仮面ライダーintertwine 第四章過去ログ |
仮面ライダーintertwine 第四章過去ログ 第四章 第一話 朝食と会議 作者 イシス様 騎士団のメンバーはニーベルゲン研究所を離れ、魔術師の別荘へと移動していた。 魔術師の勧めで、たまには研究所でではなく、普通の場所で朝食を取らないかとの提案だった。 もっとも、広大な敷地を持つ別荘が普通の場所などとは、到底言えることではないが。 「おい、マジでどうするつもりだ?」 よい焼き加減のトーストを口に運びながら、人形使いは不機嫌そうに暗殺者に話しかける。 食堂にいるのは、人形使い始め、暗殺者、魔術師、その傍らに弓使い、魔眼使い。 そして虚ろな目の少女イクス、いや、銃使い。 「よりにもよって、ホントに同盟相手の仲間を使役しちまって……騙まし討ちでもしたいのか?」 「まさか。私は同盟を破棄する気はないわ。その辺りは魔眼使いにもちゃんと言っておいたから。」 暗殺者は視線だけを魔眼使いに移す。その視線から目を背けるように、申し訳なさそうに頭をうな垂れる魔眼使い。 イクスを手駒にすることの許可までは下りたが、さすがにデュナミストナイツとの抗争までは許されていない。 少し先走った事を言ってしまったなと、彼女も少し反省してるようだ。 「ごめんなさい、お姉さま。私……」 「いいのよ。誰にだって失敗はあるんだから、次から気をつければいいのよ。」 「はい……」 落ち込んだ返事と共に、居心地悪そうに紅茶を口にする。 「俺が言いたいのはそういうことじゃない。もしもデュナミストナイツにばれたらどうすんだって話だ。」 人形使いは不機嫌な口調をより強める。 意外にも、彼に答えを返したのは魔術師だった。 「落ち着きたまえ、人形使い。これは等価交換だと思えばそれでよい。」 「……なに?」 「考えてもみたまえ。相手側は此方に協力を求めるだけ求め、一切の補償を約束していない。 こちらとしても見過ごせる内容ではないが、それだけでは割に合わないと言うものだ。」 エスプレッソの芳醇な香りを口に含ませ、魔術師は満足げにさらに話を続ける。 「こちらは約束通り、相手の条件を満たそう。代わりに、こちらはイクス嬢を騎士団として迎え入れる。 中々な等価交換とは言えないだろうか?」 「迎え入れる、ね。操り人形同然の状態をそう言うのなら、いかにも滑稽だ。」 微動だにせず、魔眼使いの傍らに立つイクス。 ニーベルゲン研究所の実験成果の一つを使い、彼女の自由意志を奪い、まるで手足の様に操る。 そんな状態に置かれた彼女を、人形使いはどこか哀れみの目で見る。 「……もし、デュナミストナイツが探りを入れて来たら?」 「イクスちゃんは彼らの前では普段通りに振舞うようにさせるわ。そして、彼女の口から騎士団に入ると言わせればいい。」 「上手くいくもんかね?」 「いざとなったら、彼女は人質になる。それに、最後は洗脳を解くもの。 もっとも、一部記憶を操作して、彼女には騎士団にいてもらう事になるけど。」 微笑を湛えつつ、イクスを見る暗殺者。 魔眼使いは少し嫉妬の目で、人形使いはやはり哀れみの目で、同じように彼女を見る。 「それで、今後の方針についてはどうするつもりだね?暗殺者。」 魔術師は鋭い視線を暗殺者に向ける。 「分担して任務に当たりましょう。まず、志熊 京に関しては魔術師と弓使いに。」 「ふむ、了解した。」 「…………(コクリ)」 「幻龍 レンナやセイバー、そしてDr.セルファには魔眼使いとイクスちゃんで。」 「はい!」 「あと、貴女は槍使いが持ち帰ったDr.セルファの極秘ファイルの解析も平行してお願いするわね。」 「まかせといて!!」 「私と人形使いは魔女に当たりましょう。」 「あいよ。……槍使いは?」 「彼女は、好きにさせましょ。昔から任務に縛られる娘じゃないしね。」 「仮にも組織に所属する人間が、そんなんでいいのか…………?」 「なら、皆はあの娘がキチンと任務に着いた所を見たことある?」 「ないな。」 「絶対ありえない!」 「申し訳ないが、黙秘権を使わせてもらおう。」 「………(フルフル)」 皆、意見が見事に一致した。 「その槍使いはどうしたのよ……」 不機嫌な顔で、唯一ここにいない放浪娘のことを話題に挙げる魔眼使い。 すると……… 「おはよ〜……」 寝ぼけ眼で、寝巻き姿のままの槍使いがだらしなく食堂に入って来た。 しかも寝癖まで酷い。 「……アンタ、今日は朝は会議があるから、ちゃんと出ろって昨日、お姉さまが言ったわよね?」 「……あれ?そだったかな……ふあぁあああ………眠ぃ……」 フラフラと空いた席に座り、テーブルに顔を付け、再び眠りだす槍使い。 その姿に一同(暗殺者を除き)、呆れ返ってしまう。 「……殴ってもいい?お姉さま。」 「やめとけ。どうせ無駄だから。」 「彼女、昔から寝起きが悪かったから、このままにする他ないな。」 「…………(溜息)」 一同の心労を他所に、槍使いは安らかな寝息を立てる。 そして、それを微笑ましく見守りながら、優雅に紅茶を口にする暗殺者だった…… 第四章 第二話 レンナ修行中 作者 ウェイド様 レンナ「はぁ!」 朝六時の幻龍家。 レンナは修行と言うか稽古をしていた。 レンナ「せいや!」 あの時負けたのは幻影の力を過信していたから。 今度は油断しないと。 思っていたら……。 牙鉄「レンナよ…修行に行くぞ!」 拉致られた。 今度は富士山の樹海で修行。 以前はハワイの溶岩が出ているとこで修行。 いつもよりはましだ。 ????「へ〜、まだ力が完全に覚醒していないね、倒すのはいまのうちかな」 それを見ている謎の男。 その腕には文字が書かれている、腕輪が……。 文字には…こうかかれていた。 残酷と……。 ????「ふふふ…あの子はどんな悲鳴かな?たのしみだ」 ギルティー「わかっているだろうが……ナノクリスタルをラフエイアと共に探せよ」 聞いてないぞギルティー それでそのラフエイアはというと……。 ラフエイア「遅い……遅すぎる!」 ここで待ってろと言われて早一時間……。 もともと、まっていられる体質ではないので、余計いらつく。 ストレス解消として、木を倒しているほどだ。 ギルティー「すまん遅れた」 戻ってきたギルティー、ぶん殴られるとこをどこからか取り出した。 亜種デュナミストでガードした。 そしてその亜種デュナミストは謎の男のように星になった。 ラフエイア「遅すぎる!」 ????「騒ぐ女性は嫌いなんだけど……」 言い方が悪かった、謎の男は吹き飛ばされた。 ギルティー「……とりあえず、ナノクリスタルの回収と幻影の称号を持つものを殺せ」 ラフエイア「命令口調だな」 ギルティー「これが私の普通の口調だ」 嫌われるぞギルティー。 ラフエイア「それよりも……ここ熱いんだけど」 ギルティー「当たり前だろう?富士山の火口だからな」 ごぽごぽ…… 二人とも汗だくだくだ……。 ラフエイア「俺たちなんでこんなとこにいるんだ?」 ギルティー「場所変えるのか?」 ラフエイア「そうだな、変えよう」 ………余談だが、男の子ぽい女の子と黒いマントを羽織った青年がカキ氷屋で、 メロン味とサイダー味(なんだそれ)を食っていたそうだ。 レンナ「変な光景……」 それを牙鉄の修行につきつあわされていたレンナが見たが……。 まさか敵だとは思ってもいないだろう。 牙鉄「なにをやっているいくぞ!」 レンナ「は〜い」 目的地は…富士の樹海であるレンナだった。 いっぽう、星にされた謎の男はというと ????「ふふふ……すぐに戻るさ!」 大気圏突入中。 よい子はまねしないように!(できるか! 第四章 第三話 平和の中に蠢く闇 作者 残影刃様 ライダー達のせいでボード学園が休校となった日の朝、ホタルはぬくぬくと布団の中で惰眠を貪っていた。 本来なら、今日転入する教室に案内され授業するはずだったのだが、休校によって来週に繰り越しになったのだ。 「ふみゅ〜…ウサギさん…待って〜…♪」 おそらく、幸福な夢を見ているのだろう。 さっきから、幸せそうな顔で寝言を呟いている。 …しかし、 …カシャッ、カシャッ、… そのホタルの寝顔を、恍惚の笑みでカメラに収めている怪しい女性がいた。 「ふふ、ふふふ、可愛い…さすがは我が妹!!」 女性は、大声を上げながら立ち上がり、ガッツポーズをとる。 彼女の名前は、水無瀬 秋奈…ホタルの姉である。 さきほどの態度でわかるように彼女は北崎達と同類である。 そして、ただいま愛しい妹の寝顔を盗撮中(オイ) 「こんな可愛い寝顔を撮らない奴がいるだろうか!いや、いるはずが無い!!」 …いや、常識人は取らないだろう… 「ふん、そっちの方が非常識よ!!」 なんで俺の言葉がわかるん…ヒデフゥッ(秋奈に殴られた) …とまあ、これだけ騒いでいるのにホタルは一向に起きようとしない。 意外と図太い神経だな… 「違うわよ、昨日は真夜中まで迷子になっていたから疲れてるのよ」 …いや、だから俺の言葉に反応しないで… 「この子、本当は私よりも早起きなのよ。 それで、私のために朝ごはん作ってそのあと「お姉ちゃん朝だよ」って起こしに来てくれるんだから♪」 …だから、別に君と会話するつもりは…ダメだ、妄想中で聞いてやしねえ… 「ふみゅ〜…おはようございま〜す」 秋奈が妄想に浸っている間に、ホタルは眠たそうな目を擦りながら起き上がった。 その声を聞き、秋奈は高速で涎を拭き、カメラを後ろに隠し、満面の笑みをホタルに向ける。 「おはよ、ホタル!今日もいい天気よ♪」 「あ、姉さん、今日は早いね〜」 秋奈が挨拶すると、ホタルはほにゃっとした笑顔で返す。 「何言ってるの、ホタルが遅いのよ(ああ、可愛い!!)」 「え、…えぇぇ!ちっ遅刻だ〜!!」 秋奈の言葉に驚いたホタルが時計を見ると、 もうすでに8時を過ぎており、ホタルはもっと驚いた顔をする。 「がっ学校行かないと先生に怒られる!!」 「あ、それなら大丈夫よ。…(ふきふき)…今日は休校よ」 慌ててパジャマを脱いでいるホタルに、つい涎が垂れた秋奈は涎を拭きながら簡単に説明した。 「ふぇ、何で?」 「なんでも変人達が校舎をぶっ壊したから来週まで休校になったらしいわよ」 少々変な誤植があるが秋奈は休校の理由を説明した。 「そうなんだ〜、よかったぁ…あ、朝ごはん作るね」 「あ、それなら私作ったわよ。だから早く着替えて食べなさい」 「それじゃあ、お友達が出来るまで来週まで待たなきゃいけないんだ…」 ホタルは、秋奈が作った朝食を食べながら残念そうに呟いた。 「確かに残念よね〜、 …あ、でもお姉ちゃん友達になってくれそうな子ピックアップして来たから」 「ふぇっ?」 ホタルは、秋奈の唐突な宣言に驚く。 しかし、秋奈はそんなこと気にせず説明を続ける。 「ホタルは中二だから中二の子ね♪ まず、幻龍 レンナちゃん!明るく元気な子で今時貴重な僕っ娘ね♪ 次に、剣崎 一菜ちゃん!頑張り屋さんなんだけどドジっ娘なのよね〜♪ 最後に、天川 レオナちゃん!おとなしくて恥ずかしがり屋な娘よ♪」 …わかると思うが、さっきから説明している少女達は、秋奈が趣味でチェックしている少女達だ。 正直、ここまで趣味に走った説明なら姉の正体に気付くはずだが… 「ふえぇ、すごいね姉さん、そんなに生徒の事知ってるんだ〜」 ……一向に気付いてなかった。 「ええ、伊達に高等部新聞部部長は勤めてないからね♪」 …先生よ、何て危険な人物に危険な権力……ゴフッ(再び殴られた) 「まあ、他にも私の後輩の妹も結構良さそうなんだけど…人見知りが激しいらしいからね〜」 秋奈はラブリー少女メモ帳(さっき説明に使っていたもの)を見ながら、ホタルに聞こえない程度に舌打ちをした。 「そうなんだ、…あ、お昼の材料買って来るね」 朝食を食べ終わったホタルは、冷蔵庫の中身をチェックした後、 財布を手に取り靴を履きながら言った。 「ええ、行ってらっしゃい。最近物騒だから気を付けるのよ」 「はい、わかりました」 ホタルは、ほにゃっとした笑顔を見せた後、外へ出かけていった。 「……………………………………………可愛すぎよホタル〜!!!!」 ホタルが出て行ったのを確認した秋奈はめいいっぱいの大声で叫んだ。 ちなみに、防音性が高かったので近所迷惑にはギリギリならなかったという…… その頃、四乃森 陣は暗殺者がきていた廃ビルに来ていた。 「……狩りに来たのに先に狩られているとはな……」 彼は、この町の亜種デュナミストの行動ラインを調査し、 その中で一番数の多いココに来たのだが、すでに暗殺者が片付けていたのだった。 「…まあ、少しは残っていてよかったな」 そう言って、陣は後ろのほうを睨む。 「いるんだろう?さっさと出て来い」 その言葉を聞いて、二体の亜種デュナミストが出て来た。 『よく気がついたな〜』 『でも、人間だと思ったんだろうが残念だったな』 二人の異形は、にやりと笑いながら陣のほうを見て笑った。 しかし、それを見た陣は冷たく笑っていた。 「いや、当たりで何よりだ…」 そう言って、陣は一枚のカードを取り出す。 そして、その瞬間に陣の腰にベルトが出現した。 「………変身」 そして、陣は手に持っていたカードをベルトの右の装備されていた穴に差し入れた。 そして、次の瞬間、漆黒の鎧を纏った異形のものが立っていた。 『な、デュナミスト!!』 「……違うな……俺は……」 二人の異形が驚いていると、いつの間にか黒い異形は彼等の後ろに立っていた。 『な、いつの間に!!』 『…あれ、何だ?体が変だ…』 次の瞬間、二人の異形は体中が崩れ落ち、絶命した。 そして、黒き異形の手には彼等の血がついた黒い剣があった。 「……俺はデュラン…全てを滅する者……」 そう言って陣は変身を解除した。 次の瞬間、息が荒くなり、胸に手を当て、壁にもたれかかって倒れそうになる身体を支える。 「…この程度で…死んで堪るか…アイツを…殺すまでは……」 そう言って陣は壁で身体を支えながら廃ビルから出て行った。 第四章 第四話 孤独の理由(ワケ)作者 ユルカ様(様いらねえよ) 「ふ…ふわぁぁぁぁ…。」 背伸びをしてベッドから起き上がる京。 昨日、学園のほうで何かあったようで、来週まで休校らしい。 と、夜その知らせを受けて、少しだけ寝坊した。(ぇ) 「はぁ…でも今日も雅菜さんが厳しい特訓メニュー用意してるんだろうな…。」 ちょっぴり憂鬱になる京。 でも、これも大切な人を守るためのものだったら、苦にはならない。 そう、自分のためではなく、他人のために。それが彼女を戦いへと動かしている原動力なのだ。 場所は変わって…養護施設の食堂…。 「この間のことで話したいことがあると…?」 木場 夕菜が口を開く。 彼女がここにいるのは、またエウリュディケが来るかもしれないという予感から、 北崎、雅菜、そして水美の計4人もここに泊まらせて貰うことになったのだ。 まぁ、実際はエウリュディケは来なかったのだが…。 「ええ。まさかあれほど早くああなってしまうとは思いませんでしたので…。」 「ああなってしまうって…。アンタ最初から知っていたのか!?」 雅菜が怒る。 「…そういうわけではないです。ただ理由は分かります…。」 「理由?」 「…これはまだ誰にも話していないのですが…京は…元々この世に存在しない人物なんです。」 「「え!?」」 突然そんなことを言われたので、夕菜と雅菜は驚く。 ちなみにこの場には、北崎も水美もいない。 「私は元々、遺伝子学の第一人者でして、その研究の最中、一人の科学者と出会いました。」 キールはその科学者と共に、ある研究を進めていたのだ。 「テロメラーゼの活性化」という一つのテーマで。 細胞の寿命を決めているのが染色体の中にあるテロメアと呼ばれる部分である。 テロメアは細胞分裂するたび短くなり、ある長さになった時、その細胞はそれ以上分裂できなくなる。 そのテロメアを唯一、修復できるのがテロメラーゼで、生殖細胞や幹細胞、ガン細胞にしかない酵素なのだ。 ところが、テロメラーゼ生産遺伝子は全ての体細胞にちゃんと入っている。 ただ、そのスイッチがONになってないだけで……。 「読めたぞ…。その研究の成果が京だと言いたいんだな。あんたは!!」 「その通りですよ…。」 「でも、それなら何でその研究をやめているんです?」 「その科学者の考えていたことが…さらに恐ろしいことだったからですよ…。」 その科学者が考えていた恐ろしい事…。 それは、京を仮面ライダーとすることだった。正義ではなく、これまでいる仮面ライダーを全て滅する者に…。 キールの説得もむなしく、京は仮面ライダーへと改造されてしまった。 あとは自分の言うことを聞く様に、脳改造をするだけとなったのだが…。 「私は…京を作り出してしまったことが間違いの始まりだと思いました。そこで…。」 京の記憶を消し、科学者に京と共に出て行くように言われるように仕向けたのだった。 それは成功に終わったが、今日に至るまで京には味方がいたが、友達はいなかった…。 それが、この前の暴走に繋がったのだと…。 「信頼できる味方はいても、友達はいない…。それが…京が孤独を怖がる理由…。」 孤独など嫌…だからあの時、京は凶暴化してしまったのだ。 「……参ったな…。まさか、そこまで事態が深刻だとは…。」 「テロメラーゼの活性化で京は私たちよりも長生きでしょう…でもそれは…彼女がまた孤独になってしまうということに…。」 キールの台詞で、二人は言葉を失う…。 「すいません…。こんな話をするつもりではなかったんですが…。」 「姉さん。そろそろ食事にしないか?」 キッチンの方から、カシス・時雨の声がする…。 昨日夜遅く、彼もここに泊まることになったのだ。 まぁ、キールの弟だから、野宿しなさいとはいえないわけで…。 「そうね…。いただきましょうか。」 …その日はこんな衝撃的事実の会話から始まった。 …そして…。 『さてと…起動準備完了。モーサドゥーグ…行け!!』 エウリュディケは、モーサドゥーグを動かしていた…。 魔女作成のゴーレムを破壊し、ライダー達に大打撃を加える超兵器…。 果たして…誰が止められるのだろうか…。この兵器を…!! 第四章 第五話 モーサドゥーグ襲来 作者 イシス様 「キール博士。お客様がお見えになられていますが……」 「来客?私に?」 時刻はちょうど真昼となり、先ほど皆で昼食を食べ終わった時だった。 若い研究員がキールに来客の知らせを持ってやって来た。 「それで、誰なのですか?」 「はい……エスカリア博士です。」 「エスカリア博士が?……分かったわ、通してちょうだい。」 「申し訳ありません。突然、押しかけるように来てしまって……」 「いえ、構いませんよ。それで、今日は何を?」 「はい。宜しければ、キール博士の遺伝子工学の講義をご拝聴出来ればと思いまして……。」 「私の講義で宜しければ、どうぞ。」 キールはエスカリアを連れ、自室のラボへと案内する。 彼女らの後ろには、銀髪のメイドが歩を乱さずエスカリアの後に続いた。 その途中、ばったりとキール達はカシスと出会った。 「あれ?姉さん、お客さん?」 「えぇ。エスカリア博士、弟のカシスです。」 キールは一度エスカリアに向き直り、カシスのことを紹介する。 「カシス・時雨です。」 「初めまして、エスカリアです。しかし、キール博士の弟となると、さぞかしご立派な方でしょうな。」 「恐縮です……」 まさか出会っていきなり世辞を言われるとは思わなかったのか、少し困惑するカシス。 「実際、この子のお陰で研究も随分と助かっているのですよ?」 「ほお。すると、カシス君は博士の助手なのですか?」 「頼りになる助手ですよ。」 「ね、姉さん……!」 キールまで揃ってカシスを褒める。 悪い気分ではないのであろうが、やはり照れてしまっている。 「ふふ…。じゃあ、私達は自室にいるから、何かあったらすぐに呼んでちょうだい。」 「わかったよ。……じゃあ、エスカリア博士。僕はこれで……」 カシスは一礼してキール達の横を通り過ぎて行く。 それからすぐに、キールはエスカリア達を自室へと案内すべく再び歩き出した。 「姉さん、人前であんまり自分の弟を自慢しないでくれよな……」 少し不満に口を尖らせてはいるが、顔は少し綻んでいた。その顔をなんとか元に戻し、自分の部屋に歩を進める。 部屋に入り、早速、愛用のパソコンを起動させる。 「考えてみたら、エスカリア博士ってどんな人物なんだろ?」 この事は研究者としての立場からも興味があったし、カシス本人としても興味があった。 滑らかにキーボードを叩き、目的の人物の情報を画面に映す。 ウェルトラーノ=ゼ=ラ=エスカリア 機械工学の世界に数年前から現れだした奇才。 主に、彼の研究の成果は医療分野へと渡り、彼のお陰で救われた者は数知れない。 特に、彼の作る義手や義足、人工臓器は本物同然の働きをすることで有名である。 「へ〜……ホントに凄い人なんだ。」 感心しながらも、さらにキーボードに指を走らせる。 「これだけの偉人なら、きっと家系も立派なもんなんだろな。」 しかし、画面に現れた文字を見て、カシスは顔を顰めた。 『This data is deleted.(このデータは削除されています。)』 「データがない……?」 それはありえない。 あれだけの偉人が自分の家系のデータの一切を消失しているなど、およそ考えられることではない。 プライバシー保護という考えもあったが、それにしては徹底的すぎる。 