仮面ライダーブレイドIF その2(再掲載
※この作品は、2005年にこのサイトで連載された、選択リレー小説の再掲載です。
現在放映されている「仮面ライダーディケイド」内の「仮面ライダーブレイド」とは設定が異なります。



 
第15回「上級アンデッドの力」


「今すぐ行かなきゃ、もう会えないかもしれない・・・。」
俺はすぐさまマシンにまたがり、あの車の消えた方向へ向かった。
アレだけの長い車だ。そんなに隠すところもないはず!

俺は郊外を中心にバイクを走らせる。
まさか街の中にアジトは作らないだろうと踏んでの事だが・・・。
広瀬所長代理に持たされたポータブル・アンデッドサーチャーにも反応はない。

「もう、あきらめるか・・・?」
!!
いやいや、と弱気な考えを振り払う。
俺が橘さんを助けなきゃ、誰が助けるって言うんだ!
俺は気を取り直し、もう一度見回りに出た。

人里離れた山の中に入る。大きな橋を渡り、さらに向こうへ行こうとする。
・・・・が。

「よくかぎつけたわね。」
「!!!」

その橋の真ん中に、あの女が立っていた。
「あなたが来るのは分かっていたわ。でも、さすがね。単独でここを見つけ出すなんて。ブレイド。」
「貴様・・・・・!!橘さんを、どうする気だ!!」
「私はただ、彼女の病気を治療してあげようと思っただけよ。」
「なんだと・・・!?」
「あなたも来るかしら?私の手にかかれば、あなたはもっともっと強くなれる。」
「ふざけるな!お前を倒して、橘さんを救い出してやる!!」
「変身!」

『TURN UP』

「ふふ・・・。どうやら痛い目を見ないと、私の話を聞いてくれないようね。」
そういうと、女の姿は青く光りだし、その姿を異形に変える。
「それがお前の正体か!」

ぶんっ!

ガキィン!!

俺の剣の一撃を、奴もまた手にした剣で受け止める。
・・・・が、その力の差は明白だった。
俺が両手に力をこめているのに対し、奴は片手でそれを受けている。
『ふんっ!』
「うわっ!!」
アンデッドは剣を振り払い、俺との距離を開ける。
「くそっ!」
おれはもう一度迫り、剣を横凪に振った。
が、それはかわされ、逆に胸を切りつけられる。
「うあ・・・!」
『ふんっ!ふんっ!!』

ザギィンザギィン!!ザギザギィン!

そこから、一方的に何度も斬りつけられる。
「う、うう・・・・・・。」
ダメージは大きい。
立っているのが、やっとだ・・・!!

『とどめよ。』
アンデッドの背中から、無数の孔雀の羽が飛び出し、俺に向かって飛んでくる!!

パシパシパシパシッ・・・!!

「うあああああああ・・・ッ!!」
その羽根の洗礼をまともに浴び、俺はついに膝を突く。
『所詮あなたなど私の敵ではないわ。』
だめだ、立てない・・・。
このままじゃ。このままじゃやられる!!

ぴるるるるるる、ぴるるるるるる。

『む・・・?』
その時、唐突に小さな電子音が流れた。
アンデッドは人間の姿になると、懐から携帯電話を取り出す。
「・・・・って、携帯・・・。」

「・・・うむ。分かった。」
「命拾いしたわね。我々の引っ越しの準備は整った。」
「な・・・に・・?!」
「あなたがここに来た時点で、アジトは捨てるつもりだったから。次もこううまく見つけられるかしら?フフフ・・。」
「待て!お前・・・。橘さんをどうする気だ!」
「言ったでしょう?彼女の病気を治すのだと。ではまたね。・・・それまで生きていたらね。ハハハハ、ハハハハハハハ!!」

そういって、あの黒いコートの女は消えた。
『剣崎君?剣崎君大丈夫!?』
「広瀬・・・さん。」
『ブルースペイダーのカメラで見てたわ。大丈夫!?今迎えをよこすから!!』
「は、はい・・・・・・・。」

俺が気を抜いた瞬間、ベルトからフィールドが飛び出し、俺を変身解除させる。
ガチャリとベルトは腰から落ち、俺はその場に倒れこんだ。



「お帰りなさいませ。伊坂様。」
「シュルトケスナー藻の水槽も、トラックに積んだわね?」
「はっ、あの女も中で眠っております。」
「ちょっと見せてもらおうかしら・・・。」
伊坂は外に出て、そのトラックに詰まれた大きなコンテナを開く。

ボコボコボコ・・・・。

そこには一糸纏わぬ姿で酸素ボンベをつけ、緑の液体に浸される橘さくらがいた。

「フフフ・・・・。これでギャレンは変わる。生まれ変わる・・・。」



・・・。帰ったら、どうしよう・・・・。

1.このままじゃ勝てない・・!広瀬所長代理に対策を考えてもらう。
2.ぼやぼやしててもしょうがない!傷が治ったらすぐにアジト探索に出る。
3.伊坂を倒すため、あえて軍門に下り、強くしてもらう。




第16回「強さという誘惑」




病院施設で眠る俺は、ある考えに至った。
このままじゃ奴には勝てない。だったら、強くしてやるという奴を利用して、更なる強さを手に入れればいい・・・・。

俺はこっそりと、BOARDを抜け出した。

ブルースペイダーを駆る俺の前に、まるで俺の考えを見透かしているかのように、あの女が現れた。
「私の治療を受ける気になったのかね?」
「・・・・ああ。俺を、もっと強くしてくれ。」
「いいでしょう。さあ、着いてきなさい・・・。」
言われるままに俺は奴のアジトに案内され、緑の液体の中に浸された。

・・・・。
神経が、気持ちが高ぶるのが分かる。
今すぐ暴れたくてしょうがない。
示したい。俺こそが、最強の仮面ライダーだと・・・・。

・・・目が覚めると、すぐ横に橘さんの寝顔があった。
「あれ?何で橘さんがここに・・・・。」
その時、まだ頭がはっきりしない俺の前に、二体のアンデッドが現れた。

「まずはそいつらを倒してみなさい。」
上から、あの女、伊坂の声がする。
「私は、本当に直ったの!?」
起きたのか、橘さんもその声に呼応する。
「まずはその強さになれることね。」
伊坂は去る。

「橘さん、俺はあっちの鹿のアンデッドを!」
「あれ、剣崎君もなんでここに・・・?と、とにかくこいつらを倒さなくっちゃね・・!!」

俺達はそれぞれのアンデッドに襲い掛かった。
まるでスローモーションを見ているよう。
相手の動きがまるで遅い。
すごい・・・。
強く、強くなってる!!
俺はそのまま一方的にアンデッドを倒し、封印した。

橘さんも、相手の分身攻撃に悩まされつつも、やはり圧倒的な力でアンデッドを倒した。

「すごい・・・。これなら、胸を張ってかえれますね!」
「ええ。私達に、もう敵はいないわ。」
その手に入れた強さに酔う、俺と橘さん。
それぞれのバイクにまたがり、BOARD本部へ帰還した。


「想像以上ですね。シュルトケスナー藻の力は。」
「フフフ・・・。これで私は、強力な手駒を二つ、手に入れたことになる。」
「・・・・ではまず手始めに、邪魔なBOARDを潰すとしましょうか・・・・。」

キィィィィィィン!

「ううッ!!?」
突然、俺に頭痛が襲う。そして・・・。何かの声が聞こえてくる。

(BOARDを潰せ・・・。私の、命令だ。)

「うあああああああああっ!?」
何故だ。そんなことしたくないはずなのに、まったく逆らえない。
見れば橘さんも同じように苦しんでいる。
「ハァ、ハァ・・・・・・・。」
俺達は、その声に逆らえなかった。
「「変身。」」




フィィィィオーッ、フィィィィオーッ・・・。

いつかどこかで聞いたサイレンが鳴り響く。
壊す。壊す壊す・・・。
破壊が心地良い。俺達二人に、もう敵はいないんだ。
逃げまどうBOARD職員の姿も、俺の気持ちを高ぶらせるのに一役買っている。
「ハハハハハ、ハハハハハハハハハハハ!!!」



「・・・・待ちたまえ。」
「!?」
そんな俺達の前に現れたのは、広瀬所長代理だった。
「君達は、どうやらアンデッドに操られているようだ。」
「・・・違う!これは、これは俺の意思だ!!」
「愚かな真似をしたものだ・・・・。」
「何をしにきたのかしら広瀬さん。まさか、あなたが私達の相手をしてくれるとでも?」
「この場で君たちを止められるのは、私しかいないようだからね。」
「・・・ハッ!たかが生身の人間が、俺達を止めるって!?」
「私は天王路さんからこの研究所を任された。よって、これ以上の暴虐は許さない。」
「面白い・・・。止めてみろよ!最強の仮面ライダーである、俺達を!!」



1.ひ、広瀬さんを殺してしまう・・・。俺は必死で抵抗を試みた。
2.バカな奴だ!このままくびり殺してやるッ!!




第17回「背負わされた使命の重さ」




「うぐあああああ、あ・・・・・」
俺の心の奥底に身を潜めた良心が、広瀬さんに襲い掛かろうとする俺の身体を、必死で止めようとする・・・!!
「・・・・剣崎君?そうか。君はまだ、そこまで堕ちてはいないようだね。」
「・・・・だ、黙れッ!!」
剣を持つ手に力が篭もる。
震える腕も、やがて収まり、その目には再び野獣の光が宿る。
「剣崎君・・・。私は、君を倒したくない。そんなアンデッドの誘惑に、力の誘惑に負けてはいけない!」
「うあああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」
広瀬さんの俺を呼ぶ声も、もはや耳障りだ!
俺はブレイラウザーを振り上げ、広瀬さんに切りかかった!!

パシィィッ!!

「!!?」
・・・・おかしい。これ以上、剣が動かない。
何故だ・・!!!
たかが生身の人間に、俺の剣を掴まれただけだというのに・・・ッ!!!
「眠ってもらうよ。剣崎君・・・。」
「!!?」
その目に、俺は戦慄した。
これが本当に、あの温厚な広瀬所長代理なのか!?
それは殺気に満ちた目だった。ライダーである俺がその目に一瞬、我を忘れるほどの・・・・。

「ふんっ!!」

剣をつかむその手が、俺からそれを奪い取り、宙へ放る。
そのありえない出来事に、俺は一瞬注意を広瀬さんからそらした。
が、その時既に広瀬さんは・・・。

ガツッ!!!

思いっきり腰の入った掌底を、俺のあごに叩き込んでいた。
視界が暗くなる。脳震盪を起こしたのか、感覚がはっきりしない。
ただ、しばらくして、その背中に衝撃が走るだけで・・・。

「な・・・・!?」
驚愕したのは橘さんだった。
何せ『仮面ライダー』が、生身の人間に敗れたのだから。
「次は君の番かな?橘君。」
広瀬さんはなんでもないことのように、ギャレンへと視線を向ける。
「あなた、何者なのッ!!?」

ドヒュインドヒュイン!!

