仮面ライダーブレイドIF その4(再掲載 |
※この作品は、2005年にこのサイトで連載された、選択リレー小説の再掲載です。 現在放映されている「仮面ライダーディケイド」内の「仮面ライダーブレイド」とは設定が異なります。 第56回「全てを捨てて、君を」 最近は、部屋のベッドで考え事をすることが多くなった気がする・・・。 明かりもつけずに、真っ暗な部屋の天井を見つめる。 (俺が、仮面ライダーになったのは・・・。) 小さい頃、火事で両親をなくした。俺はその時、何も出来なかった。 それ以来俺は、全ての人を救いたいと思うようになった。 無力な人々が、なす術なく命を奪われていく。俺はそんな人たちの力になりたいと思うようになったんだ。 だから、烏丸主任にスカウトされた時も、俺は何も迷わなかった。 人々が危機にさらされているのなら、BOARDがそれを防ごうとしているのなら、俺はその役に立ちたいって。 それから、オレの戦いは始まった。人々を、アンデッドから守り抜く戦い。 でも、今俺がしようとしていることは、それら全てを・・・・否定する行為だ。 今まで俺が積み重ねてきたこと、俺が築いた信頼、それら全て。 すべて・・・。本当に全て、捨てることが出来るのか・・・・? いや、もう俺は決めたんだ。だから・・・・・・。 俺はまとめておいた荷物を手に、 「さようなら。」 親しんだ寮の部屋に、別れを告げた。 ブルースペイダーを駆り、真夜中の道を走る。 目指すのは、彼女の眠るハカランダ。 (ダメでもともと。いや、それじゃダメだ。絶対に、絶対に彼女を・・・・!) 「始穂さん。・・・俺、剣崎。」 ハカランダの一階の、彼女の部屋に直接繋がる出入り口。 そのドアの前で、俺はノックをしたあと、声をかけた。 「・・・・・・・・・。」 彼女はすぐにそれに気づいたようだ。 中で物音がした。 「君にいわなくちゃいけないことがあるんだ。そのままでいいから、どうか聞いて欲しい。」 ・・・・中からは何も反応がない。 とりあえず、追い返されはしないようだ。 「・・・・明日、BOARDの仮面ライダー達が全員、君を狙ってやってくる。」 「ジョーカーである君を、・・・封印するために。」 「・・・・はは。そうか。剣崎はそれに抜け駆けして、今私を封印しようというわけだ。」 がちゃ。 その声がすると同時、部屋の扉が開く。 そこから・・・。始穂さんが現れた。 「・・・やれるものならやってみろ。わたしは・・・。人間になど負けない。今ここで・・!!」 「ま、待って!俺は君に、逃げろって言いに来たんだ!」 「逃げる・・・?私は、逃げる必要なんてない。来るなら・・・来ればいい。」 「私は、何人でも構わない。」 「それに・・・。私はお前に心配される筋合いはない。」 「俺にはある!俺は、君がすごく心配なんだ!君が封印されるのを、黙ってみてるなんて、出来なかったんだ・・・。」 「何故お前が私を心配する?私はお前の言う通りアンデッドだ。人間のお前が私を心配する理由など・・・。」 「ある!!だって、俺は・・・俺は君が好きだから!!」 「!!!」 「・・・好きだから、すごく心配する。好きだから、失いたくない。俺は、君を失いたくないんだよ!!」 「剣崎・・・・。」 「この前、俺は君を傷つけた。この通り謝る!・・・だから、君は逃げて欲しい。」 「逃げて、生き延びて欲しい。・・・俺の事は嫌いでもいい。君の望むとおり、俺はもう君の前に二度と現れない。」 「でも、君は生きて。封印なんてされないで。俺は無事を祈っているから。」 「剣崎・・・。お前、本当に変わってるね・・・。」 「始穂、さん・・・?」 見れば彼女は、目に涙をためていた。 「始穂さん!?ど、どうしたの!」 「私を、好き?アンデッドの私を?・・・やっぱり変よ。剣崎・・・・。」 俺はその言葉に、首を振った。 「アンデッドとか、人間とかじゃないんだ。俺は、始穂さんが始穂さんだから、その・・・好きになったんだ。」 「ばか・・・。どうして、その言葉をあの時言ってくれなかったの・・・。」 あの時・・・? この前外に連れ出した、あのときのことだろうか? 「私、すごく緊張してたのに、バカみたいだったじゃないか・・・。」 「始穂さん・・・・。」 「俺。もし許されるのなら、君をずっと、守っていきたい。」 「この力で、君だけを。」 「・・・・例え君が、世界を滅ぼすような存在でも。」 「俺は、好きな人を、好きになった君を、君だけを守りたい。」 「剣崎・・・!!」 俺の首にしがみついてくる始穂さん。 俺はそれを抱きとめる。 「私も・・・私も剣崎が好きだった。」 「え、ウソ!?」 「私は・・・ウソは嫌い。」 「そっか・・・・。俺、すごく嬉しい。」 「うん。私も・・・。」 「ねえ。二人で逃げよう。俺、荷物用意してきたんだ。・・・・君にこうして情報を漏らした以上、俺もBOARDにはいられないから。」 「・・・そっか。じゃ私も、荷物用意する。」 「必要最少限にしてよ。」 「大丈夫。私の荷物は・・・。」 そういって、彼女はすぐに部屋から戻ってくる。 「これだけだから。」 そういって彼女が見せたのは、ガラスの写真立て。 中には、何も入っていなかった。 「あ・・・。それって、俺が君に上げた・・・。」 「うん。剣崎のプレゼント。これだけあれば、もう後は何も・・・。後はこの店のものだから。」 「そっか・・・・。天乃ちゃんに何も言わなくて、いいの?」 「・・・書置き、していく。ちゃんとサヨナラ、したいけど・・・。」 「ごめん。急で・・・。」 「ううん。じゃあ、行こう?」 「・・・うん。」 始穂さんも、自分のバイクにまたがる。 「天乃ちゃん、春花さん・・・。さようなら。」 「剣崎の言うとおりなら・・・。きっと二人にも、迷惑をかける。」 「始穂さん。」 俺が促すと、彼女はヘルメットをかぶり、エンジンをスタートさせた。 ねえ、どこにいこう? わたしは、剣崎についていくだけ。守って、くれるんでしょ? うん。俺は・・・。君を守り抜いてみせる。 たとえ、世界中全ての人々を敵に回しても・・・。 俺は、君だけを。 第57回「二人の新生活」 その日、BOARDは大いにゆれた。 それもそのはず。 BOARDの誇る仮面ライダー2号・・・。ブレイドが、そのマシンを持ち出し、逃走したのである。 剣崎 一真の失踪は、すぐに研究所中に伝わった。 「コレはどういうことなのかね。烏丸君。」 この日、ジョーカー討伐を指揮する元BOARD理事長・天王路が烏丸主任に問い詰める。 「これは・・・。全て剣崎の監督者である私の責任です。」 「そうだな。・・・・烏丸君。君には今回の作戦には外れてもらおう。代わりに、広瀬君を連れて行く。」 「は・・・・!」 ぐっと頭を下げる烏丸主任。 天王路は、それを見てため息をつく。 「何故なんだね。剣崎君・・・。」 「大変です!」 そこへ、研究員の一人が駆け込んできた。 「何事かね。騒々しい。」 「はい。それが、監視員の情報によると、例の店に、ジョーカーの姿が消えているとの報告が!」 「何だと!?」 「・・・・・・・・・・・。まさか、剣崎・・・。」 烏丸主任のつぶやきに、天王路もすぐにその意味を理解する。 「そうか。・・・・彼はジョーカーに取り込まれた、というわけだな・・・。くくく。」 「・・・きみ。すぐにライダー諸君を召喚したまえ。今すぐにだ!!」 「は、はい!!!」 「厄介なことになってきたようだ・・・。」 やがて集まる3人の仮面ライダー。ギャレンこと橘 さくら、レンゲルこと上城 美月、そして仮面ライダーランス、新名。 何事かと集められた3人に、天王路はその理由を話した。 「・・・・・・・・そんな馬鹿な!!剣崎君が、アンデッドと通じていると言うのですか!!?」 「うむ。それも、君が調べていた、ジョーカーとだ。」 「そんな・・・・。剣崎さんが、まさか・・・。」 「残念ながら、コレは事実だ。美月君。彼は、ジョーカーに取り込まれ、いずこかに消えた。」 「・・・・おそらくジョーカーは、彼から今日、我々が自分を討伐しに来る事を聞きだしたに違いない。」 「それで、二人は消えたのだ。」 「なるほど・・・。つまり、天王路さん。今我々がここに集められた理由は・・・・。」 「物分りが早いね新名君。そう。君達には至急、剣崎一真とジョーカーを捜索し、彼を救出、そしてあわよくばジョーカーを封印する。」 「これらの任務についてもらいたい。」 「分かりました・・・。彼は、必ず私たちが!!」 「そうです!!ジョーカー・・・絶対に許せません!!」 「急ごう。手遅れになる前に。」 部屋から出て行く3人の仮面ライダー。 ・・・部屋には、広瀬所長と天王路だけが残された。 「気合が入っていますね。」 「彼のことになると、ね。扱いやすくて助かるよ。」 「剣崎 一真・・・。彼は本当に、ジョーカーに取り込まれたのでしょうか?」 「さてね。どちらにせよ。彼がライダーシステムを持って逃げたのは事実だ。」 「彼女らには、せいぜい頑張ってもらうとしよう・・・。」 「あの子達には、ジョーカーの正体を、話してはいませんが・・?」 「剣崎君と一緒にいる人物が、ジョーカーだと伝えてある。なまじ知らない方がいい。」 「あくまで彼女らの敵は、人類を滅ぼす最悪のアンデッドなのだ。」 「・・・・あなたは、残酷な方だ・・・。」 「しかし、コレは君にとってもいい機会だろう?」 「は・・・?」 「これで彼を捕らえ、研究する口実が出来たわけだ。」 「君の不死の命の研究・・・。数年にわたった君の努力も、ようやく実を結びそうだね。」 「はい・・・・。」 「君の改造実験体たちも捜索に出したまえ。もちろん、ライダー達に気づかれないように。・・・面倒だからね。」 「ご心配なく。「彼女ら」はサーチャーには反応しません。」 「そうだったな・・・。」 「彼女ら仮面ライダーか、それとも君の子供達か、どちらにしても、私の計画は変わりはない・・・・。」 俺は、いつかと同じく、山小屋で目覚めた。 「う、ん・・・・。」 窓から朝日が差し、オレの目覚めを促す。 毛布がわりのタオルケットをどかし、立ち上がる。 それは一枚しかなかったので、二人で入って寝たのだ。 誰かと一緒に寝るのって、妹の一菜以外では初めてだった・・・。 ぐいぐいと腰を捻り、骨を鳴らす。 「始穂さん・・・・?」 見渡すと、彼女の姿はなかった。 もう起きてるのかな・・・。 外に出る。 ・・・・ああ。なんてすがすがしい朝。 全て捨て去って、真っ白に生まれ変わったオレの、はじめての朝だ。 こんな朝は、きっと生まれて初めてだ。 これから始まる、俺と始穂さんの新しい生活を思うと胸が高鳴・・・・。 ・・・・・・・・いや、やっぱり不安でいっぱいだ。 所帯を持つというのは、きっとこんな気持ちなんだろう。 身一つでオレについてきてくれた彼女に、苦しい思いはさせたくない。 ・・・・もうライダーとして給料はもらえないし。どこかで働かないと・・・。 経験を生かして、スタントマンかスーツアクターでもやろうかなぁ・・・・。 と、漠然とこの先のことを考えていると。 「おはよう・・・。」 始穂さんがいた。 「し、始穂さん!・・・おはよう。」 うう。 昨日、一緒に寝た事を思い出して、彼女の顔を見られない・・・。 「・・・・もう、さん付けはやめて。」 「え?」 「始穂って、呼んで。わたし・・・。そのほうが嬉しい。」 「し、始穂・・・・。」 「うん。・・・・一真。」 「あ、はは、あはははははっ!」 なんだかすごく幸せな気持ちになる。 好きな人に名前で呼ばれるのが、こんなに嬉しいなんて思わなかった。 ・・・そっか。きっと始穂さん・・いや、始穂も同じ気持ちだったんだな。 わあ、なんか・・・今思うとすごいな。始穂とこんなことになるなんて・・・。 「ねえ。朝ごはん、どうしよう?」 と。始穂が聞いてくる。 「う〜ん。じゃ、俺が作るよ!大丈夫。一人暮らし長かったから、料理は得意なんだ。」 「そう・・・。じゃ、私は食材を買ってくる。少しなら、あるから。」 「買ってくるって・・・。一人で行くの?」 「うん。・・・大丈夫。子供じゃないんだから。」 ・・・今頃は、BOARDも俺達を探しているだろう。 心配だな・・・。 1.俺も行くよ。二人なら荷物いっぱいもてるし。(でもその代わり、見つかる可能性も高くなるか・・・。 2.わかった。気をつけて。始穂。 3.じゃあ、俺も用事があるから。途中まで一緒に行くよ。(せめてバイトくらいは見つけないと・・・。 第58回『現れる追跡者』 「剣崎君・・・。待ってて、貴方は絶対に私が助けてあげるから・・・!!」 レッドランバスを駆るさくら。そう遠くには行ってない。彼女は必死に街を探していた。 「電話も繋がらない・・・。」 携帯電話を閉じる美月。 剣崎さん。貴方は私は何度も救ってくれました。今度は私が助ける番です! 決意も新たに彼女は割と遠くを探す。 「おにーさん・・・。」 管制室で、沈んだ様子の剣崎 一菜。 「大丈夫よ一菜ちゃん。おにーさんはみんなが、きっと見つけ出してくれるわ。」 広瀬さんが彼女の頭を優しくなでる。 「はい・・・・。」 ・・・ブルースペイダーのカメラは切られている。 彼女らに、彼を探す手立てはなくなっていたのだ・・・。 「じゃ、いってくる。」 と、振り返り出かけようとする彼女の手を、俺はぎゅっと掴む。 「え・・・・・・?」 「・・・・・・・・。俺は、君を守るって言った。だから、片時も君から離れない。一緒に行くよ。」 「も、もう。ばか・・・。」 「でも、嬉しい。・・・しっかり、守って。」 「うん。」 スーパーに寄り、今日一日の食材を確保する。 ・・・山小屋には冷蔵庫がないからな。 腐りやすいものは、そうだな。近くの川の中に沈めておこうか。袋に入れて。 あそこの水温は低いし・・・。 「始穂。やっぱり、ちゃんとした部屋に引っ越そうよ。」 買い物籠を下げながら、彼女に話しかける。 「うん。・・・山小屋じゃ、せっかく買っても、すぐにだめになる。」 「電気って大事だなぁ。」 「冷蔵庫に、サンダーのカードを刺しておけば大丈夫かもよ?」 「・・・・あは。それ、面白いかも。ああ。じゃあブリザードのカード、持っていればよかったな。」 「ふふふ。ねえ。一真。」 「何?」 「私たちって、やっぱり・・・・。恋人同士に、見られてるかな?」 「いや。下手したら新婚さんかもね。」 「・・・・一真、私とこういう事になって、後悔してない?」 「始穂・・・・。昨日の夜も言ったよ。・・・俺は、後悔してない。」 「うん・・・。嬉しい。」 そういって、始穂はオレに寄り添う。 それでまた回りの視線が刺さるのだが、俺はもう気にしなかった。 俺は胸を張っていえる。・・・彼女は、オレの大切な人だと。 バイクを引いて、人通りの多い街の中を抜ける。 「バイクに乗ったり、引いたりしてると、なんだか嫌だな。」 「え?なんで?」 「・・・だって、一真から離れないといけないから・・・。」 「・・・・・・!!」 「あはは。顔が赤いよ?一真。」 ・・・何つうか始穂は、こういう表現がストレートで、困る。 すごく素直なんだよな、始穂って。 やがて人通りがなくなる山道に差し掛かる。 「そろそろバイクで・・・・。」 「!!!!」 その時、始穂の表情が一気に険しくなる。 「・・・始穂?」 「一真・・・。何か、来る!!」 道の真ん中に現れた黄緑色の液体。 それが盛り上がったかと思うと、その中にあったベルト状のものを中心に、それは人の形を成していく・・・!! そしてそれは、赤と黒の不気味な姿の怪人となる。 