まるで、何か知られてはいけない事があると言わんばかりだ。 それに、この実績のデータにしても気になる点があった。彼がこれだけの偉業を成したのは、つい数年前からのことだ。 以前から研究は続けていたであろうし、その間に何かしらの功績を彼なら修めていてもおかしくない。 なのに、過去の研究について探ってみても、やはりデータの一切が見つからなかった。 「どういうことなんだ……一体………」 場所は変わり、街を見下ろせる小高い公園。そこに、一菜と始穂、そしてレオナがいた。 「じゃあレンナ、ホントに修行に行っちゃったの?」 「うん。さっきレンナの家に電話したら、ツバキさんが出てね……」 一菜が話す所によると、なんでもレンナは祖父の牙鉄に連れられ富士の樹海まで行ったそうだ。 苦笑する始穂とレオナ。 「レンナも大変だね。」 「そうだね………ん?」 レオナが振り向く先、公園入り口に一人の女性が此方を見ていることに気付いた。 やたらと長身で、髪はおさげにしている。口からはなぜか涎が垂れて、顔は満面の笑み。 「どうしたの?レオナちゃん。」 「ほ、ほらあの人……なんか恐いね……色々と。」 「……!あぁーーーーーーーー!!」 大声を上げる一菜に驚く二人。 「ど、どうしたの!?」 「あ、あの人だよ!!志熊さん攫ってった人!!」 「「えぇ!!?」」 素っ頓狂な声を上げる始穂とレオナ、そして険悪な目で相手を睨む一菜達の前に、堂々と槍使いが歩いて来た。 「一菜ちゃんに始穂ちゃん、それにレオナちゃんだね?こんにちわ!」 やたら元気に挨拶する槍使い。 しかし、一菜は険悪な表情のまま相手に食って掛かる。 「誘拐犯がこんな所に何しに来たんですか!ま、まさか……今度は私達を攫うつもり!!?」 体を強張らせる一菜、徐々に戦闘態勢に入ろうとする始穂と、その後ろに隠れるレオナ。 「ううん。今日は可愛い女の子の気配がしたからここに来ただけだよ?もちろん、君達のことね。」 「「「あら?」」」 ずっこける三人。 「でも、皆が望むなら……お姉さん、可愛い服持ってるけど……」 「「「着ません!!!」」」 誰もそんなことは望んじゃいなかった。 「そう?……じゃあ、お姉さんが一菜ちゃんのとっておきの情報を教えちゃう!」 「一菜の……?」 「とっておき情報……ですか?」 「な……なんですか……それ……」 少し興味のある顔の始穂やレオナとは違い、一菜は自分も知らない未知の情報とやらに警戒する。 なぜか誇らしげな表情の槍使いは、自信たっぷりに口を開く。 「実はね……一菜ちゃん、貴女のその胸は、少なくともあと四年たってもそのままなのよ!!」 「「………!!?」」 「……うそだ!そんな話、信じられません!!」 まるで死の宣告を受けたような危うい表情で、一菜は槍使いの告白を必死に否定しようとする。 「ホントだよ?今まで幾多の女の子を見てきた私が言うんだから、間違いないわ。 なんなら、あのいけ好かない北崎にも聞いてみたら?たぶん、同じこと言うと思うよ。」 目の焦点が定まらず、一菜はガックリと膝を突いた。 あの北崎と同類の槍使いがそう言うのであれば、きっと一菜の胸は成長しないのであろう。 (一菜にとっては)残酷な真実を突きつけられ、まるで地獄に真っ逆さまに落ちたような顔になる。 「ウソダ……ウゾダドンドコドーーーーン!!」 あまりのショックに、何言ってるんだか分からなくなっていた。 見かねて一菜に近寄るレオナ、そして槍使いを始穂は凄い形相で睨みつける。 「よくも一菜を……!!ムッコロしてやる!!」 腰に自然とベルトが出現し、手にはハートのカテゴリーAがある。 ラウザー部にラウズし、カリスとなって戦おうとした始穂だったが……… 突如、地面が激しく揺れた。 何が起こったのか、全員が慌てた表情となる。 「……!!ねぇ、あれ!!」 レオナが指差す先、街に見える異質な影。 よく見ると、正体不明の巨大兵器が街を荒らしまくっていた。 巨大兵器はビルをなぎ倒し、地面を砕き、辺りを業火で覆いつくす。 我先にと逃げ惑う人々、しかし、その多くは巨大兵器の攻撃の犠牲となった。 突然の異常事態に、街が混乱の渦中にあることは容易に想像できる。 このまま放っておけば、さらに被害は拡大していくだろう。 「……あれ……そんな!!」 口元を押さえ、震えだす槍使い。 ただ事ではないと感じたのか、始穂とレオナは揃って槍使いを見上げる。ちなみに、一菜はまだ凹んでた。 「女の子の気配がする!!」 「「何で分かる!!?」」 息もピッタリのツッコミだった。 「茶髪にツインテール、しかも犬耳属性ときた!!これは放っておけないわ!!」 巨大兵器からなぜか女の子の気配をやたら正確に感じ取った槍使いは、信じられない速さで公園を駆け出した。 砂煙を巻き上げ、すでにその姿は消え去って行った。 「なんなの?あいつは……」 「それより、始穂ちゃん。茶髪にツインテールで犬耳って……まさか!!」 「いぬみ!!?」 そういえば、ここ最近はいぬみの姿を見ていないと思っていたが、まさかあの兵器の中にいぬみが? 信じたくないが、槍使いが女の子に関して言う事なら、まず間違いではないと始穂には思えた。 「こうしちゃいられない…!レオナちゃん、木場達に連絡して!!」 「分かった!!」 「レオナちゃんは私が乗せてくから、行きましょ!!……って、一菜!!」 立ち上がってはいるものの、どことなく生気の感じられない一菜に、始穂は激を入れる。 「しっかりして!!胸の事は後にして!!」 「うん……今は、あれをなんとかしないとね……ふふふ……ふふ………」 「もーー!!一菜ーーーーーーー!!」 「ふふふふ………あと四年も胸がぺったんこ………うふふふふふふふふ………」 すでに一菜はいい感じで壊れかけていた。そして、この状態は現場に着くまで続いたのだった。 第四章 第六話 嫌い同士な剣と剣 作者 ウェイド様 一方、モーサデゥーグが暴れている町。 高層ビルがいくつかボロボロである。 ビルはいつ崩れてもおかしくない。 それを無視して進むモーサドゥーグ。 そして、それの前に現れる影。 剣「…覚醒!」 紅き戦士仮面ライダーセイバー。 いまはその色さえも頼もしいと思えるであろう。 セイバー「っち!このままでは私の隠れ家に直撃だぞ!?」 彼がここでモーサドゥーグをとめている理由は一つ。 モーサドゥーグの進行方向には彼の隠れ家があるのだ。 そのため必死である。 セイバー「はぁ!」 己の武器で攻撃してもびくともしない。 きりが無い。 いやある…己が力尽きるときが。 セイバー「少しは効いてるフリでもしろ!」 …それは無理だぞセイバー。 無効から音速を超えた戦士が向かってくる。 セイバーにとっては敵の。 槍使い「せいば〜ちゃあ〜〜〜んん!!!!」 仮面ライダージン………別名変人Bだ(Aは北崎、Cはスティール) 抱きついてきたのだ。 しかも敵の目の前で。 セイバー「ええい!離れろ!!戦闘中だぞ!?」 ジン「あ〜もう、ペルソナの力なかったらもうふにふに〜」 ほっぺをすりすりするジン、セイバーが…切れた セイバー「………カオスデクトラクション」 ズガァン! セイバー「さてと……行くぞ!」 剣を構えるセイバー、後ろでジンが「いけず〜」とか言っているが気にしない。 モーサドゥーグ『GA!!!』 モーサドゥーグから放たれる大量のミサイル。 その大量のミサイルがセイバーを……襲わなかった。 すべてのミサイルはセイバーに叩ききられていた。 セイバー「弱い!」 一方、剣崎たちは。 一菜「もう戦ってる……」 やっと正気に戻った一菜。 始穂の 始穂『一菜!貴方はまだいいわ!レンナちゃんなんてぺったんこよ!?もしかしたら四年後もぺったんこかも』 といったのだ。……レンナ哀れ。 が四年後は胸は少し大きくなっていたりするが…… それは別の話で。 一菜「向こうで戦っているのは…セイバー!?」 驚愕する、一菜なぜ彼(彼女)が戦っているのか? 理由は移動方向に自分の隠れ家があるから…である。 理由を知らない一菜たちは驚愕するであろう。 セイバー「む?のんきに観戦か…いいご身分だな剣崎一菜」 一菜「……いま戦うわよ!変身!」『ターンアップ』 セイバーの元に降り立つブレイドたん、セイバーは関係なさそうに見ている。 セイバー「格好だけの奴には負けんが?」 ブレイドたん「な……いいわよ!勝負よ!! セイバー「よかろう」 ブレイドたん「それならあの変兵器から人質を救出したほうが勝ちよ!」 セイバー「それでは……行くぞ!」 先にモーサドゥーグに向かうセイバー遅れてブレイドたんが向かう。 始穂「……いいのかな?」 レオナ「さあ」 呆れる二人。 しかし彼等は気づいていなかった。 モーサドゥーグの生態コアは一つではない。 もう一つは異型の魔神 そして、いまのセイバーでは勝てない相手。 その名も。 ダークソード「グォォォォォォォ!!!!」 魔神ダークソード。 第四章 第七話 志保と凪 作者 岡島様 その日、志保と凪は買い物のため、街に来ていた。 「久し振りね、二人で買い物なんて」 「………」 返事は無い 「凪……」 「あっ、ごめん」 「どうしたの、朝から変よ」 「なんでもない……」 なんでもないわけは無かった。ここで昨晩に話しは戻る。 三人で、すき焼きを平らげた後(肉は大量に残されたまま) サーチャーは自分の部屋に帰った。部屋に肉を置いたまま その後、志保は 「この大きい荷物は何?」 凪が持っていた大きなリュックサックについてたずねた。 「キャンプ道具一式………」 中身は寝袋や飯ごうなどのキャンプ道具である 「えっ、どうして」 「ボディーガードだから………」 「はぁ?」 しばらく志保は考える 「もしかして、アパートの近くで野宿しようって考えてるんじゃ」 凪は頷く 「それでいつまで、ボディーガードを続けるの?」 「無期限………」 「それじゃ、いつまでか判らないじゃない。」 「……………」 「それだったら、一緒に住まない?それの方がいいと思うわ」 「いいの?」 「この部屋は一人暮らしには広いしね」 という訳で凪は志保と一緒に暮らすこととなった。 そして現在、凪の頭の中は志保のことでいっぱいであった 凪は、北崎や槍使いと同類なのである。(ちなみに槍使いが張った張り紙を密かはがして持ち帰ってたりする) だが持ち前のポーカーフェイスの為彼女の内面は気付かれにくい。 (長い付き合いである志保も気付いていない) 志保と一緒に暮らせる。そう思うと胸が高鳴る。 そんな時だった。街中に、モーサドゥーグが出現したのは 出現したモーサドゥーグは暴れ始め、人々は逃げ惑う。 そして、志保はモーサドゥーグの方に走り出した。 「待って!」 後追う凪、だが逃げる人々で前に進むことが出来ない そして、モーサドゥーグに向かうセイバーとブレイドたん、その時 モーサドゥーグを光の矢が狙撃した。 「えっ」 「何」 狙撃したのは弓「アルテミス」を装備した仮面ライダーフェイトだった。 「お前は昨日の、そうか。お前も勝負に参加する気だな」 ブレイドたんは 「負けないからね」 「えっ?あの………」 困惑するフェイトだった。そして 「はぁ、はぁ」 現場にやってきた凪。そして 「変……身………」 彼女は変身した。もう一つの姿、仮面ライダースプリアスへ 第四章 第八話 街が燃える日 作者 空豆兄様 「うにゅ……。」 今日も体がだるい。 まるで夜の間も歩き回っていたような。 全身に走る疲労は、なくなることを知らない。 だから少しでも眠りたかった。 ……最近、そんな自分の体が怖くなる。 自分の中に何かが、自分の知らない何かが起こっているんじゃないかと考えると、それだけで怖くなってくる。 でも、そんな不安も兄の胸に抱かれれば忘れられる。 いつもそうだった。 もっと小さいころ、学校で泣かされたときも、一人でトイレに行けないときも、兄がそばにいてくれた。 ごろりと寝返りを打つ。 そうすれば、いつもの兄のぬくもりがあるはずだった。 すかっ。 ……。 それは宙を切る。 あ、昨日からわたし、一人で寝ることにしたんだった。 にゅ…。 それを思い出すと、急に一人でいることが怖くなった。 目を閉じた先の、無限の闇も。 すぐに、すぐに来て欲しい。 私も中の恐怖が消えるように、 優しい兄に、目いっぱい抱きしめて欲しい……!! (列さんが好きなんだったら、あまり迷惑かけちゃだめだよ?) ふあ…。 そうだった。 神歌ちゃんに、言われたんだ。 好きなら、迷惑かけちゃいけないって。 だから私は…。 うん。そうだ。 せっかく始めたことを、一日であきらめるなんてもったいないよ。 闇が怖くても、一人が怖くても、私一人で立ち向かわなきゃ……。 だって、それは誰でも出来ていることだもん。 私にだって、きっとできるよ。 …でも、本当に駄目なときは、おにぃちゃんや神歌ちゃんを頼っても良いよね? だって私達は、あの夕焼けの日に結ばれた、3人の兄妹なんだから。 「ふあああ……。」 カーテンから差し込む光が朝を告げる。 …いや、朝にしてはなんだか日差しが少し強い。 時計を見ると、すでに10時。 うわ。すごく寝坊だよ…。 でも、いっぱい眠れたかな。 むくりと起き出すと、枕もとのメガネをかけ、ベッドから立つ。 きゅ〜…。 う、すごくおなか空いてる。 そういえば、なんでおにぃちゃんは起こしてくれなかったのかな…。 今日は休みだから、ゆっくり寝かせててくれたのかな…。 もそもそと歩き、部屋のドアを開ける。 がちゃ…。 ちいさな廊下を少し歩き、台所のドアを開ける。 「はい、列さん、あ〜ん♪」 「…ふえ?」 「や、だめだよ神歌ちゃん、俺、一人で食べれるって…。」 神歌ちゃん?おにぃちゃん? 台所のテーブルで、隣同士の席について、 …何、してるのかな? 「おにぃちゃん?」 「!!!!…華枝。」 私が声をかけると、おにぃちゃんはびくりとして、神歌ちゃんから離れた。 「あ、いや!これは、これは違うんだぞ!神歌ちゃんがうちにきて、それで朝ごはん作ってくれて、お前が来るの待ってたら……。」 「華枝、おはよう!」 あわてるおにぃちゃんとは対照的に、神歌ちゃんは笑顔で挨拶する。 「うん。おはよう、神歌ちゃん!」 私も笑顔で返した。 「………。えっと。」 おにぃちゃんは私達のやり取りに、困った顔をする。 「神歌ちゃん、もううちに来てたんだね〜。私もごはん食べていい?」 「うん。華枝も食べて。」 「うんっ。」 神歌ちゃんの作った朝ごはんが食卓に並ぶ。 私は自分の席に座ると、それをぱくぱくと食べ始める。 「う〜ん!美味しいよ〜。」 「ふふふ。よかった。華枝も一緒に食べてね。」 神歌ちゃんの料理が、おにぃちゃんより上手なのは、以前にも食べて知っていたから。 久しぶりに口にするその料理を、夢中でほおばった。 ……… 朝ごはんを終えて、3人でリビングでテレビを見ていると。 「みんなで出かけませんか?」 と、神歌ちゃんがいう。 「わあ、うん。いくよいく!」 私は喜んで賛成した。 うん。せっかくの神歌ちゃんのお泊りで3人一緒なんだもん。家にいるなんてもったいないよ。 「3人でお出かけなんて、すごく久しぶり!ねぇおにぃちゃん、いこういこう?」 嬉しさのあまり、おにぃちゃんの袖をぐいぐいと引っ張ってせかす。 「わ、分かったよ華枝。出かけよう。」 「決まりですね♪じゃあ列さんと華枝は早く着替えてきてくださいね」 「ウン♪」 「わかった。よし、時間がもったいないから、さっさと着替えてくるよ。」 「はい。神歌も準備をして待ってますね。」 ………。 着替えながら、さっきのことを思い出す。 華枝、俺と神歌ちゃんのこと、なんとも思ってないのかな…。 その、あ〜ん、とか、自分が起きる前から一緒にいた俺たちのこととか。 …いや、まあいいんだけど。 余所行きに着替えると、さっさと部屋を出た。 俺が部屋を出ると、神歌ちゃんも華枝も準備を終えていて、俺が最後という形だった。 「お待たせ。」 「はい!ではいきましょう。」 「いこういこう〜♪」 俺たちは部屋を出、鍵をかけると町へ向かって歩き出した。 俺が真ん中を歩き、左右には嬉しそうに腕にしがみつく華枝と、寄り添う神歌ちゃん。 ……今日も注目を集めそうだ。 だからあまり外には出たくなかったんだけどなぁ…。 繁華街のほうから、なんだかやたらと人が流れてくる。 みんな何かにおびえて、逃げてきているように見えるのだが……。 「なにか、あったんでしょうか?」 俺から少し離れた神歌ちゃんが、そんな逃げる人たちを見て言う。 「……あ。あれ、なにかな。」 今度は華枝が遠くの街を指差す。 …黒い煙。燃える炎。 火事かとも思ったが、いたるところで炎上が次々と巻き上がっている辺り、それとは少し違うように感じた。 「ねえ……。おにぃちゃん。なんか、怖いよ…。」 華枝が強く俺の腕を握った。 「華枝…?」 「あっちに、何かすごく怖いものがいるの。いっちゃいけない……。」 「神歌も、そう思います、列さん。」 「神歌ちゃん…。」 「今日はやめておきましょう。…列さんお部屋に戻って、ニュースで…。」 「そ、そうだね。」 二人の言葉に、素直にうなずく。 確かに、正直俺も危険な気がする。 あの先は、俺たちのような一般人が入れるような場所じゃ……。 こうして話をしている間も、人の波はどんどん大きくなってくる。 俺たちが立っているのが、邪魔なようにも思えてきた。 …その時、流れてくる人の波に逆らい、町に行こうとする人影が見えた。 しかもそれは、俺も知っている人物で…。 「神歌ちゃん、華枝、二人は部屋に戻っているんだ。」 「え?」 「おにぃちゃん?」 そういうと俺は、その人影を追って人の波を逆に進み始める! 「列さん!?」 「おにぃちゃん!!!!」 「すぐに戻るよ!!」 俺はそれだけ言い残すと、その人影を追った。 第四章 第九話 目覚めた剣は竜となりて 作者 ユルカ 『やれやれ…ライダー達…。そんな非協力的で僕の兵器が止まるとでも思っているのかい?』 「!?」 モーサドゥーグの頭の上に、エウリュディケが降り立ったのだ…。 「貴様は…!!」 『フフフ…。僕の兵器に感銘を受けているようだね…。』 「じゃあ、あの兵器はあなたが!?」 一菜が叫ぶ。その問いにエウリュディケはすまして答える。 『ああ、そうさ。EASE超兵器:モーサドゥーグ。君たちの大事な仲間を生体ユニットとして扱わしてもらってるけどね。』 「じゃあ…やっぱりあの中にはいぬみが!?」 今度は始穂が叫ぶ。 『そうだよ。さてと…僕の邪魔をする奴等には…消えていただこうかな…。』 エウリュディケは黒い剣のペンダントを取り出すと、妙な呪文を唱えた…。 『闇と地の盟約によりさだめられし者よ! 深き眠りの淵よりいでて鎖、解き放ち我の手に還れ! 目覚めよ! ダークソード!』 その呪文のような言葉が言い終わると同時に、モーサドゥーグが変形し四足獣型へと変わった。 そしてその背中から、異型の存在:魔神ダークソードが出てきたのである…。 「何だ…あの化け物は…!?」 『やれ。ダークソード。ライダー達を蹴散らせ。』 「グォォォォォォォ!!!!」 と、言うが早いか、ダークソードは剣の姿に変わると、セイバー達に襲い掛かってきた! 「こんなもの…カオスデストラクション!!」 セイバーも自分の必殺技で応戦する…。だが…。 「なにぃ!?」 まったく効いてはいなかった…。 それだけじゃない。ダークソードの姿は飛竜の姿へと変わっていた…。 『カオスデストラクション返し!』 エウリュディケの命令で、ダークソードは黒きブレスをセイバーへと放つ! ズガンッ!! 「ぐああああっ!!!」 セイバーが吹き飛ばされる…。 「クッ…攻撃が通用しないとは…!!」 「なら私が!!」 ブレイドはラウズカードを展開すると、3枚のカードをラウズする。 『KICK』 『THUNDER』 『MACH』 『LIGHTNING SONIC』 「うぇーーーーい!!」 が…。 『おっと、君には下がってもらいたいんだけどね。』 ダークソードの前に出るとエウリュディケが手をかざしただけで、ブレイドは動けなくなってしまった。 「う…く…!」 『邪魔だ!!』 気を放つかのように、ブレイドを簡単に吹き飛ばすエウリュディケ。 「きゃあっ!!」 「…一菜っ!!」 「始穂ちゃん! 変身を!」 『3・1・5、Stnding by』 「「変身!!」」 『CHANGE』 『Complete』 始穂はハートのAのカードを腰のベルトに通し、 レオナはサイガフォンをサイガドライバーに差し込むことで、 それぞれ、仮面ライダーカリス、仮面ライダーサイガへと変身した。 『フッ…。何処からでもかかって来いよ!!』 その頃、その現場に向かっていた人間がいた。 夕菜、北崎、雅菜、水美、そして京である。 (夕菜達4人はロールスロイスに乗っていますが、京はインジェノウスに乗ってます。) 「(…木場さんの仲間が捕まっているなら…私も助けるために協力すべきなんだ…!)」 だが、モーサドゥーグはそう簡単に止められるような代物ではない…。 何か策があるのか? そして…。 「…志熊 京…。私はどうすればいいの…?」 京が現場に向かうのを、豊桜 冥=ソフォクレスが遠巻きに見ていた…。 第四章 第十話 二人の想い イシス様 モーサドゥーグは破壊の限りを尽くし、街に混乱を与え続けている。中には、既に壊滅状態にある地区もあった。 