怒号とともに放たれるギャレンラウザー。
だがそれを広瀬さんは、その紫に輝く手のひらで、すべて弾き落としていく。
「・・・・!!!?」
「治療を受けよう。橘君。今ならまだ間に合う。その植物のデータは、我々BOARDも所有している。解決方法はあるはずだ。」
「う、うう・・・・・。」
「うああああああああああああああああああっ!!!」
そんな広瀬さんに気圧されたのか、橘さんは研究所から去っていった。

「ふう・・・・。」
「困ったことになったな・・・・。」


しばらく後、目を覚ました俺を、早速広瀬所長代理が、俺の中のシュルトケスナー藻の効果を中和してくれた。
しかし、アンデッドに下り、研究所を破壊したその責任を問われ、俺は3日間の謹慎を言い渡された。
「これでも天王路さんにはよく言ったほうなんだ。剣崎君。君の背負わされた使命、その力の重大さ、もう一度良く考え直してみてくれ。」
「はい・・・・。ご迷惑をおかけしました。」
「うん。君の代わりは、新名君が頑張ってくれているよ。君が復帰するまで、平和は任せておけ。とね。」
「新名さんが・・・。」
「剣崎君。上級アンデッドの対策は、私に任せておいてくれ。みんなで頑張って、橘君を取り戻そう!」
「はい・・!!」



「・・・そう。意外な伏兵がいたものね。」
「ええ・・・。で、これからどうするのかしら?」
「カテゴリーA・・・。あなたはこれの封印に当たって。」
「ふうん・・・。面白そう。分かったわ。」

「ブレイド一人失ったところで問題はない。私の作る、究極のライダーが完成すれば・・・。」



こんこん。

「・・・?」
寮で一人過ごす俺の部屋に、ノックがした。
「剣崎君?元気かい?」
「その声は・・・。真小夜さん。」
「君と話がしたいんだ・・・・。開けてもらえるかな?」


・・・どうしよう。

1.適当に追い返す。
2.迎え入れる。



第18回「先輩がいなくなった理由」



「ありがとう。」
オレの部屋に入ってくる真小夜(まさや)さん。
「いえ・・・。で、オレに話ってなんですか?」
「うん、さ、さくらの事なんだ。」
やっぱりか・・・・。
オレと彼の共通する話なんて、それくらいしかない。

「さくらがその、アンデッドに操られてるらしいって、あの所長さんから聞いて。君なら詳しい事を知っているかと思って。」
「ええ・・・・。本当です。」
「そうか・・・・・・。」
それを聞いて、オレのベッドに腰掛けていた真小夜さんは、顔を抱え込むようなしぐさを見せる。
「真小夜・・・さん?」
「・・・・・さくらがいなくなったのは、僕のせいかもしれない。」
「・・・・・え?」
「さくらがいなくなったあの日、最後に会ったのはこの僕だ。彼女が倒れたと聞いてね、僕は彼女に会いにここに着たんだ。」
橘さんがさらわれて、オレが連れ戻した時だな。
オレはアンデッド3体出現の報に、橘さんの病室を飛び出した。
あの後、真小夜さんが来ていたのか・・・・。
 
「彼女の奇病の原因は、ライダーシステムの不具合、恐怖心の影響と聞いてね、僕はいても立ってもいられなくなった。」
「・・・・・・。」
「僕はね、彼女に結婚を申し込んだんだよ。」
「・・・・・・・・・。」
そうか、結婚・・・
「って、ええええええええええええええええええええええっ!!!!!?」
「・・・・おいおいおい、そんな驚くなよ。」
「え、だ、だって・・・・。」
「・・・こほん、まあとにかく、ライダーなんて仕事はやめて、遠くに行って一緒に暮らそうって。僕は彼女にそういったんだ。」
「彼女は微笑んでくれたけど、すぐにうつむいて、「考えさせて欲しい」って言ってね。」
「それで真小夜さんは帰ったんですか?」
「ああ。・・・そしたら、さくらが病室から消えて、ここを襲ったって言うじゃないか。」
「・・・ボクの言葉は、彼女を追い詰めたんじゃないのかって・・・・。」

「・・・そんなはずない。先輩はあなたの事が好きなはずだ。」
「そうかな・・・・。」
「先輩は責任感が強い人です。・・・病気のせいとはいえ、平和にならないまま、自分だけが戦いから逃げるのが嫌だったんだと思います。」
「そうか・・。そうだね。さくらは、そういう子だ。・・・君は、本当にさくらを信頼してるんだね。」
「・・・・ええ。仲間ですから。」
身を切る想いでそう言い切る。

「ありがとう。剣崎君。次に街でさくらを見かけたら、僕はもう一度説得してみるよ。」
「はい。・・・がんばって。」
「うん。君も、その、この先の戦いで辛いことがあっても負けないで。」

真小夜さんは出て行った。

・・・・・・・・・・。
ふう。
またオレ、恋敵に声援送ったりして・・・。
何やってるんだろ。オレ・・・。




4日目の朝。
「よし。出勤しますか。」
身体をぐっと伸ばし、部屋を出る。
確か広瀬さんが上級アンデッドに対する対策を立ててくれてたはずだよな。
しかし、所長室には誰もいない。


・・・・・・・・・・?

そこでオレは、部屋の本棚と本棚の間に隙間を、それともう一つ、机においてある2枚のカードを発見した。

1.・・・・なんだろう?隙間を調べる
2.これが対策かな?カードを調べる。



第19回「新たな力」




「・・・・これは。」
所長室の机の上においてあった二枚のカード。
それはワイルドベスタの8・ポイズンスコーピオンと、同じくワイルドベスタの10、シーフカメレオンだった。
「ラウズカードじゃないか。しかも、オレが封印した奴じゃないな。・・・・一体誰が?」
「新名くんだよ。」

「!!!!!!」
「おや、びっくりさせてしまったかな。剣崎君。」
オレの後ろからいきなり声をかけてきたのは、ほかでもない広瀬所長代理だった。
「広瀬さん・・・・。これ、新名さんが?」
「うむ。彼に与えておいた封印のカード、コモンブランクを使ってね。これらを封印したようだ。」
「へえ・・・。すごいなぁ。新名さん。仮面ライダーでもないのに・・・・。」
「彼は、わがBOARDの誇るアンデッドハンター隊の隊長だからね。・・・しかし私も驚いているよ。大した腕前だ。」
「腕前といえば、広瀬さんもすごかったですよね。オレを素手で倒すんですから。」
「・・・・・・。」
そのオレの言葉を聴いて、少し広瀬さんは表情を曇らせた。
「・・・広瀬さん?」
「・・・剣崎君。悪いがそのことは、絶対に娘には話さないでくれ。」
「娘・・・。広瀬さん、ああいや、栞さん、ですか?」
「うむ。あれには、私のあんな姿の事は知られたくないのでね。・・・バカな親心だよ。」
「はい。分かりました。広瀬さんは、やっぱり父親なんですね。」
「余り褒められた親ではないがね・・・。剣崎君。必要ならそのカード、持って行ってくれても構わないよ。どうせ我々には使えないものだ。」
「はい。お預かりします。」
手持ちのカードの束に、新たに二枚を加える。
「それと、君のベルトを返しておこう。」
広瀬さんは、懐からオレのベルトを取り出す。
スペードのAと一緒に。
「私なりにライダースーツの改良を施してみた。それに君の醒剣ブレイラウザーを強化しておいたよ。」
「強化、ですか?」
「剣の刃の部分、そこに烏丸君が考案中だった新たなフォームの技術を流用した、ディアマンテエッジを装備させた。これで君の剣の威力は2割は上昇しているはずだ。」
「まだ開発中の技術だが、以前よりはパワーアップしたはずだよ。これらをうまく使って、橘君を救出、そして上級アンデッドを倒してくれ。」
「はい。ありがとうございます!」
「うん。では頑張ってくれ。仮面ライダーブレイド!」
「はい!!」


『所長代理!アンデッドが出現しました!』
館内放送で、アンデッド出現が知らされる。
「ちょうどいいタイミングだね。出られるかい?」
「はい!すぐに行きます!」
「うん。期待しているよ。剣崎君。」
オレは広瀬さんの多大なる期待を肩に受けとめつつ、外へ飛び出した。

「久しぶりだなブルースペイダー。頼むぞ!」
排気音も高らかに、現場へと俺は急いだ。

「・・・・・・・・・・。」
「まさかこれには気がつかなかったと思うが・・・・。」
広瀬さんはその部屋の二つの本棚の間の隙間を、手で開いていく。
そんなに力は入れていないらしい。
本棚の開いた先には、下への階段があった。
「まだ私の研究を、知られるわけにはいかないからね・・・・。」
広瀬さんが階段に消えた後、その本棚は自動的にもとの位置へと戻っていった。



ガツッ、ゴッ、ガッ!!

「あれは・・・!!」
俺が駆けつけた先には、橘さん・・ギャレンと、あの時見た、黒い仮面ライダーが戦っていた。

「おまえ、また邪魔しようって言うの!?」
「・・・・お前達にカテゴリーAは渡さない。」

激しく戦い続ける二人。
オレにはまだ気がついていないらしい。

・・・どうする?


1.橘さんは今は操られている。敵の敵は味方だ。ここは謎の黒いライダーに協力する。
2.それでも橘さんはオレの仲間だ。先輩と黒いライダーを倒す。
3.橘さんは操られ、あいつはオレを敵と見ているだろう。ここはどっちとも倒す。
4.何がどうなっているのか分からない。しばらく傍観する。



第20回「対決、ギャレン」




「何で二人が戦ってるんだ・・・。それに、カテゴリーA・・・?一体何のことだ?」
とにかく状況が分からないんじゃどうしようもない。
新しい装備を試したいという、はやる気持ちを抑えて、俺は物陰に隠れて二人の様子を見守る。

「・・・・・アンタのいってるカリスって奴が、私の邪魔を・・!!」

「・・・・・・?」
橘さんが独り言を言っている。いや、誰かと交信しているのか。
相手は・・・。やはりあの孔雀のアンデッドか。

「もう応援を頼んだのか。・・・情けない奴だ。だが二人同時でも、私は構わない。」
「何をッ!!」
黒いライダーは、その手に両刃の剣を取り出す。

ズギャアンガシィンッ!!

「うぐ・・・!!!」
黒いライダーは、橘さんを同時に2回切りつける修練の技を見せる。
「はあああっ!!」
さらに襲い掛かるライダー。
「く、くそ・・!」

すぱぱぱぱぱあんっ!!!

「ぐあああああ、あああ・・・!!!」
その時、黒いライダーの背後に、何者かの攻撃がさくれつした!
「フフフフフフ・・・・。あなたもこれで終わりね。カリス。」
「貴様・・・!!」

(あの女・・・。)
それは孔雀のアンデッド。あの黒いコートの女、伊坂だった。
「やりなさい。橘。」
「・・・ええ。」
「・・・くっ!」

びゅうん!

振るわれる両刃の剣。
しかしかがみこみ、かわす先輩。
その後ろから、アンデッドが切りつける。
怯んだところをケリを入れ、ひきはがすギャレン。
すっ・・・と、ギャレンラウザーを抜く。
「さよなら・・・。」

ドヒュンドヒュンドヒュン!!!

ラウザーは火を噴き、カリス・・・と呼ばれたライダーを崖っぷちにまで追い込んだ!
「くあ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・。」
「止めを刺してあげる。・・・・私が、最強よ!!」

『DROP』
『FIRE』
・・・・・


・・・・・・・・・ぐぐぐ。
もう、限界だ!!!
「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」

「「「!!!!」」」
俺はいても立ってもいられなくなった。
・・・相手の正体もわからない。何故戦っているのかも分からない。
でも、ああやって一方的にいたぶられてるのを、黙って見過ごせるか!!

「・・・ほう、ブレイド。最近姿を見せないと思っていたら。そう、あなた達が手を組んでいたとはね。」
「な、なに?」
予想外の言葉が出てくる。
崖っぷちで必死に立ち上がろうとする、黒いライダーを見やる。
あいつとオレが、手を組む・・・?
「剣崎君、わたしを裏切るつもりなの?」
「橘さん・・・!!」

「私はアレから新しい力を手にした。そして、あなたも今からでも遅くないわ。剣崎君。私のもとへいらっしゃい。そして私と共に、もっと、もっと強くなるのよ。」
「橘さん、真小夜さんが・・・真小夜さんが心配しています。あなたこそ、俺と一緒に帰りましょう。」
「!!真小夜・・・・。」

「・・・・・・・・?どうした。橘。」
橘さんが動揺した・・・・?
まだ、真小夜さんのことが気になってるんだ!
「橘さん!!俺と一緒に・・・」
「黙れッ!!」

『BULLET』
『FIRE』

ドヒュウン!!!!

炎を纏った弾丸が、オレに炸裂した!!
「ぐううあああああああっ!!!!!!」
「あなたともここでお別れね。さようなら。」

『DROP』
『FIRE』
『JEMINI』

そんな、3枚のカードを・・・!?
それが、橘さんの新しい力だっていうのか・・!!!!

『BURNING DIVIDE』

巨大な3枚のカードが橘さんの背後に浮かび、そのカードがギャレンの両足、そして胸に吸い込まれた時、橘さんの仮面がダイヤ形に光る!!
「覚悟は良いかしら・・!?」
「く・・・・っ!」
「たああっ!!」
橘さんが飛び上がった!!!!

早くもここで終わりか・・・・。
・・・・。
そうだ!
さっきもらったカード、破れかぶれで使うしかないッ!!
アレに拮抗できるくらいの技を、今ここで!!

『SLASH』
『BLIZZARD』
『POIZON』

『BLIZZARD VENOM』

・・・出来た!!

「うわああああああああああああああああああっ!!!!」
オレもそれにあわせて飛び上がった!!