「アンデッドか!?」 「いや、アレは・・・何か違う。」 『ケンザキ、カズマ・・・。』 「!?」 「オレの名前を!!?」 『オマエヲ、ホカクスル。オマエハ、ユルサレナイ・・・・。』 「なんだって!?」 その頃、広瀬所長は地下の自らの研究室で、ひらかれた巨大なケイジをまえに、親指をあわせていた。 「頼んだよ。私のかわいい子供達・・・。」 ひゅうっ!! 「!!?」 今度は後ろから、もう一体の怪人が現れた! こいつ、あの時の銀の怪人・・!! 『剣崎、貴方を捕獲する・・・。』 挟み撃ちか・・・!! 1.奴らの狙いは俺だ。君は、荷物を持って逃げて! 2.逃げて・・・って始穂。何をするつもり? 3.二人で逃げよう!もし俺が変身したら、サーチャーに引っかかる! 第59回「転落・回復・二人乗り」 『ケンザキ、カズマ・・・・。』 『捕獲する・・・。』 迫る二体の怪人。 俺は始穂をかばいつつ、奴らから距離をとろうとする。 「一真、何故変身しない!?」 「俺が変身すれば、BOARDのアンデッドサーチャーに引っかかってしまう。それだけはダメだ!」 「じゃあ、どうするの?」 「・・・・合図で、一緒にバイクに飛び乗って突破しよう。・・・・大丈夫、それで逃げ切れるさ。」 「・・・私は戦ったほうがいいと思うけど。・・・一真がそういうなら。」 「ありがとう。始穂。」 「・・・おい、お前ら何者だ?」 俺は二体の気を引こうと、話しかけてみる。 『オマエハ、ユルサレナイ・・・。』 「ちぇ。しゃべることは出来ても、こっちの言葉はわからないのか!」 『我々は、改造実験体・・・あの人の命令・・・お前を、捕獲・・・・。』 「!?」 もう一体の、銀の怪人がオレの話に反応した。 ・・・・改造、実験体? ・・・それに、あの人? 誰だ。誰の事なんだ。 『ホカク、ホカク・・!!』 『捕獲する・・・。』 バッ!! 「!!」 俺が考えをめぐらせていると、二体の怪人は、一斉にオレに襲い掛かった!! 「今だ始穂!!」 「ッ!!」 その掛け声と共に始穂はバイクに飛び乗る! 俺もその二体を転がってかわすと、ブルースペイダーに飛び乗った!! ビイイイイイイイイ・・・!! 俺達のマシンは、ぐんぐん奴らを引き離していく。 「うまくいったね。」 「ああ。・・それにしても奴らは・・・。」 『・・・・・・・・・。』 ドヒュイン!! パスッ!! 「うわ!!?」 「一真!!?」 後ろの方で銃声がしたと思うと、突然バイクの運転が効かなくなる! まさか・・・。 あいつ、この距離でタイヤに命中させたのか!!? 「うっ、うわ、うわああああああああああああああああああああああああっ!!!!」 暴れ馬となったブルースペイダーは、山道の横へ反れていく!! 「一真!そっちは崖が!!」 「!!」 ブレーキが、ブレーキが利かない!! バサバサガサガサガサ!!! 木の枝や草を掻き分け、なおブルースペイダーは止まらない。 「クソッ!!止まれ、止まれ!!」 ・・・・が、次の瞬間、視界が綺麗に広渡った。 「あ・・・・・・・・・・。」 見下ろす下は、地面がない。 「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」 俺はなす術なく、崖の下へと落ちていった・・・・。 「はぁ、はぁ、はあ・・・・!!」 それをおって、始穂が声のした方へとやってくる。 「はぁ・・・・!」 たどり着いた先は、崖だった。 ・・・・ブルースペイダーが走ったと思われる跡は、ここで途切れている。 「そんな・・・・。」 「一真、一真あああああああああああああああっ!!!!」 「・・・そうか。剣崎君は崖に落ちたか・・・・。」 二体の怪人から送られてくる映像を解析する、広瀬所長。 「君達は、その山の周辺を調査してくれたまえ。」 「大丈夫。彼なら、生きているはずだ。」 ・・・・なんだろう。 すごくあたたかい・・・・。 俺、崖から落ちたはずなのに・・・。 ゆっくりと俺は目を覚ます。 「・・・・・・・。」 『クルルルルルルル?』 「・・・・・・・・・・・。」 『クル?』 「うおわぎゃあああああああああああああああああああっ!!!!!!」 『クーッ!!』 オレの目の前には、・・・・その。 黒い仮面をかぶった、動物の顔が。 思わず悲鳴を上げる。 ・・・と、その悲鳴に驚いて、その動物も悲鳴を上げて逃げ出す。 いや。あれって動物か? 二本足でたって歩き、オレの様子を影からのぞきこんでいる。 「・・・お前、アンデッドか!?」 『・・・・・・・・・・。』 動かないそのアンデッド。 「いや、少しはリアクションしてくれよ。」 相変わらずオレを見つめている。 「調子狂うなぁ・・・。」 その背中には、大きなこぶが二つ。 優しいまなざしに臆病な姿勢。 ・・・・こんなアンデッドもいるのか。 「ふう。」 俺は警戒を解き、その場に座った。 で、上を見上げる。 崖が見える。俺が落ちてきた場所だろう。 そのまま視線を下に降ろすと、ぐしゃぐしゃにつぶれたブルースペイダーが・・・。 「おいマジかよ・・・。」 俺は立ち上がり、その残骸のもとへ行こうとする。 ・・・・・あれ? そういえば、俺。 たって歩けるのか? 改めて全身を見ると、所々服は破け、血に染まった部分もあるのに、俺自身はなんともない。 「傷が・・・ふさがってる!」 ・・・そこで、ふとさっきのアンデッドを振り返る。 『クル?』 くいと首を傾げるアンデッド。 「まさかこいつ、治癒能力を・・・。」 俺はふと思いつき、アンデッドとブルースペイダーを交互に見比べた。 「・・・・・。」 くいくいと手招きする。 「ちょっと、ちょっとこい。」 『クルルルル?』 とてとてとこちらに駆けてくるアンデッド。 ・・・・やばい。かわいいじゃん・・・。 「なあ、お前が、俺の傷を治してくれたんだよな?」 そういって血に染まる服を見せる。 『クル。』 どうやらそうらしい。 「じゃあさ、あれも直せないかな?」 そういって、ブルースペイダーを指差す。 『?』 だけど、アンデッドはそれを見て首を傾げるだけ。 「そっか。やっぱり、無理だよなぁ・・・・。」 『・・・・・・・・・。』 こいつ、じっとオレを見てる・・・。 ためしに頭をなでてみた。 『〜♪』 嬉しそうだ・・・。 こいつ、人間を襲おうとか、戦いに勝ち残ろうとか、全然考えてないんだろうなぁ・・・。 「全てのアンデッドが、お前みたいだったら良かったのにな。」 なんともなしに、そうつぶやいた。 『動くな!!』 『!!』 「!」 パシィィィィンッ!! その声がどこからかに響いたと思うと、光の矢がそのアンデッドに命中した! 『クルルルルルオオオオッ!!』 「な、誰だ!!」 『・・・・・・・・・。』 草むらから姿を現したのは、カリス。仮面ライダーカリスだった。 「カリス。・・・・・お前、無事だったのか。」 『・・・無事だったか?それはこっちの台詞よ。・・・・安心した。』 ・・・・? こいつ、しばらく会わないうちに女言葉に? 「おまえ、何でそんな女しゃべりしてるんだ。」 『・・・・・・・・・?あ、そうだった。』 カリスは腰のラウズバンクからカードを一枚取り出すと、それを腰のラウザーに入力する。 『SPIRIT』 光る変身のフィールドが、カリスの目の前に現れる。 それを通り抜け現れたのは・・・。 「・・・一真。」 「・・・!!始穂!!君が、君がカリスだったのか!?」 「うん。・・・今まで黙っててごめん。」 「そうか、俺は今までそうとは知らずに君と・・・。ごめん!」 「ううん。黙ってた私が悪いの・・・・。」 『クルルルル・・・・』 「あ!」 忘れてた。こいつ! 光の矢を受けて、苦しがっている。 「・・・・一真。何であなた、そのアンデッドといるの。」 「こいつが、オレを助けてくれたんだ。」 ・・・俺は彼女に事情を話す。 「そう、だったの・・・・。」 「ああ。だからさ、こいつを封印するの、勘弁してくれないかな?こいつ、きっといいアンデッドだと思うんだ!」 「・・・・一真の恩人を、私は封印する気はないわ。見逃してあげるから、さっさとどこかへ消えなさい。」 そういって始穂は、威圧的な視線をそのアンデッドに向けた。 『クル、ルルル・・・・・・・。』 するとアンデッドは、すごすごと山奥に消えていった。 「あいつ、人に慣れてたみたいだったな。」 「・・・・そんなことより、本当に身体は大丈夫なの?」 「ああ。どこも痛くないよ。あんなところから落ちて、なんだか嘘みたいだ。」 「・・・・よかった。じゃあ帰りましょう。色々あって、もうお昼だから。」 「そっか。・・・・ああ。ブルースペイダーは隠しておくよ。見つかると面倒だし。」 「うん。手伝う。」 「助かるよ。始穂。」 「これでいいかな。」 草むらの中に隠し、ツルやら草やらをかけてごまかす。 「うん。じゃ、一真は私のバイクの後ろに乗って。」 「ああ。」 「ふふ・・・。」 「どうした?」 「これで、一真と離れなくて済む。そしたら、嬉しくなって来て。」 「・・・・・・・・・・・・・・・。」 だ、だからさ、そういうストレートな表現は・・・。 まあ、とにかく、俺達はその仮の住まいである山小屋へと、バイクを走らせた。 それにしても・・・・。 あの二体の怪人。一体何者なんだろう・・・・ さて、明日はどうしよう? 1.バイトを探しに、町へ出る。 2.部屋を探して、始穂と共に不動産屋へ。いや、先立つものはあったか・・・? 3.もう少し山小屋を楽しむ。山の奥へ踏み入ってみる。 第60回「向けられる銃口」 「えええ?」 銀行のATMの前で、素っ頓狂な声を上げる・・・・俺。 「給料・・・・入ってない!?」 待たせていた始穂の元へ戻る。 「どうしたの?・・・昨日、給料日のはずでしょ?」 「うん。でも、それが・・・。」 更新された預金通帳をみせる。 「十万円、ないんだ・・・・。」 「部屋を借りるなんて、無理だね・・・・。」 「ああ・・・。始穂。俺、君には苦しい思いはさせたくなかったのに。」 「ううん。・・・・一真、一人で無理しないで。」 「私達、助け合って生きていこう。・・・わたし、一真だけに苦しい思いはさせない。・・・その気持ちは、一緒。」 「始穂・・・・。」 きゅっとその手を握る。 始穂はそれにあわせてにこっと笑った。 そうだよな。俺達は助け合って生きていく。 こういうのが、家族って・・・・。 って、もう結婚したみたいじゃないか・・・。 結婚か・・・。 アンデッドである彼女に、きっと籍とかないんだろうなぁ。 それに子供とか、作れないんじゃないかな。 不死の生き物に、子孫を残す必要はないし・・・・。 「って、何考えてるの俺!!?」 思わず考えを声に出す。 「・・・・一真?」 オレのすぐ横で、不思議そうな顔を向ける始穂。 子供を作るってことは、その、始穂と・・・・・。 「一真。」 「は、はいぃぃ!!!」 考え事をしている時に声をかけられて、つい変な返事を返す。 「・・・・作ろうか。」 「えっ、ええええええええええええ!!?」 何で、何で始穂がオレの考えてることを!!? いや、ダメだよ始穂!俺達まだ職も家も何もないんだからさ! でもでも、俺も男だし、それなりにそういうことには興味があるわけで・・・。 いや、そんな勢いに任せて後で後悔を 「・・・お金。」 「・・・・・・・・・・・・・へ。」 「人間の世界で生きていくには、やっぱりお金が必要だし・・・。私も働く。一真。」 「・・・・・・・・。」 な、なんだ・・・・。 ほっとしたようながっかりしたような・・・・。 「ねえ。始穂。」 街の中を、始穂とそのバイクを引いて歩く。 「・・・なに?」 「つい最近まで、ライダーだアンデッドだって街中駆け回ってたのに、今って、すごく普通って感じがする。」 「好きな人と、自分の生きる礎を固めようと駆け回ってる。きっとこういうのが、普通に生きる男女のやることなんだろうなって。そう思うんだ。」 「・・・私は、普通じゃない。」 「始穂・・・・。」 「ばか。始穂は始穂だ。アンデッドとか、人間とか、関係ないよ。」 「あ・・・・。うん。そうだった。ごめん。一真・・・。」 そっと寄り添う俺達。 そうだ。これからもきっと。彼女と・・・・。 「でも、その夢もここで終わりよ。」 「「!!!!?」」 俺達はバッと後ろを振り向いた。 「お久しぶりね。・・・剣崎君。」 「橘、さん・・・・。」 なんてことだ。街の雑踏の中、彼女の気配にまったく気がつかなかった・・・!! 「場所、変えましょう。」 俺達は、大きな橋の下へとやってくる。 「剣崎君。戻りなさい。」 「嫌です。俺は、彼女と生きていく。彼女をずっと、守っていくんだ!」 「目を覚ましなさい剣崎君。あなたはジョーカーに取り込まれているのよ。その女に・・・。」 「・・・・・・・・・。」 二人の視線が重なる。 「・・・・まさか本当に貴女がジョーカーだったとはね。」 「・・・・・・・。」 「剣崎君を取り込んで、どうするつもり?貴女はアンデッドよ。人間の彼をどうしようって言うの!」 「私は一真と生きていく。・・・・ずっと。」 「ジョーカー。あなたが最後に生き残ったとき、世界は滅亡する。・・・・・私は人類を守る。」 「待ってください橘さん!!」 「・・・剣崎君。貴方には、もう給料は振り込まれないわ。貴方の動きを封じる手だったけど。うまくいったみたいね。銀行を張っていて正解だったわ。」 「う、く・・・・・。」 「帰ってきなさい剣崎君。美月ちゃんも、一菜ちゃんも、烏丸主任も広瀬所長も貴方を心配している。」 「それに、わたしだって・・・・。どんなに、どんなに貴方が心配だったか!!」 「橘さん・・・・。」 「・・・馬鹿を言わないで。一真は私を求めてくれた。アンデッドも人間も関係ないって。あの夜全てを捨ててくれた。」 「私たちは・・・・私達の絆は、誰にも切り離すことは出来ない。」 「始穂・・・!」 「・・・・ジョーカー。アンデッドの貴方が、人間の愛を語るって言うの?」 懐からベルトを取り出す橘さん。 「貴女は放っておけない。仮面ライダーとしても、・・・・橘 さくら個人としても。」 「変身。」 『TURN UP』 橘さんは、ギャレンへと変身した・・!! 「さあ、剣崎君から離れなさい!!」 1.みんなが心配してる。・・・俺は、決意が揺らぐ。 2.帰らない。・・・・俺には、始穂が全てだ! 3.始穂をつれてBOARDへいく。俺が説得すれば、きっと分かってくれる。始穂は、世界を滅ぼしたりしないって・・・!! 第61回「引き離された二人」 「橘さん。俺は、彼女から決して離れない!!」 「・・・・そう。なら私は、貴方を倒さなくてはならないわ。力づくでも連れて帰るから!」 「いえ。・・・・俺は橘さんとは戦いたくない。」 「ならどうするの?戦わないで見逃すほど、私は甘くないわよ。」 「一真・・・・?」 きゅっと寄り添ってくる始穂。 「・・・・俺は、BOARDに戻る。」 「!!!」 「剣崎君・・・。」 「でも、俺は彼女をあきらめるわけじゃない!俺は広瀬さんや天王路さんに訴えるつもりです。」 優しく、始穂の頭をなでる。 「彼女は・・・。世界を滅ぼすような存在じゃないって!」 「・・・・・・・・・・。」 「いいわ。そういうことなら。」 「私が先導するわジョーカー。・・・・剣崎君を連れて、逃げようなんて思わないほうがいいわよ。」 「・・・私を、その名で呼ぶな。私は相川 始穂だ。・・・一真が呼んでくれる名前だ。」 「あなたも・・・。そう人間を気取らないで。癇に障るわ。」 こ、こええ・・・・。 