そして、その様子を暗殺者と人形使いは街の一角から見ていた。 「なんだか、また厄介なことになってきたな……」 一人ごちるように、人形使いは静かに溜息を吐きながら街で暴れるモーサドゥーグを見る。 その目には、気をつけて見なければ分からないが、確かな怒りが込められていた。 「珍しいわね。彼方が本気で怒るなんて。」 「……そうか?」 「えぇ。よっぽどこの街での生活が気に入った?」 相手の核心を突く一言を投げかける暗殺者。しかし、意外にも人形使いは素直に返した。 「あぁ。気に入ってるよ。」 「へぇ……」 どこか楽しげに微笑む暗殺者に対し、人形使いは厳しい目でモーサドゥーグを睨む。 「昔の俺はこんなんじゃなかった。街に潜入しても任務だと割り切って、ただ淡々と仕事をこなしてるだけだった。 なのに、どうもこの街は俺の性に合うらしい。」 「そうね。彼方、学校から帰ってくる時っていつも楽しそうな顔してたからね。」 「……そうだ、な。確かに、学校は楽しいさ。列はからかいがいはあるし、草加さんは本当にいい人だ。 出来れば、志熊さんや豊桜さん達とも友達になってみたいなって思ってる。」 「彼方が言ってた転入生のことね。」 「あぁ。だから、皆が住んでるこの街を傷つける奴は、俺は許せそうにない。」 怒りに拳を固く握り締める。 それを、暗殺者はやんわりとした口調で人形使いを諭す。 「落ち着きなさい。彼方は戦闘向きじゃない。行っても無駄よ。」 「あぁ。だから余計に悔しいんだ。」 一旦言葉を区切り、そしてはっきりと、暗殺者は告げた。 「私が行くわ。」 「………いいのか?」 「これは騎士団としても見過ごせないし、彼方の友人の私としても見過ごせない。 理由としては、こんなもんかしらね?」 「……はは、そっか。……頼む、暗殺者。」 「えぇ。じゃあ、行ってくるわね。」 暗殺者は傍らに停めてあったバイクに跨り、エンジンを掛ける。 騎士団特注の暗殺者専用のバイク、“黒翼”である。 最高速度は390km/hにも達する、ボディーカラーは黒を基調として仕上げたバイクだった。 走り出す黒翼。 すでに街中は殆どの市民が逃げ出したため、閑散とした状態となっていた。 「変身。」 左腕の金のリングが漆黒の光を放ち暗殺者を包む。そして、光が収束し、中からは仮面ライダー黒姫が現れた。 黒姫はさらにスピードを上げ、戦場へと走り去って行った。 「信じられない……何なの、このデータ。」 ニーベルゲン研究所で、槍使いが持ち帰ったDr.セルファの極秘ファイルを解析していた魔眼使いは、 そこに記されていた内容に、ただ息を呑む他なかった。 「あのエウリュディケって奴、騎士団も知らないようなセルファの情報をこんなに…… マジで何者なのかしら?」 槍使いの話では、エウリュディケはソフォクレスの上司だとのことだ。 さらに、戦闘面ではセイバーの技や、槍使いの天津彦根をコピーして戦っていたという。 そして、このデータ。 解析自体は難しいことではなかったが、あまりにも膨大な量に、終始驚かされっぱなしだ。 ちなみに、槍使いは他にも、エウリュディケが僕っ娘だったり、謎の黒いライダーが眼鏡っ娘だったりと趣味に走った報告もしていた。 言うまでもなく、キレた魔眼使いがボコボコにしてしまった。 もっとも、しばらくしたら完治してグッスリ寝てたが。 「ますたー。これを……」 歩み寄ってくるイクス。 それをどこか鬱陶しげに見やりながらも、魔眼使いはその報告を聞く。 「………何?」 「人形使い様の報告で、街で巨大兵器が暴れているそうです。」 「なんですって!?」 モニターに映し出されたのは、街を滅ぼさんとする巨大な兵器。 しかし、魔眼使いの目にはそれ以上に、逃げ惑う人々に注がれていた。 「あ………」 その光景に、魔眼使いは片時も視線を外せなかった。 燃え盛る大地、踏み潰される人々、崩れ落ちるビル、そしてそれ以上に巻き添えとなった者達。 まさに阿鼻叫喚の地獄絵図。元凶の兵器に乗り、指揮を執っているのはエウリュディケだった。 それを魔眼使いは体を震わせて見ていた。 「許せない……アイツはこれが、この地獄がどれだけ苦しいか知ってるの……?」 魔眼使いは思い出す。 数年前の、忘れたくても忘れられない事件のことを。 「同じだ……あの時と……皆が私と同じになっちゃう……大切な人を失ってく……… そんなの……そんなの、認められない………!!」 怒りに震える拳を、傍らのテーブルにぶつける。 テーブルは粉微塵に粉砕され、それを構うことなく、魔眼使いはイクスに告げる。 「アンタ、何かないの?あの兵器を止めることが出来るものを。」 「方法はあります。私専用の起動兵器、“ガンヴァルオス”を使えば。」 「ガンヴァルオス?それを使えば、アイツを倒せるの!?」 瞳に期待を込めるも、イクスが告げたことは、ただ魔眼使いを失望させるだけであった。 「不可。現在、ガンヴァルオスの装備は限定されています。そのため、あの兵器を打倒することは出来ません。」 「………そう。」 「せいぜい、街から引き離せるぐらいですが……」 「……!!それで十分よ。いいわ、私をガンヴァルオスの下へ案内して。」 「はい、ますたー。」 揃って歩き出す魔眼使いとイクス。目指す先は……… 「で、そのガンヴァルオスはどこにあるの?」 「富士山です。」 途中、富士の樹海にて修行中のレンナや牙鉄がいる先の日本一の山。 そこに、モーサドゥーグを押さえ込める兵器が存在していた………… 第四章 第十一話 動き出す闇と光 残影刃様 「えっと、出入り口はここだったな?」 一菜達がモーサドゥーグと戦う少し前、アザゼルは暗殺者と陣が来ていた廃ビルに来ていた。 「……黒き扉よ…我は汝の主に作られし魔人…今、再び我をその扉の中は入れん」 アザゼルが呪文を唱えると、黒い穴が出現した。 そして、アザゼルは躊躇なくその穴の中へ入った。 「ああ、お帰りなさい、アザゼル」 アザゼルが穴を通り過ぎると、黒く広い施設になっており、アザゼルに女性が話しかけてきた。 女性は、腰まである灰色の髪で、瞳の色は金だった。 「おい、メフィスト…“アラストール”と“アスタロテ”…“ハデス”は?」 「あ、アラストールには木場夕菜抹殺を…アスタロテはビーストの調教を…ハデスは……」 「………(クイクイ)」 二人が話していると、アザゼルの服の裾を銀髪紅眼の少女が引っ張った。 「ああ、そこに居たのか?」 「…………(コクン)」 「ええ、さっきから外に出ている皆を待っているんですよ」 それを聞いたアザゼルは“あ〜”と唸りながらしゃがんだ。 「サンキュー」 「………(ニコニコ)」 アザゼルがハデスの頭をくしゃくしゃと豪快に撫でると、ハデスは嬉しそうに笑った。 「楽しそうですね〜…ロリコンですかあなた?」 「……ロリコン?」 「んな、訳ないだろこの百足!!」 メフィストがからかうと、ハデスは首をかしげ、アザゼルがつっこんだ。 しかし、アザゼルは我を忘れていたせいか、地雷を踏んで居る事に気づかない。 「……………………」 ヒュンッ メフィストは笑顔のまま鞭を取り出し、高速でアザゼルを縛った。 「ちょ、待て!!話せばわかる!!」 「問答無用です。ハデス、ゴーゴーです」 「……(コクン)」 ハデスは頷き、ゆっくりと近づく…そして、 「ギャアアアアアァァァ!!!!」 ただ男の悲鳴が施設の中を鳴らしていた。 「え〜と、後はもう買わなくていいかな?」 その頃、ホタルは買出しを終えて家に戻っている最中だった。 「……あれ?」 ホタルがデパートから出ると、そこではモーサドゥークがライダー少女と戦っていた。 「えっと…何だろ?撮影かな?」 ホタルは首を傾げながら呟いた。 「可愛い娘まだ居た〜!!」 そんな彼女の存在に気付いたのは槍使いだった。 「可愛い子?子供が何処かに居るんですか?」 叫ばれたホタルはキョトンとしながら周りを見渡す。 それを見た槍使いは一瞬クラっときた。 「ふふふ、僕っ娘や眼鏡っ娘の次は天然子犬ちゃんね…この町は私を萌え殺す気か〜!!!」 あまりのホタルの天然さに槍使いは大きく叫んだ。 もちろんそれが原因でエウリュディケがこちらに気付いた(笑) 『おや、君は…会いたくなかったかな…結構…』 「キツイ台詞も可愛いわよ。何なら服でも着な…」 『お断りだね』 槍使いが楽しそうに言うと、エウリュディケは0.01秒で断られ、 断られた槍使いはヨヨヨと泣き崩れた。 「あ、あの大丈夫ですか?え、えっと、失敗する事もたまにはありますよ!」 それを見たホタルは、一生懸命槍使いを慰める。 それを聞いた槍使いはホタルを力一杯抱きしめる。 「可愛い〜!!!」 「えぅ!……ありがとうございます」 可愛いと言われ、ホタルは一瞬驚くが嬉しそうにほにゃっと笑った。 ……水無瀬 ホタル……彼女は間違いなく槍使い系キラーになれるだろう。 『全く、いきなり変な事を言ったかと思えばまた……ん?』 エウリュディケは呆れたが、彼女はホタル奇妙な違和感を感じた。 『(何だ?あの少女から何かの力を感じる……でも、この感じは…シグマ?)』 エウリュディケが感じた力は、何処となくシグマの力に似ているように感じた。 『…まあいいか、その子を手に入れれば良い話だし』 そう言ってエウリュディケはサイコロジカルソードを手に持った。 すると、槍使いも構えた。 「この可愛い娘は私のものだ!!」 今ここに、獲物本人が気付かない争奪戦が開始された。 そして、モーサドゥークの場所まで急いでいる夕菜達を狙っている者も居た。 彼の名は、“アラストール”デモンナイツの暗殺者である。 「…位置確認…ターゲットへの命中確率…99%…」 そして、今彼は、左手についている銃で夕菜の額に狙いを定め、打ち放とうとしていた…… 更に同時刻、別の場所で陣はヴォルフに乗って移動していた。 『陣様、あまり無理はいけませんよ』 「…わかっている、……だが、今は休んでいる暇はないんだ……」 ヴォルフが心配の言葉を陣に掛けると、陣は静かに言葉を返した。 そして、彼等は敵を求めて駆けていった。 第四章 第十二話 ゴーレムの天敵 空豆兄様 (逃げてくる人の波がひどくて…。車じゃこれ以上早くは……!) (降ろしなさい木場!車やバイクが駄目なら、私は走って現場に行くから!) (雅菜!?) 逃げる人を縫って、EASEの機動兵器モーサドゥーグの暴れる現場に急ぐ、草加 雅菜…! 「好き勝手やってくれて…!!」 彼女は木場 夕菜の走らせる、SB社のロールスロイスに乗って他のライダー達と移動していたが、 人に波による道路の混雑により、単独行動に出たのだった。 彼女は路地裏に入り、人気のない場所へやってくる。 「よし…。ここで。」 彼女は懐から金と黒の携帯電話を取り出し、コードを入力する。 「雅菜!!!」 「!!!」 突然声をかけられ、思わず彼女はその電話をしまう。 「やっぱり、雅菜だったな。」 その声の相手とは、彼女の同級生であり親友でもある、風瀬 列だった。 「列…。どうしてここに?」 「どうしたもこうしたもないだろ?お前が街の方に向かっていくのが見えたからさ、こうして連れ戻しに来た。」 「え?…連れ戻しに?」 「ああ。なんか今町の中はすごい危ないみたいなんだ。どんな用事があるのか知らないけど、今日はやめておけって。」 雅菜をたしなめる言葉。 「貴方こそ早く逃げなさい!あの先は列みたいな普通の人間がいられる場所じゃない…!」 「普通…?何言ってるんだよ。雅菜だって普通の女の子だろ?」 「それは…!」 列は知らない。 彼女が、スマートブレイン社製仮面ライダー、カイザたんだということを。 「……どうしても行かなきゃいけないの。列、貴方は早く逃げなさい!」 そういうと、雅名は振り向き、路地裏のさらに奥へと進もうと… 「俺一人逃げられるかって!!!!」 がしっ!! 「…!!!!」 その手は、列によって掴まれる。 「何のつもり?離して。それから、早く逃げなさいよ!」 「お前こそ何のつもりだよ。街に行って何をするつもりなんだ。」 早く現場に行かなければいけない。 そして戦わなくてはいけない。 なのにこうして足止めを食らっている。 彼女の中には、だんだん苛立ちが募ってきていた。 「列!貴方には関係のないことでしょう!?私が、何をしようが!!」 思わず出る、彼を突き放す言葉。 でも。 「ばか!!!男が女の子を放ったまま逃げられるかよ!!!」 「!!!」 ふっと、手を振りほどこうとする力が弱まる。 「行こう。雅菜。」 彼は、その掴む手を離さない。 「何考えてるの、あなたは……。」 すこし、あきれたようなため息。 「何考えてるのか分からないのは、お前だよ雅菜。」 「まあ、そうかもね……。」 彼の意思は固いらしく、雅菜の手を離そうとはしない。 逃げ出しても、またすぐつかまってしまいそうだ。 それに…。 列って、あんな熱いところもあったんだ。 そう思うと、自然に彼の手を握る力が強くなる。 「早く逃げよう。向こうで華枝と神歌ちゃんも待ってるからさ。」 「う、うん…。」 はぁ。 雅菜はため息をつく。 木場たちには、なんて言い訳しよう…。 そんなことを考えながら、彼の手の引くまま、人の波の中を歩いた。 モーサドゥーグ。EASEのエウリュディケの作り出した、機械仕掛けの獣。 四本足で歩き回るそれは、一見無差別破壊を、虐殺を行っているようにも見られたが…。 『ゴグゥゥゥン…。』 それは首をもたげると、逃げ遅れた一人の男性に狙いをつけた。 「うっ、うわあああああああああああっ!!!!!」 悲鳴を上げ、逃げ出す男性。 だがその体格は、違いすぎた。 ガシュンッ!!! モーサドゥーグはその脚で地を蹴ると、ひととびでその男性の目の前に降り立つ。 「ひっ!」 目に当たる部分…メインカメラが男性を捕らえる。 それと同時、頭部に装備された特殊スキャナーが、その男性の体組織を識別する。 モーサドゥーグに入力されたデータと、対象のデータを照合し、その機械仕掛けの獣は、審判を下す。 『一致』 電子音声が、男性を「その存在」と認める声を発した。 ドヒュウンッ!! トストストストスッ!!! 「ぐああああっ!!?」 その審判が下ると即座に放たれた、頭部側面に備えられた小型のニードル弾が、男性を撃ち抜く。 「あ、あああああアアアアアア!?」 その瞬間、彼の体は紫色の蒸気を発し、体は赤茶けた土となり、崩れおちていく。 これがモーサドゥーグに備えられた”ゴーレム殺し”。 正確無比に目標を識別、完全にゴーレムを消滅させる一連のシステム。 騎士団の「人形使い」さえ凌ぐその識別能力は、エウリュディケの自信作だった。 破壊する建造物は目標の発見のために、虐殺と思われていたのはすべてゴーレム抹殺の為に。 モーサドゥーグはその与えられた使命を完全に遂行する、冷酷無比の狩人だったのだ。 「厄介なものを作りおったわい……。」 魔女のつぶやき。 街に放ったカラスのゴーレムを用い、館にいながらその場の状況を知る。 「どういうつもりかは知らぬが、私のゴーレムを駆逐しようなどと…。」 「…どうなさいますか。」 脇に控えていたガブエイアが、魔女にたずねる。 「今外に出ておるのは、ミクエイアとラフエイアじゃな…。」 「ラフエイアは、ギルティーと富士山に。」 「…ならばミクエイアを行かせよ。あの小ざかしい木偶を破壊せよ、とな。」 「分かりましたわ。」 青く長いロングコートを羽織り、無人の街を歩くミクエイア。 「ゼベイルを倒すはずが、こんな役割か…。」 「あの機械仕掛けの畜生で、この胸のざわつき、晴らさせてもらう…!」 混戦の中、魔女の誇る最強のライダーが戦場に立つ…!! 第四章 第十三話 聖魔剣、名を…… ウェイド様 富士樹海で修行している、レンナたち……正確に言えばギルティーたちもいるが。 レンナ「牙鉄御祖父さん、遅いなあ……もう昼ごはんなのに」 一人で、牙鉄が取ってきた魚を焼いて食うレンナ……少し暇そうだ。 レンナ「……ご馳走様」 食べ終えて、手を合わせるレンナ。 レンナ「少し寝よ」 寝転がるレンナ。 レンナ「あ〜…気持ちい」 鳥の鳴き声が聞こえる。 樹海だが、道は覚えているので帰れる。 二年前は道に迷って死に掛けたが……。 レンナ「……誰?」 気配がする…否殺気が草むらからすると行ったほうがよい。 ????「あればれたの?まあいいや……ねぇ…殺し合いしないかい?」 草むらを掻き分けて出てくる謎の男 レンナ「お断り!無意味よ」 ????「意味はあるさ……君もデュナミストライダーだからね……覚醒」 謎の男が異型へと変身する。 ガードス『僕の名前はガードス…君はどんな声を出すのかな?』 右手…というか剣を舐めるガードス……頭がやばいかもしれない。 レンナ「……サディスト……」 少しいやそうなレンナ。 まあ誰だってサディストは嫌いだ。 レンナ「…覚醒!」 黒い風がレンナの周りを包む…そして晴れた先には。 ファントムたん「仮面ライダーファントムたん!幻のように現れて陰に潜む悪を絶つ!それが僕……」 ザグシュ…… ガードス「少しうるさいなぁ……だまってよ」 ガードスの剣が右腕に突き刺さった。 いや、切り裂いたといってもいいかもしれない。 右腕が激痛で動かない。 ファントムたん「…うぁぁぁ……」 ガードス「アヒャヒャヒャヒャ!!!いいなぎごえだねぇ…もっとなけよ!!!」 ゲシ!ドガ!バキ! けられ続けるファントムたん、それの表情を見てなおかつ蹴りに力を込めるガードス。 レンナの意識が切れるのは…そう長くはなかった。 レンナ「ここは……」 以前来た精神世界。 ただ、以前いた人の逆行はない。 ?????「やはり負けたか……」 レンナ「君は?」 ラグナロク「わが名はラグナロク……ってどうでもよかろう」 レンナ「はぁ……そうですか」 ラグナロク「レンナ…いや幻影よ、お前はまだ弱い、修行しても直らん…まだ覚醒しきっておらんのだから」 レンナ「………どう言う事?」 悔しくて唇をかむレンナ。 修行しても…どんだけがんばっても弱い……。 それはあまりにも残酷だから。 ラグナロク「幻影よ…己の剣を呼び出せ、名を…聖魔剣……」 いきなり声が途切れていく。 レンナ「どうしたの!?」 ラグナロク「呼び出すのだ己の剣を」 体中が消えていく。 レンナ「!?」 ラグナロク「名を、己の体は知っている」 そして、景色が崩れた……。 ガードス『もう、死んだのかい?…それじゃあ今度は四股を引きちぎってあげるよ』 地面に倒れているファントムたんに剣を向ける、ガードス。 ガードス『さようなら…レンナチャァン』 ファントムたん「はっ!」 だが剣は…空を切るだけだった。 ガードス『へぇ…生きてたんだ…それじゃないと面白くないしね!』 ファントムたん「……己の剣……名を……」 ガードス『ぶつぶつ五月蝿いよぉ!』 ブォン!ビュ! すべて空ぶる攻撃。 否、弾かれているものもある。 ファントムたん「名を……名前…?」 RA GU NA RO KU 不意と浮かんだ言葉……ラグナロク。 それが剣の名前かもしれない。 違うかもしれない…が。 ファントムたん「賭けるしかない!」 ズザァァァ…… ガードスの攻撃を避け、離れるファントムたん。 そしてファントムたんの周りに黒と白色の魔法陣が浮かび上がる。 ファントムたん「…聖と魔の剣よ…我と契約を結ぶ精霊の名において召喚せん!出でよ!」 空が暗くなり、一つの剣が空から落ちて来る。 その剣の名を。 ラグナロク『わが名!ラグナロクしかとその名を刻め!』 聖魔剣…ラグナロク ガードス『…へぇ…面白いねぇ…でも僕にはかなわないよ!』 ファントムたん「…勝負!」 ラグナロク『行くぞ!』 幻影対残酷。 その戦いはどうなるか…まだわからない。 ガンヴァルオス『…………キーコードカイホウ マスター ノキドウメイレイゴ カイホウシマス』 唯一つ。 魔神を除いて……。 第四章 第十四話 共闘 イシス様 モーサドゥーグが魔女のゴーレムを消滅させつつ行っている破壊活動の現場に、インジェノウスに乗ったシグマが到着した。 木場達は車での移動だったが、押し寄せる人波の所為で到着が遅れることとなった。 そのため、シグマは先に行く事にした。 インジェノウスをバトルモードへと変形させ、それに担いで運んでもらうという形を取ったのである。 さすがに、キールがSB社のバイクを改造しただけあって、その性能には目を見張るものがあった。 人波を一気に飛び越えて行き、再びバイクで走り出せる場所まで来れた。 「あとで先生にお礼を言わなくちゃ。」 シグマの到着と同時に、漆黒のバイクに跨った黒姫も到着した。 現場にいるメンバー(エウリュディケとジンは除く)の視線がシグマと黒姫に集中する。 「京さん!」 「京!!」 そんな中、シグマに駆け寄るカリスとサイガ。 「始穂さん、レオナさん!これは………」 「見ての通りよ。モーサドゥーグって怪物兵器が街を荒らしまくってるの。」 「そんな………」 「お願いです!あの中にはいぬみちゃんがいる、だから………!!」 「分かってます。私も力を貸します!!」 レオナの懇願を快く受け入れ、モーサドゥーグへと駆け出そうとするシグマ達。しかし、 「お待ちなさい。」 横合いから静止の声が掛かった。 声の主は漆黒のライダー、黒姫だった。シグマは黒姫とは初対面だというのに、彼女には相手の正体がすぐに分かった。 「暗殺者さん、ですね………?」 