橘さんは空中で回転、そこで二人に分身する。
・・・基本はバーニングスマッシュと変わらないが、分身することで、命中する精度を高めた技だ。

・・・だから俺は、広範囲に展開するブリザードのカードを使った。
空中でオレのラウザーから吹き出る雪嵐。
それに反応して、二人のギャレンの足をまとう炎がなびく。
・・・・いや、なびくのは一体のみ。
それが、それが本物だ!!!!

「何ッ!!!?」
オレが本物を見分けたことに気がついたのだろう。驚愕の声を上げる。
そしてオレは、猛毒を帯びた剣を本物のギャレン向かって突き出した!!
「ウェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエイッ!!!」

ザシュウウウッ!!

「きゃあああああああああああああっ!!!!」

ドゴオオオンッ!!!!

どしゃ・・・・っ!

「はあ、はあ・・・・!!」
や、やった・・・!!
でも初めて使ったカード3枚技、しかも自分のスートのカードではなかったため、体力を余計に消耗してしまった・・・。
「バ、バカな・・・!!!」
伊坂は驚きの声を上げると、橘さんを連れ去り、その場から去っていった。
「く、くそ・・・追いかけなくちゃ・・・でも・・・眠い・・・・・・・。」

どしゃっ。

「・・・・・・・・・・。」




眠ったまま、意識だけがぼんやりと目覚める。
ここは、どこだろう・・・・。



1.さっきと同じ場所だ。・・・誰もいなくなってる。
2.・・・・山小屋だ。・・・・だれか、近くにいる。
3.BOARDの施設だ。みんな、オレのこと心配して・・・・。




第21回「月光の少女」




・・・・ひたいにタオルが当てられる。
水で冷やしたのか、気持ちよかった。
誰かがオレの頬を触る。
小さな、細い指だった。

「・・・・・・。」

こんな風に誰かに看病されるなんて、子供の頃オレが風邪をひいた時、母さんにしてもらった、その時以来だ。
誰かが近くにいて、それでいて安心できる。
オレはずっと昔に火事で失った、優しかった両親の事を思い出した。

(とうさん、かあさーんっ!!!)
(一真、一真あーッ!!)

燃え盛る炎、崩れる思い出の家。オレだけを逃がしてくれた両親の姿。
子供だったオレには、火事に巻き込まれた両親を救うことは不可能だった。
でも、今でもこうして思い出す。そして後悔する。オレに今のオレのような力が昔からあれば、両親を守ってやることが出来たのに、と。

「うう・・・・・・。」
「とうさん、かあさん・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
眠りながら泣くオレの頬に、細い指が入った。
・・・・オレの涙を、拭ってくれたのだろうか。
誰なんだろう。オレのそばにいる人は誰なんだろう。
力を使った反動は大きく、まだ身体はおきようとはしない。
それならしょうがない。オレはもう一度、まどろみに身を任せた―――。




「はっ!!」
がばっと起きる。外はもう暗い。夜になっていた。
周囲を見回す。

オレの上には白いタオルケットがかけられていた。
枕元には、オレの額に乗せられていただろう濡れタオル。
「誰かが、俺をここに連れてきてくれたのか・・・?」
見るとここは、古い山小屋のようだった。
オレは身体を立ち上げ、ゴキゴキと腰を鳴らすと、外へ出る。

今日は月が出てる。
柔らかな月光が、深い森にさしていた。
「どこにいっちゃったんだろう・・・・。」
オレが探す人影は、オレをここに連れてきた誰か。
何とかあってお礼がいいたい。
でも、もう帰ってしまったのだろうか・・・?

ざり・・・・・・。

「!!!!」
背後で足音。
オレはすぐ様振りかえる。

「・・・・・・・・。」

そこには女の子がいた。
月の光を浴びて、きれいな金の髪のツインテールがきらきらと輝く。
まるで、月の女神が降りてきたようだった。
オレはその美しさに、一瞬言葉を失った。
「・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・もう、いいの?」
「ふえ!!?」
その子の言葉に、不意に現実に呼び戻される。
見ればその子は、その手に古い洗面器を持っていた。
中には水。
・・・ああ、そうか。この子が・・・・。
「ウン。もう大丈夫。オレをここまでつれてきてくれて。ありがとう。」
「・・・・・・・・・・。」
「べ、べつに。」
そういって彼女は、山小屋へと戻ってしまう。」
「・・・・オレ、変な事いってないよな?」
それにしても・・・・。
あの子どこかで会った事があるような・・・・・。
よく思い出せない。

「ねえ。きみは、近くに住んでるの?」
とりあえず思いついた事を聞いてみる。
「・・・・違う。」
「そうなんだ・・・。でも、よくオレを見つけてくれたよね。こんな山奥なのに。」
「・・・・・たまたま、通りがかったら、人が倒れてたから、それで・・・。」
・・・なんだか歯切れが悪いが、余りしゃべるのが得意じゃないようだし。

そろそろ戻らないと、所長達が心配するな。
オレは帰ろうと上を目指すことにする。
・・・・と、そのまえに。
「オレ、これから帰るけど。君も、送ってあげようか?」
「・・・・・・・いい。私、自分のバイクがあるし・・・・・。」
「へえ・・・。君も、バイクに乗るんだ。」
「・・・・うん。」

二人で、バイクのある場所までやってくる。
「ねえ。良かったら住所とか、君の電話番号とか、教えてくれないかな。ちゃんとお礼がしたいんだ。」
「・・・・・・そんなの、構わない。」
「いや、でも、そうでもしないと、オレの気がすまないからさ。」
「・・・・・・・それに、礼を言うのは、私だから・・・・・・。」
「・・・え?なんて・・?」
最後の言葉は、小さな声で言ったので、よく聞こえなかった。
「なんでもない。とにかく、礼はいいから。それじゃ。」
それだけ言い残すと、彼女は足早に去っていった。
「なんなんだろう。あの子。」
「あ、名前も聞かないままだったな・・・・・。」



「やるようになったわね・・・・。ブレイド。」
シュルトケスナー藻に浸されるさくらを前に、伊坂が機嫌が悪そうに言葉を漏らす。
「やはり早急にカテゴリーAを手に入れなくては・・・・。」
「あの仮面ライダーが完成すれば、ブレイドなど物の数ではない。今に見ていなさい・・・・ブレイド。」




明日はどうしようかな。

1.所長、橘さんを探す。
2.広瀬さんに、今日の報告に行く。
3.最近ご無沙汰の、ハカランダに行く。
4.街をパトロールする。




第22回『ハカランダの人々』




「久しぶりに、外でご飯食べたいよな。」
うん。ずっと寮のご飯だったからな。ここらで栄養のあるものが食べたいな。
・・・となると、あの喫茶店かなぁ・・・?
オレはガレージでそうつぶやくと、ブルースペイダーにまたがり、出動しようとした。

「剣崎君!」

「・・・?」
ふりむくと、そこにいたのは広瀬さん。あ、娘の方ね。
「今日も出かけるの?橘さんを探しに。」
「え?あ、うん・・・・。」
「頑張ってね、剣崎君。あれから真小夜さん、毎日BOARDに顔を出してるの。橘さんが、心配なんだと思う・・・。」
「ああ、そうなんだ・・・。」
「剣崎君。真小夜さんのためにも・・・・。」
「ああ。分かってる。絶対にあのアンデッドの手から、橘さんを取り返してやる!」
「うん。頑張れ。剣崎君!」
「ああ・・!!」

俺は広瀬さんに力強く送られると、BOARDを出た。

よし。ご飯食べたらすぐに店を出よう。
・・・・ちょっと意志薄弱かもしれない。

俺はハカランダにやってくる。
時間は昼前、少し店内は込んでいる。
「こんにちは〜。」

「いらっしゃいませ〜。」
女店主、栗原 春花さんが出迎える。
「あら、いつかのパスタ全種類さん。」
・・・すごい覚え方をされている。

「あはは・・・・。覚えますよね。そんなことしたら・・・。」
「ええ。初めてですよ。あんなに頼んだお客さんは。」
「いらっしゃい。大食いの彼氏さん。」
もうひとり、小さな女の子が出迎える。
「・・・その言い方だと、俺が大食いみたいじゃないか。」
「あれ?今日は彼女いないの?」
「・・・ああ。きょうは、ね。」
「けんかしたの?女の子を泣かせるなんて、サイテーなんだから。」
「ああ、いや・・・。」
「けんかしてるんなら、早く仲直りしてあげてくださいね。それでまた、店に来てください。ほら。あそこの写真が見えます?」
「え・・・・?」
春花さんが指差した先、そこにはコルクボードと一枚の写真があった。
俺が近づくと、そこにはこの前来店した時の俺と橘さんの写真が。
・・・しかも、橘さんがパスタを全種平らげた、歴史的瞬間の写真だ・・・・。
満面の笑顔で、カメラにVサインを送る橘さん。俺はというと、レシートを見て頭を抱えている。
・・・・すごい対比だ。

「それ、始穂さんが撮ったんですよ。」
「え?始穂・・・。ああ。ここで働いてる・・・・。」
俺はそのときに見た、もう一人の女性の事を思い出した。
「ここで住み込みで働いてるんです。カメラマンを目指してるんですよ。」
「へえ・・・・・。今日はいないんですか?」

「ああ。始穂さんは今日は・・・。」
「始穂さんなんて、知らないっ!」
・・・あれ?
小さな女の子が、頬を膨らませて、いすにどかっと座ってしまった。
「この子拗ねてるんですよ。始穂さんが、他の女の人と出かけてしまったから。」
「出かけた?」
「ええ。始穂さんに写真の助手の仕事があったもので。それで。」
「へえ・・・・・・・。」




1.俺も行っていいですか?そこ!
2.・・・まあ、興味ないな。早いとこ所長と橘さんを探そう。



第23回「暴走する激情」




ハカランダ特製オムレツを腹に流し込むと、俺は店を出る。
彼女の事もちょっとは気になるけど、今のオレの仕事は、橘さんを連れ帰ることだ!



「これでとどめよ・・!!」
ギャレンは3枚のカードを背に、飛び上がった!
「ギュシュルルッ!!?」
蜘蛛のアンデッドは不意を突かれ、迫り繰る二人のギャレンを見守ることしか出来ない・・・・。
「・・・・・・・・・・。」
しかし、どこかそれはわざとらしく見え・・・・。

ガスウウウッ!!!

「グワアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
必殺のバーニングディバイドが、カテゴリーA・スパイダーアンデッドに炸裂した!!

ドゴアアアンッ!!

「ふっ。」
橘さんは伊坂から受け取った、クラブスートのプロパーブランクを投げつけ、封印した。
ついに入手したカテゴリーA。
そのカードは黒く淀んで見えた。
「・・・・・・・・。」
「よくやったわね。」
そこへ、伊坂が現れる。
「さあ、そのカードを渡しなさい。」
右手を開き、引渡しを要求する伊坂。

「・・・・・・・・・・。」



(僕と結婚してくれ、さくら。)
(僕はたいした事のない医者だけど)
(ずっと君の事を守って生きて生きたい。)
(遠くへ行こう。二人で静かに暮らそうよ。)
(地味で冴えないけど、君と、力強く生きて生きたいんだ。さくら・・・・。)


そのとき、なぜか彼女の脳裏には、あの人、真小夜の声が浮かんだ。
「・・・・・・・・。」
「どうした。早く渡すのよ。さくら。」
「いや・・・・。あなたの命令に、そこまで従う義理はない!!!」
「なんですって・・・・!?」
「貴方はこれを使って、またライダーを作る、そいつに過酷な運命を強いる・・・。そういうのは、私達でたくさんなのよッ!!」

ドヒュイン!!

さくらの銃が火を噴く!

パシィン!

伊坂はそれを手のひらで防いだ。
「おろかな・・・。私に勝てると思っているの?さくら。」
「甘く見ないで!もう前までの私じゃないッ!!」
「ふふふ・・・・。そうかしら?そろそろあの藻の効力が切れる時間よ?・・・・それまでに私を倒せるかしら?」
「・・・・・・・・・・・!!」
異形へと変わる伊坂。

「ふんっ!」

びゅんっ!

振るわれる伊坂の剣。
それをさくらはかがみ込み、かわす。
つづけて振られる、返す剣もかわしていくさくら。
「ほう・・・・。でもどこまで持つかしら?」
(・・・・!!ダメ、もう視界が・・・!!)
突然身体に異常が走る。
軽やかにかわしていた動きが重く、視界も狭くなっていく。

ザギィン!!