女の戦いって奴ディスか・・・。 所長室の椅子に腰掛ける天王路さん。 俺と始穂、それにBOARD主要メンバーがそこに集まっていた。 「・・・君の話は分かった。」 「じゃ、じゃあ!」 「しかし天王路さん!彼女を封印しなければ世界が・・・!!」 橘さんがそれに割って入る。 「・・・・・いいんだよ。橘君。剣崎君の訴えを信じようじゃないか。」 「は、はい・・・・。」 「だが彼女、ジョーカーを野放しにするわけにはいかない。我々の施設で保護を受けてもらうよ。」 「・・・・保護?監禁の間違いじゃないのか。」 始穂が食って掛かる。 「やめろ始穂!」 「・・・・・・・・。」 「ふふ・・・。本当に君たちは信頼で結ばれているかのようだ。」 「剣崎君。君が研究所に戻ってきてくれたこと、私は非常に嬉しく思う。」 「天王路さん・・・。」 「君は全てを捨てたといっていたようだが、君は数多くの心配する者がいる。そのものたちの気持ちを、君は考えたことがあるかね?」 「・・・ここにいる橘君、上城君、君の妹である一菜君、烏丸君、もちろん、私や広瀬君もそうだ。」 「はい・・・・。」 「もう一度、考えてあげたまえ。君の身体は、その彼女のためだけにあるのではない。」 「・・・・・・・・・・・・。」 「まあ、それはともかくとしてだ。」 「はい。」 「彼女をここで保護する以上、君もここにいることになる。それでいいかね?」 「・・・・・・・・・はい。」 「監視をつける。君はここを抜け出そうと考えるかもしれないからね。」 「・・・もちろんライダーシステムは剥奪させてもらうよ。」 「そうなる、でしょうね・・・。」 「心配しなくてもいい。この処置は一時的なものだ。君が再びBOARDに協力してくれるというのなら、再びその手にベルトを渡そう。」 「ブレイドの適合者は、君しかいないのだからね・・・・。」 「・・・・はい。」 「ではそういうことだ。広瀬君。彼女の部屋に案内してやってくれ。」 「はっ・・・・。」 そういって広瀬さんが、始穂の横に立つ。 「一真・・・・。」 不安そうにオレを向く始穂。 「大丈夫。またすぐにあえるよ。」 「うん・・・・。」 少しだけ、彼女は微笑んでくれた。 ・・・と、そのとき、 がちゃ。 「遅れて申し訳ありません!」 新名さんが、そのドアを開けてやってきた。 「新名君・・・。一体どうしたというのだね?」 「は。連絡を受けて帰還途中に、アンデッドと遭遇しまして。少し封印に時間をとられたようです。」 「そうか・・・。君の活躍は目覚しいものがある。アンデッドは残りわずか。頑張ってくれたまえ。」 「は・・・・。」 新名さん、流石だな・・・。 ・・・・・・・・。 ・・・・・・? 始穂? 新名さんを見る始穂の顔が、だんだん険しくなって・・・・ 「貴様アアッ!!」 「な、何ッ!!?」 「えええっ!?」 いきなり始穂が、新名さんに飛び掛った!! 「な、何だというのだ、やめさせろ!!」 不意をつかれた新名さんは、床の上に仰向けに転がり、始穂はその上にまたがりマウントポジションを取った! 「何故貴様がこんなところにいる・・・!?」 問いかけながらも、その両手は新名さんの首を締め上げる!! 「や、やめろ始穂!!」 始穂の後ろから、彼女の両腕を掴む! 「離せ一真!こいつは!こいつは!!」 バチィン!! 「・・・・・・・・・・・・・ッ」 「あ・・・・・・・・。」 乾いた音が響いた。 始穂の前のほうを見る。 「・・・・・・・。」 「橘さん・・・。」 彼女がその手を、始穂の頬に振るったようだった。 「天王路さん。やはり彼女は危険です。」 立ち上がる橘さん。 「げほっ、ごほっ・・・・。」 起き上がり、咳き込む新名さん。 ・・・どうやら、手遅れにはならなかったようだ。 「・・・・橘君の、言うとおりだな。」 「て、天王路さん!?」 「彼女を拘束具で動けなくし、地下のケイジに閉じ込めよう。・・・・広瀬君。」 「はっ。」 「そんな!!彼女は、彼女は人間です!」 「・・・いいえ。ジョーカーよ。」 「橘さん・・・。」 「貴方も見たでしょう?今の彼女を。まるで獣のような目をしていたわ。そんな奴を、自由になんてさせられない。」 「そんな・・・・・。」 「・・・・・・・・。」 俺は、しゃがみこむ始穂に視線を送った。 「何で、何でだよ始穂!何で新名さんを襲ったんだ!」 「・・・私が、仮面ライダーだからじゃないのか?」 「新名さん・・・・。」 「部屋に入ってきたばかりで、油断していた私を始末しようとした。・・・そんなところだろう。」 「彼女にとって、私はアンデッドの敵、仮面ライダーだからな。」 「よくも、ぬけぬけと・・・・!!!」 そんな彼女に、にやりと笑みをやると、 「天王路さん。彼女は私が連行、監視しますよ。これ以上、私のような犠牲者を出さないようにね。」 そう天王路さんに申し出た。 「うむ。頼むよ新名君。」 「はい。」 新名さんは、しゃがみこんでいた始穂の髪をぐっと掴んで立ち上がらせた! 「う・・・っ!」 「な、新名さん!!?」 「・・・剣崎君、君も早く目を覚ますことだ。こいつはこんな姿をしているが、その正体はジョーカー・・・。世界を滅ぼす死神なのだからね。」 「ううう・・・・。」 俺は何も言えなかった。 今この状態で彼女を弁護しても、まともに聞こえるはずがない。 彼女が、新名さんを襲ったのは間違いないのだから・・・・。 「・・・おい。いるか。」 「はっ!」 部屋の出入り口に新名さんが呼びかけると、そこから彼の部下のアンデッドハンターの構成員が現れた。 「・・・こいつを地下にぶち込め。気をつけろよ?こいつはアンデッドだ。何をするか分からないからな・・・。」 「了解です!・・・さあ、こい!」 数人に抱えられ、始穂は連れ出されていく。 「し・・・始穂!!」 その痛々しい姿に、俺は飛び出そうとした。 でも。 「あきらめなさい、剣崎君!!」 「!!」 ・・・・橘さんに止められる。 新名さんと始穂は、ドアの向こうに消えていった。 「始穂・・・・・・・・・・。」 「さて、彼の監視だが・・・。広瀬君。」 「はい。」 「剣崎君は彼女を逃がそうとするかもしれない。部屋の中と入り口、一人ずつ監視をつけたまえ。」 「はっ。・・・・いいね、剣崎君。」 「・・・・・・・・・・・。」 俺はドアに両手と額を突き、余りの無念に、何も答えなかった。 1.橘君。部屋の中の監視は君に任せたい。いいかね? 2.美月君。君の力で、彼の心を癒してやってくれないか? 3.・・・一菜君。積もる話もあるだろう。お兄さんと二人で過ごしたまえ。 4.私の用意した見張りをつけよう。・・・きっと剣崎君も気に入ると思うね。 第62回「消えた彼女」 俺は、元・自分の部屋へと通された。 所長室からのその道中、口を閉ざしたまま・・・・。 「・・・・。」 始穂・・・・。 突然新名さんに襲い掛かった始穂。 理由は聞けずじまいだった。 今頃、彼女は暗い地下室で自由を奪われて・・・。 「くっ!!」 嫌な想像に、顔をしかめる。 どうして、どうしてこんなことになったんだ・・・。 俺達はただ、そっとしておいて欲しかっただけなのに。 彼女が、人間じゃないというだけで、世界を滅ぼす、ジョーカーだというだけで、 「どうしてそんな目に合わされなきゃいけないんだよッ!!!」 「!!!!」 びくっと、同じ部屋に入っていた少女が、身体を震わせた。 「あ、ごめん・・・・。」 つい考えが口に出てしまった。 「あ、いえ・・・・。」 おずおずとこちらを伺う少女、美月ちゃん。 広瀬さんが、オレの監視役に選んだのは彼女だった。 ・・・まあ、そりゃ名も知らない男と部屋で二人っきりになるよりはいいけど。 「剣崎さん・・・・。」 「ん?」 「あの女の人が、心配なんですか?」 ・・・・さっき俺が口に出したことについて、気になっているようだ。 「・・・・ああ。すごく心配だ。今すぐにもここを出て行って、彼女を助け出したいよ。」 思うままを伝える。 「そう、ですか・・・・。」 「ああ。」 「・・・・・・・すごく久しぶりな気がします。」 「・・・なにが。」 「剣崎さんと、二人きりで過ごす時間、です。」 「ああ・・・・・・。」 そういえば、そうかもしれない。 美月ちゃんがBOARDに入った頃は、初めての後輩の指導を頑張ろうと燃えていたのに。 いつの間にか、俺はハカランダに通うようになって・・・・。 始穂を・・・。 「剣崎さんは、いつも私の憧れでした。」 「・・・・・・?」 「私が剣崎さんに始めて助けられたときから、ずっと、ずっと私、剣崎さんにもう一度会いたいって、思ってたんですよ?」 「それから、アンデッドにつかまって、また助け出してくれた時、夢なんじゃないかって思いました。」 「だって、出来すぎでしたから・・・・。」 「・・・・・。」 「きっと、剣崎さんみたいな人が、ヒーローって、英雄って呼ばれるんだと思います。そんな剣崎さんに、私はずっと憧れていたんです。」 「・・・・ちがうよ。美月ちゃん。」 「え?」 「・・・・俺は英雄なんかじゃない。好きな女一人守れない、情けない男だ。」 「でも!剣崎さんは今までたくさんの人たちを助けてきました!私や、橘さんも。」 「いや。・・・・今の俺には、たった一人の大切な人。その人を守れなきゃ、俺には何もなくなってしまうんだ。」 「その人を救えなきゃ、どれだけのたくさんの人たちの命を救っても・・・・。」 「・・・・変わりましたね。剣崎さん。」 「・・・え?」 「ついこの間まで、剣崎さんは全ての人たちを救いたいって、とても頑張っていたのに。」 「やっぱり、あの女のせいですか?」 「美月ちゃん。「せい」なんて言うなよ。始穂は悪くない。こうなったのは、オレの勝手だ。」 「そんなに・・・、そんなにあの女が大事なんですか!?」 「大事だよ。・・・・世界で、一番。誰よりも、何よりも。」 ・・・即答だった。 「どうして・・・・・。」 ・・・俺には、何故彼女が始穂について、ここまで憤るのか分からなかった。 彼女が、以前までのオレに、全てを救いたいと願ってたオレに、憧れていたからだろうか? 「それなら・・・。わたしが、私が剣崎さんの一番大切な人になりたかった・・・・。」 消え入るような声で話す美月ちゃん。 その声は、考えをめぐらせていた、オレの耳には届かない。 「美月ちゃん、何を・・・・。」 ダンダンダンッ!!! 「「!!!」」 その時、突然外から乱暴なノックの音が! 「きてください!剣崎さん、美月さん!!」 「・・・・・・・?」 俺達は顔を見合わせる。 「地下で、ジョーカーが、新名さんが・・・!!」 「な、なんだって!?」 地下の拘束室。 そこで彼女は両手両足を封じられ、固定された椅子に縛り付けられていた。 その姿はまるで、捉えられた凶悪犯のようで・・・。 私は何をやっているんだろうな。 始穂はそう考えた。 そもそも自分はアンデッド。 アンデッド同士の戦うバトルファイトを勝ち抜くためだけに、たった一人で何億年も生きてきたというのに。 何故たった一人の人間のために、こんな目に合わなくてはならない? が、彼女の頭に浮かぶそんな弱い考えも、記憶の中の彼の笑顔を思うだけでかき消される。 ・・・・そう、今の彼女にはバトルファイトも、アンデッドもない。 彼こそが彼女には唯一無二。 何物にも代えがたい存在。 彼のためになら、彼女はどんなことにも耐えられた。 だが・・・・・。 「いい格好だな。ジョーカー。」 「・・・・!!」 拘束室の窓から覗き込む視線が一つ。 ・・・あの男だ。 「カメラやマイクは全て切ってある。お前が何をしようと、誰にも知られはしない。」 「・・・・・アンデッドが何故こんなところにいる?何故仮面ライダーになってアンデッドと戦う?」 始穂は拘束されてはいたが、口や目など、顔にはなにも制限はつけられていなかったのだ。 「決まってるだろ?人類の平和のため、アンデッドは倒さなくっちゃな。」 「・・・嘘をつけ。お前がライダーになったのは、効率よく他のアンデッドを倒すためだろう。」 「他のライダーに混ざり、全てのアンデッドを封印し、バトルファイトの、勝利者になるために。」 「ヒヒヒヒヒヒ・・・・イイィーッヒッヒッヒッヒ!!!」 「!!」 「ご名答だ・・・・・ジョーカー。」 「そうだ。俺はこのままBOARDの仮面ライダーとして、最後のアンデッド封印まで、誰にもその正体を明かすつもりはなかった。」 「そのほうが、下手に戦うよりも遥かに効率がいい・・・・。」 「今回のバトルファイトは、なぜか封印の石が現れないからな。コレがベストだと俺は考えた。」 「封印の、石・・・・。バトルファイトのマスター。」 「そう。・・・・・オレの計画は完璧だった。」 「アンデッドを封印し、人間どもを信頼させ、オレのこの研究所内での信頼はゆるぎないものとなった。」 「だが・・・・・・。お前が現れた。」 「・・・・・・・・・変身。」 ドアの向こうで、フィールドを通り抜ける音がする。 「ハァッ!!」 ズドオオオオオンッ!!! 「!!!?」 その次の瞬間、この拘束室の分厚い扉が破られた。 その向こうからは、青く輝く槍を備えた仮面ライダーの姿が・・・!! 「オレの正体を知るお前をここで始末する。・・・・何、誰もオレに文句は言わないさ。」 「拘束中のアンデッドが逃げ出した。俺はそれを追って封印した。・・・・どこも不自然な点はない。」 「貴様・・・・・!!」 『MIGHTY』 仮面ライダーランスは、そのたった一枚だけの己のスートのカードをラウズする。 「・・・動けないお前には、コレで十分だ。」 飛び出した画像をその槍で巻き取り、唯一最大の技を放つ準備を整える・・・・。 「あばよジョーカー。お前のカードは、全てのアンデッドを封印した後、俺が有意義に使ってやる。」 「万能の力を得るオレの邪魔をするだろう、仮面ライダーを始末するためにな。」 「お前の男は、お前のカードで死ぬことになるのさ!」 「!!!」 「食らえ、ジョーカー!!!」 『!!!!!』 その時、彼女の身体が緑に光った。 「!な、何・・・!?」 『ウウウウウウウウ・・・・・・・・』 『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!』 彼女を縛る拘束具は全て蒸発し、その姿は、黒い異形の姿へと変わっていく・・・!! 「ぬああああああああっ!!本性を現したか、ジョーカーッ!!」 ランスはその槍にこめた最大の技、インパクトスタッブを放った! 襲い掛かるその槍の威力は、他のライダーのカード3枚技にも匹敵する! だが、 ガシィィィィンッ!! 「何ッ!!?」 それを事も無げに素手で受け止めるジョーカー。 『ウオオオオオオオッ!!!』 素手で止めた腕とは別の腕から「J」型のダガーを取り出し、ランスの胸を突いた!! ガキィン!! 「うおおおッ!!?」 後ろへと後退するランス。 だがそれを、ジョーカーはすぐに間合いを詰め、その左手を顔面に振るった! 「ぐああああああっ!!!!」 ドガアアアアアアアアンッ!!! その威力でランスは、拘束室の壁を突き破ってしまった。 「ハア、ハア、バカな・・・コレほどの力とは・・・ッ!!」 研究所内で、サイレンが鳴り始めていた。 これほど派手に物を壊せば、例えカメラを切られていても気づかれる道理だ。 「お、おのれ・・・・!ジョーカーッ!!!」 槍を振るい、再度襲い掛かるランス。 しかし、繰り出される雨のような突きも、ふり抜く槍の一撃も、ことごとくかわされて行く。 「ぬああああああああっ!!!」 