31 体温



とくん、とくん。
意識しなくても脈打つ、温かい腕。


ひやり、かつん。
自分の意志無しには何も動かない、冷たい腕。



「エドワード…どうしたんだい?」


右腕に抱きつくオレを、ロイがやさしく抱き留める。


「あったかいから…この腕」


甘えた声なんて、出さないようにしてるんだけど。
今だけは、つい。




自分の意志で罪人になったんだから、誰も恨みようがないけど。
それでもオレは、こんな体温を取り戻したくて、明日も歩く。




だから今は、ここで休ませてほしい。
誰より安らげる貴方の側で、温度を分けて下さい。




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