「えぇ。久しぶりね、京ちゃん。」 優雅な物腰を崩すことなく、ゆっくりとシグマに近づいてくる黒姫。 「私達、急いでるんです!このままじゃ………」 「まぁ待ちなさいな。京ちゃん、一つ聞きたいことがあるの。」 「……何ですか?」 急いでいるところを強引に呼び止められ、半ば怒気を強めて言葉を返す。 そんなシグマに、黒姫は疑問を投げ抱えた。 「あの中には乾 いぬみがいる。それは確かな事よ。でも、貴女には彼女を助ける意味があるの?」 「………!!?どういう意味ですか!!」 「言葉の通りよ。カリスやサイガ、ブレイド、それに木場 夕菜達にとっては大切な友達よ。 でも、貴女はファイズィーとは面識がない。だから、そこまでして助ける意味があるのかしら?」 「………!!」 「貴女がファイズィーの事を考える必要はないし、助ける意味もない。 余計な事に意識を回してると、死ぬわよ?」 押し黙るシグマ。 悔しいが、黒姫が言う事は正しい。 自分にとって、乾 いぬみは何も関係のない人間だ。無理をしてまで助ける必要はない。 モーサドゥーグの破壊にだけ集中すればいいだけ。 しかし、分かってはいても、シグマには納得できない点があった。 「私は、まだいぬみさんのことはよく知らないし、いぬみさんも私のことを知りません。 だから、お互いにもっと分かり合いたいんです!!」 「………」 「何も話さないまま、顔を合わせないままなんて、私には納得できない!! いぬみさんを助けて、私は彼女と友達になりたい!!」 「京さん………」 「京……………」 「ふふ……今時、凄く熱い娘ね。ふふふ………」 「な、何がおかしいんですか!?」 「ごめんなさいね、笑ってしまったりして。……決めたわ。 京ちゃん、貴女に協力してあげるわ。」 「え……?」 最初、シグマは何を言われたのかよく分からなかった。 およそ敵対している人間から協力する、なんて言葉が掛かるとは思わなかったのだ。 「貴女はファイズィーを助けなさい。私は貴女の援護に回る。 一切、貴女には傷付けさせないわ。」 「本当………ですか?」 「まぁ、こちらは貴女の能力を見させてもらうから、ギブアンドテイクは成り立ってるわね。」 「あぅ…………」 そういうことを隠さず言う事かと思ったが、あまり気にしないことにした。 自分にとって、とても強力な味方が出来たのだ。そこは喜ぶべきだろう。 「作戦を立てるわ。ブレイドはJフォームでサイガと一緒に空中からの攻撃を。 カリスとセイバーは持ち前の攻撃力であの兵器の進軍を少しでも遅らせて。」 「ちょ、なんで私まで………!!」 「あら?ここに居るって事は、あの兵器が街にいられたら困るって事よね? だったら、利害の一致って事で少しは協力しなさい。」 「むぐ………」 上手く言い包められたセイバーを他所に、黒姫はさらに指示を続ける。 「それから………貴女達、名前は。」 「仮面ライダーフェイト……」 「仮面ライダースプリアス………です。」 黒姫の言動に対し、スプリアス−凪−は圧倒される気分だった。 「スプリアス、貴女、腕力には自信ある?」 「え?ま、まぁ少しは………」 「だったら、貴女もカリスとセイバーと一緒にモーサドゥーグの足止めをお願いしていいかしら?」 「は、はい………」 「フェイト、貴女はその弓で皆の援護を。」 「分かりました。」 黒姫の指示を感心しながら聞いているシグマに、ブレイドは声を掛ける。 「志熊 京さん、ですよね?」 「えぇ……そうだけど。」 「私、剣崎 一菜です。この戦いが終わったら、私と友達になってくれませんか?」 「……!!……うん!」 元気よく返事するシグマ。 もう恐れる物は何もない。あとは、覚悟を決めてあの兵器からいぬみを救出するだけだ。 各々が向かい合い、一度頷いた後、巨大な敵に向かって駆けて行った。 第四章 第十五話 新たなる光 残影刃様 「な、なんなの“コレ”!!」 「うにゅ…神歌ちゃん…怖いよぉ……」 華枝と神歌は列に言われたとおり部屋に戻ろうと走っていた。 しかし、そんな彼女達の前を人よりも大きい蜘蛛達が立ちふさがってきた。 それが、アザゼルが連れてきたビーストであり、 蜘蛛は生存本能に基づき彼女達を捕食しようとしていることを、彼女達が知る由もなかった。 「こ、こっちこないでよ!!」 神歌が必死に叫んで蜘蛛を退けようとするが、蜘蛛は引かずむしろゆっくりと近づいてくる。 それを見ている華枝は、恐怖のあまり震え涙を流していた。 「怖い…怖いよぅ」 もしこの場所に闇があれば舞夜が目覚め、友達の為に正体がばれる事も気にせず この程度の異形の蜘蛛共を倒しているのだろうが、残念なことに今居る場所は闇とは程遠い場所だった。 「華枝…大丈夫…大丈夫だから…」 神歌は必死で華枝を慰める。 それは、華枝だけの為では無く、自分にも言い聞かせる為の言葉でもあった。 そんな二人の気持ちを知らず、蜘蛛達が華枝達の距離が1m近くまで達したときだった。 『ギシャアァァァァァ!!』 1体の蜘蛛の目に、ナイフが刺さった。 「「……え?」」 二人が驚くと、蜘蛛達を蹴散らしこちらに向かってくるバイクの姿があった。 「早く後ろに乗れ!」 バイクに乗って現れた陣は、二人の目の前に現れるなりそう叫んだ。 「「は、はい!!」」 二人は、叫ばれて慌てながら頷き陣の後ろに乗ろうとする。 その瞬間、蜘蛛の一体が口から毒液を吐く。 それを見た陣は二人の前に立ち左肩に毒液がかかる。 「ぐっ!!」 「きゃあ!!」 左肩に激しい痛みを感じ、陣は呻きそれを見た神歌は悲鳴を上げる。 「あ、あの!」 「いいから乗れ!」 華枝が心配そうに声を掛けるが、陣は二人を無理矢理後ろに座らせヴォルフを走らせた。 そして、安全な所までヴォルフを走らせるとその場でヴォルフの停止と同時に気絶した。 『邪魔だから消えなよ!!』 「嫌だ!二人とも私の服を着せてあげるんだから!!」 『まだ言うか!!』 同時刻、エウリュディケとジンは激しく打ち合っていた。 本来ならジンの方が戦闘能力で劣るのだが、 可愛い少女パワーが発生している為か全然エウリュディケに劣っていなかった。 「えっと、二人とも何でケンカしてるんだろ?」 ……流石ホタルちゃん…自分を懸けて二人が争奪戦をしていることに気付かないだけでなくアレを喧嘩と呼べるのか…… 「……あの、ケンカしないで下さい」 ホタルは恐る恐る二人に戦いを求めるように要求するが、二人は全く耳に入らず戦いを続ける。 「うぅ、ケンカ…いないでくださいよぉ〜」 ホタルは涙目で二人に再度訴えかける。 それを感じ取ったジンはいきなりエウリュディケの攻撃を停止し、ホタルの方へ近づく。 「ああ、本当に可愛すぎよ、君ってば♪」 そう言ってホタルに頬擦りするジン…現在、かなりホタルの貞操がピンチである。 しかし、ホタルは可愛いと褒められかなり嬉しそうである。 ……誰か、彼女を守ってくれ…… 『ふふふ、また気味の悪い言動を吐いて僕の事は無視か……』 そう言ってエウリュディケが呼び出したのは、セイバーの武器である二本の剣である。 『いい加減にしろ!カオスデストラクション!!』 そう叫んで、再びセイバーの必殺技を放った。 ……捕獲しようと思っていたホタルさえ巻き込む軌道で…… 自分とジンへと向かってくる力の塊を見てホタルは“死”という単語が頭の中を過ぎった。 その時、ホタルは恐怖で固まるわけでもなく、 ジンを庇うように抱きしめ返す。 (死ぬの…かな………怖いよぅ…………でも、人が死ぬのを見るのは……もっと怖いよ) そう思いながらホタルは、ギュッと目をつぶった。 『………覚醒……には早いが……仕方がないか』 ゴオオオオォオォォォン!! 激しい爆発音と共に大きな爆発が起きる。 それを見たエウリュディケはしまったと言うような顔をしていた。 『捕獲しようとしたのに…僕らしくないミスをしちゃったなぁ』 やれやれといった感じでエウリュディケは二人が死んだと思い込み、モーサドゥークの状況を確認しに行こうとしたその時だった。 「ビーハイブ…テンペストォ!!」 『な!!』 ジンの声に驚き振り返り防御しようとしたが遅かった。 天津彦根より出現した暴風によってエウリュディケは体全身に傷を受ける。 『馬鹿な……さっきの技は本気ではなったんだぞ……!?』 エウリュディケがゆっくり眼を開けるとそこにはジンのほかにもう一人の戦士が立っていた。 戦士は、澄んだ空色と白の薄いプロテクターで身を包んでいる。 そして、その手からは淡い光を発しているレイピアがあった。 『そうか…彼女の力か……ふふ、かなり興味を持てたけど今日は止めた方がいいみたいだね』 そう言ってエウリュディケは姿を消した。 そして、それを見てほっとしたのか戦士はホタルの姿へと戻り、気絶してしまった。 「え、あ、ちょっと大丈夫!?」 それを見て、慌てて槍使いはホタルを揺すった。 そして、そんな様子をさっきからビルの屋上から見ている男がいた。 『……ルクスが目覚めたか……面白いことになりそうだな』 そう言って男はビルの屋上から姿を消した。 第四章 第十六話 魔神剣は我の味方 ユルカ様 共闘することになったシグマと黒姫…。 が、ある者の存在を忘れていた。 魔神ダークソード…。 モーサドゥーグが破壊されてはいけないと、シグマ達に襲い掛かる…。 ガキィン!! と、その攻撃を止めたのは、セイバーだった。 「ここは私に任せろ! お前たちはやるべきことをやれ!」 「ありがとうございます!!」 シグマにお礼を言われ、ちょっち焦るセイバー。 が、すぐに我を取り戻し、ダークソードに向き直る。 「お前は私が倒させてもらう!」 「グォォォォォォォ!!!」 セイバーがデスリオルとファルシオンを構える。 それに対して、ダークソードも剣の姿へと変わる。 「これならどうだ…!! ホワイトアウト!!」 白き閃光…。 ホワイトアウトはその閃光で強力な一撃をぶつける技…。 しかし…! 「バカな…!? ホワイトアウトすらも破られただと…!?」 まったく効いちゃいない。 「グォォォォォォ!!」 ダークソードは剣の姿のまま、セイバーに突進する! 「まずいっ!!」 反射神経で二本の剣でガードする…。 バキィン!! 「バカな…!? 我が剣が…折れただと!!?」 デスリオルとファルシオン… 愛用の武器が、二本とも半分にぽっきりと折れてしまっていた…。 「何だ…!?」 次の瞬間、セイバーは先ほどとは別の場所にいた…。 「どういうことだ…? この世界は…?」 『精神世界とでも言えばよいのだろうかな…。』 「お前は…!!」 先ほどまで戦っていたダークソードが話している…! 『私を使ってもらうために…剣を折らせてもらった…。』 「なんだと…!?」 剣を折られたことよりも、使ってもらう為にと言う理由のほうにセイバーは驚いた。 「その言葉が真実なら…私に力を貸せ。」 『承知した…。クーラティオー! テネリタース、セクティオー、サルース、コクトゥーラ!!』 「光と地の盟約によりさだめられし者よ! 深き眠りの淵よりいでて鎖、解き放ち我に力を貸せ! 目覚めよ! ダークソード!」 その言葉で、先ほどまで折れていた二本の剣がダークソードと融合し、新たなる二本の剣へと変化した…。 『轟黒剣:グラル・デスリオル、白世剣:インティ・ファルシオン…使うがいい。我が力として!』 「ああ…ありがたく使わせてもらう!!」 そのすぐ後、精神世界は途切れた…。セイバーはそこに立っていた。 自分が立つべき戦場に…。 「私のやるべきことは決まっている…!!」 セイバーはモーサドゥーグを止めるためにその敵へと向かって行った…。 そしてそれと同じ頃…。 「力を貸してね…。GTX−003…いや…ウィクトーレム…。」 ソフォクレスは持ち出してきたバイク:ウィクトーレムをバトルモードに変形させると、 モーサドゥーグへと向かって行った…。 一体、何故…? そしてさらに… 『そういえば…言い忘れたなぁ…。』 エウリュディケは一人ごちた。 『乾 いぬみは生まれたままの姿で生体ユニットの中にいると…。』 ゲ!? それってすっごくやばいんじゃ…。 第四章 第十七話 幻影の勝利 ウェイド様 水美「……まだつかないんですか!?」 夕菜「まだ避難が完了していないのよ」 …ローレライスに乗るよりも飛行機で行ったほうがよかった気がするぞ(二秒後なぜか剣が飛んできて死亡) 水美「…どうしたんですか?」 夕菜「なんでもないわよ」 その二人のやり取りをまるで無視して夕菜に死の一撃を放とうとするもの『アラストール』 だが……彼…いや彼女か? は己の銃をしまった。 後ろに。 白き剣士がいるから。 ウォーガ『……私の反応気がつくとは…何者だ?』 白き剣士…いやGTX−002『ウォーガ』 今彼はその姿を人の形にしている。 アラストル「………邪魔者は…排除」 ウォーガ『マスターたちの邪魔はさせん』 左腕についてる銃を構えるアラストル。 己の愛銃『オクスタンランチャー』を構えるウォーガ。 銃の使い手とスナイパー、二人の静からなる戦いが始まった。 一方、イクスたちは。 イクス「……」 ノア「……どこにあるのガンヴァルオスは」 迷っていた。 その間にもギルティーたちはコアクリスタルを探している。 まあ、ギルティーは己の武具を探しているのだが。 イクス「ますたー、反応がありました…こっちです」 茂みを掻き分けた先には…… ファントムたん「はぁ!」 ガードス『くっ!』 戦ってました。 ガードス『馬鹿な!いくら奴の武器が目覚めたからってあんなにも強くなるわけが……』 先ほどまで有利だったのが嘘のように、ボロボロのガードス。 対してファントムたんは息を荒くする程度だった。 ラグナロク『負けを認めよ、ガードスよいまならば許せよう』 ファントムが持っている剣がテレパシーで話す、が。 ガードス『僕は……僕は最強なんだ!ギルティー様もお前は強いってほめてくれたんだ!!!!』 立ち上がろうとする、ガードス。 が、両足がどうやら駄目になったようで立ち上がれない。 ファントムたん「………」 ラグナロク『奴を命を絶て、幻影よ』 ファントムたん「そんな!彼だって生きているんだよ?」 ラグナロク『このままでは奴は精神すらも消えて化け物となる、その前に奴をやつとして消せ』 ラグナロクを力強く握り締めるファントムたん ファントムたん「超神の力よ聖なる魔と光となり激しく唸り裂空を斬れ!」 色がない紋章が浮かび上がりファントムたんを包む。 ラグナロク『うけよ!わが力!』 次の瞬間さまざまな色となりラグナロクに吸収される。 ファントムたん「はぁ!」 飛び上がりガードスに狙いを定める。 ファントムたん「超神聖・魔光激裂斬!!!」 斬! そしてガードスを切り裂いた。 ファントムたん「…滅」 次の瞬間。 ガードスの体が…完全に消えた。 そう。 幻影の勝利だ ファントムたん「やった…のかな?」 ラグナロク『奴は消えた……奴のままでな』 ファントムたん「や…った」 ドサ。 疲れて倒れるファントムたん。 そして寝息を立てた。 そう。 魔物がいるとも知らずに。 アイスボーン『グルルルル……』 ????「ころせー」 ??????「幻影の称号を持つものと近くにいるものを殺せー」 アイスボーン『グォォォォォォ!!!!』 第四章 第十八話 ガンヴァルオス始動! イシス様 空は次第に茜色に染まっていき、じきに夜の訪れを感じさせていく。 そんな中、富士の樹海で激戦を経たレンナが静かな寝息を立てている。 パワーアップを果たし、見事に敵を打ち破ったものの、体にかかる負担のため、この様な状態に陥っていた。 もっとも、ただ疲れて寝てしまっているだけなので、さほど深刻な問題ではないのだが……… 寝ているレンナの下へ歩み寄る二人の人物、魔眼使いのノアと銃使いのイクス。 ノアは静かにレンナに近づき、その肩を揺する。 「ほら、起きなさい。」 「すぅ……すぅ……」 「寝てる場合じゃないの。起きなさいよ。」 「う……ん………」 少し揺らすのを強めても、レンナが起きる気配はない。 やがて、業を煮やしたノアは握り拳を作り、高々と掲げ、怒号と共に振り下ろした。 「さっさと起きろ!!このデュナミストーーーーーーー!!!」 「げふぅ!!?」 寝ているレンナの無防備な鳩尾にノアの全力の振り下ろしが直撃する。 予想外の攻撃とあまりの痛みに、レンナは飛び起きてしまった。 「げほ!げほ!な……なにすんのさー!!いきな……ごほ!」 「うっさい!あたしがデュナミストにあそこまで丁寧に起こしてやろうとしたのに、起きないアンタが悪いのよ!」 「な!なんだよそれ!!意味分かんないよ!!」 ノアは性質的にデュナミストが気に入らず、レンナは無茶な起こし方をさせられた上にいきなり文句を言われたことに腹を立てる。 二人とも喧しく口論を続ける。割って入ったのはイクスだった。 「ますたー。あまり時間がありませんが……」 「は!そうだった……アンタ、ちょっと付いてきなさい。」 「む!やだよ、頼まれたって付いてくもんか。」 先程、ノアにされた仕打ちを根に持ち、明後日の方向を向いてふて腐れるレンナ。 「あーもー!街がピンチなのよ!?正義の味方なら助けようとか考えないの!?」 「…………え?」 「なんでそんな大事なこと言わないのさー!?」 「うっさい!アンタが人の話を聞こうとしないからでしょ!!」 「君が変な起こし方するからだよ!」 口論を続けながらも、三人はかなりの速度で駆けている。 ノアから現在の街の情報、その対抗策を教えられたレンナは、ノア達に協力することとなった。 ワナの可能性は考えなかった。なぜなら、自分を始末するなら寝てる隙に襲えばよかったからだ。 「でも、富士山にそんなモノが眠ってるなんて……」 「あたしも信じられないわ。でも、本当のことなんだから。」 「とにかく、それを使って街で暴れてる兵器を抑えるんだね?」 「倒すのは無理だけど、街から少しでも引き離せればそれで十分よ。」 しかし、レンナは話の内容には納得がいったが、この少女については多少なりとも警戒していた。 まず、なぜそんなことを知ってるのかということ。次に、この少女自身。 どうやら仮面ライダーではないみたいだが、運動神経が並外れている。 自分を起こした時の腕力といい、この少女はただの人間とは思えないのだった。 「ねぇ、君は何者なの?」 「……アンタ、仮面ライダークロノスは知ってる?」 「え?う、うん。確か、京さんを攫おうとやって来たライダーだよね?」 「今は黒姫って名前よ。で、あたしはその仲間なの。」 「……!!?じゃあ、君悪い奴だったのか!!」 「あーもー!少しは落ち着いて人の話を聞きなさい!!」 そうこうする内に、三人は富士山の麓へと辿りついた。荘厳な風格を持つ日本一の山を思わず見上げるレンナ。 「騎士団……か。なんかちょっと驚いてる。」 「まだ信じられない?」 「ううん、信じるよ。でも、あの女の人も君達の仲間だったんだね………」 少し声のトーンを沈めるレンナに、ノアは同情の視線で見る。 レンナが言っているのは槍使いのことである。 前回、危うく攫われて貞操の危機に陥りかけたのだ。忘れるはずもない。 「あの時、本当に恐かったんだよ!?」 「あー……その……こっちもアイツは抑えきれないのよ………」 レンナの不平を聞きながら、ようやく目的の場所に到着する。 「す、すごい………」 「こんな大掛かりな仕掛けがあったなんてね………」 三人の眼前、ホログラフによって巧妙に隠された岩肌、そこには巨大な鋼鉄の扉がそびえていた。 厳重に掛けられたプロテクトを解除していくイクス。 「で、封印を解いたら?」 「すぐに起動させ街に送り込み、あのトンデモ兵器を街から引き離す。アンタはその後、お姉さま達と一緒に戦って。」 「分かった。僕もじっとしてられないからね。協力するよ。」 「…………ありがと。」 少し頬を赤らめて気の無い返事で礼を言うノア。 「危ない!!」 「きゃ!!」 そこに、ノアの頭上めがけて振り下ろされる剣。 レンナはノアを押しのけ、二人とも転がるようにその場から退避し、体勢を立て直す。 襲撃者を睨むレンナとノア、敵はアイスブルーの骨人間と言えばよかろうか。 骨だけが動くのも奇妙な話ではあるが、この敵はその上に背中から様々な骨が羽のように生えていた。 レンナ達を殲滅するために遣わされた『アイスボーン』。 ギルティーの八つの武具の一つ、『アイスコフィン』を手にしているその敵を、二人は知らなかった。 「なんなのよ、コイツ!」 「とにかく、戦おう!」 「バカ!そんなボロボロでアイツに勝てる訳ないでしょ!!」 「な!バカって言わないでよ!!」 またもや口論を始める二人に気にすることなく、氷の剣を振るう魔物。 しかし、その一撃はイクスの重火器によって防がれた。 「ますたー、封印を解除する前に、この敵を撃退します。」 力を込めアイスボーンを押し返し、容赦なく引き金を弾く。 飛び交う銃弾を全て、アイスボーンは体から発生する冷気によって凍らせ、粉々に粉砕する。 『ガハァァァァァァァ!!』 雄叫びと共に魔物の口からは冷気を帯びた竜巻が生ずる。 アイスボーンの冷気魔法『ブリザード』。地面を凍らせ、空気を一気に冷やしていく極寒の地獄。 しかし、レンナ達めがけて撃ちだされた魔法は、ノアの電磁シールドに防がれた。 イクスにもまた、同じ物が発生している。これはノアが彼女を洗脳した後に施した装備の一つだった。 