怒号と共に放たれる、渾身の突き! だがそれをジョーカーは、飛びのいてかわした。 「そんな・・・俺は、俺は仮面ライダーになったんだ。アンデッドの・・・アンデッドの天敵たるライダーに!!」 『ウヌヌヌヌヌヌ・・・・。』 ジョーカーはその手に持つダガーに、エネルギーを溜め始める・・・。 「俺が、負けるかああああああアアアッ!!!」 最後の力をこめ、槍を投擲する!! 『ウヌオアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!』 ジョーカーもそれにあわせ、その手のダガーを投げつけた! ジョーカーのエネルギーを帯び、緑に輝くダガー。 回転するその刃は、ランスラウザーとぶつかったかと思うと、 バキィイィィィンッ!!! 「な!?」 その槍の柄をへし折り、 「バカなアアアアアアアアアッ!!!!」 ザギィィィンッ!!! ・・・ランスを切り裂き、 ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!!! その後ろの壁を破壊した。 崩れる壁の向こうから、現れる通路。 どこかの地下道と繋がっていたらしい。 『ウウウウウ・・・・・・・。』 「始穂ーッ!!!」 『!!』 その時、騒ぎを聞いて橘と剣崎、美月がその場に現れた! 「こ、これは・・・・・・・・!?」 非常階段から見下ろしたその地下室は、もう崩壊寸前だった。 破壊された拘束室。 突き破られた壁。 横たわる仮面ライダーランス。 立ち尽くす、見たこともないアンデッド。 ・・・・・誰が見ても、状況は明らかだった。 「あ、アレが、ジョーカー・・・!?」 『ウウ・・・・。カズ・・マ・・・・。』 「始穂!?始穂なのか!!?」 「ダメよ剣崎君!行ってはダメ!!」 飛び出そうとした剣崎を、橘が止める。 「橘さん!?」 「アレはもうアンデッドよ!貴方の知る、相川 始穂ではないわ!!」 「でも、でも俺は、彼女を守るって言ったんだ!!」 「現実を見なさい!!」 「!!!!」 ・・・崩れ行く地下室の中、俺は「彼女」を見た。 拘束室を破壊したのも、監視していた新名さんを倒したのも、壁を壊し、逃げ出そうとしているのも、 全て、彼女の仕業としか思えない。いや、思ってはいけない! だって彼女がそんなことするはずない。彼女は、彼女は俺と一緒に生きるって・・・。 「美月ちゃん!ここはもう崩れるわ。貴方は剣崎君を連れて上へ!」 「橘さんは!?」 「私は新名を助けるわ!さあ早く!!」 「はい!!さあ剣崎さん・・・。」 「始穂・・・始穂・・・・・。」 「変身!!」 『TURN UP』 階段の外に飛び出した映像を、飛び降りながらくぐり、変身する橘。 「新名!しっかりしなさい、新名!!」 「ウウ・・・ジョーカー・・・。」 「まだ生きてる・・!!」 ギャレンは彼に肩を貸し、階段へと向かう。 『オオオ・・・オオオオ・・・・・。』 そのギャレンに向かって、ジョーカーは救いを求めるように手を伸ばした。 「!!」 ドヒュイドヒュインッ!! 『ウウウッ!!?』 肩を貸す逆の腕を脇から後ろへ通し、ギャレンラウザーを放つ! 「貴方のいるべき場所は、ここではないわ。剣崎君にはもう、近づけさせない。」 ギャレンは急いで、崩壊する地下室から脱出していった。 『ウウウ・・・カズマ・・・・・・・・。』 『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!』 地下室は崩落し、ジョーカーは何処かへ消えた。 君は・・・・どうする? 1.彼女を探す。俺には、それしかない。俺は彼女を信じてる。 2.拘束室を破壊し、新名さんを襲い、逃走したジョーカー。・・・やはり彼女はアンデッドだ。俺が、この手で・・・。 3.俺にはわからない。何が正しいのか、何が間違ってるのか。俺は、どうすればいいんだよ・・・・。 第63回「備えるものたち」 「ジョーカーが、行方不明・・・?」 天王路さんが不機嫌そうに聞き返す。 不安に表情がゆがむ研究員。 「は、はい。崩落した拘束室には、壁が破られ抜け道が出来上がっていたと報告が・・・。おそらくそこから・・・。」 「恐るべきはジョーカー・・・・か。」 「剣崎 一真を拘束せよ。彼は必ず彼女を追う。」 「出せ!!こっから出せ!!」 分厚いドアを叩き続ける。 「いきなりこんなとこに閉じ込めて・・・!何だって言うんだ!」 「・・・・・おとなしくしていたまえ。剣崎君。」 その扉の向こうから、小さく声が聞こえてくる。 「広瀬さん・・・。」 「君は事が収まるまでここいいるんだ。・・・・いいね。」 事が、収まるまで・・・? それって・・・・、始穂を、始穂を封印するって事か・・・? それまで、オレに出るなって言うのか・・・? 「広瀬さん!始穂を、彼女を封印するんですか!?」 「・・・・もう君は関わらない方がいい。おとなしくしていることだ。」 「そうなんですね!広瀬さん!オレを出してくださいよ!!」 「全て二人に任せておくんだ。・・・いいね。」 足音が遠ざかっていく・・・。 くそ、どうすればいいんだ! このままじゃ始穂は封印されてしまう! 俺は・・・彼女を守れないじゃないか!! ・・・俺は始穂を信じてる。どんなことがあっても。 新名さんを襲って、外に逃げ出したのだって、きっと何か理由があるはずだ! ・・・・確かに状況は始穂に不利だ。 でも、俺は始穂を絶対に裏切らない! 助けて見せる、絶対に! ・・・・・・・・・・。 まあそれは、ここから出てから、だな・・・。 さて、どうやって脱出しよう・・・。 「天王路さん。少し伺いたいことがあるんですが。」 そういって、所長室の椅子に座る天王路を見つめるのは・・・烏丸主任。 「なんだね。烏丸君。」 「貴方の目的は、なんなんですか?」 「BOARDを作り、仮面ライダーを作った理由はなんです?」 「・・・これは妙な事を言うね。私がこのBOARDを作り上げた理由、それは人類の進化の起源の探求、そして不幸な事故で復活してしまったアンデッドの封印。」 「コレが全てだよ烏丸君。・・・他にどんな目的があるというのだね。」 「では、何故人工アンデッドのカードを作っているのですか?」 「・・・・私が新名君に与えたベルトの事かね。」 「ええ。あれにはどのスートにも属さない、正体不明のカテゴリーAが使われています。」 「BOARDは人工のアンデッドを作り、何をしようというのです?」 「私が作らせたのは人工のアンデッドではなく、人工の仮面ライダーだよ。もちろんその目的は、アンデッド封印の戦力補強だ。」 「では、全てのアンデッドを封印した後、そのカードはどうなさるつもりですか?」 「人工アンデッドのカードも、オリジナルの53枚のプライムベスタと共に永遠に封印しよう。戦いのない世界に、仮面ライダーは不要だ。」 「そうですか・・・・。分かりました。その言葉、信じます。」 きびすを返し、所長室を出て行く烏丸主任。 「烏丸君は気がつき始めているな・・・・。」 「彼をこのままにしておけば、色々都合が悪そうだ。」 懐から携帯電話を取り出す。 「・・・・・広瀬君かね?」 『ハァ、ハァ・・・・・。』 何故だ。何故もとの姿に戻らない。 黒い異形、ジョーカーの姿となったままさまよう相川 始穂。 その黒い指を見つめる。 こんな、こんな姿じゃ一真に会えない。 でも、でもどうしたらいいの。 『ウ、ウアアア、ア、アアアア・・・・・・・・。』 苦しんでいるとも、泣いてるとも取れる声を上げ、ジョーカーは歩き続けた。 「へえ・・・・。ついに本当の姿に戻ったって訳だ。」 『!!!』 そこには、まだその顔に幼さの残る少年・・・キングがいた。 「残酷な死神。ジョーカー・・・。」 『ウウウウ、ウアアアアアアアアアッ!!!』 「噂じゃ一真と駆け落ちしてるって聞いたんだけど?さて、一真は君を見捨てたのか、はたまた引き離されたのか・・・。」 「・・・・・・・・・・・・・。面白いこと、思いついたな。」 ジョーカーの前で、無防備な姿をさらすアンデッドの少年。 抑えられない・・・戦いの、狩りの衝動が、ジョーカーの本性が・・・!!! 『ウウアアアアアアアアッ!!!』 その手のダガーを、キングに向かって突き出した! ガキィィン!! ・・・が、キングの目の前の空間に、巨大な盾が出現し、それを防いだ。 「残念・・・。僕は誰にも傷つけることは出来ない。」 『ウウウウウ、ウウウ、ウ・・・・・・・・』 「ジョーカー・・・・。僕は、アンデッドの精神を操ることが出来る。」 「君の力、僕のものだよ。」 さあ、どうする? 1.食事を持ってきた研究員を襲う。・・・ありきたりだよなぁ。 2.仮病を使う。でも俺、役者の才能ないんだよな・・・。 3.一菜に頼んで、こっそり出してもらう。あいつは、俺と始穂さんの仲を認めていた。 4.もう少し、様子を見る。 第64回「脱走!BOARD研究所」 「一菜か・・・。彼女ならオレを逃がしてくれるかも。」 あいつはそもそも、俺と始穂がくっつくきっかけを作った奴だ。 俺と彼女が一緒にいると、喜んでいた一菜。 始穂がアンデッドと分かった今でも、俺との仲を応援してくれるはず。 オレを、ここから逃がしてくれるはずだ。 でも、あいつ。ここに来るのかな・・・・。 ・・・・・・・・・。 その。根本的な問題が。 携帯電話も取られてるし・・・。 こんこん。 「!」 ノック・・・。 「おにーさん!」 「一菜ァ!!?」 驚いた。こんな都合よく一菜が来るなんて。 これぞまさに兄妹だけの持ちうる気持ちの共感、以心伝心(?)という奴だろうか! 「見張りの人にはお帰りいただきました。烏丸主任の言いつけなんです。」 「烏丸主任の・・・?」 なんだ。ただの偶然か・・・。 でも、烏丸主任が何を? 「鍵は開いています。出てきてください。」 「あ、ああ。」 ガチャリと重い扉を開く。 「おにーさん!」 そこには、以前と変わらぬ一菜の元気な姿が。 「一菜・・・。烏丸主任は、何で・・・?」 「はい。主任はおにーさんにコレを渡すようにと。」 「これは!?」 それは天王路さんに剥奪されたはずの、オレのブレイバックル・・・。変身ベルトだった。 「主任はご自分の身の危険を感じて、研究所からひそかに脱出しました。」 「危険・・?」 「はい。詳しいことは聞かされませんでしたが。とにかくおにーさんもここから脱出して欲しいとのことです。」 「それと、もう一つ言付けられたことが。」 「何?」 「はい。「天王路の野望を止めてくれ」と。」 天王路さんの、野望・・・・? 一体、どういうことだ? 「う〜ん・・・。それがどういうことか良く分からないけど。今はとにかく、ここから逃げよう!」 「もちろん一菜、おまえも一緒にだ。」 俺は手を差し出した。 「はいっ!実は私も逃げたほうがいいと、烏丸主任から言われていたんです。」 きゅっと手を握る一菜。 なんだか、俺が家にいた頃を思い出すな・・・。 一菜のあんなに小さかった手は、いつの間にか大きくなっていた。 「大きく育ったな。一菜。」 「む。その言い方、なんだかいやらしいです。」 「おんぶしてやろうか?昔みたいに。」 「おにーさん、やっぱりいやらしいです!」 「ははは・・・。よし、じゃあ、行くか!」 「はい!ブルースペイダーも直ってきています!それで逃げましょう!」 「よし・・・!!」 俺達はガレージに向かって駆け出した! 「烏丸君が・・・逃げた!?」 「はっ・・・・。」 BOARD所長室の席に座る天王路と、その机の前で頭を下げる広瀬所長。 「あの後すぐだったようです。彼の姿は影も形も。それに嶋君の姿も消えています。おそらく、彼が脱出の手助けを。」 「あのカテゴリーKか・・・。」 「その上、二人はブレイバックルを持ち去った模様です。」 「ブレイドのベルト・・・。まさか剣崎君は!?」 ぷるるるるる、ぷるるるるるるる。 その時、机の上の電話機がなる。 天王路は気が重そうにその受話器をとる。 「・・・・私だ。」 「剣崎 一真が、ブルースペイダーを奪って・・!」 がちゃり。 その内容を最後まで聞くことなく、受話器を戻す。 「彼は・・・私に歯向かう気かな?」 「・・・おそらく。烏丸君から、なんらかの形で剣崎君に知らされたと考えるのが自然でしょうな。」 「これはいよいよ。もう一枚のカテゴリーAの完成を急がなくてはね。」 「試作品3号も間もなく完成ですが・・・。適合者がいません。」 「あれは女性用だからな・・・。さて。時間は限られているよ。広瀬君。」 「はい。残るアンデッドが全て封印される前に・・・。」 後部座席に一菜を伴って、俺はマシンを走らせていた。 「おにーさん、これからどうするんですか?」 後ろからしがみつく一菜が問う。 「まずは始穂を探し出すさ。天王路さんの事も気になるけど、彼女を優先させたい。」 「はいっ!さすがはおにーさんです。始穂さんが何より大事なんですね!」 「う、うん。」 「照れなくていいです!私応援してます!人とアンデッドの種族を超えた大恋愛・・・。もうドキドキしちゃいます!」 「・・・・・・・・・・・。」 ・・・・なあ、一菜よ。 応援してくれるのは嬉しいんだが・・・。 なんかお前、楽しんでない? 「あ、サーチャーに反応です!」 「本当か!?」 持ち出してきた携帯アンデッドサーチャーには、地図と、黒い三角錐と緑の三角錐が浮かんでいた。 「この黒いのは、ジョーカー・・始穂さんですね。本部のサーチャーで見たことがあります。」 「じゃあ、その緑のやつは?普通のアンデッドとは違うのか?」 「これは・・・カテゴリーKです。反応が非常に大きいですね。」 カテゴリーK! そいつと始穂が一緒に・・・!? 「一菜!ナビしてくれ!急ぐぞ!!」 「はいっ!!」 バッ!! 「!!!」 『グギイイイイイッ!!』 「あ、アンデッド!!」 俺達の向かう先に突然アンデッドが現れ、立ち塞がった! 「こ、こんな近くにいたのに気がつかなかったなんて!」 あわててサーチャーを確認する一菜。 黄金の皮膚をしたアンデッド。 どこかで見たような姿をしているが・・・。 「どうしますか、おにーさん!」 1.立ち塞がる敵は倒す!敵はカテゴリーKだけじゃない。全てのアンデッドを封印しなきゃ、戦いは終わらないんだ。 2.下級のアンデッドに付き合ってる暇はない!こいつをやり過ごし、急いで始穂の元へ・・!! 3.後ろに一菜がいるのに、危険なことは出来ない。引き返して、別の道を行こう! 第65回「突破不可能・時間停止の脅威」 『グギイイイイ・・・・。』 始穂の元へ急ぐ俺と一菜の前に、立ち塞がる金色のアンデッド・・・。 「一菜・・・。しっかりつかまってろ!」 「え!?どうするんですか!?」 「あいつを突っ切る!始穂の元へ、始穂の元へ早く行かなくちゃ!」 俺はアクセルを吹かし、加速をつける。 「飛び越えるぞ!舌かむなよ!」 「え、えええええ!?」 スピードを上げ、いよいよアンデッドが近づいてきたとき・・・・。 「ウェェェェェイッ!!」 ブルースペイダーは跳んだ! 下の方にアンデッドを確かめ、飛び越えた事を確認する。 ギュキュキュッ!! 着地にタイヤは悲鳴を上げる。 「どうだ一菜!おにーさんこんなことも・・・」 「お、おにーさん、前!」 一菜構えを指差し伝える。 「・・・え?」 『グギイイイッ!!』 バキィッ!! 「ぐああっ!!」 突然、再び目の前に現れたアンデッドに、一撃を受けた! 俺はバイクから振り落とされる!! 「わたたたっ!お、おにーさん!!!」 一菜だけはバイクに張り付く! 