45 お帰り いつも、視線の先にロイがいる。 それだけで、救われる気がする。 それだけで、今日も生きていける、呼吸が出来る。 勿論、本当の救済は自分の手で掴まなければならないけど。 いつも、振り向いたところにロイがいる。 オレにとっては、それだけでもう十分だったりする瞬間。 そのはずなのに。 まだ、それ以上を求めるオレもいる。 いつも、オレを大きく包み込んでくれるロイがいる。 ちっぽけなオレが過ちを犯したとき、強く優しく、諫めてくれる。 それでも別の過ちを犯してしまうオレを、 穏やかな目で見守っていてくれる。 オレもロイも、人を傷付けてしまう。 それは仕方ない、こんな生き方だから。 でもロイは、どうすれば少しでも人を傷付けないように出来るか教えてくれた。 何も傷つけずに済む強さは、さすがに遠いけど。 オレがどこに旅をしても、帰る所がある。 だから、迷わずに済む。 ロイのいる所が、オレの帰る場所。 この愛を道しるべにすれば、迷わず帰り着ける。 いまだ血の迸る記憶は、心に塞がらない傷口を作るけれど。 独りでうずくまらなくていい、と。 私も一緒に居るから、と。 抱きしめてくれるロイがいるから。 どこを歩いていても、心はいつも側にあるから。 いつだって、独りでいたって、2人でいるから。 果ての見えない道だとしても、怖くない。 まだ大丈夫、歩き続けられる。 この瞳に焔を宿してもらったときから、過去は断ち切った。 戻る懐かしい過去があると、人は甘えてしまうから。 覚悟のつもりで…焔を放った。 後には、戻れないから。 ただ、今でも胸の奥でわだかまる思考がある。 罪の重さを分かっていなかったから、してしまったのか? 羽をもがれると知っていたら、彼もまた、太陽に近づこうとはしなかったのだろうか? それとも、ロイに出逢うのは必然だったのか? 背負った罪は、自ら進んで入ってしまった道だから、消せないけれど。 くすぶる痛みに、顔を歪めることくらい、許されるだろうか? そう考えて、抜け出せなくなったときに限って、ロイがオレを抱きしめる。 思考の海に溺れてないで帰っておいで、自分一人で苦しむな、と。 「そうだな…ただいま、ロイ」 「お帰り、エドワード。出来れば、次は私も一緒に連れていってくれ」
思考は、精神の旅。 独りで行くと帰って来れなくなるから、一緒に行こう、と。 「43:なぁ」と同じく、またも歌詞ネタ。 好きだったんですよ、最初のOP・EDの組み合わせ。 2番目のも好きなんで、それを入れられなかったのが残念です。 それにしても、これで全45話終了ですね。 いやぁ、長かった。 一つでもお気に召すものがあれば幸いです。 45題に戻る