「さ、寒い………!」 「少しは我慢しなさい!……あの冷気の発生場所は………口か!!銃使い!!」 「了解しました。」 ノアの目に設置されたセンサーにより、吹雪の発生場所を突き止め、その情報をイクスの体内にある蟲に送信する。 データを受け取ったイクスは、最も効果的な攻撃をすぐさま算出する。 腰に装備された長いノズルをデルタマシンガンの銃口に取り付け、次に弾装を取り替える。 スコープが現れ、正確に照準を定め、引き金を弾く。 「デルタスナイパー!!」 先程のマシンガン対応の銃弾ではなく、スナイパーライフル専用の強化貫通弾が高速で射出される。 ノアはイクス自身と、デルタマシンガンにも改造を施し、戦力の強化も図っていた。 銃弾にもバリアが発生しているのか、吹雪の渦をものともせず、アイスボーンの口内を撃ち抜く。 『ゴガァァァ!!』 たまらず絶叫を上げ、身悶えする魔物。そこにゆっくりとノアが近づいていく。 「よくやったわ、銃使い。……なるほど、その剣から溢れる魔力を口内の紋章に流し、それで冷気を発生させるのね。 でも、これで終わりよ。」 あまりにも凄まじい連携プレーを見せられ呆けているレンナに、イクスがヘッドフォンのような物を手渡してくる。 「これを付けて下さい。危険ですよ。」 「は?」 言われるままにヘッドフォンを付けるレンナ。 そして、魔物と向かい合っているノアはしきりに何かを呟いていた。 「聴覚遮断、対音波攻撃正常に作動、音域最大………オールクリア。」 目を瞑り、大きく息を吸うノア。そして、眼前の敵に向けて……… 「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 めい一杯叫んだ。しかし、叫んだだけなのに大気が震え、地面が砕かれ、辺りが振動していた。 思わず耳を塞ぐも、アイスボーンの体は振動波によって次第に崩れていく。 あまりの騒音とダメージに、逃げ出すアイスボーン。敵の姿が完全に見えなくなって、ノアは叫ぶのをやめた。 「ふぅ………」 「な……なんなのさ今のは!?」 ヘッドフォンを取り外し、ノアに駆け寄るレンナ。彼女の頭の中は混乱しっぱなしだった。 「見ての通りよ。私の声を超音波の域まで高め、放出しただけ。ちなみに、あの時は聴覚は遮断してるし、私にも対音波装備が 施されてるから平気ってわけ。あ、そのヘッドフォンも同じ物よ。」 どうやら、このヘッドフォンは使うと全ての音を遮断し、音波に対してのバリアが発生するようだ。 そこまで聞いて、レンナはある疑問をぶつけてみる。 「君って……未来世界の住人?」 「れっきとした現代人だ!!」 薄暗い地下通路を歩いていく三人。 「そっか……君は亜種デュナミストに…………」 「別に同情しなくてもいいわ。あの場にアンタがいたって、ものの三秒でお陀仏よ。」 「………むかつく。」 「アンタなんかお姉さまと比べたら、月と鼈もいいとこよ。」 憎まれ口を叩きながらも、二人には先程までの怒りはない。どちらかと言えば、奇妙な友情が芽生えているようだった。 それに、ノアは思った。 自分の過去をデュナミストに話したのはこれで二度目。 どうもレンナとイクスは彼女にとって、何か特別なものとなっていた。 「デュナミストの全員が悪いんじゃないのは分かってる……でも、あたしにはデュナミストを許すことは出来そうもない。」 「それでもいいよ。でも、少なくとも僕は、貴女みたいに憎まれ口を言える人がいてもいいと思う。」 「……あたしも。」 「でも、もしも敵対するようなら、容赦しないからね?」 「お互い様よ。」 向き合い、どちらからともなく笑い出す。傍から見れば、普通の友達に見えたことだろう。 そして、遂にそこにやって来た。 大掛かりな設備、いまだ稼動している機械、そして、中央には黒い重装甲の兵器。 それに構わず近づく三人、そしてその兵器の前で、イクスは最後の仕上げに取り掛かる。 「大いなる力持ちし魔人よ、イクス・リランの名の下、破邪のために今立ち上がらん………」 『……コード承認。対象をイクス・リランと認めます。ガンヴァルオス、起動します。』 機械音声が響き、ガンヴァルオスのコクピットハッチが開く。 乗り込む三人。イクスはメインコクピットの操縦桿を握り、サイドコクピットにはレンナとノアがいた。 「最大速力で街へと向かいます。ベルトの装着を………」 座席の脇に施された安全ベルトを付け、準備を終える。 そして、力強い声と共に、封印された魔人を呼び起こす。 「ガンヴァルオス起動!!」 メインハッチから街へと向けて飛び出すガンヴァルオス、そしてそれを見守る牙鉄。 「ガンヴァルオス?イクスちゃんがなぜここに……しかも、あっちは街の方向では………」 しばらく思案し、牙鉄はある感覚に気付く。 「あの中にレンナが!?…………行くしかあるまいな。」 第四章 第十九話 暴走? 岡島様 モーサドゥーグの足止めに向かうスプリアス 「見えた………」 スプリアスの目には「サーチアイ」という機能がついている。 この機能はいかなる生物や機械などの内部構造を解析できる。(解析にかかる時間は対象によって異なる) そしてそこから弱点を探ることが出来るのである 現在、スプリアスにはモーサドゥーグの内部構造が完全に見えている状態 「はぁ……………」 彼女はため息をついた そう機械にあまり詳しくない彼女は、どうすればいいのか分からないのである。 サーチアイは便利な機能だが彼女にとっては無意味な機能であった。 今回はとりあえず使ってみた。という感じである。 「んっ………これって」 その時、彼女は生体ユニットの中の乾いぬみの状態を知った。 「……………」 少しの沈黙 つぎの瞬間、彼女はものすごい速さでモーサドゥーグの方へ向かっていった 「な……………」 周りにいたライダー達は、彼女の突然の行動に唖然となる そして、モーサドゥーグのミサイル攻撃を素早くかわし かわしきれない分はエナジーシュートで破壊しながら進んでいく。 「凄いわね。」 その姿を見た黒姫は呟く そして、誰よりも先にモーサドゥーグの元にたどり着く 「私が………助ける………」 そして彼女は、雷刃でモーサドゥーグの装甲を切り裂いた。 モーサドゥーグの装甲は硬く本来なら、雷刃で切り裂くことは出来ないだろう だが、今の彼女には出来た。その理由はエウリュディケと戦っていたジンと同じである。 (私が助け出して、そして………) 危ない思考が彼女を支配しつつあった。 モーサドゥーグより、彼女を止めたほうがいいのかもしれない 第四章 第二十話 魔氷剣 ギルティーに…… ウェイド様 超機兵『ガンヴァルオス』 町に向かい最大出力で向かっている……。 後ろに敵がいるとも知らずに。 だが、ガンヴァルオスには高性能レーダ『千里眼』が搭載しているため。 イクス「ますたー、敵反応これは……先ほどの敵です」 ノア「また!?しつこいわね」 すぐ見つかった。 余談だが疲れていたレンナは寝ている。 起こしても無駄だから放置。 アイスボーン『ぎゃぉぉぉぉ!!!!』 明らかに怒っている。 まあ、クチを吹っ飛ばされたり、超音波で体が壊れたら誰でも怒る。 イクス「ますたー、どうします?」 ノア「そんなもん、無視よ無視、急いで町に向かうわよ」 まるで汚いものを払うように敵が移っているモニターを切る。 イクス「了解、ガンヴァルオス先ほどの敵に反応を自己的にロスト、出力を維持して町に向かいます」 ガンヴァルオス『町まで残り……1k』 そして見えなくなる。 アイスボーンから… そう、ギルティーからも。 ギルティー「ようやく見つけたぞ、魔氷剣」 アイスボーン『グル?…ガ…』 後ろを振り返るや否やまるでこの世の終わりのような顔をするアイスボーン。 まあ彼(?)にとっては終わりだが。 ギルティー「さあ……その剣を渡して貰おうか?」 魔氷剣は消えギルティーの手元に現れる。 次の瞬間魔氷剣似合ったクリスタルが割れ、再度集まった先には氷と書かれていた紋章が写った。 そしてギルティーの色は変わり黒き姿からまるで氷のような色の姿に変わる。 ギルティー・I「仮面ライダーギルティー・アイスモード、ここに見参」 ギルティー・I「氷激の雨に消えろ『ヘル・フリーズ・メテオ』」 数百の氷の塊がアイスボーンに落ちるその体は砕けてゆく、最終的には。 パリィーン! まるでガラスがハンマーで割れたように砕け散った。 武具の一つがギルティーの手に落ちた。 その出来事を知らずにイクスたちは町に向かう。 そしてギルティーは。 ギルティー・I「……む?この反応は…面白い」 否ギルティーも町に向かう。 組織の関係が入り混じった戦い。 勝敗はまだ決まらない。 余談だが。 フォーミュラーは救済活動をしている。 フォーミュラー『うおりゃぁ!』 彼の救助で怪我したものも数人いるが……。 それはまた別の話。 さらに余談で…。 ラフエイア「おーいギルティー…おいてくなー」 ギルティーが町に向かったため、おいていかれたラフエイア。 そのあと、なぜか熊が現れたがラフエイアに食われた……。 ラフエイア「なかなか、うまいぜ」 ラフエイアを連れ戻しに来たガブエイアが驚愕するが…それもまた別の話 第四章 第二十一話 夕焼けの日の絆 空豆兄様 「……っ!!!あの子、なんて無茶を!!」 黒姫が、集まった仮面ライダー達を前に指示を出した直後、その一人が無謀にも、あの機械仕掛けの獣へと突っ込んで行ってしまった! モーサドゥーグの四肢の外装に備え付けられたミサイルモジュールから、無数のミサイルが放たれる! 機械の獣は仮面ライダー達を、自身の「脅威」と認識し、その防衛、迎撃システムを起動させたのだ。 降り注ぐミサイルの雨。 しかしその一人突っ込んでいったライダー少女は、それらを迎撃し、爆風もものともせずモーサドゥーグに突っ込んでいく! 仮面ライダー、スプリアス。 そのすさまじい光景に、誰もが一瞬我を忘れて見入ってしまう。 が…。 「……っ!!!みんな!ぼさっとしてないで、彼女を援護!奴の武装を無力化するのよ!!!」 黒姫がそう声を上げると、皆は弾かれたようにその言葉に従った。 総攻撃を受けるモーサドゥーグ。 執拗に自分に接近しようとするスプリアスを、顔の両側に備えられたニードル弾発射機構を実弾に再装填し、近づく彼女を迎撃する! ズガンガンガンガンガンガン!!! 大口径の弾丸が地面を砕き、突き刺さる! スプリアスの狙う生体ユニットは、モーサドゥーグの体の中心に埋め込まれている。 だが腹の下にもぐりこもうにも、その弾幕が邪魔をして入り込むことが出来ない。 おまけにモーサドゥーグは弾幕を張っている間にも激しく動き回り、下にもぐりこむことは危険に思われた。 下手をすれば、その鋼鉄の脚に踏み潰されてしまいかねない…!! 当のモーサドゥーグといえば、そのライダー少女達の一斉攻撃に焦っている状況だった。 なぜなら、自分の任務「ゴーレム殲滅」が、今完全に阻害されているからだ。 先ほど、『今までのものとは比べ物にならないほどの強大なポテンシャルを含むゴーレム反応』を察知した。 その力は、自分の正体を隠すことにも一役買っているようだ。 モーサドゥーグの、「そのために作られた」サーチ能力をもってして、初めて判明するほどのゴーレム反応のシャットアウト能力。 その殲滅を行えないことに、狩人であるモーサドゥーグは焦燥を募らせた。 …感情があるのかどうかは分からないが。 ガシィン!! モーサドゥーグは後ろに向かってステップを踏み、その体を後ろへ滑らせ、その体をビルに押し付けて体を固定する。 『ググググググ……。』 背中が大きく開き、そこから巨大な2本のミサイルが姿を現す。 『サーチ、サーチ…目標、巨大ゴーレム反応…。』 体を滑らせ、一瞬彼女達から逃れ、その本命のミサイルを装填するモーサドゥーグ……。 バシュバシュウウッ!!! そして、その一瞬の出来事に反応できない仮面ライダー少女達…!! 真上に放たれたそのミサイルは、彼女達の能力では対応できない! 「あのミサイル、私達を狙ってるんじゃないの!?」 「でも、あんなものが落ちたりしたら…。私が…行きますッ!!!」 空へ飛び出す青い髪の少女…。 仮面ライダーブレイドたん、ジャックフォーム!! ミサイルの速度に追いつこうと、ぐんぐんスピードを上げていく! (ぐ……速い!) しかしその速度では、その一つに追いつくのがやっとだ。 たとえ追いついたときに一つを破壊しても、もう一つはその隙にさらに先へと向かってしまう…。 『THUNDER』 『SLASH』 『LIGHTNING SLASH』 それでも一菜は、ブレイドたんは、ミサイルの一つを雷を帯びたその剣で叩き斬る!!! ザギィィィィンッ!! ドゴオオオオオオンッ!!!! 真っ二つになったミサイルは空中で四散、完全に破壊された。 だが…。 「はぁ、はぁ、お、追いつけない…!!!」 もう一つのミサイルはすでに上昇をやめ、目標に向かって加速を始めていた! 「ど、どうしよう、この人、気絶しちゃったよぉ…。」 見知らぬ男に、怪人達に襲われそうになったところを助けられた、華枝と神歌の二人。 だがその男は、自分達を安全な場所までバイクで逃がすと、その場で気絶してしまった。 「放って置けないよね…?事情は良く分からないけど、神歌達はこの人に助けられたんだから…。」 二人は協力してその男をバイクから降ろすと、二人でその肩をささえて、人の多い場所へ行こうとする。 キィィィィィ…… うえから、何か甲高い音がする。 その時上を見ても、何もなかったので、神歌たちはかまわず手近な建物へと入っていく。 見上げたときに、その方向にあった小さなビル。そこに向かって彼を連れた二人は歩いた。 そこは人の避難が終わったその商店街の、小さなビルの中に入ったコンビニだった。 その床に彼を下ろすと、神歌は立ち上がり、華枝に告げる。 「よし…。華枝。貴女はここでこの人の看病してあげて。私は人を呼んでくるから。」 「ええ!?神歌ちゃん、私をおいていっちゃうの…?」 その言葉に、くしゃっと表情を崩す華枝。 人見知りの彼女からすれば、身も知らない男と二人で残されるのは、いやでいやで仕方がないだろう。 「じゃあ華枝、私の代わりに人を呼びに行く!?」 少し強い調子で言う神歌。 「ふえ!?うう、無理だよぉ……。」 「でしょう?…その人をここにおいて二人でいく訳にも行かないの。わかって。華枝。」 「うう…。うん。」 「うん。いい子いい子。すぐに、戻ってくるから。」 「ね、ねえ!」 立ち去ろうとした神歌を、華枝は呼び止める。 「え!?なに?」 「おにぃちゃん、大丈夫かなぁ……。」 「列、さん……。」 「おにぃちゃん、一人で残ったりして、もし、なにかあって、し、死んじゃってたら…」 華枝は自分の口から出るその最悪の事態に、だんだん体が震えてくる。 「ば、ばか!!!列さんが、列さんが死ぬわけないでしょ!」 「だって、だって、すごく怖いものがあそこにいっぱいいたんだもん! おにぃちゃん、おにぃちゃんだって死んじゃうかもしれないもん!」 「私、そんなのいやだ!!!いやだいやだ!!!おにぃちゃんが死ぬなんてそんなのいやぁ!!!」 「華枝……。」 兄と離れ離れになり、この現実離れした状況。先ほどの怪人達。 いろいろなことが、彼女の精神に極度のストレスを与えていたのだろう…。 ぎゅ…っとその拳を握る神歌。 顔は伏せていたが、その表情は怒りに満ちていた。 もちろん自分も列が心配だ。 でも、その気持ちも分からずに不安をあおり、その兄にすがろうとする華枝に、彼女は腹を立てていた。 どうしてあなたが、列さんの妹なの…!! そんな考えが彼女をよぎった。 神歌はそんな華枝を置いて、コンビニから駆け出す。 「っ!み、神歌ちゃん!!!」 追いつけない…。 だからって何もしないなんていやだ!!! 一菜は必死に追いすがりながら、ラウズカードを入力した。 『THUNDER』 「たああああああああっ!!!!」 ピシャアアアンッ!!!! 剣の先から放たれた雷は、ミサイルの尾翼に命中する!!! 見る見る失速し、煙を吹きながら回転を始めた。 「あれなら、人のいない場所に落ちてくれるよね…。」 一菜は、そう安堵をもらした。 彼女は悔しかった。自分が、列の一番になれないことが。 あの人には好きな人がいる。そして大事な妹がいる。 一番の親友で、世界で一番憎くて、うらやましい。 風瀬 華枝。 ただ妹だというだけで、華枝は自分よりもあの人に大事にされている。 さっきの朝食の時だって、彼は私より華枝への体裁をつくろおうとしていた。 私は列さんに想われてないんだ…。 昨日まででもそれは分かっていた。 でも、きょうはそれを改めて見せ付けられた。 泊まりにこないかといわれて嬉しかったのに。 少しは…期待していたのに。 華枝、どうして、どうしてなのよ……!!!! 答えの返らない問いを自身の中でめぐらせる。 キィィィィィィ…!!! 「!!!」 その思考を、先ほど聞いた甲高い音が中断した。 再び見上げると、空には何か丸いものが見えた。 黒い煙を吹きながら、空を飛ぶその物体。 しかもそれは、どんどん大きく、いや、近づいてきていた!! 「まさか、あれって……。」 いやな予感がよぎった。 それはこちらに向かってきているように見える。 視線を戻すと、先ほど駆け出した小さなビルが正面に見えた。 「落ちてくる…?このあたりに!?」 「華枝!!」 彼女は元来た道を戻ろうと駆け……。 出せなかった。 あれはここに落ちてくる。 あの低さならビルに当たる。 今戻っても間にあわない。 じゃあ戻らなくても良いじゃない。 華枝は、運が悪かったのよ。 わたしは…どうしようもなかったんだから。 …華枝がいなくなれば、列さんだって私をみてくれる。 きっとそう。 そしてわたしは、幸せになるの。 幸せに………………。 立ち尽くす神歌。 そっと目を閉じ、次の惨劇から目をそらそうとする。 その間、幼いころの自分をなぜか思い出す。 異性間の感情、好きも嫌いもなかったあの頃。 自分が彼を、お兄ちゃんと呼んでいた頃。 楽しそうに遊ぶ自分と列。 そこには当然、華枝もいて……。 「今日も楽しかったね〜。」 「おれ疲れちゃったよ…。ふたりともおれにくっつきたがるんだから。」 「だって神歌たちは、お兄ちゃんの妹なんだもん♪」 「そうだよ〜。ふたりで、こうやってくっついて、おにぃちゃんをいっしょにかんじるの。」 「なんだよ。かんじるってさ。」 「こうやってると、とっても幸せです。お兄ちゃんが神歌のそばにいて。華枝もいっしょにいて。」 「うん。大好きなおにぃちゃんと神歌ちゃんと3人いっしょで、しあわせ〜」 「神歌もそうだよ〜。華枝も大好きだし、お兄ちゃんも大好き。」 「おまえら、うれしそうなかおして…。」 ぽん。 「あ………。」 「列さん、神歌たちの頭…。きゃう、くすぐったいです…。」 「そうだな。おれもしあわせなのかもしれない。3人一緒で。」 「うん、一緒、一緒♪」 「そうですよ。だって神歌たちは、あの日結ばれた3人の兄妹なんですから…。」 「……うん。これからもずっと、3人仲良くしていられれば、いいよな。」 「おれと、華枝と、みかちゃん。」 「はい。これからも、大きくなっても3にんで、ずっと………。」 「!!!!!!!」 思いに駆られて走り出す。 幸せなんてない、幸せなんてない! 華枝がいなくなった後に、幸せになんてなれない!! だって私達は、3人一緒だったんだから!! 私は華枝のことが大好きだったのに、大好きだったのに……!!! 失速するミサイルは、まっすぐに華枝たちのいるビルに向かって落ちていく。 それに追いつこうと、神歌はビルに向かう。 中の二人を逃がすために。 「華枝ええーーーーーーッ!!!!!」 「…神歌ちゃん?」 外からの声に、彼女は反応する。 「神歌ちゃん!!!」 互いのその姿を、ドアの向こうに見止める二人。 「華枝、そこから早く出……!!!!」 ドガアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!!!!! ……その言葉が終わるより早く。 ミサイルは二人のいるビルの近くに着弾する。 その爆風と振動で、小さなビルは見る見る崩れていく……! 「……………!!!!!!」 華枝の姿が、その瓦礫で覆い隠されるのが見えた。 照明は落ち、戸棚は倒れ、天井が抜ける。 その煙に眼を覆う神歌。 腕で必死に眼を守りながら、そのビルからは目を離さない。 華枝………!!!! 「華枝えええええええええええええッ!!!!!!」 彼女は、かまわず大声を上げた。 「う、うう…………。」 神歌が悪いんだ……。 華枝に、死んでしまえなんて思ってしまったから。 もっと早く出ていれば、華枝は、華枝は……!!! 「うあ、あ、うあああああああん……。」 その場で膝まづき、泣き崩れる神歌。 ごめん、ごめん華枝…!! 全部遅かった。神歌が全部遅かったんだよ……。 戻ることも、神歌が華枝大好きだったことも、全部!!!! 「うああ、うああああああ…………。」 ……泣かないで。 「うあああ……え?」 彼女は、大丈夫だから…。 どこかからか声がする。 神歌は涙でぬれた顔をふきつつ、辺りを見回す。 誰も……いない。 あるのは、親友とあの男の人がいた、崩れたビルだけ……。 ブブブブブブブ……。 空の上から、何かの羽音がする。 