25 浜辺



南の方に、新しい保養地が出来たんだとか。
何でも浜辺の自然を生かしたところで、少し奥に入ると夏に避暑地として使える山林もあるらしい。
海と山に囲まれた大自然で思いっきりリラックスしてみませんか、というのがフレーズ。


大佐が有給を持て余している話は何となく聞いていたので、
一緒にどこかに行かないかと話を振ってみたところ、そんな話になった。
悪い話ではないが、オレは少しだけ不安で。
何故かと問う大佐に、オレは少し言いにくいが。


「だってさ、浜辺って、海があるわけだろ?」
「あ、そういうことか」


私もうっかりしていたな、と頭をかく大佐。
そう、浜辺といえば海。

機械鎧の天敵である、水分と塩分がそこにはあるのだ。
おまけに砂も、機械鎧とは相性が悪い。




「悪いな、大佐」
「何、気にすることはない。候補は他にもある」

あらゆる所から集めてきた、保養地の広告。
机いっぱいに広がるそれらの中から海がある物を選り分け、脇に置く。
必然的に、残りの写真は山の物が中心となる。

緑っぽい写真が机を占領する中で、オレは青い写真に名残惜しさを感じていた。
そんなオレの視線に気付いたのか、大佐が笑う。



「海にも、行こう。君とアルフォンスが元に戻ったら、ね」



その時こそ、きっと浜辺を楽しめるはずだから。



結局彼らは何処に行くんでしょう。 私の予想では最初に挙げた、海の側の山にある避暑地かな。 45題に戻る