「止まって、止まって!!」 ブルースペイダーは運転手を失うも、その内蔵コンピューターによって、非常停止機能が働き、安全に停止した。 「うは、はぁ・・・。勝手に止まってくれました・・・。死ぬかと・・・。」 「ぐう・・・・。」 なんなんだこいつ・・・。 俺は確かにこいつを飛び越えたはずなのに! 『グギギギギギギ・・・・。』 ゆっくりと近づいてくるアンデッド。 どうやら、やるしかないらしい・・・!! 俺はバックルにカードを挿入し、ベルトを起動させた。 「変身!!」 『TURN UP』 映像を走り抜け、その勢いのままアンデッドに殴りかかった! 『ギギギギ・・・。』 その時、アンデッドの身体が黄金に光った! 「うっ!?」 その次の瞬間、オレの拳はなぜか宙を切る。 「あ、あれ!?」 「うしろですおにーさん!!」 「な!?」 『ギギイイッ!!』 バキィッ!! 「うわあああっ!!」 その一菜の言葉通り、うしろから一撃を受け、そのまま地に伏せた! 「ぐ・・・。どうなってるんだこいつ・・・。」 瞬間移動を使う、アンデッドだって言うのか!? 「おにーさん!そいつは、時間を止めるアンデッドです!」 「時間を・・・!?」 「さっきから、おにーさんだけがぴたっと止まったりしてます!」 「ほ、本当に!?」 「はい・・・。あ、おにーさん危ない!」 『グギイイッ!』 蹴りつけてくるアンデッド。 俺は辛うじて両腕でガードする。 「くっ・・・。」 すぐさまアンデッドは左腕の大きなひれを振るう! それをしゃがんでかわし、俺はカウンターのアッパーを食らわそうと拳を上げ・・・ 『ギギギギ・・・。』 また光った! ・・・そしてやはり、その一撃は空を切る。 「しゃがまれています、おにーさん!」 『グギギギギッ!』 ドグッ! 空いた腹に一撃を受けた! 「うううううっ!!?」 思わず後退する。 「おにーさんっ!!」 「一菜は・・・、一菜は何で平気なんだ!?」 「何で相手が何をしているか分かってるんだ!?」 「それが・・・。時間が止まってるのは、そのアンデッドの周りの空間だけみたいです!」 「そ、そうなのか・・・。」 だから離れている一菜は平気、と。 「ぐあああっ!」 また一方的にやられ始める。 時間を止めるアンデッド・・・どうやって倒せばいいんだよ!? 「あああ・・・。どうすればいいんでしょう・・・・?」 その姿を見て、動揺する一菜。 「何とかしないと、何とかしないとおにーさんが・・・・・」 バキィッ!! 「うああっ!!」 ごろごろと地を転がる。 「おにーさんが、このままじゃ・・・・。」 「・・・・・・・・・・。」 「く、くそおっ・・・!!」 こんなところで、やられるわけには・・・! 悠々と歩いてくるアンデッド。 俺は剣を引き抜き、構える。 「ハァ、ハァ・・・・。」 こうなったら、奴が光るよりも早く、剣を振りぬくしかない! ・・・・それも余り意味のない気がするが、何もしないよりは・・・!! 「ウェェェェ・・・」 「ぅえええええええええええええいっ!!」 その時、一菜がそのアンデッドに飛び掛った!! 「一菜!!?」 『ギイイアアアアッ!!』 「きゃあっ!!」 跳ね飛ばされる一菜。 俺はそれを、身体を張って受け止めた! 「あ、おにーさん・・・。」 「バカ!何で飛び掛ったりしたんだ!」 「だって・・・・このまま何もしないで見てるなんて!」 「そ、そうか。とにかくここはオレに任せろ!お前は後ろで・・・。」 その時、一菜の手に何かが引っかかっているのを見つけた。 「一菜?・・・それ、なんだ?」 「へ?あ、飛び掛ったときに、夢中で取ったみたいです・・・。」 「それは・・・アンデッドの腕に巻かれてる包帯か?」 俺はそれに手をかける。 『ギギギギ・・・。』 俺達が話をしている間に、アンデッドの身体がまた光った! 「一菜!」 俺はとっさに、背中で妹をかばう。 ・・・・・・・・・・。 「あれ?」 攻撃が来ない。 いつもならすぐに・・・。 振り向くと、まだ悠々と歩いてくるアンデッドの姿が・・・。 「おにーさん!ひょっとしたらこれが・・・・。」 俺達の手の中にある、あのアンデッドの包帯・・・。 「これが、時間停止の影響を受けない・・・!!」 俺はそれを左手に巻くと、立ち上がった。 『ギギギギ・・・!!』 再び発光するアンデッド。 ・・・動く! 「お前に・・・・オレの時間は止められない!!」 ラウズアブゾーバーを展開、二枚のカードを引き抜いた! 『ABSORB QUEEN』 『FUSION JACK』 手に持つ剣は鋭く伸び、オレの背中に翼が宿る! 「ウェェェアッ!!」 背の翼をなびかせ、俺はアンデッドに駆け出す! 『ギギギギギギギッ!?』 ザギィィン! 時間の止められないアンデッドは、もはや俺の敵ではなかった。 何度も斬りつけ、アンデッドは地に伏す。 「とどめだ!!」 ブレイラウザーのオープントレイを展開、カードを取り出し、ラウズする。 『TAKCLE』 『THUNDER』 『LIGHTNING IMPACT』 俺の身体は放電し、翼を展開、空へ飛び上がる!! 空中で剣を腰にためて突き出し、そのまま一気に飛び掛った!! 「ウェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエアッ!!!」 超高空からの、放電急降下体当たり・・・!! 『グギイイイイイイイイッ!!!!!』 ドガアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!! 爆発を背に着地、背中の羽根を収めた。 アンデッドのバックルが開く。 プロパーブランクを投げつけ、スペードの10を入手した。 「・・・・あ、終わってます。」 アンデッドが倒れ、ようやく一菜の時間が動き出したようだ。 俺は変身を解除し、一菜に駆け寄った。 「助かったよ一菜。一人じゃ俺、あいつに勝てなかった。」 「いえ・・・。わたしも無茶をしておにーさんに負担をかけました。ごめんなさい。」 「一菜・・・。」 ぺこりと頭を下げる一菜の頭を、くしゃくしゃとなでてやった。 「お、おにーさん・・・。」 「いいんだよ。俺とお前は、兄と妹なんだからさ。」 「は、はい。」 まあ、正確は従姉妹なんだけど。 そんなの些細なことだ。 「よし、時間を食った!急ごう、一菜!」 「はい!」 俺達は再びブルースペイダーに乗ると、ジョーカーの反応に向かって走り出した! 「僕が配置したアンデッドがやられたみたいだね・・・。流石は一真だ。」 「・・・・・・・。」 キングの傍らには、人間の姿に戻った始穂が。 「君の大好きな人がやってくるよ。・・・楽しみだね。」 「一真がどんな顔をするのか。ハハハ・・・アハハハハハ!!」 「かず・・・ま・・・・。」 やがて俺達は、カテゴリーKのアジトと思われる廃ビルを発見した。 さて、どうする? 1.正面から突入する!正々堂々、始穂を取り返す! 2.裏から侵入し、こっそり始穂を助け出す。 3.ジャックフォームに変身、空から侵入する。 第66回「運命との戦い」 「ここに間違いないのか?」 ブルースペイダーを止め、見上げるのは廃棄されたビル。 「はい。ここからアンデッドの反応が・・・。」 「よし。じゃあ行って来る。お前はその辺に隠れていてくれ。」 「そんな、おにーさん、わたしも行きますっ!」 「・・・すまない。この先、お前も守り通せる自信がないんだ。」 「おにーさん・・・。」 「それに、相手はカテゴリーKだ。俺も勝てるかどうか・・。」 「勝てますよ!」 ぐっとこぶしを握り、オレに訴える一菜。 「おにーさんは、必ず始穂さんを助けます!そうに決まってます!」 「・・・・ああ。じゃ、行って来る。」 「変身!!」 『TURN UP』 『ABSORB QUEEN』 『FUSION JACK』 俺は次々と変身を繰り返し、ジャックフォームへと変わった! 「ウェエイッ!!」 そしてすぐさま飛び上がり、ビルの屋上へと向かっていった。 「おお・・・。王子様は、空からお姫様を助けるんですね!」 屋上に降り立つ。 よし、ここから下に降りて・・・。 「ふぅ、ふぅ・・・。やあ。一真。」 「!!!」 下へと降りるたった一つのドアから・・・。オレの見知った少年が現れた。 「ふぅ、まさか、空から来るなんて思わなかったよ。窓から君が見えてさ。あわてて飛んできたって訳。」 「さあ一真。約束したよね。・・・次に会うときに決着をつけるって。」 「キング・・・!お前が、お前が始穂を!!」 「そうさ。言ったよね?僕の目的は、このバトルファイトを、人間達の世界をメチャクチャにすることだって。」 「彼女のジョーカーの力・・・そのために利用させてもらうよ。」 「そうはさせない!始穂を・・・・始穂を返せ!」 「さてね。本人に聞いてみたら?」 「なに!?」 「でておいで。」 屋上の扉に話しかけるキング。 すると、そこから人間の姿に戻った始穂が・・・! 「始穂!」 俺は彼女に駆け寄った! 「かず・・・ま・・・。」 「始穂、始穂!無事でよかった・・・。」 「・・・変身」 『CHANGE』 「始穂!?」 彼女は、腰のカリスラウザーにカテゴリーAのカードを通し、カリスへと変身した! ザギィン!! 「うわッ!!」 いきなり斬りつけられた! 「はははははは!さあ一真、彼女を倒さないと、君が殺されちゃうよ?」 「な、何!?」 『フンッ!』 ブゥン!! 「うわ!!」 キングの声に振り向いた瞬間、彼女はカリスアローを振ってきた! 辛うじてかわす。 「キング、お前・・・!」 「彼女の精神は僕が操っている。彼女は僕の思いのままさ。」 「君の言っていた、運命と戦うという言葉。ここで証明して見せてよ。」 「人とアンデッドが戦う運命・・・乗り越えて見せてよ!はははは・・・!!」 高笑いを上げるキング。 くそぅ、始穂を操っているなんて・・・。 オレに、彼女を倒せるわけがない! 『・・・・・・・・・・。』 カリスアローを構え、悠然と歩いてくる始穂=仮面ライダーカリス。 『・・・フン!!』 「!」 ガキィィィン!! 振るわれた両刃の剣を受け止める! 「始穂!君は操られてるんだ!正気に戻ってくれ!!」 『ウア、ウアアアアアアアアアッ!!』 カリスは受けた剣を上へ振り上げ、俺の剣を振り払う! すぐさまその腹に一撃を入れ、そして縦に斬りつける! 「ぐうう、ううっ!!」 カリスの剣の冴え・・・戦っていた頃とまったく変わってない! その上、俺は手が出せないときてる・・・。 「始穂!オレの声が、聞こえないのか!!」 『ウアアアアアッ!!』 俺の必死の訴えにも、彼女はまったく反応を示さない。 「ははははは・・・。無駄さ。僕の精神支配は、例えジョーカーでも逃れることは出来ない。」 「さあ、早く彼女を封印しないと、殺されてしまうよ一真?あははははは・・・・!」 「バカな!そんなことするくらいなら、殺された方がましだ!!」 『グ、ウウウ、ウ・・・!!』 『CHOP』 『TORNADE』 『SPINING WAVE』 始穂は二枚のカードをラウズした! 彼女の周りを竜巻が包む。 『ウオオオアアアアアッ!!』 そのまま俺へと駆け出した! 「くっ!?」 そしてすれ違いざま、風の力を帯びた手刀を振りぬいた! ガギィィィン!! 「うわああああああああああっ!!!」 「ははははは・・・あはははははは・・・!!」 「マジ最高!はははははは・・・!!!!」 キングの笑い声がビルの屋上に響き渡る。 ・・・・俺は、変身を解除された。 「ぐっ、く、うううう・・・・。」 転がったブレイバックルを拾おうと手を伸ばす。 『・・・・。』 ガシッ! それを蹴り飛ばすカリス。 「し・・・始穂・・・。」 オレを見下ろす彼女に、何の感情も見られない。 「ははは・・・・はぁあ。コレで終わりみたいだね。」 「思ったとおり楽しめたよ一真。でも残念だなぁ。君は結局、ただの人間だったってわけだ。」 「運命は変えられない。アンデッドの彼女を救うことも出来ず、なす術なくやられるしかない。」 「・・・・・・・・。」 俺は拳を握り締めた。 キングの言葉が。 オレの胸に突き刺さる。 運命を変えると、大口を叩いた結果が、コレか・・・。 「さあ。もうやっちゃっていいよジョーカー。・・・コレで君は、本当のアンデッドに戻れるってわけだ。」 『・・・・・・・・。』 キングの言葉にうなづき、カリスは生身の俺に刃を振るい上げた。 始穂・・・!! ブンッ!! その刃が、風を切る音が聞こえた。 ・・・・・・・・・・・・・・・が、確実のオレの命を奪うはずの一撃は、オレの目の前で止まった。 見上げると、その刃は小刻みに震えている。 『カズ・・・マ・・・・・・・・・・。』 「始穂!」 「へえ・・・・。僕の精神支配が完全にかかりきらないとはね。流石はジョーカー。少し侮っていたかな。」 こちらに歩み寄ってくるキング。 「じゃ、一真に君の正体を見せてやろう。ジョーカーになれば、そんな甘さも消えるさ。」 『ヤ・・・メロ・・・・・!!』 カリスがゆっくりとキングの方を向いた。 「まさか僕に抗えるなんてね・・・。それが人間の心、お互いを思う絆って奴?」 ギチギチと剣をキングへと向ける。 『ウウウウ・・・ウウウウウウ・・・・・・・・・!!!!』 始穂が、始穂がオレを助けようとしてる! 「でも、その想いも一真を殺せば消える。人の絆って、もろいものだよね。」 『!!』 「・・・さあ、どいてよ。」 そっとキングは、カリスに手を触れた。 ズドォオオン!!! 『ウアアアアアアアアッ!!!』 その手から衝撃波が発せられ、カリスは吹き飛ばされた! カリスの姿の変身が解け、人間態に戻る始穂。 その手から、彼女の持つラウズカードが散らばった。 「始穂!!」 「覚悟はいい?一真・・・・。」 オレに歩み寄りながら、キングはそのアンデッド態を見せた。 その手には巨大な剣に盾。 黄金の鎧武者。カテゴリーK・・・・。 『これでさよならだよ。』 ビュウンッ!!! その巨大な剣が振り下ろされた!! 「ううっ!!」 俺はその一撃を、飛びのいてかわす! ドガアアアアアアアアッ!! その剣の威力は、屋上の床のコンクリートを打ち砕いた! 転がって受身を取り、すぐにキングの方を向く。 『そうそう。簡単に終わっちゃつまらない。一真。君は僕をもっと楽しませてくれなくちゃ。』 「キング・・・!!」 奴をしっかりと見据え、立ち上がった時、足に何かが触れた。 下を見ると、そこには先ほど蹴り飛ばされたオレのベルトが! 『・・・・待っててあげるよ。一真。』 ・・・・余裕のつもりか。 俺はベルトを拾い上げ、カードを挿入した。 「変身!」 『TURN UP』 俺は再びブレイドへと変身する! 「ウェェェェアッ!!!」 すぐに剣を引き抜き、カテゴリーKに振り下ろした! ガゴォン!! 「ッ!!」 ・・・が、キングの盾はそれをやすやすと防ぎきる。 『ハアッ!!』 グガギィィィィンッ!!! そして大剣オールオーバーは、オレの胸を突いた! 第67回「運命に打ち勝つ剣」 「うわアアアッ!!!?」 奴の持つ剣の威力に、吹き飛ばされる! 『まだまだこれからだよ一真。』 転がって間合いを取るオレに、キングは走り近づいてくる。 『ハアッ!!』 再び振り下ろされるキングの剣! ガキィィン! 俺はそれを、両手で持つ剣で受け止めた! 柄と剣の端を使い、ギリギリで止める。 『ははははは・・・!やっぱり実力の差は歴然としてるって訳だ。』 「何・・・!」 ガゴッ!! 「ううっ!?」 左手に持つ盾でオレを突き飛ばすキング。 