神歌は、それを見上げた。 「…………!!」 そこには、黒い姿をした、あの男の人を抱えた女の子が、空中に在った。 「あなたは……!?」 「私は……ゼベイル。仮面ライダーゼベイル。」 「人と人の絆を引き裂くものを憎み、戦う使命を帯びる者。……ゼベイル。」 第四章 第二十二話 悪魔達の舞台 イシス様 モーサドゥーグ目掛け、一目散に駆けて行くスプリアス。 巨大兵器から放たれるミサイルも銃弾も物ともせず、次第に距離を詰めていく。 それを眺める黒姫。 注意して見なければ分からないくらいではあったが、彼女の瞳にはどこか苛立たしい色が見えた。 それもそのはず。 もともと、彼女の目的はモーサドゥーグの破壊と、シグマの能力を見極めることだった。 せっかく作戦を立て、彼女とシグマだけという状況にしたというのに、スプリアスの暴走のお陰で計画に支障が出たのだ。 しかし、黒姫には計画を持ち直す秘策があった。 (仮面ライダースプリアス……高い能力ではあるけれど、騎士団が殲滅するほどの者ではない。) 視線だけを気付かれないように、漆黒の戦士へと移す。 (問題は彼女……仮面ライダーフェイト。) 口には出さなかったが、黒姫はフェイトが槍使いの報告にあった謎のライダーだと直感で分かった。 報告では、フェイトは長剣を使っていたとのことだが、今は弓矢を使っている。 その真偽とフェイトの能力の究明のために、黒姫はスプリアスを使うことを考えたのだった。 (せいぜい、私の用意した舞台の上で踊ってもらうわよ………) 「では、キール博士。私はこれで……」 対談を終え、満足げな表情でエスカリアはキールに別れを告げる。 「私などの講義で宜しければ、いつでも拝聴してくださいな。」 「では、お言葉に甘えて、いずれまた………」 恭しく礼をする紳士に合わせるように、傍らのメイドもお辞儀をする。 そして、二人は老運転手の用意してあるベンツに乗り込もうとする。 「あぁ、そう言えば、街の方は少し物騒になっているみたいなので、帰り道には気を付けてください。」 「わざわざご丁寧に、ありがとうございます。」 キールの忠告を受け、やがて走り出すベンツ。 それを見送るキール。上の階の窓からはカシスが、どこか不満げな表情で見ていたのだった。 すでに人気の絶えた街、そこにひと際高くそびえる高層ビル。その屋上に魔術師と弓使いは来ていた。 夜の街を一望しながら、魔術師はその先の戦場へと目を向ける。 「成程、あれが暗殺者の報告にあった兵器か……」 どこか面倒げな眼で兵器を眺めた魔術師は、傍らのメイド少女ニナ、いや、弓使いに視線を移した。 「さて、ニナ君。お仕事だよ。」 「…………(コクリ)」 力強く頷き、弓使いはその視線を兵器へと移す。 弓使いの全身に不思議な紋様が表れる。 まるで、何かの獣のような紋様。しかし、その色は全身灰色であった。 そして、彼女はその姿を大きく変えた。全身から大小様々な針が生え、灰色の体表を持った巨大な獣へと。 弓使いの正体、エッジホッグオルフェノクであった。 エッジホッグは右手のボウガンを構え、慎重に照準を定めていく。 その狙いは、暴走する仮面ライダー、スプリアスだった……… (もう少し……もう少し………!) モーサドゥーグの猛攻を巧に回避しながら、スプリアスは遂に敵の本丸へと到達した。 乾 いぬみが素っ裸の状態で生体ユニットに使われている中心部に、右腕のカッターを突き立てる。 頑丈な装甲ではあったが、現在の彼女の精神状態の前では、あまり役には立たなかった。 持ち前のポーカーフェイスによって、誰にも気付かれてはいないが、彼女もまた北崎達と同類なのである。 女の子が絡めば、その強さは信じられないくらい上昇するのだ。 しかし、あまりにもいぬみに意識を移していたのがいけなかった。 いぬみを助けることに集中しすぎて、“それ”の存在に気付けなかった。 いや、気付いたところで手遅れだった。 エッジホッグが放った針は寸分違わず、スプリアスの右肩に突き刺さる。 そして、その威力に大きく弾かれ、コアユニットの壁に貼り付けにされた。 「うわあぁぁぁぁぁ!!」 激しい痛みに意識が飛びそうになる。 それをなんとか持ちこたえ、動ける左腕で右肩に深々と刺さった矢を引き抜こうとする。 しかし、それよりも速く第二の矢がスプリアスの左肩を貫き、続けて第三、第四の矢がそれぞれ両足を貫いた。 すでに彼女は一切の自由を奪われ、そしてあまりの激痛に、遂にはその意識までも断たれた。 貼り付けにされ、力無くうな垂れる自分の仲間を見てしまい、フェイトは悲痛の叫びを上げた。 「凪ーーーーーーー!!」 半狂乱に近い状態になりながらも、フェイトはスプリアスを助けに行こうとする。 しかし、モーサドゥーグの猛攻の前に近づくことは許されなかった。 悔しさに歯噛みするフェイト。そこへ、遥か空の彼方から飛来する巨大な影を全員が確認した。 「なに……あれ………」 未知の飛行物体に一瞬我を忘れたシグマだったが、すぐに正気を取り戻し警戒態勢に入る。 そして、黒い装甲の人型飛行物体は着陸と同時に、その勢いをそのままにモーサドゥーグへと突っ込んだ。 巨大な鉄の固まり同士のぶつかり合い、耳を劈くような甲高い音が周囲に響き渡る。 やがてモーサドゥーグは力を込め、黒い鉄騎を押し返そうとする。 互いに一歩も譲らぬ力比べ、そこに、黒い機兵から少女の声が響いた。 『お姉さま、無事ですか!?』 「……!その声、魔眼使いね!」 『はい!事情は後で話すから、今はコイツを少しでも街から引き離します!!』 魔眼使い操るイクス専用兵器ガンヴァルオス、それは背のバックパックユニットを展開させ、中からブースターが姿を見せる。 イクスの精神をエネルギーに排出される虹色の光。激しいエネルギーの奔流でありながらも、ほぼ無音に近いその性能。 これだけでも、ガンヴァルオスがオーバーテクノロジーの結晶だと分かるだろう。 ブースターの加勢によって、次第にガンヴァルオスが優勢に出だす。 モーサドゥーグをその両の腕でしっかりと掴み、少しずつ高度を上げていく。 『この先に、今は使われていない工場跡があるから、そこでコイツを倒して! 今のコレの兵装では、とても太刀打ち出来ないの!!』 「分かったわ!すぐに駆けつける!」 モーサドゥーグを連れ、ガンヴァルオスは夜の大空を飛び去っていく。 それを逃すまいと、インジェノウスに乗るシグマ。そのすぐ傍では、黒姫が黒翼に跨っていた。 「レオナちゃん!乗って!」 カリスはシャドーチェイサーに乗り、後ろからはサイガがカリスをしっかりと後ろから抱き、いつでも行ける体勢を作り上げる。 ブレイドはブルースペイダーに、そしてセイバーは……… 「彼方はどうするの?」 厳しい視線でセイバーに語りかけるブレイド。 「すでにモーサドゥーグとやらは街から離れた。よって、本来なら私の出る幕ではない。 だが………」 そこで一旦言葉を区切り、そして力強く言った。 「奴にはまだ一太刀浴びせていないのでな。このままでは虫の居所が悪い。 スラッシュ!!」 セイバーの叫びに従い、彼専用のマシン“スラッシュ”がやって来た。 それに乗り込もうとするセイバー。すでにほぼ全員の準備が整っていた。 「貴女はどうするの?」 黒翼に跨ったまま、黒姫はフェイトに尋ねる。 疑問を持ちかけながらも、既に答えを知っているような黒姫の眼。それでも、フェイトは臆することなくハッキリと答えた。 「行きます。凪をあのままにしてはおけないから………」 「大切な友達なのね。」 「………はい。」 しばらくの沈黙の後、黒姫はフェイトに提案を持ちかけた。 自分に都合よく事を進めるための提案ではあったが、今のフェイトにはそれを気にする余裕もなかった。 「わかったわ。貴女も私と京ちゃんと一緒に来なさい。私達が乾 いぬみを助けている間に、 貴女はその凪ちゃんを助ける。どう?」 「………わかりました。協力します。」 「時間が惜しいわ。後ろに乗って。」 フェイトを後ろに乗せ、走り出す黒翼。 ドライバーたる黒姫の内心では、邪悪な笑みが溢れていた。 (貴女の力、どれ程のものか見極めてあげる…………) 「ふむ。これで街の方は一安心か。」 ガンヴァルオスがモーサドゥーグを連れ、工場跡へと飛び去るのを見やりながら、魔術師は荒れ果てた街を見下ろす。 騒ぎが収まったものの、まだ街には人が戻る気配は無い。むしろ、だんだんと減る一方だ。 そして、逃げ惑う集団の中から、彼にとってはとても興味深い光景を目にすることとなった。 「ほう、これはこれは……面白い事になりそうだ。」 自然と口元が邪悪に釣り上がっていきながら、魔術師は傍に控えるエッジホッグに命令を下す。 「さて、ニナ君。君にも見えたであろう?君ならば、私が今何を望んでいるか、分かってくれるかね?」 「…………(コクリ)」 一度だけ頷き、エッジホッグは逃げ惑う集団の内、さらに的を二人に限定した。 少年と少女。少女は少年に連れられる様に街を離れていく。 そして、その内の少女の方を、エッジホッグはよく知っていた。 仮面ライダーカイズィー、草加 雅菜のことを……… 「はぁ……はぁ……ここまで来れば、もう安全だろう?」 「……そうね。」 雪崩れる人混みをどうにか抜け出し、風瀬 列と草加 雅菜はひと際静かな街の一角に来ていた。 安堵の息を漏らす列とは対照的に、雅菜は内心の動揺を隠せないでいた。 (こんなことしてる場合じゃないのに………) 本当なら、今自分は仮面ライダーの一人として戦場に赴かなければならない。 しかし、この突然表れたクラスメートの介入によって、足止めどころか戦線離脱を余儀なくされてしまった。 しかも、先程視界の端で、敵たる巨大兵器が廃工場方面へと飛び去ったのを見た。 自分もいかなければならないのに、行くことが出来ない。そんなもどかしさが、彼女を苦しめた。 これ以上はここにいられない。ここで強引にでも別れて、戦いに行く。 その決意で、話を切り出そうとする。 「列、あのね…………!!」 だが、それは許されなかった。 突如、上空から此方目掛けて飛び降りてきた灰色の獣、それが二人の前に立ち塞がったからだ。 「な、なんだよ!コイツは!!?」 「…………!!」 いきなりの非常識な事態に、理解することが出来ない列。 雅菜は、ここで出会うはずのない敵との遭遇に混乱極まった。 (なぜ!?なぜここにオルフェノクが!!) 自分も見たことのないオルフェノク。 全身の体毛が大小様々な針となっているエッジホッグオルフェノク、それが右手を上げる。 その手が握っていたのはボウガンであった。 その先に仕込まれているのは、自身の体毛であろう針。そして、躊躇無くその引き金を弾いた。 「列!!?」 覆いかぶさるのも気にすることなく、咄嗟に列に飛び掛りその射撃軸を逸らす。 凄まじい速度で、先程列が立っていた位置を通過していく矢。 列は何が起こったのかと混乱し、雅菜は敵の狙いに寒気を覚えた。 そう、エッジホッグは今、確実に“列”を狙った。 雅菜ではなく、わざわざ関係ないであろう彼を狙った理由など、彼女には一つしか浮かばなかった。 これは警告なのだ。 変身し、戦わなければ彼を殺すと言う。しかし、変身すれば雅菜は自分の正体を明かすこととなる。 これは雅菜にとってあまり望ましい展開ではない。 そして、本当なら、ここで彼に正体を明かすことは許されない。 しかし、自分の正体と列の命。どちらが大切なのかなど、“雅菜にとって”分かりきった事。 わざわざ天秤にかける必要などなかった。 「……列、そこを動かないで。いいわね?」 「え?雅菜、何言ってるん…………」 「いいから!!」 怒気を強めた彼女の一言にただならぬ物を感じたのか、列は黙りこくることしか出来なくなった。 ひと際、殺気を強めた眼で眼前のエッジホッグを睨む雅菜。 ポケットから携帯を取り出し、展開、コードを入力していく。 『9・1・3、Standing by』 低い音が響く携帯を閉じ、何かを決意したような表情でその言葉を紡ぐ。 「変身!!」 『Complete』 眩い黄金の閃光に包まれ、中から出てきたのは草加 雅菜ではなく、仮面ライダーカイズィーだった。 その姿に、列は呆然とし、 「まさ……な………?」 クラスメートの名前を呟く事しか出来なかった。 第四章 第二十三話 それは復讐の為に… 残影刃様 気絶した陣は、昔の事を夢に見ていた。 「陣いるか?」 「何ですか師匠?」 俺が素振りをしていると、銀髪の二十の女性…師匠に話し掛けられた。 「客がおまえの事を見てみたいといってきたんだ?」 「……俺を…ですか?」 「……剣使い、この子が貴女のお弟子さん?」 俺が不思議そうな顔をして聞き返すと、師匠の後ろから紫色の髪の女性が現れて俺を見た。 ……この人が師匠の客人か? 「……剣使い?」 「まあ、私のあだ名みたいなものだ」 「ふふ、随分と無愛想な顔した子ね」 俺の師匠の掛け合いを見て、客人は口元に手を当てながら笑う。 ……無愛想で悪かったな…… 「……すみませんね無愛想な顔で……」 「あら、気を悪くしちゃったかしら?」 「別に……ところでお客様、俺はあなたを何て呼べば良いんですか?」 「ん、ああ、そうだったわね。すっかり忘れてたわ」 ……そう言って客人は笑った。……それを見て、俺は何となく綺麗な人だと思った。 「私の名前は…暗殺者、そう呼んでくれるかしら?」 「!!」 そこまで見て、陣は夢から覚め、飛び起きる。 そんな彼の視界に飛び込んできたのは神歌とゼベイルだった。 「気が付いたのみたいね…大丈夫?」 「……誰だ」 ゼベイルが心配しながら話し掛けると、陣は警戒しながら言葉を返した。 すると、慌てて神歌が二人の間に入ってきて、 「あ、あのこの子は貴方を助けてくれたんです。 だから彼女にそんな顔しないでください」 「………助けた…?」 「ええ、そうなんです。実は……」 この後、陣はビルの爆発や、ゼベイルに助けられた事を神歌から説明を受けた。 ちなみに、華枝がいない事は他の仲間が助けているとゼベイルに告げられた。 ……当たり前だがウソである。 「状況は理解した……礼は言っておく…」 「あ、私は助けてもらったんだし、気にしなくていいですよ!」 「私も人を助けるのは当然の事だし気にしてないわ」 陣が頭を下げて言うと、神歌は慌てたようにゼベイルは平常心を保ちながら言葉を返す。 「そうか、…で、どうするんだこれから?」 「とりあえず、私は華枝と合流したいです」 「そ、そうね、それが一番ね」 神歌が言うと、ゼベイルは慌てたように同意した。 「……分かった、だが俺は別の用があるから此処で別れるが構わないか?」 「貴方一人大丈夫?」 心配しながらゼベイルが質問すると、陣は表情を変えずに、 「大丈夫だ、生き延びるのなら得意なんでな…さっさと行け」 そう言って陣は後ろを向いた。 「…わかった、行きましょう神歌さん」 「え、あ、はい!」 そうして、二人は華枝を探しに行った。 「…………さて、そろそろやろうか……」 二人の姿が見えなくなった瞬間、ビーストが陣の前に現れた。 「さっきは複数獲物がいたから今度は単体になったところを狙う…か… それで勝てると思っているところが所詮本能だけで生きているモノの限界か」 そう言って陣は一枚のカードを取り出す。 その瞬間、陣の腰に黒い稲妻が走りベルトが出現する。 「……変身!」 ベルトにカードを差し込んだ瞬間、陣の姿は漆黒の騎士に変化し、 そのままビーストめがけて突撃する。 「(……なんで、今日に限ってあんな事を……)」 その瞬間、彼は過去のことを思い出していた。 暗殺者…あの人と約束を交わしたのは…師匠の葬式の時だった。 「あ、居たわね陣君」 暗殺者は俺が葬式に出席していないのに気がついて探してきたらしい …あの時、俺はどんな顔をしていたんだろうか…あの時、俺の顔を見て暗殺者は、 「そんな顔をしちゃ駄目よ、剣使いが悲しむわ」 って、言ってきたから…… 「辛いのはわかるけどね…」 「……用件はそれだけですか?」 俺は他に用事があることを知っていたのに嫌味を言うように行ってしまった。 そしたら、暗殺者は悲しそうに笑いながら口を開いた。 「ええ、あと一つ…貴方をこれから保護する事になったの」 知っていた。“あいつ等”にとって俺は貴重なサンプルだったから… 騎士団がそんな立場の人間をほおっておくはず無かったから…… 「……お断りします」 でも、俺にとって用件は飲めなかった… 「…何故、自分の立場がわかっているの?」 「…わかっています…だけど、それじゃあ俺はあいつ等に復讐できない」 …保護されるって言う事は、つまり危険を冒せないという事どころか自由させないって事だから… 「無理よ、貴方の力じゃ……」 暗殺者が冷たく言った。その瞬間、俺の何かが切れて… 「わかってる!だけど、だからってあんた達に安全を貰って生きていく事は俺には出来ない! そんな事する位なら死んだ方がマシだ!!」 俺が全力で吼えると、暗殺者はなぜか悲しそうな目をして、 「…本気…なのね?」 「…ああ」 俺は、暗殺者の目をしっかり見ながら言った。 すると、悲しそうな目をしたまま、 「わかった、貴方がそこまで言うなら条件付で自由にしてあげるわ」 暗殺者の条件は二つだった…一つは自分のみを守れる位までの力を騎士団の中で鍛える事、 もう一つは定期的に暗殺者に連絡する事だった。 ………俺はその二つの条件を飲んで14歳まで暗殺者に鍛えられ…今、此処に居る。…そして俺は――――― 「―――復讐の為に生きている……」 陣は、最後の文だけ口に出す。 彼の周りはズタズタに引き裂かれたビーストの死骸ばかりで、 自身はビーストの血を大量に浴びていた。 …その姿は、ただひたすらに血を求める狂戦士のようであった。 第四章 第二十四話 新たな味方・新たな危機 ユルカ様 ―彼女は悩んでいた。 ―裏切るからと言って、仲間を殺せるか…? ―ただ、それだけのことで…。 「私には…出来ない…! 表情を変えずに躊躇無く任務をこなした私でも…これだけは出来ない…!!」 豊桜 冥=ソフォクレス。 彼女が受けた最新任務は…「裏切る可能性の最も高い、エウリピデスを殺すこと」だった…。 ―モーサドゥーグ起動1時間前… 「何故…このような真似を?」 『「生体ユニット=素っ裸」っていうのは、この世界の常識だろう?』 「絶対違いますよ!!」 『だったらいいじゃないか。えーと、魔神ダークソード、コア入力と…。』 「私が聞いているのは何故、彼女の体が銀色に輝いているかという事です。まるで…彫像のような…。」 『彼女は生きているよ。だが8時間経てば、死んでいるも同じ…。』 「どういうことですか!?」 『起動してから8時間、生体ユニットであり続けたなら…その生体ユニットはモーサドゥーグと同化する。』 「モーサドゥーグを倒せば生体ユニットの中の人間も死ぬと…?」 『ライダー達の協力があると想定して、そこまで行くかなぁ…? まぁ、彼女達に絶望を植えつけるなら悪い手ではないけどね…。』 ―そして、現在… 「私は組織をやめる…。私にだって…できる事はある!!」 モーサドゥーグが移動されているのを見て、ソフォクレスは自分のバイク:GTX−003・ウィクトーレムのスイッチをONにする。 「あのコアユニットには、危険な能力が付いている…! それが出る前に…!!」 ソフォクレスはウィクトーレムをバイク形態から戦馬形態へと変化させると、モーサドゥーグの後を追って行った…。 そのモーサドゥーグなのだが…。 ガンヴァルオスがうまく工場跡にモーサドゥーグを引っ張っていた時、 モーサドゥーグはソフォクレスの言っていた危険な能力を発動させていた…。 コアユニットの壁に貼り付けにされたスプリアス…。 そのコアユニットから機械触手が伸びていることに誰も気付いていなかった。 機械触手がスプリアスの動きを封じていた針を抜く。 そして、スプリアスをコアユニットの中へと吸収してしまった。 コアユニットの中でスプリアスは変身を強制的に解除され、機械触手によって下着姿にされると…(ぇ) 乾 いぬみと同じように銀色に輝く姿へと変わってしまった。 そう、彼女も生体ユニットにされてしまったのである。 これがソフォクレスの言っていた危険な能力…。『少女・生体ユニット化』である。(そのまんま) 近づいた少女をその触手でコアユニットに引きこみ、生体ユニットへと変化させてしまうある意味恐ろしい能力。 そして、この生体ユニットが増えることでモーサドゥーグにどんな得があるのかと言うと…。 「ますたー。相手の兵器の出力が上がっています。」 「何ですって!? さっきまで、何ともなかったのに!!」 …ズバリ、強くなる。(何)しかも、生体ユニットが増えれば増えるほどその力は大きくなる。 助けようと思ってそこで手こずったらむしろ逆に状況が悪化する…。 モーサドゥーグが起動してから6時間と5分…。 乾 いぬみを助けられるタイムリミットまであと1時間55分…。 その時間は刻々と近づいていた…。 第四章 第二十五話 ガンヴァルオス真なる姿へ ウェイド様 モーサドゥーグの新たなる攻撃『ライダー少女吸収攻撃』 これには全ライダーがどうすることも出来なかった。 セイバーは立ち向かおうとしたが止められたりする。 セイバー『はなせぇー!私は戦えるー!!』 ファントムたん『吸収されたら、大変なことになるからだめー!!』 