「・・・・!」
その一撃はギャレンを捕らえる。
その後も一方的に切り刻まれ続け・・・・。
「とどめよ。」
伊坂の背から飛び出した孔雀の羽に、踊らされる。
「ぐう、う・・・・・・・。」
倒れ伏すさくら。
変身の解かれた彼女の懐から、カテゴリーAのカードが飛び出して・・・・。

すっ。

「所詮あなたなど私の敵ではないわ。藻の効力が浴びたければ来なさい。待ってるから。」

立ち去る伊坂。
さくらはただ、その悔しさに地を叩くのみだった・・・・。
「くうっ、うっ、うあああああああああっ!!!!」



「あれ?」
俺がパトロールを再開し、川の堤防付近を走っていると、ドアが開きっぱなしになっている車を発見した。
俺はバイクを止めると、その車に近づく。
「誰もいない・・・?」
さらに周囲を見回す。
「!!!」

そこに、人影を発見する。
しかも、よく見るとそれは・・・。
「真小夜さんッ!!!」
急いで駆け寄り、彼を抱き起こす。
こんなところで倒れてるなんて普通じゃない。
「一体何が、真小夜さんッ!!!」
「・・・・・・剣崎・・・君か・・・・。」
ゆっくりと目を開く真小夜さん。
しかしその口からは、血が流れていた。
「女に襲われてね・・・・。僕はもう、ダメみたいだ・・・・。」
「何言ってるんですか!今すぐ病院へ・・・!!」
その時俺は、オレの手の中の感覚に気がつく。
ねっとりとした感覚。
それを見ると、オレの手は鮮血で真っ赤に染まっていた。
「・・・・・・・・・・・!!」

「君に・・・これを・・・・。」
真小夜さんはゆっくりと、懐に手を伸ばす。
そこから取り出したのは。、青い小箱だった。
「さくらに・・・。渡したかったものだけど・・・・。君に持ってて欲しい・・・・。」
「真小夜さんッ!!」
「君に・・・ここで会えたのも、運命の・・・巡り会わせかもね・・・・。でも、僕はもう一度さくらに、もう一度、会いたかったよ・・・・。」
「真小夜さん・・・・っ!」
俺は、はっと気がついた。
そして懐に手を伸ばすと、俺は1枚の写真を見せた。
「これを・・・・。」
それは、さっきハカランダでもらってきた、俺と橘さんの写真だった。
「さく・・・ら・・・・・。」
「かわいい・・・・笑顔だ・・・・。」
「真小夜さん・・・・・・。」
「剣崎君・・・・。さくらを、頼んだよ・・・。」

がくんと、真小夜さんのあごがたれる。
「・・・・・・・・!!!」
「真小夜さん、真小夜さああああああああああああああんっ!!!!」





「剣崎君・・・・・・?」
「!!」
いつの間にかそこに、橘さんがいた。
「真小夜・・・?真小夜!?」
オレの中で息を引き取った、真小夜さんに気がつく。
「橘さん・・・。真小夜さんは・・・・。」
「・・・・・・・・あなたね。」
「・・・・・・・え?」
「あなたが、真小夜を!!!!」
「な。何言ってるんですか!!!おれは、今ここで!!」
「うるさい黙れッ!!!」

『TURN UP』

「橘さん!!?」
「うあああああああああああああああああっ!!!!!!」

ドヒュドヒュドヒュドヒュッ!!!!

「わあああっ!!!!」
俺は思わず真小夜さんから手を離し、その場から離れる。
橘さん・・・・。もう、あんなの正気じゃないぞ。
何があったのか知らないけど、今の橘さんは冷静さを失ってる!
そこに真小夜さんのことが・・・。話しても聞いてくれそうにない!
「殺してやる・・・・。よくも真小夜を・・・・。殺してやるから・・・!!」
「橘さん!!落ち着いて!!」
「うるさいッ!!!!」
なおもギャレンラウザーを放つ橘先輩。
俺は木の陰に隠れ、機を待つ。
「どうして・・・。どうしてこうなるんだ・・・・!!」
俺も変身しようと、バックルに手をかける。

スパァン!!!

「うううううううっ!!?」
そのとき、木の向こうで、ギャレンの背中に何かが命中した。
俺がそのほうを見ると、そこにはあの黒いライダー、カリスがいた。
『今のうちに消えろ!邪魔だ!』
「!!?」
そいつはそういうと、ギャレンに襲い掛かっていく。
なんだかよく分からないけど、ここはチャンスか・・・・。
俺は真小夜さんを、自分の背中にくくりつけると、バイクにまたがり、この場を離れた。
・・・安全なところまで逃げたら、広瀬さんに連絡して、対処してもらおう・・・・。



カリスも去り、ただ一人残されるギャレン。

「真小夜・・・真小夜・・・・・。」
「真小夜ああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!!!」




その後、真小夜さんを殺したのは、アンデッドだと分かった。
次の日、俺は行動を開始する。


1.伊坂を倒す。生かしては置けない。一人で立ち向かう。
2.伊坂を倒す。しかし一人では心もとないな・・・。あの黒いライダーに協力を求める。
3.真小夜さんがあんなことになってしまったのに、橘さんは・・・。まずは橘さんの誤解を解く。
4.街で行方不明者が出ているらしい。まずはその事件を解決し、足元を固める。





第24回「想いの呼ぶ力」




「絶対、絶対あいつを倒してやる・・・!!」
部屋で一人激情する俺。
真小夜さんを殺したのは、あの上級アンデッドだった・・・。
その上橘さんは、真小夜さんは俺が殺したって誤解してしまうし・・・・。
くそ、何とかしなきゃ、何とかしなきゃ・・・!!

こんこん。

「・・・はい。」
「私よ。剣崎君。・・・入っていい?」
・・・珍しい客だな。
「どうぞ。広瀬さん。」
「うん。」

「・・・・真小夜さんの事、考えてたの?」
「なんでそう?」
「顔が・・・・。剣崎君、すごい怖い顔してるから。」
「・・・・怖い顔にもなるさ!」

「真小夜さん・・・・。あんなに橘さんの事心配してたのに・・・・。」
「くそ、あいつ絶対許せない!今度あったら、絶対に、絶対に倒す!」
「剣崎君・・・。剣崎君、落ち着いて剣崎君。気持ちは分かるけど、無茶はダメだよ。」
「だって広瀬さん・・!!」
「伊坂を倒しても、戦いは続くのよ。今無茶して剣崎君が身体を壊したら、また真小夜さんみたいな人が増えてしまう。」
「・・・・・・・ああ。こんなことは、これで終わりにしたいよな。」

「ね、剣崎君、私に何か、出来ることないかな?」
「広瀬さん・・・・。」
「私も協力したいの!真小夜さんのためにも。」
「うん・・・・。わかった。ありがとう。広瀬さん。」



『で、アンデッドのいる場所に誘導すればいいの?』
「ああ。」
俺は外に出ていた。
バイクにまたがり、広瀬さんの指示に従ってアンデッドのいる方へ向かう。
『でも、これは伊坂じゃないみたいよ?』
「いいんだよ。まあ、広瀬さんは見ててよ!」
『うん・・・・。』


『フガルルルルル・・・!!』
ビルとビルの間を自在に飛び回る、豹のアンデッド。
建物の天井の陰から、獲物を狙い、爪を研ぐ・・・・。
『グルルルルル・・・・・。』
獲物を見つけるアンデッド。
狙いを研ぎ澄まし、獲物の見せる隙を見逃さない。
「!!!」
『フガアアアアアアアアアアアアアッ!!!』

「変身!!」

『TURN UP』

『フガッ!!?』

バシィィィィン!!!

変身フィールドをぶつけられ、転がるアンデッド。
「引っかかったな。」
俺自身を囮にした、アンデッドの誘き出しは成功した。
「後はこいつと戦っていれば、またあいつが来るはず・・・・!!」

『TORNADE』

「!!」

ビョウッ!!

「も、もう来た!!?」
遠くから放たれた風の矢が、豹のアンデッドを貫いた!!
『フゴルルルルルル・・・・・。』

ドガアアアアンッ!!!

爆発、炎上するアンデッド。
ゆっくりと現れる仮面ライダー・カリス。
『・・・・・・。』

シュッ!

カリスはカードを投げつけると、そのアンデッドを封印してしまった。
『・・・・・・・・』
そして、そのまま立ち去ろうと・・・・。
「って、ちょっと待ってくれ!!」
あわててそいつを呼び止める。
『・・・・・・・なんだ。』
「実は、お前に力を貸してほしいんだ。上級アンデッドを、一緒に倒して欲しい。」
『・・・・・断る。』
「って早いな!何でだよ!」
『私は誰とも組まない。やりたければ一人でやれ。』
取り付くしまもなく、振り返り、去っていく。
「・・・・なんでだよ!おまえ、あいつより弱いのか!?見掛け倒しなのかよ!?」

ぴたっ。

オレのその言葉に反応したのか、その歩を止める。
『・・・・・・・・私が、弱いだと?』
「ああ・・・、ああそうだよ!」
『面白い・・・。じゃあ先に貴様を倒してやる。』
「なッ!!?」
計算と違うし・・・・ッ!!
『はああッ!!』

ビュウンッ!!

「くっ!」

ガキィン!!

『なかなかの力だな。』
「何を・・・・ッ!!」

ギィン!

「・・・・グッ!!!」
合わせた剣の反対側の剣を、オレの胸に合わせる!
『はあぁっ!』
いっぱいに伸ばした足がオレの腹に入る!
「ううっ!!」
『でやあっ!』
間髪入れない、奴の連続攻撃。
力いっぱいに袈裟懸ける!!

バキィン!!

「うああああああああっ!!」
ごろごろ・・・とのた打ち回る。
『・・・・・・・フン。そんな程度か。』
く、強い・・・・!!
『それで上級アンデッドを倒すなど不可能だ。人間である貴様には、始めから無理だったということだ。』
「くそ・・・・・。」
『そんな様だからあの人間も死んだ。あいつが死んだのはアンデッドが殺したからじゃない。貴様が殺したんだ。無力な貴様が。』
「・・・・・・!!」
なんだと・・なんだと・・・!?
「お前ぇぇぇ!!」

ビュウンッ!!

『!!?』

グアキィィィン!!!

「そうだよ・・・。お前の言うとおりだ・・!!」
「俺が弱かったから真小夜さんは死んだ!俺がもっと早くあの女を倒していれば、真小夜さんは!」
「だから!もう繰り返させないんだ!!」

ガキィン!ガキィン!!

「俺はもっともっと強くなって、オレの大切な人たちを、オレの仲間を、みんな守ってやるんだ!!!」

ガキィイイン!!!

『ぐあ・・・・・・・・・ッ!!』

ずしゃあっ!

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・・・。」
気がつけば俺は、その足元に黒いライダーを転がしていた。
『・・・・・・・・。やるな。』
「お、お前・・・・・・。」
『それだけの力があれば、奴にも勝てるだろう。』
「・・・・・・・・。」
『・・・・・死ぬな。貴様を倒すのは、私だ。』



『・・・剣崎君?どうなったの?』
「・・・・広瀬さん。もう、大丈夫みたいだ。」
『・・・剣崎君?』
「伊坂のところに案内してくれ。俺が・・・・・・・俺が決着をつける!!!」




第25回「怒りの鉄槌」




「まだ最強のアンデッドに適応するものはいないのか!」
伊坂のアジト。
そこで彼女は、余程いらだたしいのか、研究員達にわめいていた。
「・・・烏丸。あなたがいながら、なんと言う様だ。」
「・・・・・・・・・・。」
烏丸所長。
彼は今、伊坂にマインドコントロールを受け、自分の意思とは関係なく伊坂の為に働いていた。
その手に持つのは、完成してしまった、新たな仮面ライダーのベルトだった。
「・・・この娘が一番適応数値が高い。」
彼が目をやった先には、街でさらってきた何人ものカテゴリーAの適応者。
その一人に烏丸所長は目をつけていた。

「・・・・・・・。」
脳は測定装置をつけられ、眠らされる少女。
その少女は、かつて剣崎にその身を救われた、あの少女だった。
「やってみてくれ。」
懐からカテゴリーAのカードを取り出す。
何人かの兵士・・・・元アンデッドハンターだが・・・がその少女を起き上がらせ、伊坂の前に連れ出した。

「・・・・ふえ?」
寝ぼけ眼で辺りを見回す少女。
「・・・・・・・・・・!?」
「な、なんなんですかあなたたちは!?」
取り乱す少女。
「私を見なさい・・・・・・。」
そういって伊坂は、その目を閉じる。
そしてもう一度開いた時、少女は伊坂の催眠術にかかっていた!
わめくのをやめ、しゃっきりと立ち上がる。

「・・・・映像を潜り抜けるんだ。」
烏丸所長がカードをベルトに挿入し、ベルトを起動させる。
飛び出す紫の映像。
それはその少女にゆっくり近づいていき・・・・。
「ウッ、うう・うああああああああああっ!!!!」
その姿は、仮面ライダーへと変わってしまった・・!!!