『ハアアアア・・・ハァッ!ハアッ!ハアアアッ!!!』 次にキングは、その剣から切り裂く風の刃を次々と撃ち出した! ザギィザギィザギィィンッ!! 「ぐう、うううううっ!!?」 『まだだよ、一真・・・。』 キングは剣を収めると、その盾を空中に放る。 『ふんっ!』 拍手を打つと同時、その盾はオレの周りの空間に出現し、四方八方からぶつかってくる! 「アアア・・・・ハァ、ハァ・・・・。」 コレが、カテゴリーKの力・・・。 「ッ!!」 あきらめるか! こいつを倒さなきゃ、始穂は戻らない! 彼女はジョーカーとして、世界の破壊の権化にされてしまうんだ! 絶対に・・・絶対にそんなことさせない!! 俺はオープントレイを開き、カードを取りだそうと・・・ 『させないよ・・・。』 ガゴォン!! 「あああっ!!?」 また突如現れた盾に、オレの剣は弾き飛ばされた! 『アンデッドの力を借りるだけじゃ、僕には勝てないよ。』 「く、くそ・・・・・。」 俺は剣を失い、素手となる。 『さあ。コレで君は丸腰だ。あきらめたらどう?』 『そうだな・・・・。君がジョーカーを封印すれば、この場は見逃してあげるよ。』 ば・・・バカ言え! それは・・・それは、 俺が最も避けたい選択肢・・・! 『ほら。ごらんよ。』 キングはあごをくいと動かし、始穂を見るように示唆する。 「・・・・・・・・・・。」 人間の姿に戻っている始穂。 だが・・・・まるで動く様子はなかった。 『今ならカードを投げつけるだけで封印できるさ。さあ、やってみせてよ。』 「お前・・・。何考えてんだ!自分からジョーカーを封印させようなんて・・・。」 「世界をメチャクチャにするんじゃなかったのか!」 『・・・・正直さ、僕はそんなことより、君の心を壊す方が楽しくなったんだ。』 「な・・・に!?」 『君の言葉からは、いつも強くて確かな意志が感じられる。そんな強固な心を、僕は壊してみたくなってきているのさ・・・!!』 『綺麗は汚い、汚いは綺麗!さあ、やれよ!!』 ヒュンッ! また放たれる風の刃・・!! それはオレの肩に当たり、プロテクターを吹き飛ばした。 「・・・いやだ!!俺は言ったはずだ。そんなことするくらいなら、死んだ方がましだ!」 『分かってないなぁ・・・。もうこの場に、君に拒否権なんてないんだよ・・・。』 「俺は嫌だ!!!」 『僕に従え!僕はキングだ!』 キングはその剣にエネルギーを集中させ、そして・・・・・。 『うああああああああああああっ!!!』 その剣から、巨大な竜巻を放った!! 「うわあああああああああああああああああああああああっ!!!!」 俺は空に巻き上げられ、地面に叩きつけられた!! ・・・・変身は解除される。 「ぐうう、うううう・・・・!!」 『ばかだなぁ。一真は。一真はただの人間なんだから、僕に従っていれば痛い目見なくて済んだのに。』 転がってうつぶせになる。 気がつけば、俺の横には始穂が・・・・。 「始穂!!」 「か、一真・・・?」 すぐに返事が返ってきた。 その瞳には光が宿り、正気に戻ったようだった。 「始穂、やっと会えた・・・!!」 「一真、一真・・・・!」 二人の手は互いを求めて、やがて握り合った。 伝わるぬくもり。 「一真・・・・・。」 オレを見つめる始穂。 俺は・・・・。 俺は立ち上がる。 『一真・・・・?』 「俺は・・・・彼女を守りたい!!」 『・・・・やれやれ、結局それか。』 オレの腰には、ベルトは巻かれたままだ。 二度もの変身解除に、一時機能停止に陥っている。 『じゃあ、ジョーカーの目の前で君を殺してあげるよ。そしたらジョーカーも、勝手に世界を滅ぼすだろうさ。』 『愛するものを失うという衝撃が、ジョーカーの本能を目覚めさせるだろうからね。・・・人間の心をもったばかりに。』 「俺は、死なない!!」 『よくもそんなことが言える・・・。・・・じゃあ試してあげるよ。一真!!!』 走り出すキング。 振りかぶる大剣オールオーバー。 「俺は死なない!」 「俺は守る!」 「俺は・・・・・勝つ!!!」 振り下ろされた剣! ガキィィィィン!!! その時、ありえないはずの金属音が響き渡った。 『な・・・・・に!!?』 ・・・・キングが驚くのも無理はない。 オレの手には、キングのと同じ、大剣オールオーバーが握られていたからだ。 『そうか・・・。君のアンデッドとの融合が、エースのアンデッドの武器を再現するほどに・・・!!』 ・・・理屈は知らない。 でも、オレの手には、戦う力が!! ドガアッ!! 『うああっ!!?』 生身の状態のオレにケリを入れられ、後ろへと下がるキング。 『ぐ・・・・変身しなくても、アンデッドの力が君の中に回っているというのか!!』 「ウエアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」 俺は両手に握り締めた剣を、力いっぱい振り下ろした!! キングはそれを、同じ剣で受け止めようとした・・・・。 バキィィィィィンッ!!! ・・・オレの剣はそれを叩き折り、 「うわあああああああああああっ!!!」 力いっぱい突き出した突きは、 『くっ!!!』 バゴギィィィィィィンッ!!! ・・・・キングの盾を貫き、そのまま奴をも貫いた。 『バ・・・・・・・・・・バカな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!』 オレに剣をつきたてられたまま、キングは後ろに倒れ伏した。 バックルが開く。 俺は地面に散らばっていた始穂のコモンブランクを拾い、キングを封印した。 『それだけの力があれば・・・・。きっと僕の力をも超えられる・・・・・。』 オレの手にカードは戻った。 ワイルドベスタ、エヴォリューションキング。 「始穂・・・。」 俺は彼女に手を伸ばした。 「一真・・・。」 ぎゅっと握られた互いの手。 もうはなさない・・・。 そんな二人の想いが、伝わってくるようだった。 これからどうしよう・・・・。 1.こ、ここでやすもう・・・。疲れた・・・。 2.早くここから抜け出そう。行く先は・・・分からないけど。 第68回「誇りなき狼」 カードを拾い集め、互いのワイルドベスタを交換し終える。 俺はスペードのカードを全て集め終え、始穂はハートスートのカードが残り二枚となった。 「いこう。始穂。下で一菜も待っているんだ。」 「一菜?」 「ああ。オレの妹だよ。さ、早くここから抜け出そう。BOARDの追っ手が来る前に。」 「うん。・・・・一真。」 『BRIZZARD CRUSH』 「えやああああああああああっ!!!」 レンゲルの必殺技が、アンデッドに炸裂する! ガシィィィィィッ!!! 『グギュブブブブブブ・・・・!!』 ドガアアッ!! レンゲル・・・美月はカードを投げつけ、アンデッドを封印する。 クラブの7。ジェルジェリーフィッシュ。 「やったわね。美月ちゃん。」 「はい!」 変身を解除し、戦いを見守っていたさくらの元へ駆ける美月。 「ジョーカーを追っていて、とんだ寄り道になったわ。」 「でも・・・。コレで残るアンデッドは4体になりましたね!」 「新名の封印した分も含めてね。その4体のうちの1体は嶋さんだけど・・・。」 「そうですね・・・・。嶋さん、今どこにいるんでしょう。ナチュラルも一緒にいなくなってしまって・・・。」 「烏丸主任と一緒に消えるなんて。これからBOARDはどうなるのかしら・・・。」 天王路の命でジョーカーを追っている二人。 だが、先が見えない今の状況に、不安を隠せなかった。 「ジョーカーが生き残れば世界は滅びる。でも今の剣崎君は、さしづめ彼女を守るナイト。」 「ひょっとしたら、剣崎さんも倒さなくちゃいけなくなるかも・・・?」 「・・・覚悟を決めておいたほうがいいわね。」 「・・・・・・・・・・・。」 二人の間に沈黙が下りる。 『君たちが戦う相手は、剣崎君ではないよ。』 「「!!!」」 そこへ、アンデッドの声。 二人は同時にそちらを振り向く。 「貴方は・・・嶋さん。」 『私は、君たちに重要なことを伝えに来た。』 アンデッド態のまま、こちらに向かってくる嶋さん。 「一体、何を伝えようって・・・。」 『烏丸主任からの、メッセージだよ。・・・天王路について。』 「おにーさん!始穂さん!」 「一菜・・・!」 俺達の姿を見るなり、しがみついてくる一菜。 「・・・・お前が言ったとおりだった。この通りだよ。」 その頭をなでてやる。 「はい、はい・・・!!おにーさんは、やってくれました!」 始穂はそんな俺達を、微笑みながら見守っていた。 「俺は・・・・絶対ジョーカーを封印する!!!」 その頃新名は、あるアンデッドをブラックファングで追跡していた。 目の前の道をバイクと同じ速度で走る、虎のアンデッド。 『ちぃ、しつこい奴だ・・!』 「お前もいい加減、あきらめたらどうだ・・!!」 新名はハンドルを握ったまま、腰の銃を引き抜く。 ドヒュドヒュイン!! それは、今まで何体ものアンデッドを封印してきた、D細胞活性弾。 だが、その軌道を見切っているかのように、まるで命中しないタイガーアンデッド。 『そんなおもちゃで、私を倒せると思うな・・!!』 ヒュウッ!! ガキィン!! 振るわれた爪は、その銃を真っ二つに切り裂いた! 「チッ・・!!」 武器として機能をなくしたそれを投げ捨て、再び追跡する新名。 「このままじゃ埒が明かないか・・・。」 新名は、そのハンドルの根元にあるカードラウザーに指を差し込んだ。 すると、ブラックファングはその姿を変化させていく・・・! 『お前・・・アンデッドか?何故アンデッドが人間の作った武器などを使う!!』 「俺は・・・必ず勝つ!手段など問わない!!」 その形状をかえ、怪物じみた速度をたたき出すブラックファング! 見る見るうちにタイガーアンデッドに追いつく! 『なんだと!?』 「ヒヒヒヒヒ・・・。」 それを前に笑みを浮かべると、新名はその正体を見せた! 『くらえぇ!!』 バイクから緑の衝撃波を放った! 『ううっ!!?』 それを受け、吹き飛ばされるタイガーアンデッド! ずしゃああああ・・・っ! 吹き飛ばされた場所は、人がいない廃工場だった。 『クラブのクイーン・・・。お前を封印すれば、俺は更なる力を得ることが出来る!』 バイクを降り、ゆっくりとタイガーアンデッドに向かってくる新名・・・ウルフアンデッド。 『くだらないな・・・。人間の作った力などに頼るお前に、私は負けない!』 飛び掛り、爪を振るう! ガシィン!! 『うぐッ!!』 振り下ろした爪を返し、もう一撃! 『ぐあああッ!!』 苦し紛れに突き出すウルフアンデッドの爪! しかし彼女にはかすりもしない。 『遅いな!』 ガシィンガシィン!! 『ぐ・・・っ!』 背を地に着けるウルフアンデッド。 『口の割には他愛のない・・・。』 『ハッ・・・・。やはりこの姿では勝てないか・・・・。』 起き上がる新名。人間態に戻る。 『何をする気だ?お前などでは私には勝てない。』 「そうだな・・・。だがこの姿ならば。」 新名はベルトを手にし、ベルトを装着する。 『お前、まさか!?』 「変身。」 『OPEN UP』 映像を潜り抜け現れたのは・・・。槍を携えた仮面ライダー・ランス・・・!! 『人間に下ったのか?そんなものに頼ろうとするとは・・・。』 「ほざけ。お前こそこのバトルファイトに勝ち残ろうとするのなら、人間達の力を利用すべきだ。」 『お前には、アンデッドの誇りはないのか!!』 「くだらないな。誇りなど・・・勝ち残るためには不要だ!」 槍を手に襲い掛かるランス! ビュウッ! 空を切るランスラウザー。 「ぬっ!?」 『バカめ・・・。誇りを捨てたものに、勝利などはない!!』 ザギィィン!! 「うお!?」 仮面ライダーに変身した新名を相手にしても、全く怯まないタイガーアンデッド。 その爪を振るい、射程の長い槍を潜り抜け確実にダメージを与えていく! 『やはりお前は口だけだ!変身してもこのザマとはな!!』 「・・・やれ!ファング!!」 ブロオオオオオオオオッ!! 『何っ!?』 突如その後ろから、無人のブラックファングがタイガーアンデッドの突撃して来た! それに反応し、飛び上がりかわす。 「俺とファングは一心同体・・・。俺の思いのままだ。切り裂け!ファング!!」 その声に反応し、ブラックファングに鋭い刃が生える! ザギィン!! 『ぐうッ!!』 「はははは・・!!いいぞファング!」 『MIGHTY』 ランスラウザーにカードをラウズする新名。 ザギィィン!! 『ぐううっ!!おのれ、一対一の戦いだったはずだ!!』 「知らないな・・・。正々堂々って言うのは、人間の考えた言葉だろう?」 ダンッ!! 新名は飛び上がり、無人で走るブラックファングの座席に立ち、槍を構える。 『ぐう・・・お、おのれぇぇ!!』 爪を構え、ブラックファングに駆け出す! 「はあっ!!」 新名は飛び上がった! 一瞬そちらに気を取られるタイガーアンデッド! ・・・が、無人のままでも走行し、新名の意のままに動くファングは、そこで再び衝撃波を放った!! 気を取られた隙をつかれ、よろめく・・・。 「もらったアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」 振り下ろされるランスラウザー、インパクトスタッブ!! 『うおあああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!』 ドガアアアアアアアアアアッ!!!!! 轟音と共にその槍は、彼女の腹を刺し貫いた・・・!! 「ハッ。・・・誇りの、負けって事だ。」 カードを落とし、タイガーアンデッドを封印する。 『お前に・・・勝利など、あるものかぁぁぁぁ・・・・・・・・・・』 「ヒヒヒヒ・・・。負け犬が。」 彼女の断末魔も、笑い飛ばす新名。 「これでクイーンとキングのカードが我が手にそろった。さて、これから・・・・・。」 1.ジョーカーをしとめる。今の俺は最強だ・・・!! 2.邪魔な他のライダーどもを倒しておくか。アンデッドの反応をちらつかせれば、アンデッドの仕業に見せかけられる・・・。 3.ダイヤのカテゴリーKに挑む。ジョーカー以外で、一番厄介なのは奴だからな・・・。 ・・・・残るアンデッド、後4体。 第69回「襲撃の狼」 「まさか・・・!!それが天王路さんの目的!?」 嶋さんのメッセージに、動揺を隠せないさくら。 『そうだ。いずれ彼は、君たちをも始末しようとするだろう。自分の野望の達成には、君たち仮面ライダーは邪魔でしかないからね。』 「そんな・・・そんな!」 『美月君・・・。コレが現実だ。君たち仮面ライダーの正義への思いを利用して・・・。』 「いえ!私は信じないわ。この耳で、本人から聞きだすまでは!!」 『橘君!?』 レッドランバスにまたがり、その場から走り去る。 行く先は・・・・BOARD研究所だろう。 「橘さん!!・・・・一人で、大丈夫なんでしょうか。」 『手助けしたいのは山々だが、我々にも用事があるんだ。美月君。』 「そうなんですか?」 『ああ。・・・美月君。私を封印したまえ。』 「えええ!?」 そんな・・・私は、私は信じない! 私の知るBOARDは、人類を守る、正義の組織のはず! それが、それがそんなくだらない野望のための布石に過ぎないなんて私は・・・認めない!! 思いに駆られ、夢中で走るさくら。 ・・・だがそれが幸か不幸か、自分のすぐ横を、自分達の探していた相手が歩いて通り過ぎたのを、気づけなかった・・・。 「いまのは・・・・橘さん!?」 