ラグナロク&ダークソード『『危険だからやめんか(やめろ)』』 話を戻そう。 そのため今はガンヴァルオスが囮となって戦闘を行なっている。 の…だが。 ノア「…ガンヴァルオスの残りエネルギーは?」 イクス「残り10%です、ますたー」 ノア「何でこんなに少ないの?」 イクス「もとから少なかったようです」 実はイクスが洗脳=精神力が低下=ガンヴァルオスの出力不足。 が成り立っていた。 つまり…… イクス「ますたー、敵触手にガンヴァルオスが捕まりました」 ノア「見ればわかるわ…振り切って!」 だが触手のほうがパワーが強く。 出力不足のガンヴァルオスでは振り切るどころか…… グワァン…… ブォン…ブォン…ブォン 回されていた。 中にいるノアとイクスは大丈夫だろうか。 そう思った暗殺者こと仮面ライダー黒姫である。 それで実際の二人は。 イクス「ますたー、先ほどから気持ちが悪いようですが?」 ノア「あたり前でしょ…どうにかしなさい!」 手を口に添えて命令するノア。 嘔吐を我慢しているようだ。 イクス「………ガンヴァルオスの再起動確立1.1%……」 そこらじゅうに機械触手に絡まれておまけに敵の攻撃を受けているのだから起動できるほうがおかしい。 ノア「どうすることも出来ないの!?」 イクス「残りエネルギー1%……ガンヴァルオスシステムダウン」 ガンヴァルオスの抵抗が弱まったのを見たのかは知らないが… モーサドゥーグの機械触手がガンヴァルオスを貫いた。 イクス「ガンヴァルオス…機能オールダウン、再起動不可能」 次々と絶望が続く。 そして機械触手がノアとイクスを捕まえようとするが……。 途中で何者かが触手を手刀で切り裂いた。 否、叩きちぎったである。 ??????『マスターそれにサイボーグ一名を救助…撤退する』 ガンヴァルオスからノアとイクスを抱えて飛び降りる鋼鉄の戦士名を。 ガンヴァルオス『ガンヴァルオス・コアフレーム、ただいま参りました』 ガンヴァルオスの真なる姿。 ガンヴァルオス・コアフレーム。 ガンヴァルオス『皆さん、これは予想の範囲ですが敵は時間稼ぎをしているかもしれません』 真なる姿に戻り全員に話しかけるガンヴァルオス。 そして。 ソフォクレス「間に合って!」 GTG−003ウィトレームを駆るソフォクレス。 タイムリミットまで残り……。 一時間三十分。 余談だが抱えられている二人の会話。 ノア「…………ガンヴァルオスって……AI?」 イクス「正式に言えばジェネラルティーリンクスガーディアン通称GTGです、 先ほどの動きは私がピンチだから防衛機能が働いたもようです。」 ガンヴァルオスに抱えられているノアが思ったこと。 それは間違いなく。 敵に回れば恐ろしい機体、である。 第四章 第二十六話 大切な人を守るために… イシス様 瀑布のような戦い。 カイズィーの繰り出す斬撃の一つ一つを、エッジホッグは手にしたボウガンで防いでいく。 カイズィーは激しい怒りに駆られたかの如く、その表情には鬼気迫るものがあった。 風瀬 列は唖然としていた。 自分のクラスメートが目の前で戦っていることに、まるで悪い夢でも見ているのではと思うほどであった。 それに、彼は先ほどからしきりに体をさすっていた。 と言うのも、恐ろしいからだ。 彼の眼前で繰り広げられているのは喧嘩などという生易しいものではない。 これは“殺し合い”だ。 そんなものを幼馴染の、しかも女の子がやっているのだ。 列には、すでにまともに働く思考の一切が無かった。 「たあぁぁぁ!!」 ひと際激しくブレイガンを叩きつける。 いかに上級オルフェノクとは言え、遠距離戦闘を主とするエッジホッグには、接近戦はいささか不利であった。 そんなことを気にすることなく、カイズィーは斬撃の速度を上げていく。 あと数合も打ち合えば、カイズィーに状況が有利に傾いていくだろう。 そうはさせぬと、エッジホッグは一度大きく距離を取り、ボウガンではなく、その両腕をカイズィーへと向ける。 そして、腕の先から大小様々な大量な針が射出された。 なにも、エッジホッグオルフェノクが針を飛ばすのはボウガンからだけではない。 威力こそ落ちるものの、体から直接だすこの攻撃は、連射に優れていた。 この針地獄を潜り抜けて距離を詰めていくのは困難。そのはずだった。 「てやあぁぁぁぁ!!」 しかし、カイズィーにそれは全く役に立たなかった。 降りかかる針をブレイガンで防ぎ、弾き、叩き落し、徐々に距離を詰めていく。 そして、ついに近距離へと辿り着いた。 カイズィーは容赦なく、ブレイガンを横一文字に振るった。 「………!!」 カイズィーの一撃を受け、大きく後方へと弾かれる。 それを逃すまいとさらに追い討ちをかけようとするカイズィーに、エッジホッグが何時の間にか手にしたボウガンを構えていた。 しかし、カイズィーにはその攻撃は脅威とは感じられなかった。 既に相手の力量も把握し、現に今、こうして彼女は相手を追い詰めている。 だから、たとえエッジホッグが針を飛ばそうとも、簡単に叩き伏せ、止めをさせる自信が彼女にはあった。 そして、エッジホッグが引き金に指をかけていく。その瞬間、カイズィーは奇妙な感覚に捉われた。 それはエッジホッグの向けたボウガンの先。明らかに彼女を狙って構えているものではない。 もっと別の方向、見当違いの方向に向けている。 しかし、カイズィーは気付いてしまった。相手の狙いが。 このまま攻撃を加えれば、間違いなくカイズィーはエッジホッグの首を刎ねることが出来る。 その代わり、エッジホッグは“あること”を達成できる。 それは、エッジホッグの狙った先。 そこにいたのは一人の少年、風瀬 列だった。 「しまった!!」 これは彼女にとって、生か死かを決めるものだった。 もしも列に気をとられ、彼を助けようとするならば、エッジホッグには反撃のチャンスが巡ってくることとなる。 しかし、それを無視して相手を倒せば、列は死ぬこととなる。 言わば究極の選択。だが、カイズィーには既にどうするべきかという答えは出ていた。 それは……………… 「列!!」 射出された針の目の前に自ら躍り出て、その針を叩き落すカイズィー。 だが、その瞬間、勝者は決まった。 続けて撃ち出された針が彼女の右肩を深々と貫いたのだった。 「ぐあぁぁぁぁぁ!!」 「!!雅菜ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 列が叫ぶも、彼にはどうすることも出来ず、ただ見守るのみ。 カイズィーは傷ついた右肩から血が流れ出したのを気にすることなく、痛みに耐え、落としたブレイガンを拾おうとする。 だが、さらに放たれた針が、今度はカイズィーの左足に刺さった。 たまらず膝をつくカイズィーに、今度はベルト目がけてその針が飛んだ。 壊れこそしなかったものの、凄まじい衝撃にベルトは外れ、変身の解けた雅菜も地面を大きく転がった。 「ぐ……はぁ………はぁ………あ…………」 すがりつくように、雅菜は左手をベルトへと伸ばしていく。だが、エッジホッグの小さな針がその手の甲を刺し貫いた。 「うあぁぁ!!………ぐぅ………」 目の焦点の定まらぬ雅菜。それを冷徹な目で見るエッジホッグと、何が何だか分からない列。 彼に分かったことは、放っておけば自分の友人が殺されるかもしれないことだけだった。 だから、今すぐにでも駆け出して、彼女を助けなければならない。 頭では分かっていても、列にはそれが出来なかった。 近づけば、自分も殺されるかもしれないという重圧。クラスメートの正体、眼前の怪物。 それだけで、彼の足は止まってしまった。 そんな彼を見やるエッジホッグ。やがて、雅菜を殺すのを止めたのか、雅菜の頭に狙いを定めたボウガンをゆっくりと降ろした。 そして、落ちていたカイズィーギアに近づいていき、それを拾って、自分の腰へと装着する。 一旦、ドライバーからカイズィーフォンを取り出し、再び変身コードを入力していく。 そして、無言のまま携帯端末をドライバーへと装填した。 『9・1・3、Standing by』 『Complete』 エッジホッグの体を金色の光が包み、エッジホッグは仮面ライダーカイズィーへとその姿を変えた。 虚ろでありながらも悔しげな眼で相手を睨む雅菜に、もはや興味も失くしたのか、弓使いはその場を立ち去っていった。 呆然とする列。 目の前の覚めない悪夢に心を鷲摑みにされたかの如く、体の震えが止まらない。 しかし、それ以上に彼には、目の前で血を流し倒れ伏している大切な友人を放っては置けなかった。 震える体になんとか鞭打ち、雅菜の下へと歩み寄っていく。 雅菜の体に刺さった針は、既に効果が終わったのか、灰となって崩れていった。 しかし、雅菜の出血はなおも止まらない。 もしかしたら、死んでいるのかもしれない。そんな恐怖を振り払うように、列は声をかける。 「おい………雅菜………?雅菜!!」 列の声にゆっくりと顔を上げる雅菜。 血の気が引いて、その顔は蒼白でありながらも、彼女特有の美貌が崩れることはなかった。 そして、小さな声で、どうにか搾り出した言葉は……… 「よか………った……列が……無事………で…………」 満足げな表情を浮かべ、それによって緊張の糸が切れた者のように、雅菜はその場で気を失った。 第二十七話 守るための力・ヒッポリュトス(ダイジェスト)空豆兄様 四乃森 陣と別れた神歌と仮面ライダーゼベイルは、行方不明の華枝を探しにその場を離れる。 しかし華枝とは仮面ライダーゼベイルその人であり、 事情を話せない彼女は、神歌の言葉にその場は従うしかなかった。 だがそこに青い翼の天使…。仮面ライダーミクエイアが出現する。 ゼベイルを目の仇とするミクエイアは、神歌には目もくれず、ゼベイルに戦いを強要する。 ゼベイルはフォームメデアに変身、二人は戦闘を開始する! ミクエイアの能力は、パワーアップしたはずのゼベイル・フォームメデアの力をさらに上回っていた。 必殺のスピニングソード・ブレイクさえもあっさり凌ぐミクエイア。ゼベイルは絶体絶命の危機に陥る…! が、その時ミクエイアの右肩の傷が開き、彼女にわずかな隙が生まれた。 そこを突き、神歌はミクエイアに体当たりを見舞い、ゼベイルとともにその場を離脱した。 辺りは暗くなり、破壊された町の瓦礫の中に身を隠す二人。 夜が訪れ、ゼベイルの体の調子も回復する。そこで神歌は、ゼベイルに助けてくれた礼を、それに、戦う彼女を尊敬したと話す。 ゼベイル…舞夜(華枝)は、失敗作である自分を尊敬するという神歌に、改めてその気持ちを確認する。 大切な友人である神歌を、守りたいと。 それも束の間、再び二人の前に現れるミクエイア。 神歌の足を切り裂き、必殺の拳を湛え、こちらに走ってくる…! ゼベイルは怒りに満ちる。親友の神歌を、自分を大切に思ってくれる神歌を傷つけたこいつを許せない……と。 ゼベイルの絶叫とともに、彼女の体に新たな力が目覚めた。 左手に盾、右腕に巨大砲を備えた、フォームヒッポリュトス! その零距離の射撃により、何とかミクエイアを撃退することに成功するゼベイル。 しかし彼女は力尽き、変身は解け、すでに気絶していた神歌とともに、その場で倒れてしまうのだった…。 第四章 第二十八話 希望の可能性 ユルカ様 モーサドゥーグの恐ろしい能力。 『少女・生体ユニット化』で、生体ユニットにされそうになった、魔眼使い:ノアと銃使い:イクス。 ガンヴァルオス・コアフレームによって助け出され、コアフレームの話を一番に理解したのは、京=シグマだった。 「時間稼ぎ…。あの触手の攻撃で単に時間を稼いでるって言うんですか!?」 『あくまでも可能性の話ですが。』 「なら…。今すぐにでも、止めなきゃいけないってことですね…。」 「シグマ! 貴様何を言っているか分かっているのか!? 救出に失敗すれば、助け出す人数が増えるだけなんだぞ!」 セイバーが腹立たしく言う。 「分かっています。だから助けに行くのは、私だけでいいってことです。」 「そんな無茶な!?」 今度はファントムたんが言う。 「方法はあります。」 「なんですって?」 黒姫が眉をひそめて言う。(実際にはそんな表情は見えない。) 「それは…。」 それはこんな作戦だった。 まず、始穂(カリス)が京(シグマ)と一菜(ブレイド)とレオナ(サイガ)を抱いたまま、『フロート』のカードで浮遊し…、 浮かび上がれる限界ギリギリまで達したら、『トルネード』のカードで3人を真上に吹き飛ばし、 そこから、ブレイドジャックフォームの羽根でさらに高く上昇し、 さらにサイガのフライトユニットで上昇し、最高到達点からシグマが”疾風”の力を得た剣で… 「急降下して、その攻撃でコアユニットを突き抜けて、二人を助け出します。」 「そんな無茶苦茶な!! 成功確率は1%以下…いや、限りなくゼロに近い数値ですよ!!」 フェイトが言う。 まぁ、大切なものの命がかかっている以上、救い出すならちゃんと救い出してもらわないと困ると言いたいようだ。 「限りなくゼロに近いのなら…ゼロじゃないはずですよね…?」 「け、京ちゃん…!?」 「たとえ可能性は1%以下でも…死力を尽くせば100%になる!!」 「もし、失敗したらどうするつもり…?」 魔眼使いが口を開く。 「その時は…私ごとあの兵器を破壊してください。」 「そんな…!」 「行きます!!」 カリスがシグマ、ブレイド、サイガの3人を持ち上げ、 『FLOAT』 『フロート』のカードで浮遊し、上昇し始めた…。 「行っけぇ!!」 『TORNADO』 カリスがそう言うと、『トルネード』のカードで3人を丸ごと上に吹き飛ばした! 「ジャックフォームで上昇するよ!」 ブレイドジャックフォームのスピードで、さらに上へ上へと上昇する…。 「ここからは私に任せて!」 サイガのフライトユニットでさらに上昇し、高度5000mに着いた…。 「行きます!! ”疾風変身”!!」 青き風が纏わって、シグマはシグマ・ゲイルフォーム(疾風形態)へと二段変身した! 「飛翔風刃撃!!」 と、勝手な技名を付けつつ(ぉ)、一直線にモーサドゥーグへと向かっていく! 「てぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 バキィン!! ついに、モーサドゥーグのコアユニットへと直撃を与えた………だが…。 「突き抜けるまでには…至らなかったのか!?」 セイバーがガックリとした表情で言う。 そう、確かにコアユニットへ突入はした。 しかし、そのコアを突き抜けるところまで行かなかったのだ。 そのコアユニット近くでは… 「例え…最初の作戦が失敗したとしても、この部分は脆くなった…!」 シグマはすでに京へと戻っていて、コアユニットから伸びる機械触手によって動けなくされ、 スプリアス=凪と同じように、下着姿に…。(またそれか) 「やっぱり…私じゃダメだったのかなぁ…。」 徐々に生体ユニット化していく京。 ところがそこに…。 『あきらめないで!!』 何処からかそんな声が響き、妙な馬に乗った異形の少女が現れた。 馬…? いや、馬にしてはゴツイ。 そう、もう隠す必要も無いが、ソフォクレスがウィクトーレムに乗ってやってきたのだ。 「いくわよ! ウィクトーレム! バトルモォォォド!」 ガシャキン! ソフォクレスの合図と同時にロボット形態へと変形するウィクトーレム。 そして、シグマが突っ込んだ部分をアッパーで攻撃する。脆くなっていたのでそれは簡単に砕けた。 その壊れた部分から中に進入し、スプリアス=凪と京を救い出すウィクトーレム。 ライダーたちの前に降り立ち、二人をそっと地面に寝かせる…。 「あなた…誰なの?」 黒姫がウィクトーレムの中にいるソフォクレスに問いかける。 「あなたとは顔を合わせたくなかったんですけどね…。」 ウィクトーレムの中から顔を出すソフォクレス。 その顔を見て魔眼使いが叫ぶ。 「あー!!! お姉様をひどい目にあわせたソフォクレス!」 「うれしくない紹介をどうも。」 「何のつもりなの? 私の邪魔をしたかと思えば、今度は私たちに協力する気?」 「その通りですよ。私はあのモーサドゥーグの弱点を知っているんですから。」 「何ですって!?」 黒姫がソフォクレスに詰め寄る。 「そんな怖い顔しないでくださいよ。あのモーサドゥーグは生体ユニットが無くなると、全ての機能が停止するんです。」 「なら…生体ユニットである乾 いぬみを救い出せば、あのデカブツも動きを止めるのね。」 「はい。おそらく。」 「作戦変更ね。なんとしても、乾 いぬみを助け出すわよ!」 その時、下着姿の(まだ言うか)京がソフォクレスに話し掛ける。 「あの…わたしは…。」 「今は私たちに任せて、あなたは休みなさい。シグマ。」 「は、はい…。」 嫌だった。助けようと思っているのに、またも自分は足を引っ張った…。 どうして自分には強い力が得られないんだろう…? 京はそう考えるようになっていた…。 「だめだよ〜。”魔狼”を止めちゃ。あと1時間15分であの子は”魔狼”と一つになるんだから。」 「その声は…!!」 モーサドゥーグの上に青い髪をした少女が立っていた。 どこか人間とは違う雰囲気を持っていた…。 「アイスキュロス!!」 「ソフォクレスさん。裏切り者として、あなたを始末しに来ました。覚悟してください。」 「その名は捨てたわ。今の私は豊桜 冥よ!」 「…EASEが一人、アイスキュロス! ターゲット、ソフォクレスとライダー全員。悪いけど、消えてください。」 「クッ…!」 残り時間:1時間15分… 第四章 第二十九話 その力は進化…ルクスたん覚醒 残影刃様 「大丈夫かなぁ…」 ライダー少女とモーサドゥークと戦っている中、槍使いは自分を助けてくれた蛍を介抱していた。 「う〜ん、本当にこの娘何なんだろう?」 槍使いは、先ほど見せた少女の変身に困惑していた。 何せ、エウリュディケの攻撃を防げる能力者…しかも完全に相殺までしている。 下手をすると彼女は騎士団にとっても危険な存在である。 「あ、危険って言えばアイツはどうしてるんだろ?」 槍使いは、危険というキーワードから四乃森 陣の事を思い出した。 暗殺者が何処からか連れてきた無愛想で毒舌家な少年。 知っているのは騎士団の中で当事者二人と自分だけ、そして、暗殺者が鍛え上げた…言わば暗殺者の弟子だ。 「…まあ、今はアイツの事なんて関係ないんだけどね……」 槍使いはそう呟いて蛍の介抱に専念した。 『………聞こえるか?』 「……ふみゅぅぅ……ここ何処…?」 蛍は、謎の声に反応し目を覚ます…いや、目を覚ますと言うのは語弊であろう。 何故なら、蛍は自分の精神世界に居るのだから…… 『此処は君の精神世界だ…まあ、夢の世界とでも思ってくれ…ただし、今から話す事は事実だ…ちゃんと聞いてくれ』 「あ、はい分かりました…」 『…早々信じるのはどうかと思うが…まあ助かった。……とりあえずこれを見てくれ……』 謎の声が言うと、蛍の目の前に酷い惨劇が映った。 時代はよく判らないが場所はヨーロッパ辺りだろう…レンガで出来た家々は壊され、 木々は燃え盛り、地には大怪我を負ったたくさんの人が倒れていた。 そして、紅い空には純白の悪魔が浮いていた。 「ひどい……」 『この災厄を起こしたのは俗に“破滅の使徒”と呼ばれる…生命兵器だ』 「破滅の…使徒…?」 『うむ…詳細は不明だが約1600年前、突如出現し破壊の限りを尽くした存在だ。 ……そして、破滅の使徒は中世ヨーロッパ全体に多大な被害を出したコレは、 多大な犠牲を出したが、体を胴体、右腕、左腕、翼、首の5つに分け、封印されたのだ。 …しかし、今、デモンナイツと呼ばれる組織が使徒を蘇らせようとしている。』 謎の声が説明した事に、蛍は驚き大きく叫んだ。 「え!どうしてそんな危険なものを!!」 『目的は不明だ…しかし、破壊しか生まぬそれを復活させようとしている事は明らかな間違いだ』 「……でも、何でそんな話を私に…?」 『……それはお主が光の共鳴者だからだ』 「…光の……共鳴者?」 蛍は、聞きなれぬ単語に首を傾げる。すると、謎の声が説明を始める。 『共鳴者…言うなれば使徒に対抗する為に生み出された力を使える者だ』 「そんな力…私には……」 『君の命が助かったのもその力のお陰だ……』 「あ!」 声に言われて、蛍は自分が変身した事を思い出した。 「……あれが……」 『正確にはあの姿はまだ未覚醒なのだが…お主が力を自覚すれば第一覚醒は終わる…後はわからん』 「判らないん…ですか?」 『うむ、お主の力は“進化”…故に第一以降は我にもどの様に変わるのか我にも判別つかんのだ』 「…進化…?」 『うむ、お主が強くなれば新しい力を生む…それが進化の力だ』 謎の声が説明している最中、蛍は驚きのあまり呆けていた。 『…さて、状況を簡単に説明したが、…人々の為に戦ってくれるか?』 「……はい、戦うのは怖いけど…でも、たくさんの人が死ぬのはもっと怖いから」 『……そうか、では教えよう…君の力の名は――――』 「全く、人が可愛い女の子の寝顔を堪能している時に!!」 そう言って仮面ライダージンは突如出現したビーストの山を槍で貫いた。 「絶対この娘はアンタ達になんかやらないからね!ビーハイブ…テンペスト!!」 ジンが巻き起こした嵐は、大量のビーストを切り刻んでゆく。 しかし、生き残った3匹が蛍目掛けて突進していった。 