「おおっ!!」
「・・・成功か・・・・!」
流石の伊坂も、口元が緩む。
「ついに私は・・・・。最強の力を手に入れた!・・・・その女を牢へ。後でしっかりと教育してやる・・・。」
「はっ。」
「後の奴は捨て置きなさい。用なしの人間どもは邪魔だわ。」
「はっ・・・・。」

「伊坂様!」
「・・・どうした。騒々しい。せっかくの究極のライダーの完成が・・・・。」
「ブレイドが、ブレイドがこちらに向かっております!」
「・・・・・ほう。ちょうどいい。奴をこの最強のライダーの実験台にしてくれる。」
「し、しかし、この娘は先ほど気を失ったばかりですし、ベルトもまだ調整が・・・・。」
「・・・・・・・・まあ、いいだろう。所詮奴は私の敵ではない。」


「・・・広瀬さん。ここでいいのかい?」
『・・・・ええ。アンデッドの反応、しかも大きな反応を示しているわ。間違いなく上級アンデッドよ!』
「よし・・・!!」
俺はバイクを飛び降り、アジトの入り口へと向かう。

「・・・ブレイド。」
「い、伊坂!!」
その入り口から、あの黒いコートの女・・・伊坂が現れた。
「そろそろ始末してあげましょう。あなたに手間取って、せっかくの究極のライダーをみすみす失うわけには行かない。」
「な、なんだって!?」
「そう。新たな仮面ライダーは完成した。後は彼女が目覚めれば、私は間違いなく、バトルファイトの勝利者になれる!」
「そんなことはさせない!お前は、俺が倒す!!」
「変身!!」

『TURN UP』

「フフフ・・・・。」
伊坂もその姿を変える。
「ゥエエエエエエエエエエイッ!!」
強化型ブレイラウザーを引き抜き、気合一閃、切りかかる!

ガキィン!!

『ほう・・・。』
剣と剣がつば競り合う。
『私の両手を使わせるとは、なるほど。多少は強くなったようだ・・・。』
「・・・・・・。」
『だが悲しいかな。そこが人間の限界・・!!』

ひゅひゅひゅひゅっ!!

伊坂の背中から、またあの孔雀の羽が飛び出した!
「うあああっ、う、うううあああっ!!!!」
それが全てオレに向かって飛び交い、命中し炸裂する!

どさあ・・・っ!

『この程度か。』
『フンッ!』
伊坂の足が迫る。
俺は無様に転がってかわす・・・・。
「・・・はぁ、はぁ・・・。」
剣を地に突き、立ち上がる。
「くっ・・・・!」
俺はカードを使おうとホルダーを展開・・・
『させぬよ。』

ひゅひゅっ!!

「ううっ!!」
そのカードを引く手を、羽根によって妨害される。
『君の力など、所詮この程度だ。しかし、今日は逃がさない。』
伊坂がその右手を顔に近づけると、その手の中に炎が燃え上がる。
『君はいけにえになりたまえ。私のバトルファイトの、勝利を祈願するね・・・・!』

ドウウッ!!

ドガアアンッ!!!

「うああああああああああっ!!!」
スーツのダメージ量が一定値を超えた。
変身を強制解除される。

ころろろろろろ・・・・。

「う・・・・・。」
懐から、青い小箱が・・・。
真小夜さんが、オレに託した・・・。
『ふん。』
伊坂が人間態に変わり、その小箱を拾う。
「指輪・・・・。人間の安っぽい愛情という奴ね。」
「人間というものは、その生まれ持った『心』という奴が重荷になっているわね。人間に同化を始めたカリス・・・・。奴もそうだったわ。」
「か、返せ・・・・・・・!!」
「君も心をなくしなさい。ブレイド。心なんて戦士には必要ない。シュルトケスナー藻はそうさせてくれる・・・・。」
「貴様・・・、橘さんにもそうやって、心を奪ったって言うのか!!」
「そうよ。・・・・でも、あの時私に戦いを挑んできたのは予想外だったわね。」
「やはり、あの男を始末しておいて良かった・・・・。あの男の存在が、さくらに心を繋ぎ止めさせていた。」
「貴様・・・、そんなことのために!!」
「彼女のためよ。・・・さあ、もうおしゃべりはいいでしょう。」
再びアンデッド態になる伊坂。
『さよなら・・・。ブレイド!!』




ドヒュイン!!

『ううッ!!』
「!!?」
その時、どこかからか飛んできた弾丸が、伊坂の剣の持つ腕を貫いた!
「・・・・・・・・・。」
「橘・・・・・。」
「せ、先輩・・・どうしてここに?」

「・・・・・話は全て聞かせてもらったわ。伊坂。」
「さくら、なんのつもり?しかし私を余り怒らせないほうがいいんじゃない?もうシュルトケスナー藻の効力を・・・。」
「・・・・水槽は、破壊してきたわ。」
「な、何ですって・・!?」
「あんなものに頼ったから、真小夜は・・・・。」

「橘さん・・・・。」
「剣崎君。ごめんね。あなたを疑って。」
「そして、伊坂・・・・。」
「あなたは、私の手で倒す!!!」
「く・・ほざけ!」

びゅうんっ!!!ガツッ!!
びゅんっ、びゅうんっ!ドカッ!!ガッ!!

オレの目の前で、戦いは再開された。

伊坂の剣はことごとく宙を切り、次々とカウンターを決めていくギャレン・・・さくら先輩。
今までの不調が嘘のように、伊坂を圧倒する。
彼女の目は、伊坂の向こうにある、もっと大きなものを見据えている・・・。
それも、大切な人を見るような、優しい目で。

(真小夜・・・・・。)

「く・・・図に乗るなッ!!!」
伊坂が奥の手を繰り出す。
背中の、無数の孔雀の羽・・・ッ!!

すっ

ドヒュドヒュドヒュドヒュドヒュ・・・!!!!

ギャレンは銃を抜き、構えたまま後ろへジャンプ。
その間にはなった弾丸は、一発漏らさずその羽根を撃墜し・・・・。
さらに伊坂本体にも何発の弾丸を撃ち込んだ!
『あああああああああ、あ・・・・・・・・・・・・。』
その場で膝を突くアンデッド。


『DROP』
『FIRE』
『JEMINI』

『BURNNING DIVIDE』

「真小夜アアアアアアアアアアアアアッ!!!」
ギャレンが飛び上がった!
伊坂めがけ・・・。
二人のギャレンが、その炎の足を叩き落した!!!

ズガアアアアッ!!!!

『うあああああああああああああああっ!!!!!!』

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!

伊坂から巨大な火柱が立つ。
「ぐ、うう・・・・・・。」
『何故・・・・・私が・・・・・・・。』
「やられる・・・・・・・。うっ!!」

ドサッ。

仰向けに倒れ伏した伊坂に、ゆっくりと歩み寄るギャレン。
「教えてあげましょうか?」
『ぐうう、う・・・・・・・・・。』
「あなたの敗因はね伊坂。人の心を甘く見て、軽々しく踏みにじった事よ・・・・・・・・。」
パラリと、伊坂にカードを落とす。
伊坂・・・ピーコックアンデッドはそのカードに吸収されていき・・・。
ギャレンの手に、ラウズカードと成って戻った。

その場に、青い小箱が残った。
橘さんはそれを握り締め、遠くを見つめていた・・・・・。




1.やりましたね!橘さん!おれは駆け寄った。
2.いや、待てよ・・・・。まだアジトの中には、新たな仮面ライダーがいるんだった!俺はアジトに突入した。



第26回「とらわれの少女」



俺が中に入ろうとすると、そこから人がどやどやと出てきた。
中には新名さんの部下の、アンデッドハンターの人もいるわけで・・・・。
「・・・そうか。伊坂を倒したから、みんなの洗脳が解けたんだ。」
俺はアンデッドハンターの一人を捕まえる。
「あ、君は剣崎君。」
「はい。あの、つかまってた一般の人々を、安全に街まで返してあげてくれませんか?」
「あ、ああ。そうだね。洗脳されてた責任を、取らなくてはね。」
彼は仲間に声をかけると、一般の人々を先導する。

よし。じゃあ俺は、ほかに人がいないか、確認してくるかな。
アジトに侵入する。
中にはいくつものベッドが並び、人が何人も寝かされていた形跡があった。
ここにさらった人たちを・・・・。
街で起こっていた行方不明事件は、どうやら伊坂が関与していたらしい。
俺はさらに奥へと進む。

牢屋らしきものがある通路へと出る。
奴ら、こんなものまで・・・・。
管理室で鍵を入手すると、その牢の中を一つ一つ確かめる。
「誰も、いないな・・・・・。」
最後の一つを覗き込む。

・・・・・・・・・・いた。

そこに横たわっていたのは、若い女の子だった。
・・・それに、傍らには、見たことのないベルトが・・・!!
「まさか、彼女が仮面ライダー・・・!?」
とにかく、彼女を助けよう。
俺は鍵を使うと、その子を助け起こす。
「おい、しっかりしろ!しっかりしろ!」
「う、ううん・・・・・・。」
その子がゆっくりと目を覚ます
「はぁ・・・・・・・?」
寝ぼけ眼で目をこすり、オレの顔をじっと見る。
「は、はぁ・・・!剣崎さん!」

ぎゅっ!

「ウ、ウェッ!?」
いきなりオレの首に抱きつく女の子。
「怖かった、怖かったんです・・・!」
「ウェ、ちょ、ちょっと待って!」
俺はその子を引き剥がす。
「はぁ・・・・。」
高鳴る動悸を抑えつつ。
俺もその子の顔をまじまじと見た。
「・・・・・・・・。」
顔を背ける彼女。
・・・・・ああ。
この子は。
「君、この前アンデッドに襲われてるところを、助けてあげた・・・・。」
「はい・・・・。そうです。あの節は本当にありがとうございました!それに、今回もこうやって助けていただけるなんて・・・。」
「わ、私・・・・・うえええええ・・・・・・・。」
「ウェッ、ウェッ!!?」
俺と話をして気持ちが緩んだのか、泣き出してしまうその子。
「とにかく、ここから出よう。」
「ぐす・・・。はい。」
俺は立ち上がるときに、彼女の手をとる。
忘れずに、そのベルトも手に取る。
出るときも彼女は、オレにしがみついて離れなかった。

「・・・あれ?」
外に出ると、もう誰もいなくなっていた。

ぷるるるる、ぷるるるるる。

「あ、電話。」
「・・・・・・・。」
「ねえ、ちょっと離れてくれない?」
「は、はう、すみません・・・・。」

「・・・・烏丸所長!?」
『剣崎か。お前と橘のおかげで、私は奴らの手から逃れることが出来た。』
「そうですか。よかった・・・。」
『私は橘と一足先にBOARDに戻っている。お前は私の作った例のベルトを、奴らのアジトから見つけ出して、こっちに持ってきてくれ。』
「はい。わかりました。」
携帯を切る。

「・・・・・・・・・。」
オレの事を不安そうに見つめる少女。
「・・・ごめん。俺、本部に戻らなきゃ。」
「・・・一人で・・・。帰れません。怖くて・・・・。」
「・・・・・・やっぱり、そうだよな。何回も襲われてるんだし・・・。」



1.やっぱりダメだ。一人で帰らせる。
2.しょうがない。家まで送ってあげようかな。
3.この子も被害者で関係者だ。いっしょにBOARDに連れて行く。



「ところで君・・・。」
「名前なんていうんだ?」
「は、はい!私、上城 美月って、美月って言います!」
「そっか、美月ちゃんか。」
「はい・・・。剣崎さん!」
オレに名前を告げる時、彼女は妙に元気なのだった。