「・・・そうですね。あのバイクは見間違えるはずがないです。」 「どこに向かっているんだろう・・・。」 何か・・・嫌な予感がする。 「そんな・・・無理ですよ!嶋さんを封印なんて、出来るはずがありません!!」 『美月君・・・。今は一人でも多くの力が必要だ。・・・そのためには、君の中にいるカテゴリーA。それを完全に封印しなくてはならない。』 『君はもう、立派に仮面ライダーとして働いている。剣崎君と離れたのが、いいきっかけだったのかもしれない。』 「そ、そんな・・・。」 『私を封印し、最後の戦いに備えて欲しい。それがジョーカーなのか、天王路なのかは、まだ分からないがね。』 『さあ、話はここまでだよ。封印したまえ。』 タランチュラアンデッドは目を閉じると、自らバックルを開き、封印可能な状態になる。 「私には・・・私には出来ません!!嶋さんを封印したら、ナチュラルはどうなるんですか!!前に言ってました。嶋さんの家族も同然なんでしょう!?」 『すまないが、君が引き取ってくれ。ナチュラルは君のこともよく知ってる。すぐになつくさ。』 「嶋さん・・・・。」 『私は、人間が好きだ。他のために涙を流し、命を賭け、守ろうとするその姿勢。それらを思うと、私が胸がたまらなくなるんだ。』 『私はアンデッド。私が勝ち残れば、人間は滅ぶだろう。私の種としての本能は、きっとそれを望む。』 『私に・・・。人間たちを守る手助けをさせて欲しい。美月君。』 「たたかわずに・・・このままでいることは出来ないんですか?」 『美月君・・・。』 「嶋さんみたいな人がずっと生き残っていれば、もうこんなバトルファイトは起こらないはずです!剣崎さんの守るジョーカーと、嶋さんが生き残れば・・・・。」 「戦いは永遠に・・・・。」 ヒュウッ!! その時、どこかからか封印のカードが飛んできた! 「!!嶋さん!!」 『むっ!?』 そのカードから、嶋さんをかばう美月! 人間が触れても、何の反応も起こさない封印のカードは、そのままパサリと下に落ちた。 「誰だ!!」 怒号を上げる美月。 それに反応して姿を現したのは、ブラックファングにまたがった新名だった。 「新名さん・・・。」 「君が封印しないなら、私が封印しようと思ってね。」 「新名さん!相手は私達に協力してくれた、嶋さんなんですよ!そんなに簡単に封印しようだなんて!!」 『・・・無駄だよ。美月君。』 「え?」 嶋さんの声に、振り返る。 『彼は・・・アンデッドだ。私を封印しに来たのだろう?』 「新名さんが・・・・アンデッド!!?」 「ヒヒヒヒヒ・・・イィィーッヒッヒッヒッヒ!!!」 高笑いを上げる新名。 そしてその姿は・・・アンデッド態へと変わった! 「!!新名さん!?」 『・・・やはり気がついていたかカテゴリーK。なぜ研究所で俺の正体を話さなかった?』 『君が、私と同じだと信じたかった。人間のためにアンデッドを封印しているとね。・・・だがそれは間違いだったようだね。』 『そのとおりだ・・・・。俺は初めから人間などに協力する気はなかった。人間の力を利用し、バトルファイトに勝利する・・・。それが目的だった!』 『くだらないな・・・。今の世界がいいとは思わないか?』 『前回の勝利者、ヒューマンアンデッドの目指した世界。それは全ての生物が共存する、素晴らしい世界だ。』 『私は、この世界が好きだ。そしてそこに生きる人間達も好ましい。・・・君のようなものを、野放しには出来ないね・・・。』 嶋さんはバックルを閉じ、戦闘態勢に入った。 『戦いは嫌いじゃなかったのか?』 『・・・・守りたい、大切なもののために、自分を裏切ることもあるさ。』 「くくく・・・・。」 新名は人間態に戻り、ベルトを装着する。 「変身!」 『OPEN UP』 仮面ライダーランスが姿を現す。 「おまえを封印するのもいいが・・・。オレの目的はそこの女だ。」 「ええ!?」 「この先、お前達仮面ライダーはオレの邪魔になる。アンデッドの仕業に見せかけ、始末してやろうと思ってな!」 『美月君!』 槍を構え、生身の美月に襲い掛かる!! ガッ!! 嶋さんはそれを羽交い絞めにした! 『逃げろ美月君!・・・・君は生き残らなければならない!こんなところで死んではならない!!』 「嶋さん・・・!!」 1.嶋さんを見捨てるなんて出来るもんか!!私も戦います! 2.この場を離れ、剣崎さんに助けを求める!助けて剣崎さん・・!! 3.橘さんを呼び戻す!私一人じゃ嶋さんを助けられない!! 第70回「黒き狼の牙」 「私は・・・私は逃げません!!」 『OPEN UP』 フィールドを潜り抜け、仮面ライダーレンゲルへと変身する美月。 『美月君・・・!!』 醒杖レンゲルラウザーを展開させ、そのまま羽交い絞めにされたランスに切りかかった!! ザギィィン!! 「ぐうッ!!!は、放せえっ!!!」 『放さないよ・・・。美月君が戦うというのなら、コレは絶好の機会だ!』 「嶋さん・・・そのまま抑えていてください!」 「ぐおおおお・・ファングッ!!」 ブロロロロロロオオオオ・・・!! ランス・新名の声にあわせ、美月の背後からブラックファングが駆けてくる! サイドに鋭い刃をたくわえ、レンゲルとタランチュラアンデッドに襲い掛かった! ザギギィィン!! 「きゃあっ!」 『ぐううッ!!』 跳ね飛ばされる二人。 「ヒヒヒヒ・・・。ファングと俺のコンビは、誰も打ち崩すことは出来ない!」 ダンッ!! ジャンプしてファングに飛び乗るランス。 槍を構え、駆け抜けざまに二人を切り裂く! 「うああっ!!」 『ぬうっ!!!』 ターンを決め、すぐさま振り向き停車させる。 次のアクションを待つエンジン音が、その場に響く。 「くっ、くそ・・・・。」 「ヒヒヒヒ・・・!次行くぞ!!」 再び走り出すブラックファング!! 「く、くる!!」 『美月君・・・。』 そこへ、嶋さんが前に出た。 『私があのバイクの動きを止める!君は上の新名を!!』 「嶋さん!!」 タランチュラアンデッドはブラックファングの正面に飛び出し、その手から糸を吐き出す。 「ううっ!!?」 それはランスの視界をさえぎり、動きを鈍らせた! 『今だ美月君!!』 すぐさま嶋さんは飛びのくと、美月はバイクの走る軌道のすぐ横に立ち、 「たああああああああああああああああああっ!!!!」 振りかぶった醒杖で、新名をバイクの上からレンゲルラウザーで叩き落した!! バギィィィィンッ!! 「うおおおおおおおおおッ!!!?」 そのバイクの速度と杖の衝撃を受け、大きく吹き飛ぶ仮面ライダーランス! 勢いで地を転がっていく。 「ぐうう・・ぬうう・・・。」 『今だ!美月君!!』 「はい!!」 『STAB』 『BLIZZARD』 『POIZON』 『BLIZZARD VENOM』 3枚のカードをラウズし、レンゲル最強の技が発動する! 「たああああああああああっ!!!」 飛び掛る美月。 『MIGHTY』 新名もカードをラウズした! 青く輝く槍の穂先が、レンゲルを狙う。 「でやあああああああああああっ!!!!」 二つの必殺技が、火花を散らしたとき・・・!! ドガアアアアアアアアアアアッ!!! その間に爆発が巻き起こり、二人を吹き飛ばした! 「ぐううう、く、うううう・・・。」 立ち上がる美月。 よろよろと、新名も立ち上がった。 『美月君!』 その身を心配してか、駆け寄る嶋さん。 『美月君、美月君!!』 声をかけるものの、彼女には反応がなかった。 『どうしたというのだ、美月・・・・・』 バキィッ!! 『うわああっ!!?』 彼女が反応したかと思うと、その手はタランチュラアンデッドを吹き飛ばした! 『君は・・・・まさか!』 『・・・・そう、俺だよカテゴリーK。』 『貴様・・・!!』 レンゲルから発せられたのは、美月の声ではなく、まるで別人の声だった。 『カテゴリーA・・・。今のショックで、貴様の意識が活性化した。というのか・・・!!』 『そういうことだ・・・。以前よりもずっとはっきりした形でな・・・。』 確かに、以前美月がカテゴリーAに身体をのっとられた時より、声がはっきりと聞こえる。 『まずは邪魔なあいつを片付け・・・。そして今度こそお前を封印する!そこで見ていろ!』 杖を手に駆け出すレンゲル・・・カテゴリーA! 『フハハハハハ・・・素晴らしいぞ!前よりも身体が自由に動く!この女は強くなった!』 ザギィン!! 「ぐあああああっ!!」 杖の先の刃を振るい、仮面ライダーランスを切り裂く! 振り回し、反対のラウザー部分で突き、刃でなぎ払い、長い杖を利用して跳び、上からの攻撃をも加えていくッ! 『美月君・・・!!この声を聞いて、正気に戻るんだ!』 以前と同じように、その手に剣崎の心の声を収めた風を、美月にぶつけようとする・・・・が。 『・・・いや、ダメだ!今そんな事をすれば、彼女は自分自身との戦いで、奴には手も足も出せなくなる!』 『ふははははは!!俺は・・やはり最強のライダーなのだ!レンゲルなのだ!フハハハハハハハ!!』 「ぐう・・・・おのれ、まさかここまでとは・・・・!注意すべきはカテゴリーKだけだと思っていたのに!」 『甘かったようだな・・・。コレで終わりだ。この場でお前達二人を封印し、次はジョーカーだ。俺が勝者になるのだ!!』 仰向けに倒れた新名を前に、その刃を下にし、突き貫こうと構えるレンゲル・・!! 『死ねえええッ!!』 「ファァァァァァァングッ!!!」 『!!』 主の危機に、猛然とレンゲルに襲い掛かるブラックファング!! ザギィィィン!! 『グウウアアアアッ!!・・・おのれ、バイクに頼るか!!』 無防備な背中を切りつけられ、後退するレンゲル。 「俺とこいつは一心同体。・・・助け合うのは当たり前だ!!」 起き上がったランスは、再びカードをラウズし、インパクトスタッブを起動させる! 「上城 美月!・・・・いや、今はカテゴリーAか?ライダー全員を、今に地獄に送ってやる!剣崎もすぐにな!」 『剣崎!?けん・・・ざき・・・・?』 「・・・・・・?」 その名前に、レンゲルは反応する。 『うっ、ぐ、ぐあああああああああああああっ!!!』 頭を抱え、苦しみだすレンゲル! 「・・・ハッ。なんだか知らないが、チャンスって訳だ・・・。」 『いかん!剣崎君の名前に、美月君は自我を取り戻そうと戦い始めてしまった!』 『・・・・・・・・・・・・。』 レンゲルとランス。交互に見比べる嶋さん。 『・・・・・・・・・困ったねぇ。ナチュラル?』 「くらえええええええええええええええっ!!!!」 ランスは猛然と、苦しむレンゲルに向け、必殺技を放った!! 『美月君ッ!!!!!』 ガシュウウウウウウウウウウウウッ!!!! 第71回「吸収・進化・融合」 「!!・・・・・・・・嶋さん・・・・・・?」 大きな声で叫ばれた自分の名前に、美月は自分を取り戻した。 目の前には、嶋さんがこちらを向き、両手は何かを掴んでいる。 ボタ、ボタ・・・。 その水音に、視線を下に向ける。 そこには、緑の水溜りが・・・!! 「嶋さん!?」 よく見れば嶋さんが両手に掴むのは、後ろからその身を貫かれた槍だった。 美月に届かぬよう、嶋さんはそれを掴んでいたのだ。 『無事な・・・ようだね・・・。美月君。』 「そんな・・・嶋、嶋さん!!」 『君は、私の力を借りることなく、自力でカテゴリーAからの支配から脱した。・・・・私を封印すれば、カテゴリーAの力は完全に失われるだろう・・・。』 嶋さんは、レンゲルの腰のラウズバンクからプロパーブランクを引き抜き、それを手にした。 それを待っていたかのように、嶋さんの腰のバックルが開く。 『槍から離れたまえ。美月君・・・・。』 「そんな、嶋さん、嶋さん!!」 彼の身体は緑に輝き、その手にしたカードに吸い込まれていく・・・。 『人を、正義を、そしてこの美しい世界を守ってくれ。・・・・・さよなら。美月君。』 パサッ。 地面に落ちる、クラブの13、エヴォリューションタランチュラ。 「ちっ。余計な真似を・・・・。」 「ウアアアアアアアアああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」 バキィィィィッッ!!!! 怒号と共に繰り出された拳は、ランスを一撃で吹き飛ばした!! 「グアアアアアアアアアアッ!!!」 転がり地に伏せるランス。 そのかつてない力に、立ち上がるのもやっとだ・・・! 『BITE』 渾身の力でカードをラウズする! 「えやあああああああああああああっ!!!!!」 両足を振りぬくレンゲルのキックが、ランスを捉えた!! ガシィィィィィィィッ!!! 「ヌアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」 ドガアアアアアアアアアアアアアアンッ!!! 大爆発が巻き起こり、仮面ライダーランスのスーツがボロボロと剥げ落ち、新名はウルフアンデッドの正体を見せる。 『く、くそおおおお・・・・。』 そのすさまじい威力に、バックルが展開させるウルフアンデッド。 「う、く、・・・・ああああああああああああああああああっ!!!!」 嘆きとも怒りとも取れる叫びを上げ、美月はコモンブランクを投げつけた!! 『グ・・・・ここまで来て・・・封印されてたまるかああああああアアアアアアアアアッ!!!!』 ブロロロロロロロッ!!! 「!!」 パシッ!! またしてもブラックファングが助けに入る。 ウルフアンデッドをかばうように止まったファングは、カードを弾く。 『ハァ、ハァ・・・・。ファング・・・。』 それを見て、にやりと微笑むウルフアンデッド。 傷ついた身体を引きずり、バイクにまたがる。 「逃げる気か!!!お前は、お前は絶対に封印してやる!!!!!!」 いつものおとなしい彼女の面影は見えない、激しい怒りに満ちている美月。 レンゲルラウザーを手に、ゆっくりと近づく。 『フフフ・・・。』 そこで奴が取り出したのは・・・。一枚のラウズカード。 『RECOVER』 そのカードをファングにラウズすると、ウルフアンデッドの傷は見る見る癒え、バックルも閉じられた! 「そんな・・・・!!そのカードは!?」 『ジョーカーが来た時を覚えているか?オレを絞め殺そうとしたあの時、俺はアンデッドを封印していて遅れてきた。』 『そのときに封印したのが、こいつだ。・・・・妙におとなしいアンデッドでな。ちょっと痛めつけたら簡単に封印できたって訳だ!!』 『しかもこいつは治癒能力を持つ・・・拾い物だったぜ。』 「く・・・!!でも、それで元に戻っただけだ!またさっきみたいに!!」 『ファングには、ちょっと改良が加えてあってな。』 ファングのラウザーの手前・・・。そこを新名は開く。 『烏丸が用意していた、お前のラウズアブゾーバーを組み込んだ。』 「!!!!」 『ABSORB QUEEN』 『EVOLUTION KING』 ファングから赤い蟷螂の紋章が飛び出し、ファングに取り付いていく・・!! メキメキと変化を始めるブラックファング!! 機械は増殖し、手足のようなものが生え始め、そのフロント部分は、大きな狼の顔へと変形していく!! 「ま、まさか・・・まさか・・・!!」 『ハアッ!!』 飛び上がったウルフアンデッドは、座席があった部分へと着地する。 そしてカードラウザー部分に、その指を差し込む! 『ヒッヒヒヒヒヒヒヒヒヒ・・・・!!!!』 その姿は巨大な人型に進化したブラックファングに吸い込まれ、消えていく。 『俺は・・・・・ファングと一つになったのだ!!!』 見上げるほどの大きさに進化・融合したウルフアンデッド!! 