時々、考える。
全ての始まりは何だったのだろう、と。



28 始まり



「始まり?」
「そう、始まり」


オレがぽつりと落とした言葉に、執務机についた大佐が反応した。
別にスルーしてくれても良かったんだけど…独り言だし。



「始まりとは、何のだね?」
「何って…全ての、さ」


漠然とした答えに、首を傾げる大佐。
仕方ないだろ、オレにだってよく分かってないんだから。
そう言わんばかりの顔で肩をすくめてみせると、同じように肩をすくめられた。



「そうは言っても、範囲という物があるだろう。
 天地創造の段階からを意味しているのか、人が争うようになったそもそもの原因だとか」
「それじゃ広すぎる。ん〜そうだな…オレは何で今こんな身体になったんだっけ、位の話」
「…範囲が限定されたのは結構だが、それじゃ私には分からないことだな」
「だろーね。子供の独り言として聞き流してくれていいよ」



考え事が、つい口をついてしまっただけ。

…と、いう事にしておいてほしい。







だって、本当の事なんて言えるわけない。
この身体になったから大佐との縁があれっきりで終わらなくて。
じゃあそもそも、何が始まりになってオレと大佐を巡り合わせたのか、なんて。


言えるわけないだろ。





だから、真面目な話考えてるとか、そういう事にしといてくれよ。
…オイ、視界の端で笑うな。



ロイにはバレバレなエドのウソ。 45題に戻る