第27回『新たな仲間』




「・・・・・・・・剣崎、そして橘。改めて礼を言う。君達二人のおかげで、あの伊坂の野望を食い止めることが出来た。」
所長室の机に、烏丸所長が戻った。
ついにあのころのBOARDが戻ってきたのだ。
「私からも礼を言わせてもらうよ。烏丸君という世紀の頭脳を、奴らから取り戻してくれた。」
「いえ・・・。俺は何も・・・。あいつを倒したのは、橘さんですよ。」
「ううん。あなたが方々を駆け回って尽力してくれたおかげで、私はこうしてこの場所に戻ることが出来た。立派よ。剣崎君。」
みんなからこんなに感謝されるなんて・・・・。
俺、今まで友達の一人も出来ない不器用な奴だったけど、こうしてライダーの仕事に就けて、こうしてみんなに褒められて、俺は、ライダーになってよかった。

「・・・・・さて。これからBOARDは天王路さんの支持で、これからも広瀬くんが取り仕切ることになった。」
「ええ!?なんでですか!烏丸所長が、所長に戻るんじゃないんですか!?」
「・・・剣崎。これから先はさらに戦いは厳しくなるだろう。そのためには、お前達仮面ライダーの強化が不可欠だ。」
「そこで、ライダーの事を一番良く知っている烏丸君は、技術の開発に専念してもらうことになったんだよ。」
「・・・・所長はそれでいいんですか?」
「私は別に、所長という地位にこだわっているわけじゃない。私は、もともと技術屋だ。」
「そう。そこで私が、体よく最も忙しい所長の義務を押し付けられたということさ。烏丸君がうらやましいよ。」
「そうなんですか・・・・。」
「何を気にする必要があるんだ剣崎。私は、お前達のサポートに専念するといってるんだ。それとも何か?私では不服か?」
「いえ!そんな・・・・。」
「・・・だったらいい。余りうじうじするな。」
「はい!」


「・・・烏丸所長。」
そこへ、橘さんが一歩歩み出る。
「どうした?橘。」
「これを・・・。お返しします。」
そういって差し出したのは、ギャレンバックルにラウズカード・・・!!

「橘さん!?」
「・・・・・話は広瀬君から聞いたよ。真小夜くん、亡くなったんだそうだな。・・・それも奴らにおめおめ操られていた、私の責任だ。」
「いえ。これは私の・・・・。」
「橘さん!」
俺はいてもたってもいられなくなり、橘さんの手をとる。
「剣崎君・・・・。」
「お願いします!ライダーを辞めるなんていわないでください!せっかくこうして戻ってきてくれたのに!!」
「・・・・剣崎君。私、あなたと働けて、毎日が楽しかったわ。デートにも、誘ってくれたしね。」
「橘さん・・・・・。」
「失礼します。」
そういって、振り返りもせずに去っていく。

ばたん。

「・・・勝手な奴だ・・・・。」
「彼女も辛いのだ。・・・わかってやろうじゃないか。」
「うむ・・・。しかしこうなると我々の戦力が・・・・。」
「所長。そういえば・・・・。これを。」
俺は思い出したように、所長にバックルを渡す。
それは烏丸所長が造り出した、新しい仮面ライダーのベルトだった。
「・・・・これか。」
「使えないのかね?烏丸君。」
「ああ。これは私が奴らのために作り上げた邪悪なベルト。しかもこれには、カテゴリーAの意思が作らせたとしか思えない箇所がある。」
「装着者を、カテゴリーAが、まるで自分のコマのように操ることが出来る・・・。これはあってはならないベルトだ。」
「そんな・・・。なんとか、なんとか使えるように出来ないんですか!?」
「今の我々では、対処は出来ない・・・・。そういえば、これを使って一度変身した子がいたな。洗脳されてはいたが、ぼんやりとだが覚えはある。」
「はい。あの、俺連れてきてるんです。その子も、被害者ですから。」
「我々で保護した方がよいのではないかね。烏丸君。」
「うむ・・・・。すでにベルトがその子を選んでしまっているのかもしれないな。引き離していてはどんなことが起こるかわからない。」
「剣崎。その子をここに連れてきてくれ。」
「はい!」

おずおずとその女の子が、所長室に姿を現す。
オレの袖を掴んで、離そうとしない。
「気に入られているようだね。剣崎君。」
「そんな、からかわないでくださいよ・・・・。」

「・・・君、名前は?」
所長が美月ちゃんに問う。
「は、はい・・・。上城・・・美月です。」
「上城君か。君は伊坂のアジトで、一度仮面ライダーに変身した事を覚えているかな?」
「は、はい・・・。なんだか、黒いものが私に覆いかぶさってきて・・・。そしたら、意識がなくなって・・・。声が聞こえました。」
「声?」
「はい・・・・・。」


(オレを受け入れろ・・・。オレの力を・・・・。)
(そして最強の座を手にするのだ。オレの力があれば、貴様は最強になれる!)


「・・・・・・。やはり、アンデッドは彼女を選んだようだ。」
「どうするのかね。ベルトを隔離して、封印するか?」

「・・・上城君。君は、アンデッドと戦う気はあるかね?」
「!!!」
「所長!!!何言ってるんですか!!こんな子にそんなこと、出来るわけないでしょう!!」
「・・・・このまま隔離していても、ベルトは彼女を求める。今のままでは彼女は、簡単にカテゴリーAの支配を受けてしまうだろう。」
「しかし、彼女が仮面ライダーとしての訓練を受け、心身ともに仮面ライダーとなれば、その邪悪な支配も跳ね除けられるはずだ。」
「そんな、だからって・・・。」
「剣崎。お前に課した数々の訓練も、それらは全てカテゴリーAの支配を受けないようにする為だ。」
「仮面ライダーに変身するということは、アンデッドにその身を晒すことと同じだ。それに対抗するには、強い意志が必要だ。」
「所長・・・・。」
「私はお前の才能を見抜いて、こうしてスカウトした。期待通りお前は、仮面ライダーとしての強い意志を遺憾なく発揮し、こうしてそこに立っている。」
「彼女には、否応なく、ということになってしまったが・・・・。上城君。君にも、運命と戦って欲しい。」
「アンデッドにとらわれ、自分の意思とは関係なく仮面ライダーになってしまった、その運命と。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「美月ちゃん・・・・。」
彼女は、しばらく思案するような様子を見せると、
「・・・・・・私に、出来ることがあるなら。」
と、所長の言葉に応える意思を見せた。
「・・・決まりだな。この子を正式に、BOARDの一員として任命しよう。親御さんには、私が言っておこう。」
「・・・頼む。広瀬君。・・・・いいんだね?上城君。」
「あはは・・・。もし断っても、私に危険が迫るって言うなら、こうしてここにいたほうが、安全かもしれないし。」
「そうだな。そういう考え方もある。もし断っても、わたしは君を保護する気でいたよ。」

「・・・・それに、ここなら剣崎さんにも会えるし・・・・。」

「・・・・・・・・?」
彼女は小声で何かをつぶやいた。
「・・・・。」
所長にも、聞こえなかったらしい。
「では今日はもう帰りなさい。明日からの事もある。ゆっくり休んできなさい。」
「はい!・・・烏丸所長、よろしくお願いします!」
「うむ。剣崎、彼女を送っていってやれ。」
「はい!」



研究所の外に出る。
「本当にアレでよかったの?」
ブルースペイダーの後部座席に、美月ちゃんを乗せる。
「・・・はい。逃げていても、しょうがなさそうですし。」
「それに、危ない目に合ったら、剣崎さん、また助けてくださいね?」
「うん。後輩を守るのは、先輩の務めだからね。」
「せんぱい、かぁ・・・・。よろしくお願いします。せんぱい。」
「・・・・・・・・・。」
「どうしました?」
「いや、もう先輩か、と思って・・・・。つい最近まで、橘さん橘さんって、ついて回っていた俺が。」
「・・・・・・。橘さんって、どんな方なんですか?」
「すごく強くて、かっこよくて、素敵な女の人だよ。オレ、訓練期間はずっと橘さんに世話になりっぱなしで・・・・。」
「・・・・・・・そうですか。」
それっきり彼女は、口を閉ざしてしまう。
・・・。
なんか変な事言ったか?

道順だけは何とか聞きだし、彼女の家に到着する。
「へえ・・・。けっこう大きな家だな。」
「剣崎さん。今日はありがとうございました。」
美月ちゃんがバイクを降り、ぺこりとお辞儀をする。
「いやいや、明日から大変だぞ?覚悟してきてね。」
「せんぱい。お手柔らかに。」
「はは・・。じゃあ美月ちゃん。また明日!」
「はい!おやすみなさ〜い。」

オレは彼女に別れを告げ、BOARDへと戻っていった。



「よし・・・。明日から、頑張るぞ!おー!」



明日は、どうしようかな。


1.やめるっていってたけど・・・。橘さんの事が、すごく心配。橘さんの様子を見に行く。
2.ハカランダに、オムレツのレシピを聞きに行く。いや、だってアレ美味しいしさ!
3.美月ちゃんを家まで迎えに行く。せんぱいのいいところ、見せておかなきゃな!
4.女の子のご機嫌とってる場合じゃないだろ・・・。アンデッドが出るかもしれない。街へパトロールだ!




第28回「彼女の気持ち・・・さくら編」




「・・・・って思い立ったのはいいけど・・・・。」
寮の部屋はそのままだが、昨日は帰ってないようだ。
つうか、俺あの人の住所とか知らないや・・・・。
こういうときは、事務職の人に聞くのが一番かな。

「橘さんの住所?」
真っ先に思いつくのは、やっぱり広瀬さんだよなぁ。
「うん。昨日、やめるっていって出て行って・・・・。どうしてるのか、心配なんだ。」
「う〜ん・・・。個人のデータは持ち出し禁止になってるのよね。」
「そこをなんとか!」
「ダメなものはダメよ。私に聞くより、直接本人に電話とかした方が、早いんじゃないの?」
「・・・・・・・。」
そういえば、まだ電話は試してなかった。
ためしにダイヤル・・・・っと。

・・・・・・・。

『もしもし?』
・・・繋がった。
俺は広瀬さんにサムズアップを送ると、広瀬さんは肩で息をつき、でも笑顔で職務に戻った。

『私に、会いたい?』
「はい。どうしても。」
『私は、今は現在はBOARDの関係者じゃないわ。それに、まだライダーには戻るつもりは・・・。』
「いえ!そういうんじゃなくて、ただ橘さんとあって、話がしたいんです。」
『・・・・もう、しょうがないなぁ。じゃあそこのオープンカフェで落ち合いましょう。』
「はい!」

一人で座って待っていると、橘さんが現れる。
あの赤くて長い髪、すぐに分かるよなぁ。
「橘さぁん!」
俺が呼ぶと、少し困ったように手を振って、こっちにやってくる。
「もう、子供なんだから・・・・。そんな大声出さなくてもいいのに。」
俺と向かい側の席に座る橘さん。
「いや、なんだか嬉しくって。」
「ふふ。バカね・・・。」


「新しい仮面ライダー・・・・?」
「そうなんですよ。オレに、後輩が出来たんです。」
デートって言っても、結局はこんな話に落ち着いてしまうのは、俺達らしいというかなんと言うか。
「へえ・・・。剣崎君に、もう後輩かぁ。月日の経つのは早いものね。」
「つい最近まで、私の後ろにくっついて、橘さん橘さんって言ってたのに・・・・。そっか・・・・・。」
なんだか寂しそうな表情の橘さん。
「橘さん?」
「あ、ううんなんでもないの。で、どんな奴なの?新しい仮面ライダーの適合者って。」
「はい。伊坂のアジトに捕まってた、上城 美月って、女の子なんですよ。」

ぴくっ。

「へえ・・・・・。女の子、ねぇ。」
「はい。ちょっと内気で、でも芯は強い子だと思います。あの歳でアンデッドと戦うって、決心したんだから。」
「そのこ、いくつ?」
「あ、えーと・・・。制服着てたから、高校生、かな?」
「ふうん・・・・。剣崎君は、その子の事どう思ってるの?」
「え?うーん・・・。オレに対する橘さんみたいに、かわいい後輩だって思ってますよ。」
「かわいい後輩ねぇ・・・・。それで済めばいいけど。」

「・・・・・・?」
さっきから橘さんの言葉は、歯切れが悪いというか、なんというか・・・・。
煮え切らない感じだな。
「橘さん、なんか気になることでも?」
「え?あ、うん・・・・。その子、ベルトに操られたりしないかなって・・・・。」
「大丈夫ですよ!いざって時は、俺が必ず助けますから!」
「ふうん・・・。そう。そうね。先輩だもんね。」
「はい!」
・・・・・・・・と、返事したものの。
なーんか、つまらなさそうだな・・・。

それからもう少したわいのない話をして、やがて空は暗くなってくる。
「アンデッドも、今日は休みかぁ。」
「いっぱいお話したね。剣崎君。」
「はい。あの・・・橘さん。」
「ん?」
「いつでも帰ってきてください。俺、待ってますから。」
「・・・・・ん。ありがと。剣崎君。」




ブルースペイダーにまたがり、BOARDへの家路を急ぐ。

ぷるるるるる、ぷるるるるるるる。

あ、電話。
俺はバイクを路肩に止め、電話を受信する。
「はい、もしもし。」
『あ、おにーさんですか?』

・・・・・・・・おにーさん?