「そんな・・・そんな!!!」 『勝者は、俺だああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!!!!!!』 その大きな足が、レンゲルを踏み潰そうと迫った!!!! 橘さん・・・・。 先ほど彼女が走り去った先の道を見つめる。 なぜだろう。何故こんなに悪い予感が・・・。 「!!!」 「どうした?始穂。」 「巨大な・・・・アンデッドの気配を感じる。」 「ええ!?」 「た、確かにサーチャーに反応があります!」 一菜が覗き込むアンデッドサーチャーには、アンデッド、そしてレンゲルの反応があった。 「美月ちゃんが戦っている!」 「ああ・・・。どうしましょう・・・。」 「・・・決まっている。アンデッドを倒す。そうだろう?一真。」 ・・・でも、俺は橘さんも気になるわけで。 1.自分の予感に従い、橘さんを追う。始穂は・・・来てくれるかなぁ? 2.そのアンデッドの元へ急ぐ。美月ちゃんを、放って置けない! 第72回「狼に挑む蜘蛛」 「始穂。アンデッドの元へ行こう!こっちの方が、はっきりとした危険が迫っているんだ!」 「・・・危機。一真の・・・仲間に。」 「うん!始穂、スペイダーの後ろに!一菜は・・・。」 「・・・・ブルースペイダーは二人乗りです。わたしは、そのカメラの映像からお二人を見守っています。・・・・いってらっしゃい。おにーさん。」 「ごめん。一菜。あなたのおにいさんは私が守るから。」 「始穂さん・・・・。お願いします!!」 ぺこっと深く頭を下げる一菜。 「・・・行こう、始穂!」 俺はブルースペイダーを、出来る限り全力で飛ばした!! 「天王路さん。・・・貴方に聞きたいことがあります。」 BOARD研究所に戻ってきたさくら。 所長室の天王路を前に、その疑問を問いただす。 「なんだね。藪から棒に・・・。ジョーカー探索はどうしたのかね?」 「それよりも、私は嶋さんに接触しました。烏丸主任と共に消えた嶋さんと・・・。」 「ほう・・・。それで?」 「そこで彼から伝えられました。貴方が、このバトルファイトを仕組み、途方もない計画を企てていると・・・。」 ズガアアアアアアアアアアアアアアアンッ!! その巨大な鋼鉄の足が、地面を踏み砕いた!! 間一髪飛びのいてかわした美月。 「どうすれば、どうすればいいの!?」 巨大な姿に超進化したウルフアンデッドの前に、手も足も出ないレンゲル。 『ヒヒヒヒヒ、ヒヒヒヒヒヒヒヒイイイッ!!!!』 狂ったような電子音の声が発せられる。 『俺は勝つ・・・どんな手を使っても・・・。』 『死ね!死ね!!!無様につぶれた屍をさらせええええッ!!!』 ズドオオオオオンッ!!!! 振り下ろされた腕を転がりかわす! 巻き上げられる土塊が辺りに散らばる。 「はぁ、はぁ・・・・。」 物陰に隠れ、隙をうかがう美月。 ラウザーの残りAPは1000・・・・。 「嶋さん・・・。力を貸してください!」 美月は回収しておいた、エヴォリューションタランチュラをラウズする。 さらにもともと持っていたフュージョンエレファントをラウズ。 ラウザーにAPがチャージされ、数値7800となる。 「コレで、少しはましに・・・。」 ブゥンッ!!! 「!!!」 ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!! 横へ凪がれた腕は、美月の隠れる廃屋を破壊する! それから辛くも逃れ、走りながらも美月は考える。 「何か、何か手を考えないと!」 あの巨大な相手と、正面から戦うのは無理だ! 狙うなら、あの進化の源であるラウズアブゾーバーを破壊するしかない! ・・・でも、それだともう、私は剣崎さんたちのようにフォームアップできない・・・・。 いや、アンデッドはもう残り少ないんだ!パワーアップなんて何の意味もなくなる。 だったら、狙うのはただ一点。 その背中に埋められた、ラウズアブゾーバー! 美月は決意を固めると、二枚のカードを取り出した! 『REMOTE』 アンデッド解放の力・・・テイピアリモートをラウズする! 開放する対象は・・・。 ザッ!! 『ギュキュルルルルルルル・・・・・。』 「あいつの気を引いてください!!」 うむ・・・と、クラブの9、スキッドアンデッドはうなづいた。 『アアアアア・・・・どこだ・・・・どこだレンゲルゥ!!』 『!!』 そこへ、人影が現れる! 『覚悟を決めたかぁ・・・?』 だが、ウルフアンデッドの前に現れたのは、レンゲルではなかった。 『そうか・・・・。数で勝負というわけか。小賢しいイイイイイッ!!!!』 『ギュキュウウウウッ!!』 スキッドアンデッドは、その触手をあたりに伸ばし固定させると、空中へと舞い上がった! ブハアアッ!! 『!!!!』 そこに、放たれる黒い墨。 それは煙幕となり、ウルフの視界を奪う! 「・・・・今だ!!」 『SCREW』 『RUSH』 その隙に後ろから近づいていた美月。 二枚のカードをラウズし、先端が鋭く回転するレンゲルラウザーを構え、飛び上がった! 「アブゾーバーは・・・・そこだアアアアアアアアアアアアッ!!!」 その一点を狙い、その杖を突き下ろす!! ズヒュッ!!! 「!!!」 ザギィィン!!! 「ああああああああああああああっ!!!?」 それが決まるかと思われた瞬間、背中からブラックファングのサイドに生えていた刃が飛び出し、美月を切り裂いた!! あえなく落下していく美月・・・レンゲル。 『残念だったな・・・・。』 ブゥン!! 『!!!!』 グシャアアアアアアアアアアッ!!!! 巨大ウルフアンデッドの腕が、スキッドアンデッドを捉え、叩き潰してしまった・・・!! 「!!!!そんな・・・。」 『ヒヒヒヒヒヒヒ・・・・・・。次は・・・お前だ!!』 ブゥン!!! 「ああああああああっ!!?」 仰向けに倒れるレンゲルに、大きな手のひらが迫った!! ドシィィン!!! 『ヒヒヒヒヒ・・・・ん?』 その手のひらはまだ地面についてはいない。 「っく、うううう・・・・・・・・!!!!」 『ほう、こいつは驚いた。この手を止めるとはな・・・。』 レンゲルは、両腕を伸ばし、その手を受け止めていた!! 『だが、どこまで持つかな・・・?』 体重をかけていく。 「うううう、うああああああああああああああっ!!!!」 すぐに腕は悲鳴を上げ始める。 ライダースーツの中で、腕がきしむ感覚が走る。 『無駄だ・・・!!今のこの俺には、ジョーカーさえも無力!』 「ウウウウウ・・・いやだぁ・・・・!お前に・・・お前にだけは負けたくないいっ!!!」 『あきらめろ!お前ごときでは俺には勝てない!そしてお前を救うものはもう、誰もいない!』 「いやだ、いやだぁ!!嶋さんのためにも、負けられないんだあああっ!!!」 『じゃあ死ね!あのアンデッドのように、つぶれて、惨めに!!!!』 いよいよその腕に力がこめられ・・・ 「ウアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああっ!!!!!!!!」 『THUNDER』 ピシャアアアンッ!!!! 『ぐおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!』 そこへ、雷鳴が響き渡った。 機械の体となったウルフアンデッドは、その電撃におもわずレンゲルへの攻撃の手を離してしまう! 『だ、誰だぁあ!!!』 「美月ちゃんから・・・離れろ!!」 そこには、二人並び立つ青と黒の仮面ライダーが・・・!! 『ブレイド・・・・。それにジョーカー・・・。わざわざやられに来たというわけだ。』 「その声・・・・。新名さん!?」 『ああ。お前はまだ知らなかったのか。ヒーッヒッヒッヒッヒ・・!!』 ガシィン、ガシィン・・・・。 巨大な身体を二人に向ける。 「ど、どういうことなんです!?」 『一真。・・・奴はアンデッドなの。』 「え!?そんな、だって新名さんは、今までオレを何度も助けてくれて・・・!」 『おめでたい奴だなブレイド!!そんなものは全て、お前達人間を欺く手段に過ぎない!!』 「だからなのか・・・・。だから始穂はお前を襲ったんだな!」 『納得いったか?疑うことを知らない坊や!』 「!!!!」 「・・・一真を侮辱することは許さない。」 カリスはその手にカリスアローを構える。 『ジョーカー。今日こそ俺はお前を封印する。この手には、まだ封印のカードがある。』 『貴様を叩き潰し、惨めな姿をそこの男に晒すがいい!!』 ガシャッ!ガシャッ!! 駆け出すウルフアンデッド!! 『どんな奴が相手でも、私は逃げることはしない。』 そんな怪物を前にしても、全く怯まず駆けていく始穂。 『ムゥンッ!!』 『グオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!』 ・・・許せない。 オレを、BOARDのみんなを騙し続け、美月ちゃんを傷つけたあいつを! それに・・・・。 『おにーちゃん、おにーちゃん♪』 あのアンデッドの少女を、封印したあいつを!!! 俺は、俺は許せない!!!!! 1.自らの身体をエースと同調させ、あの大剣を生み出す! 2.ジャックフォームに変身、スピードであの巨体をかき回す! 3.・・・・・・エヴォリューションのカードを使う。 第73回「覚醒!キングフォーム!!」 BOARDの所長室は、かつてない緊張に包まれていた。 「あなたはバトルファイトの勝者に与えられるという、万能の力を得るのが目的だった!!・・・それが烏丸主任の考えです。」 「・・・・・・・・・。」 「お願いです天王路さん!ウソだと・・ウソだと言ってください!私の知るBOARDは、人類を守る正義の組織です!それがそんなおろかな考えを・・・!」 その言葉を聴き終わると、天王路は電話を押し、 「広瀬君をここに。」 そういうと電話を切った。 「ふははははは・・・ははははははっはっはっはっはっは!!!!」 「!?」 突然高笑いを上げる天王路。 「流石は烏丸君だ・・・・。まさか計画の完遂の一歩手前で気がつかれようとはな!」 「天王路さん・・・・?」 「・・・・君も愚かな真似をしたものだ。気がつかずに黙ってアンデッドを封印していれば、穏便に退職金をも手に出来たものをね。」 「え・・・・・・?」 ガチャ。 そこへ、広瀬さんがやってくる。 ・・・なぜか、その娘、詩織も共に連れている。 「広瀬さん、広瀬・・・。」 「残念だよ・・・・橘君。」 ガツッ!!! 「ううううううううううっ!!?」 ガシャアアアアアアアアアンッ!!!! 突如広瀬所長の放った拳は、さくらを吹き飛ばし窓を割り、外へと追いやってしまった!! 「な!何をするのお父さん!!」 「・・・外に行こうか・・・。」 「あ、ああああ・・・・・・。」 研究所の外の芝生に転げ落ちるさくら。 ガラスの破片が、彼女の白い肌に赤い染みを作る。 「く・・・・・。」 「橘君。残念だが、我々は君を処分しなくては。」 玄関から現れた天王路が、冷酷な言葉を投げかける。 そしてその横には、自分の娘を乱暴に抱える広瀬所長が・・!! 「広瀬さん!あなたは不死の命の研究が目的だったはず!何故こんなことに手を貸すんです!!」 「・・・BOARD研究員、広瀬 義人は既に死んだ。」 「!?」 「ここにいるのは、その記憶を移植された・・・・トライアルBだよ。」 パチィン! さくらがその言葉を理解できないまま、広瀬はその指を鳴らす。 ドシッ!ドシッ!!ズズズズズズズ・・・!! その合図と共に、空から二体の、地面から一体の怪人が姿を現した! 「私のかわいい娘達・・・。トライアルD、F、Gだよ。」 それにあわせ、広瀬もその正体を見せる! 「いっ、いや、いやあああああああああああっ!!!!」 その異形に、抱えられた詩織は悲鳴を上げる。 「さて。ここが君の墓場だよ。橘さくらくん。」 天王路の右手が大きく空へと向けられ・・・。 「やれ。」 その腕は、さくらへと向けられた。 ラウズアブゾーバーを展開、クイーンのカードを挿入する。 「・・・・・・・。」 見つめるエヴォリューションのカード。 コレを、使うか・・・。 まだ何が起こるかわからないけど。 ・・・・あの怪物を倒すには、コレしかないかも知れない。 『むうッ!!』 ガシィィン! 駆け抜けざまにその足を斬りつける! 『何も感じないぞ・・・ジョーカアアアアアッ!!』 ズドオオオンッ!! 足元を駆け抜けるカリスを捕まえようと、その手を振り下ろす! しかし、それを軽やかにかわしていくカリス! 『こんなものじゃ話にならないか・・・。』 その手にしたカリスアローを見つめ、つぶやく。 ひゅんひゅんと振り回しながら、その手の弓を左手に持ち替え、腰のカリスラウザーをはずし、マウントさせる。 『一真からもらったカード・・・。その力を見せてやる。』 『FLOAT』 『DRILL』 『TORNADE』 『SPINNING DANCE』 『でぃぃぃぃやあッ!!!』 カリスの最大の必殺技が、巨大ウルフアンデッドを襲う! 『ふん・・・!』 それに向かって、ウルフアンデッドはその巨大な手で握り拳を作り、突き出した! ガシィィィィィンッ!!!! すさまじい衝突音があたりに響く。 バキバキバキッ!! 『っ!!!ぐあああああああああああああああっ!!!!!』 カリスのスピニングダンスは、その拳を打ち砕きながら、なおも前進する!! 『むううううううううっ!!!』 『ウアアアアア・・・・・俺が・・・・最強だアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!』 天をも震わせる叫びを上げるとウルフアンデッドは、カリスの掘り進む自分の右腕の中に手を突っ込んだ! ぎしぎしと機械のこすれる音がしたと思うと、その腕からカリスをつかみ出した!! 「っ!!始穂おおおおッ!!」 『ぐうううっ、うううっ!!!』 『握りつぶしてやる・・・・俺が最強だ!!』 機械でできた指が、カリスの身体に食い込んでいく・・・!! 『ウウウ、ウウ、ああああああああああああああああっ!!!!!』 『つぶれろ!潰れてしまえぇぇぇっ!!!』 始穂・・・!! 「もう、迷ってる場合じゃない!!」 『EVOLUTION KING』 それを入力した瞬間、俺の中に何かが入り込んでくる感覚が走った。 「ぐうううううううううううっ!!?」 アンデッドが、アンデッドがオレの中に入ってくる・・・。 奴らの意識が、力が、オレの中を蹂躙していく。 オレを襲う、強大な力の誘惑。 全てを破壊しろと呼びかけてくる、暗い声。 「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・!!!」 俺は・・そんなものに負けない! 俺がこの力を使うのは・・・。 『ぐううああああああっ!!!』 『ヒヒヒヒーッヒッヒッヒッヒ!!!!』 オレの大切な人達を、守りたいからだ!! オレの頭の上に13枚のカードが舞う! 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空豆兄
2009年03月08日(日) 10時46分58秒 公開 ■この作品の著作権は空豆兄さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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合計 | 1690点 |