんの5分ほどの会話。
後ろでなる汽笛が、会話のタイムリミット。
名残惜しい気はするけれど、声を聴けるだけ良い。

…それでも、やっぱり。










「ただいま!大佐」
「お帰り、鋼の」

ひし、と抱きついてくる彼に笑いながら。

「会いたかったのは私も同じだが、ここは冷えるよ。
 居間で暖を取りながらなら幾らでも抱きついて構わないから」
「そーする」
「すみません、しょうのない兄で…あ、おじゃまします」
「気にすること無いさ、私も好きでしてるのだからね」










それでも、やっぱり。
抱き合って話せる方が良いには決まってるのだが。




ロイエドシリーズ中過去最短。 どうも最近、今ひとつ調子が出ません。 甘さ加減は変わらないよう努めてますが。 45題に戻る