『私です。一菜です。おにーさん。』
「え、えええええええっ!?」
一菜、一菜から電話・・・。
俺が家を出た後、一度も連絡くれなかったのに。
『私の事、ちゃんと覚えててくれて、嬉しいです。』
「ああ。忘れるわけないじゃないか。」

・・・一菜はオレの従姉妹だ。
小さい頃、火事で両親と住む家を失った俺は、父の弟である叔父に預けられた。
その一人娘が、一菜だった。

「で、今日は何のようなの?一菜。」
『あのですね。実はしばらくおにーさんのところで厄介になりたくて・・・・。』
「あ、そうなんだ。厄介・・・・。」
「って、えええええええええええええっ!!!?」
『今駅についたので、迎えに来ていただきたいなと。お願いします。おにーさん。』

ぷつっ。

・・・・・・・・。
切れた。
・・・・・・・。
行くか。

何がなんだか分からないまま、俺は一菜を迎えに駅へ・・・・。
結局事情を話し、今夜一晩は一菜をオレの部屋に泊めることに。

なんだか、騒がしくなってきたなぁ・・・・。



1.橘さんに会いに行く。
2.ハカランダに行く。
3.美月ちゃんの様子を観にいく。
4.一菜に突っ込んだ事情を聞く。
5.街へパトロールだ!女なんか相手にしてられるかー!




第29回「おませな従姉妹」




「ううん・・・・・・。」
寝苦しい。
それに・・・・。柔らかい。
なにが?
・・・・・・・・・・。
えーと。
昨日は確か、一菜がいきなりうちにやってきて・・・・・・・・。
そうだ。こっそりとオレの部屋に泊めたんだよな。
一菜は軽いから、荷物の中にまぎれさせて・・・・。
で、どこに寝かせたんだっけ・・・・。
ええと。俺は床で寝るって言ったんだ。
一菜はオレのベッドで・・・。

目を開ける。
目の前は、肌色。
部屋の壁紙が、肌色に・・・・。

「ってぶるああああああああああああああああッ!!!!?」
「おにーさん・・♪」

目の前に、一菜がいる!
み、密着してる・・・・。
「はう?おにーさん・・・・・・?」
一菜が目覚める。

「あ、おはよーございます。おにーさん。」
「一菜・・・。何でお前、ここにいるの?」
「ん〜・・・。あ、どうやらベッドから落ちた模様です。」

一菜は、寝相が悪かったか・・・。


「さて・・・。一菜、どういうことか、聞かせてもらおうか。」
二人が目を覚ましたところで、俺達は向かい合う。
「どういうことか、ですか?」
「そうだよ。何でお前、こっちに出てきたんだ。おじさんとおばさんはどうしたんだよ。」
「どうしたもこうしたも・・・。わたし、今年学校を卒業したので、都会に出てみたいなぁ、と。」
「・・・それでオレのところに?」
「はい。なんでも都会は、寝床の確保にもすごいお金がいるって言うじゃないですか。」
「だから、おにーさんのところに転がり込めば、宿泊代は浮くかなって。えへへ。」
「えへへじゃないよ・・・・。で、何をしに都会に出てきたの?」
「それが・・・・・。特に決まってなくて。あはは。」
「あははじゃないでしょ!?」

「う〜ん、第一の目的は、おにーさんに会う事、だったり・・・。」
「オレに?」
「はい。おにーさんは昔から友達がいなくて、それに人が良すぎるからよく利用されたりしてました。」
「そんなおにーさんが、今どうやって暮してるのかなぁって・・・。父さんと母さんも、その辺りは気にしていたんです。」
「心配性だなぁ・・・。俺はちゃんと、こうしてやっていけてるだろ?」
「はい。正直びっくりです。こんな立派な研究所の、こんな綺麗な寮に住んでるんだもん。」
「だろ?だから心配要らないって。」
「でも、わたしにはもう一つ心配なことがあるんです。」
「なんなの?」
「それは、おにーさんの交友関係です。」
「交友関係?」
「そうです。都会には悪い女の人がいっぱいです。人のいいおにーさんが、そんな女に引っかかってはいないかと。」
「そんなわけないだろっ。」
「いえ。この目で確かめるまでは、わたしは納得しないつもりです。」
「何言ってるんだよ・・・・。」




気は重いが、一菜の言い分を認めた俺は、まだ話の分かりそうな広瀬新所長に、一菜の事を話す。
「君はもてるね。年下に。美月君の機嫌を損ねないようにね。」
・・・いやな事を言う広瀬所長。
「あの子は、オレの妹ですよ。そんなんじゃ・・・。ないです。美月ちゃんだって、かわいい後輩で・・・。」
「ははは。まあ君はまだ若いから、そういうのが分からないのかもしれないがね。」
ニコニコ顔の広瀬所長。・・・こういう話が好きなのか?
「一菜ちゃんはうちの娘に預けよう。オペレーターの仕事を通じて、やりたいことも見つかるかもしれない。」
「はい・・・。ありがとうございます。」


「おにーさん!」
一菜が駆け寄ってくる。
「どうしたの?」
「はい。広瀬さんはおにーさんの彼女ですか?」
「ぶふううううっ!!!」
「あ。反応しました。脈はある、と・・・。」
なにやらメモる一菜。
「バ、バカ言うな!あの人は、オレの友達だよ。」
「そうなんですか?でも広瀬さんは、おにーさんを気にしているようでした。」
え。
そ、そうなのか・・・?

「では、今現在付き合っているひとはいるんですか?」
「え!!!?そ、それは・・・・。」
・・・・・。どうして女の子って、こういう話が好きなんだろう・・・。
とりあえず、適当でもいいから話をつなげて、この話は早めに切り上げよう。
「い、いないよ。」
「嘘です!広瀬さんもいってました。剣崎君は女の子とよろしくやってるって。」
「うげ!」
広瀬さん、余計な事を・・・。
「で、誰なんですか?その相手って。」



1.た・・・橘さん。(嘘じゃ・・・・ないはずだ。本人はどう思ってるかわからないけど・・・・。)
2.美月ちゃん、だよ。(後で口裏合わせてもらおう。せんぱいの頼みだし。)
3.は、ハカランダの子なんだ。(コレが一番無理があるよな・・・。
4.バカ。俺が、お前以外の女の子に目をくれるわけないだろう?(・・・・えらいヨイショだな。




第30回「感謝の言葉」




「ハカランダ・・・。それは、何のお店ですか?」
「あ、ああと、俺が良く行く喫茶店なんだ。」
「そこのウェイトレスさんが、おにーさんの眼鏡に適ったというわけですか・・・。ふむふむ。」
「そ、そうだよ。さあ、もういいだろ。俺は仕事に戻るから・・・・。」
急ぎその場を立ち去ろうとする。
「待ってください!」

来た・・・・・・。

「わたしをそこまで連れて行ってください!どんな人なのか、わたしが見極めたいと思うので!」
「バ、バカ!何でお前はそうお節介なんだよ!」
「だって、将来わたしのおねーさんになる人じゃないですか。興味があります。」
「だ、だってそれにまだ勤務中だし・・・・。」

「何言ってるの。いつも職務中に食べにいってるじゃない。」
「うッ!!」
余りに痛いところをつきつつ、広瀬さんが現れる。
「一菜ちゃん、そんなの気にしなくていいから、おにーさんと一緒にいってきなさい。」
「ひ、広瀬さん!?」
「久しぶりに会ったんでしょ?美味しいもの食べて、兄妹水入らずで過ごしてきなさいな。」
「広瀬さん!ありがとうございますっ!」
ぺこっと一菜が頭を下げる。
・・・・・・・・。
こうなったら、もう行くしかない。
いや、頭がいたいのは、一菜にご飯をおごることではなく、
あの始穂さんに、恋人を演じてもらわなければならない、ということだった・・・・。
ほとんど話したことないって言うのに・・・。
何で、彼女と付き合ってるって嘘をつこうと考えたんだろうなぁ・・・。

・・・気になってるのかなぁ。





「あ、なんかいい感じのお店。」
「だろう?」
ハカランダの前に立つ。
・・・・こうなったら、覚悟を決めていくしかない。

緩やかな階段をあがり、自動ドアをくぐる。
「こんにちは〜。」
と、一菜が真っ先にドアをくぐった。

「・・・・・・・・・。」
「あれ?」
店の中には、誰一人いなかった。
「おにーさん、コーヒーカップがあります。」
「お前すばやいな・・・。」
一菜のいるカウンター席へ向かう。
「湯気が立ってる・・・。いなくなってからそんなに経ってない。」
「コレは神隠しでしょうかっ。」
「ううん・・・。まさかそんな・・・。」

『剣崎君!?アンデッド出現よ!』
「広瀬さん!?」
そこへ突然の広瀬さんの報。
『剣崎君、アンデッド出現。場所は、あなた達のいるすぐ近く!』
「わかった!」
「ほ?あ、あんでっど?」
「一菜、おまえはここにいろ、いいな!!」
「へ?おにーさん!?」

俺はハカランダから飛び出す。

まさかとは思うけど・・・。アンデッドが、ここの家の人たちを・・・!!



「う、ううん・・・・。」
「あ、天乃?」
目を覚ます春花さん。
そこは見たこともない場所で・・・。

ドシッ、ドシッ・・・・。

「!!!」
そこへ、異形の怪物がやってくる。
「天乃、起きて天乃!!」
「え・・・・。」
目を覚ます天乃。
「あ・・きゃあああああああああっ!!!」

『ハヤ・・・・・・・・・ク・・・・・・』
『コ・・・・・イ・・・・・・・・・・・。』
『カァ・・リ・・・・・・・・スゥ・・・・・・・・・・・・・・・。』


「・・・・・・・・・ここだな。」
今は使われなくなった、旧地下道へとやってきた。
アンデッドの反応は、ここから出ているらしい・・・・。
「・・・・・・いるな。」

『TURN UP』

俺は用心のために変身する。
階段をゆっくりと下りていく・・・・。

「きゃああ・・・・・」

「悲鳴だ!」
俺はすぐさま駆け下りる。

「いや、いやあああっ!!!!」
『コ・・イ・・・・・・・・・・・。』

「待て!」
俺が駆けつけたとき、そこには今まさに親子を襲おうというアンデッドの姿が!
「ギルルル・・・・・・・。」
「あっ!?」
二人はオレに気がつく。
「早く、早く逃げてください!!」
「は、はい!!」
オレの後ろを通り抜け、二人は外へと駆け上がっていく。
「ここからは、通さない・・!!」
「ギルルル・・・・。」
アンデッドはその手に両刃のダガーを取り出す。
「ウェエイッ!!」

ガシィン!!

火花を散らす二人の剣。
返す剣でオレの胸を狙うアンデッド。
「・・・・・・。」
だが、同じ武器ならカリス・・・・。奴の方が早い!

ヒュウっ!

空を切る奴の剣。
その降りぬいた隙を突き、その腹に肘を入れる!
「ギッ!?」
「ッウウエエエイッ!!!」
怯んだそこを、大きく蹴り上げた!!

ごろろろろろ・・・・・・。

地下道の底を、転げまわるアンデッド。
「ギ・・・!!」
「とどめだ・・!!」

カードホルダーを開き、カードを選ぶ。

『KICK』
『BLIZZARD』

『BLIZZARD BLAST』

「うあああああああああああああっ、ウェイ!!」
「ウェイイイイイイイイイイイイッ!!!」
吹雪を纏った一撃を、アンデッドにぶつける!!

ガツッ!!

「ギルオオオオオオオオオオオオッ!!!!」

ドガァン!!!

「はぁ、はぁ・・・・。」
なんか、今回は楽勝だったかも。
俺、強くなってるんだろうか?
もしそうなら、カリス、あいつのおかげかな・・・・・・。

アンデッドは、また別のスートのアンデッドだった。
俺はコモンブランクのカードを取り出し、封印した。

「・・・・・・・・。」
「お母さん、あの仮面ライダー・・・・。」

ブロロロロロロロ・・・・

そこへ、一台のバイクが現れた。
「天乃ちゃん!春花さん!」
「始穂さん・・・・・・。」
「し、始穂さんっ!」
「二人とも、無事だった・・・!?」
「う、うん。仮面ライダーが、助けてくれた。」
「・・・・仮面、ライダー・・・?」

ゆっくりと、地下道から姿を現す、青い仮面ライダー。

パシャッ。

レバーを引き、カードを引き抜く。
映像が通り、俺は元の姿に戻る。
「・・・・・・あ。大食いの彼氏さんだ。」
「その名前やめてよ・・・。」
その小さな女の子につっこむ。
「あ、ありがとうございました・・・!!」
女主人・・・・。春花さん、だったかな。
泣いてお礼を言うので、ついかしこまってしまう。
「あ、ああいえ、俺はコレが仕事ですから・・・。また、美味しい料理食べさせてくださいね。」
「ええ・・!またきて下さいね。」
「じゃあ、俺はこれで・・・。」
「・・・・・・・・・・待って。」
「?」
俺はもう一人の女性に呼び止められる。
見ると彼女は、ハカランダのあのウェイトレスさんだった。
あ、いや・・・・。その顔、最近見た覚えが・・・・。
「あ!!」
「・・・・・?」
山で、オレを介抱してくれた・・・。
「・・・あの、ありがとう・・・・・・・・。」
「え?」
俺が思案をめぐらせてる時、彼女はぺこりと頭を下げた。
「また・・・・・。店に来て。」
「・・・・・・!!う、うん。」
驚きのあまり生返事をかえしてしまう。
「それじゃ・・・・。」
それから彼女らは寄り添うように、歩いてここを去っていった。
もう、襲われませんように・・・。

「ふ〜ん。あの人が、そうなんですね。」
「どわあっ!!?」
「おまえ、いつの間にここに・・・。」
「なかなか美人ですね。口数は少ないけど、いい人そうです。あれならわたしも安心かな。」
「あ・・・・・・。」
そうだった。
もともとこいつは、俺と付き合ってるって言う彼女が、どんな人物なのかを見に来てたんだった。
「なんだか、お似合いです。」
「そ、そうか?」
「そうです。妬いちゃうくらい。」
「えええ!?」
「うふふ。冗談ですよ。さ、おにーさん、帰りましょう!」
「あ、ああ・・・・・。」






なんだか今日は、大変な一日だったな・・・。
でも、まあ・・・・。

(あの、ありがとう・・・。)
(また・・・・、店に来て。)

いいことも、あったしな。うん。
「おにーさん?」
少しは、こいつに感謝、かな・・・・・。




さて、明日はどうしよう?

1.御呼ばれしたからには、厚かましくも押しかけるのが男というものではないのかね(何 ハカランダへ行く。
2.橘さんは、まだ戻らないのだろうか・・・・。やっぱり橘さんが、すごく心配。
3.美月ちゃん、どうしてるかな。訓練、頑張ってるかな。様子を見に行く。
4.せっかく来てるんだし、もうちょっと一菜に構ってやるかな。
5.女など、ライダーの道には言語道断。町の平和を守るため、いざパトロール。




空豆兄
2009年03月08日(日) 10時41分19秒 公開
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その2ですー

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30 Vernon ■2015-10-08 22:22:39 188.143.232.62
We work together Click!! logic cobweb nizagara effet secondaire dainty surveying When opposition leaders cited the ruling partyテ「ツツ冱 shenanigans and threatened to withdraw their support for the presidentテ「ツツ冱 key economic and social reforms, the government put its poverty crusade on hold before the elections.
30 Jeffry ■2015-08-26 13:49:59 188.143.232.70
We'll need to take up references Click!! dispose tease megalis tablet price licence importance The American company's net income has fallen steadily overthe past two years and it posted losses in two quarters duringthat period. Tokyo Electron reported a 23 percent drop inquarterly sales in July.
30 Bertram ■2015-08-26 13:49:52 188.143.232.70
Pleased to meet you Click!! headstone drama rogaine 5 amazon fined hunchback Sector bankers said that Hypo Real estate is facing anuphill battle with the sale as any private equity investors -which unlike some big banks usually do not have cheap and easyaccess to bond markets - would have to shoulder relatively highrefinancing costs.
30 Dominique ■2015-08-26 13:49:46 188.143.232.70
I was born in Australia but grew up in England Click!! keeper zoloft pills look like shorthand More intriguingly, the watchdog EDL News points to a blogpost this week by far-Right US activists Pamela Gellar and Robert Spencer of pressure group Stop Islamization of America. The pair were barred by the Home Secretary from visiting the UK to speak at an EDL rally last June. EDL News believes their language suggests they could be planning a new far-Right grouping with Robinson. Hasan dismisses Gellar and Spencer as テ「ツツ彿slamophobesテ「ツツ.
30 Carlton ■2015-08-26 13:49:40 188.143.232.70
I can't get a dialling tone Click!! snore hydrochlorothiazide 12.5 mg weight loss description In China, where Tesco makes around 2 percent of sales, the hypermarket industry is likely to grow to 863.8 billion yuan ($141 billion) by 2015, from an estimated 659.6 billion yuan in 2013, according to Euromonitor.
30 Alexa ■2015-08-26 13:49:34 188.143.232.70
What sort of work do you do? Click!! reckon is nizagara safe to take grandchildren Over the past six seasons, Findlay has gone a whopping 192-9 and produced seven McDonaldテ「ツツ冱 All-Americans, their jerseys decorate a wall in Williamsテ「ツツ office in red and yellow, while playing on ESPNテ「ツツ冱 family of networks 19 times.
30 Fermin ■2015-08-26 13:49:27 188.143.232.70
Whereabouts are you from? Click!! ruin methotrexate misoprostol to terminate early pregnancy lee execution "China cannot change its weak economic growth situation due to still weak external demand and overcapacity problems in the domestic market," said Wang Jian, a senior researcher with the China Society of Macroeconomics, a research body affiliated with the National Development and Reform Commission (NDRC).
30 Osvaldo ■2015-08-26 13:49:21 188.143.232.70
Which year are you in? Click!! glittering when does cymbalta go generic in canada cover collections On September 15, 1963, a bomb killed four young African American girls in a church in Birmingham, Alabama. Addie Mae Collins, Carole Robertson and Cynthia Wesley wereテつ14 years old; Denise McNair was 11. Twenty-two other people, includingテつAddie Mae’s younger sister, Sarah,テつwere injured in the terrorist attack, which was carried out by four members of the Ku Klux Klan.テつThe 16th Street Baptist Church bombing, as it came to be called, was a grim turning point in the American civil rights movements, as even hardened segregationists (some of them, anyway) were appalled at the scale ofテつviolenceテつdirected at innocents.
30 Clifton ■2015-08-26 13:49:15 188.143.232.70
It's OK Click!! decided political 50 mg of zoloft rough Bank of America faced regulatory probes, investor lawsuitsand criticism from lawmakers over claims it didnテ「ツツ冲 warnshareholders about Merrill Lynchテ「ツツ冱 mounting losses before theyvoted to buy the firm for $18.5 billion.
30 Merle ■2015-08-26 13:49:08 188.143.232.70
I can't get through at the moment Click!! kitchen cost of estrace cream think Discovered in 2012 at the International Scientific Optic Network in Russia, Comet ISON (named for the network’s acronym) is thought to be paying its first visit to the inner solar system from the distant Oort Cloud, a haze of ice chunks well beyond Pluto. Astronomers estimate that the cloud may extend out another light-year—nearly one quarter the distance to the closest star. Both the Oort Cloud and the closer Kuiper Belt—just outside the orbit of Neptune—are filled with icy debris left over from the formation of the planets. Every so often something shakes one of these dirty snowballs loose and sends it careening toward the sun. Each comet carries with it a history of our solar system and teaches astronomers something new about where we came from.
30 Adrian ■2015-08-26 13:49:01 188.143.232.70
We need someone with qualifications Click!! indexes notice proscar generic price troublesome "It is not possible for passengers on a ship beset by risks that one group can be saved without the other group. It is not possible for any group to enjoy security, safety and stability in a society blackened by division and threatened by discord," he said in a televised address.
30 Guadalupe ■2015-08-25 08:54:34 188.143.232.70
Just over two years Click!! occupy eriacta 100 ranbaxy erfahrungen cigar banisters Martin, 47, said that after freeing himself, he got clear of the coffin and tracked it as it fell to the ground, just as he did when he first pulled off the stunt 25 years ago on just his 17th skydive.
30 Marshall ■2015-08-25 08:54:28 188.143.232.70
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30 Freelife ■2015-08-25 08:54:22 188.143.232.70
I'm afraid that number's ex-directory Click!! construction ned megalis 10 use finally gloria One of the most critically-acclaimed and groundbreaking shows of the past decade concludes in this 'Lost' Series Finale Event. The battle lines are drawn as Locke puts his plan into action, which could finally liberate him from the island, on 'Lost,' SUNDAY, MAY 23 (9:00-11:30 p.m., ET) on the ABC Television Network.
30 Claudio ■2015-08-25 08:54:16 188.143.232.70
How much is a First Class stamp? Click!! revealed corn you're asked to order trimethoprim pigs extraordinary Hannah Anderson was rescued when FBI agents killed DiMaggio in the Idaho wilderness on Saturday, ending a six-day search that spanned much of the western United States and parts of Canada and Mexico. Hannah Anderson described on a social media site how she survived captivity and how she is coping with the deaths of her mother and brother.
30 Jimmy ■2015-08-25 08:54:10 188.143.232.70
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30 Keneth ■2015-08-25 08:54:03 188.143.232.70
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30 Jayden ■2015-08-25 08:53:56 188.143.232.70
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30 Marty ■2015-08-25 08:53:49 188.143.232.70
A First Class stamp Click!! proclamation generic proscar fincar tablets pond frankly Martin signed with the Knicks in late February and emerged as a key piece for coach Mike Woodson. His rim defense and ability to defend the paint were two key aspects of New York's 13-game winning streak late in the regular season.
30 Ethan ■2015-08-25 08:53:43 188.143.232.70
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30 Pierre ■2015-08-25 08:53:36 188.143.232.70
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What's the exchange rate for euros? Click!! order amoxicillin The Post said the incident, viewed as a major breach ofAfghan sovereignty, enraged Afghan President Hamid Karzai andhad contributed to a chill in U.S.-Afghan relations at a timewhen American officials are pressing for a deal to let a smallforce of U.S. troops remain in Afghanistan after 2014.
-20 Hipolito ■2015-08-23 09:50:03 176.10.104.234
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-20 Donnell ■2015-08-23 09:49:55 176.10.104.234
Please call back later Click!! purchase atarax A-Rod's attorney, David Cornwell, has said Rodriguez will fight any suspension MLB hands down, and Rodriguez himself said on Friday, "It's not time for me to hang it up. I have a lot of fight in me." A source familiar with Rodriguez's situation said MLB should be asked why it is so eager to get a deal while Rodriguez is eager to fight?
-20 Isreal ■2015-08-23 09:49:38 176.10.104.234
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-20 Maximo ■2015-08-23 09:49:32 176.10.104.234
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30 Chung ■2015-08-22 03:28:04 188.143.232.62
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30 Rudolf ■2015-08-22 03:27:46 188.143.232.62
Insert your card Click!! synthroid 0.15 mg NEW YORK, Sept 25 (Reuters) - U.S. stocks fell on Wednesdayand the S&P 500 put in a fifth day of losses, its worst losingstreak since the end of 2012, on jitters funding for the federalgovernment would run out and after a drop in shares of theworld's largest retailer, Wal-Mart Stores.
30 Ethan ■2015-08-22 03:27:40 188.143.232.62
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30 Erin ■2015-08-22 03:27:34 188.143.232.62
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30 Jeffrey ■2015-08-22 03:27:29 188.143.232.62
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30 Sebastian ■2015-08-22 03:27:22 188.143.232.62
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