だが、その時すでに蛍は起き上がっていた。 「君、逃げないさ…!!」 ジンが蛍に逃げるように言おうとした瞬間、蛍の腰にベルトが出現する。 「たくさんの人を助ける為に…私、戦います…変身!!」 蛍が叫んだ瞬間、蛍の体を淡く白い光が包み込み、最初に変身した時の姿に変化するが、 プロテクターはそのまま砕け、その中から白と青の衣を纏った少女が現れる。 「…イノセンスレイ!!」 そして、少女はそのまま空に跳び、光を右足に集中させ三体の内真ん中のビースト目掛けて落ちてゆく。 「やあぁぁぁ!!」 掛け声を上げ、少女がビーストを蹴ると、三体は同時に光に包まれ粒子へと姿を変えた。 「…光になって…消えちゃった…貴女一体…?」 驚きながらジンがそう呟くと、少女はゆっくりとジンの方を振り向き、 「私は…仮面ライダールクスたん…人々を守る為の存在です」 優しい笑顔でジンに言った。 第四章 第三十話 道化の仮面の裏 イシス様 「どういうことだ、魔術師!!」 怒気を隠すことなく、人形使いは悠然と佇む紳士に吠え掛かる。 彼の怒りの視線、その先にいたのはSB社のロゴの入ったアッタシュケースを持つ弓使いだった。 そして、人形使いとは対照的に魔術師はいたって冷静だった。 「何をそんなに怒っているのかね?人形使い。」 「何を……だと…………!なぜ弓使いがカイズィーギアを持ってるんだ!草加さんはどうした!?」 魔術師に詰め寄っていきその胸倉を掴みかかろうとするが、人形使いの行いを阻止するように弓使いが割って入る。 その眼は、主君を傷つけるなら例え仲間であろうとも容赦はしないといったところか。 そんな両者の睨み合いを仲裁するように魔術師は語りだした。 「草加 雅菜なら、かろうじて生きている状態ではある。しかし、なぜそんな事を気に掛けるのかね?」 「なに…………!」 「目的の遂行のためにはどんな手でも使う、他者を利用する。それが騎士団だ。それを今更…………」 「…………!!」 魔術師の嘆息にも似た溜息と共に出された言葉に、人形使いは押し黙る他なかった。 そう、騎士団が行ってきた非道の数々はこんなものでは済まない。 世界秩序のためという名目の下、多くの犠牲を払い、利用し、不要な悪を排除し続けてきた。 だから、草加 雅菜からカイズィーギアを奪ったことなど騎士団にとっては罪の内にも入らない。 人形使いとて分からない訳ではない。 多くの組織が入り乱れて争いを繰り広げているのだ、少しでも戦力は欲しい。 それに、オルフェノクの記号で変身をする草加 雅菜よりかは、オリジナルオルフェノクたる弓使いが変身した方がその能力は高い。 だったら、有無を言わさずカイズィーギアを奪う。実に利には叶っている。 だが、“今の”人形使いは違った。 「………クルーガを自動操縦に変えた。運転はオートでやってもらえるから、それで送ってもらえ。」 「ふむ。心遣い、感謝するよ。」 「………ふん。」 それきり、魔術師に振り返ることなく、人形使いは立ち去っていった。 「人形使いも、つくづく甘いな。」 まるで、蔑む様な眼で人形使いの立ち去ったあとを見る魔術師。 そして、そんな彼を見上げる弓使い。彼女の眼には確かな決意が籠められていた。 「心配することはないよ、ニナ君。彼に騎士団を裏切れるはずがない。」 「…………(???)」 半ばいぶかしむ様な眼になる弓使い。 先程の人形使いの様子を見れば、裏切りの可能性も考慮せざるを得ない。 「彼は生まれたときから孤児で、騎士団に拾われて生きているのだよ。 彼だけじゃない。私も、ニナ君も、ノアも、槍使いもね。」 「…………」 その言葉を聞き、弓使いは思い出す。 オルフェノクとして覚醒しながらも、人を襲うことが出来ず、SB社に狙われていた時のことを。 もしも魔術師に助けられなければ、今の自分がいないことを。 「それに、今の彼には騎士団を抜ける意味がないのだよ。なにせ、剣使いの敵討ちがあるのだから。」 剣使い。 騎士団でも五指に入るその実力者、暗殺者の親友、その死は衝撃的なものだった。 彼女の死に際し、騎士団は全力を持ってその捜査に乗り出した。 そして、遂にこの街に襲撃者がいることが分かった。 暗殺者達の目的は、乱立するこの争いの力による平定、志熊 京の消去、Dr.セルファの抹殺、そして剣使いを殺した組織の撃滅だった。 それは人形使いも同様だった。 騎士団に入りたての彼の面倒を、暗殺者や剣使いはまるで、姉代わり、母親代わりのように見ていた。 そんな剣使いを殺されて、彼が黙っているはずがない。 実力で劣ろうとも、人形使いはそれでもと無理を言い、今回の作戦に加えてもらったのだった。 「だが、私にとって剣使いのことなど微塵の興味もない。名前こそ知ってはいるが、直接会ったこともないのだからね。」 その眼は、本当に興味の欠片もないと言った感じだった。 そして、表情を変えることなく、魔術師は傍らの少女に話しかける。 「それに、どちらかと言えば私は志熊 京などより、ゼベイルとやらの方に興味がある。」 「…………(???)」 「志熊 京は、目覚めてこそいないものの、その能力は完成している。そんなモノになんの面白みがあるというのかね?」 冷徹な眼のまま、口元だけを邪悪に吊り上げ、まるで何かに陶酔しているかのように魔術師は語る。 「出来の悪いモノほど、自分の手で完成させてみたくなる。」 せわしなく動き回りながら、モーサドゥーグは装備されたガトリングガンを掃射する。 しかし、ライダー達にとってその攻撃はなんら脅威ではなかった。 モーサドゥーグの数ある脚の一つに、セイバーが斬りかかる。 「受けよ、我が一撃を!カオスデストラクション!!」 新たな武器、轟黒剣:グラル・デスリオルと白世剣:インティ・ファルシオンを用いたエネルギーの奔流。 以前とは比べ物にならないほどの一撃は、見事にモーサドゥーグの脚を破壊した。 「レオナちゃん、こっちも!」 「うん!」 カリスはラウザーに三枚のカードを、サイガはサイガフォンのEnterキーを押す。 『FLOAT』 『DRILL』 『TORNADO』 『SPINING DANCE』 『Exceed Charge』 カリスは竜巻を纏い、ゆっくりと回転をしながら上昇していき、サイガはフライングアタッカーの力で上昇していく。 互いに同じ高さまで上昇、カリスはそこから高速回転を、サイガはベルトから右足に蒼のフォトンブラッドが流れていく。 「てやあぁぁぁぁぁぁ!!」 「コバルトスマッシュ!!」 叫び声をあげながらモーサドゥーグに突撃していくカリスとサイガ。 二人のキック技は同時にモーサドゥーグの脚の一つに命中し、また一つ破壊する。 「レンナ、行くよ!」 「うん!」 ブレイドはラウザーを展開し三枚のカードを、ファントムは必殺技の構えをとる。 『KICK』 『THUNDER』 『MACH』 『LIGHTNING SONIC』 互いに跳躍し、ブレイドは空中で一回転、ファントムはその体に雷と疾風を纏う。 「うぇーーーーーーーーーーーい!!」 「撃鉄必中・幻影神速蹴り!!」 二人の最強技がモーサドゥーグの頭部に直撃する。 その一撃で、モーサドゥーグはゴーレムの識別センサーを壊され、さらには“ゴーレム殺し”までも叩き壊された。 既に完全破壊までは時間の問題だが、肝心のいぬみの救出には至っていなかった。 モーサドゥーグの“少女生体ユニット化”をどうにかしない限りは、勝ったことにはならない。 時間も限られている。なんとかしなければという思いが各々を焦らせていく。 「凪、大丈夫………?」 下着姿のまま寝転がる凪に心配そうに声をかけるフェイト。 見れば、傷もライダーの治癒能力が影響してか、すでに心配するほどのものではなくなっていた。 それに、凪も安らかな寝息を立てている。極度の疲労で寝ているだけだろう。 安堵の溜息と共に、フェイトは手負いの怪物平気を見据える。 「よくも凪を……………!!」 フェイトは手にしたアルテミスを構え、慎重にモーサドゥーグに狙いを定めていく。 それを見る魔眼使い。 「………銃使い、私はフェイトの能力を見極めるから、アンタはガンヴァルオスを。」 「はい、ますたー。」 魔眼使いの命令を受け、イクスはコアフレームに近づき、コマンドを与える。 「速やかに本体に戻り、いつでも離脱できる準備をしなさい。」 『警告。エネルギーは既に尽きています。この状況での離脱は不可能です。』 「エネルギーは私で代用します。私の精神力なら離脱ぐらいは可能です。」 『了解しました。イクス・リランの指令を最優先させます。』 それだけ告げて、コアフレームは本体に戻り、その動きを止めた。 そこにあるのは、半壊した起動兵器だった。 「たぁ!!」 「くっ………!!」 アイスキュロスの振るう鞭の一撃を回避しながら、冥はエレクトラを撃つ。 それを、アイスキュロスは手足のように操る鞭で叩き落していく。 「無駄ですよ。戦闘能力で劣る貴女が私に勝てるはずがありません。」 「さぁ、それはどうかしらね!!」 今度は後ろ手に隠してあったアンティゴネを立て続けに3発、それぞれ頭・胸・腹に撃つ。 完全に不意をついた一撃であったが、アイスキュロスはそれを圧倒的な速さで回避し、冥へと近づいた。 対応の遅れた冥にアイスキュロスの掌底が直撃する。 まともに受け、大きく後ろに弾かれる冥に、すかさずアイスキュロスの武器たるオレスティアがその首を絞める。 「あ……う………」 振りほどこうにも、それ以上の力でアイスキュロスは冥の首を絞めていく。 次第に冥の顔色は変わっていき、あと数瞬もすれば窒息どころか、いとも容易くその首をへし折るだろう。 「さようなら、ソフォクレスさん。いえ、今は豊桜 冥さんでしたね!」 ひと際強く力を籠めようとするアイスキュロスだったが、突如飛来したナイフがオレスティアを切り裂いた。 獲物を消失し、思わず体制を崩すアイスキュロスに、今度は飛来したナイフがその影に突き立った。 「ぐ………これは……………!」 咳き込む冥を抱きかかえ、瞬時に敵との距離をとる黒姫。 そんな彼女を、いささか不審な眼で見る冥。 「なんの真似ですか?私は貴女の敵のはずですよ?」 「貴女……豊桜 冥って言ったわよね?」 「………それが何か?」 「そう………貴女が……………」 どこか楽しげに考えこむ黒姫に、冥は疑惑の視線を一層強めた。 「なんなんですか、一体?」 「いえ、こっちの話。それより貴女、騎士団に入らない?」 「…………本気ですか?」 「貴女のように強い人が入ってくれると、こちらとしても嬉しいことこの上ないんだけど。」 冥は、黒姫の笑みから、本気半分・冗談半分で言ってるんだろうなと気付いた。 それよりも、彼女には未解決の疑問があった。 「そんなことより、なんで私を助けたのですか?私が憎くはないのですか?」 「そうね。最初は見つけ次第、首を引っこ抜いて街中に晒そうと思ったんだけどね。」 「さらりと恐ろしいことを言いますね…………」 冥は、なんとなくではあるが、黒姫はエウリュディケと似てる部分があるなと思った。 「でもね、今の貴女を見てたら助けた方がいいと思えてね。私の友人のためにも。」 「………訳ありということですか。」 「まぁね。だから、今は貴女と一緒に戦ってあげる。」 「そうですね。私も一人で彼女に勝てる自信はないですし。」 同時に相手を見据える冥と黒姫。その先には、戒めから開放され、オレスティアを修復させたアイスキュロスがいた。 第四章 第三十一話 怒りの一撃 岡島様 ここは、とある町、いや町だった場所。ギルティーによって焼き払われた町、住民は全滅。 現在、この町は封鎖されていた。そして町の中心部に一人の少女がいた。 髪型はポニーテールに、白い半そでのシャツの上から黒いジャンバーを羽織り 下はジーパンといった格好をしている。 そして少女の足元には大きな穴が開いている。少女は携帯電話でどこかに電話する 「アタシだけど、」 電話の相手は女性だ 「それで状況は」 少女は答える 「封印が解かれてる」 一方、工場跡 数発の光の矢がモーサドゥーグに突き刺さる。それはアルテミスから放たれた物だ ちなみに、矢はコアユニットをちゃんと外している そして、アルテミスが姿を消し、両手に双剣アベンジャーが出現する。 その姿を見ていた魔眼使いは 「武器を切り替えた………」 アベンジャーを手にモーサドゥーグに向かっていくフェイト モーサドゥーグはガトリングガンを掃射する。素早く避け、コアユニットに近づく そして、今度は機械触手が襲いかかる。フェイトは双剣で触手を切り裂いていく だが、触手は、際限なく出現する 「きりが無い」 フェイトはモーサドゥーグから離れ、間合いをとる。 そして、双剣が消え、今度は槍「ブリューナク」が出現する。 槍を構えると精神を集中させる。槍には持つ者の第6感を強化させる能力を持つ。 この力を使いフェイトはモーサドゥーグのある部分を破壊しようとしていた しばしの沈黙、そして 「見えた!」 槍を手に再びモーサドゥーグの元に向かうフェイト、そして槍を手にしたまま跳躍 そして 「行っけぇぇぇぇ!」 思いっきり槍をなげた。 槍は、装甲を貫き深々と刺さる。友を傷つけられたことに対する怒りがフェイトの 力となり硬い装甲を破壊したのだ そして、触手は動きを止める、そう少女・生体ユニット化を行う装置を破壊したのだ フェイトの狙いはこの装置(フェイトは触手の動きを止めるためにこの場所を狙った)だった。 モーサドゥーグは少女・生体ユニット化の能力を失った 第四章 第三十二話 心地のいい場所・無力な自分 空豆兄様 「雅菜…雅菜……。」 空はすでに暗い。 明かりもない。 破壊された街並みの所為で、方角も分からない。 それでも俺は、傷ついた彼女を、親友である雅菜を、その背に負ぶって人のいる場所へと向かっていた。 くそ…。今日は一体なんだって言うんだ。 神歌ちゃんがうちに泊まりに来て、楽しい一日になるはずだったのに…。 街は燃えていて、雅菜が灰色の怪物に襲われて、しかも雅菜の正体は仮面ライダーで、俺を助けるために傷ついて……。 今思えば、雅菜が街に戻ろうとしていたのは、ライダーとしての仕事があったんだろうな。 なのに俺はそうとも知らず……。 おまけに俺の所為でベルトを奪われてしまって。 くっ……。 雅菜に合わせる顔なんて、どこにもないじゃないか。 とにかく、彼女を病院かどこかに連れて行かないと。 出血は止めたけど(少しだけど怪我の手当ての心得がある)、ちゃんとした治療を受けさせなければ…。 「ハァ、ハァ……。」 今日は歩き詰めだったので、そろそろ息が切れてくる。 でも、休んでなんていられるかっ! 早く雅菜を…。 ……。 そういえば、雅菜を追う時に別れた華枝と神歌ちゃんは…大丈夫だったろうか? 神歌ちゃんがいるから、きっと大丈夫だとは思うけど。 ……まさかこのあたりで行き倒れとかになってたりしないよな。 ははは。まさか……。 「う、うぐ………。」 「!!!」 その時、闇から響いたうめき声に、体をびくりと震わせた。 あわてて周りを見渡す。 ぴちゃ……。 「っ!!!?」 見渡そうと足を動かしたとき、その足に何かの液体が触れる。 思わず下を見ると、そこには黒い……夜だから色は分からない…… 液体が小さな水溜りをつくり、そしてその液体は、その先にある塊から流れ出したようだった。 俺はそれに身を近づける。 ………!? 「神歌、ちゃん!?」 そこにいたのは、とっくに避難したはずだった神歌ちゃんだった。 足に大きな傷が付いている。 まるで刃物で切り裂かれたような、無残な傷だった。 そしてさらに…。 「華枝!?」 その向こうには、華枝が瓦礫を背に座り込んでいた。 なんで!?なんで二人がこんなところに!? ……逃げ遅れたのだろうか。まさか本当にこんなところで行き倒れになっているなんて。 俺は雅菜をおろし、二人を診る。 神歌ちゃんの傷は…。もう出血は止まっているようだ。それ以外に傷はない。 今はただ気絶しているだけみたいだ。 そして華枝は……。 華枝もただ気絶しているだけらしい。 ……と言うか、眠ってるようだけど。 二人が無事と分かると、ほっと胸をなでおろす。 ……しかし。 華枝はともかく、神歌ちゃんは何らかの止血処置を施した跡が見えた。 自分で、止血したのだろうか? それにしても……。 俺は3人を見渡す。 雅菜、華枝、神歌ちゃん。 けが人が俺の元に3人……。 だめだ。一人じゃ絶対こんなの運ぶの無理だよ…。 どうしよう。このままじゃここで野宿…。 けが人に満足な治療を行わせずに野宿するのはとても危険だと思う。 なんとか、しなきゃ。 せめて誰かにここの場所を知らせないと。 「おや?」 「…!!?」 俺以外の声に、俺はまたびくりと体を震わせた。 「逃げ遅れかい?」 それは若い男の声だった。 ゆっくりと後ろを振り向く。 「こんばんは。」 彼は、穏やかな笑顔で俺に微笑む。 俺と同じ歳くらいの、少年だった。 人間のものとは思えないほどの、綺麗な顔をした……。 「君の友達だったの?その子達は。」 俺の前に倒れている3人を見て、彼はそういう。 「僕が手当てをして置いたんだ。こんなところで行き倒れになっていたからね。で、今は助けを呼んで来たというわけ。」 「そ、そう。ありがとう……。」 彼のその物腰に、どう対応すればいいのか分からず、あいまいに返事と礼を返す。 「ふふ。緊張することなんてないよ。」 彼は、ゆっくりと俺の前まで歩いてきた。 そしてにっこりと笑うと、 「座ろうか?君もその女の子を連れてきて、疲れてるんでしょ?」 雅菜を見て、そういった。 「あ……うん。」 「今に、僕が呼んだ助けが来る。それまで待っていよう。」 俺たちは3人を瓦礫に寄りかからせ、自分達の上着を彼女達に羽織らせた。 彼女達の体が、冷えないように。 これは俺が始めたことだが、彼も一緒に上着をかぶせてくれた。 「優しいね。君は。」 「あ、いや、そんな、別に…。」 彼のそんな言葉に、ドキッとする。 はっきりとしたその素直な言葉に、動揺させられる。 「彼女達は…。みんな俺の大切な人たちだから。」 「そっか…。」 適当な瓦礫に俺は腰を下ろすと、その横に彼は座って来る。 俺は驚いて彼の顔を見るが、彼は穏やかな笑顔を浮かべるだけ。 「寒いからね。体を寄せていたほうが、温かいでしょ?」 そういって今度は、そのシャツから出る白い肩を俺の肩に寄せて、頭を預けてくる。 「え、ええええ!?」 「あたたかいね…。君の体温。」 「…そういえば、まだ自己紹介をしていなかったね。」 「う、うん…。」 「僕は……そうだな。英琉、火里(ひさと)…。っていうのは、どうかな?」 「英琉……!!?」 彼のその意味深な名乗りにも驚いたが、その苗字、英琉。 それに一番驚く。それって、つまり……。 「君は神歌ちゃんの、お兄さん……!!?」 「……神歌?だれだい、それ。」 「え?」 でも彼の返事は、俺の期待を裏切るものであり…。 「ひょっとして、君の身近に英琉って言うのがいるの?……それはびっくりかな。独創的な苗字だと思ったのに。」 「君は、神歌ちゃんとは関係ないのか?」 「うん。たまたま苗字が同じだけさ。僕の知り合いに神歌って言うのはいないよ。」 「そうか。そうなのか……。」 彼の口ぶりから、それはたぶん本当だろう。 でも、神歌ちゃん以外に、英琉なんて苗字があったなんて……。 「で、君は?」 「あ。俺は…風瀬 列。」 「列か…。かっこいい名前だね。君にぴったりだと思うよ。」 「そ、そうかな…?」 少し照れてみる。 そっ…。 「!!!」 俺がそういてる時に、火里は俺の手を握ってくる。 「握手だよ。よろしく。列。」 「あ、ああ。えっと、英琉…じゃあ区別が付かないや。火里、くん。」 「呼び捨てでかまわないよ。ね?」 きゅっとやさしく、手に力が篭もった。 「うん……。火里。」 「一番最初に僕の名前を呼んでくれたのが、君で嬉しいよ。列……。」 「あ……。」 火里は、また俺の肩に頭を預ける。 「温かい…。ずっと、こうしていたいな…。」 「ひさ、と……。」 彼の口から漏れる言葉に、俺はだんだん胸の鼓動が増してくる。 「ねえ…。もう片方の肩が寒いんだ。君の手で、抱いてくれないかい…?」 ………。 俺は無言で、しかし自然に彼の方に手を添えた。 細くて、頼りない、まるで女の子のような華奢な体だった。 「君の体温が僕の中に入ってくる…。なんだか、熱いくらいだ。」 俺の心臓の鼓動があがっている所為だろうか。 俺も、火里の体を感じずにはいられない。 ひやりとした彼の体、つやつやした肌、女性のように綺麗な顔…。 思わず抱きしめたい衝動に襲われ……ってそんなわけ、あるかって…。 「ん?」 「!!!」 俺の顔を見上げる火里。 息を出せばかかるほどの距離。 そんなことは出来ないと、息を止める俺。 でも、その視線は火里から離すことはできない。 彼の瞳から、目が離せない。 「列……。」 火里が俺の名前をつぶやいた。 ……って、なんでそこで、目を閉じるんだ。 何を待ってるんだよ。 そんな、こんなの違うだろ? たった今俺達はそこであったばかりなのに。 なんでこいつは、こんな………。 「!」 その時、俺たちのいる場所に、ヘッドライトの光が差し込んだ。 「ん……。」 火里も気がついて、目を開ける。 ぶろろろろろろ…。 聞こえてくるのは車のエンジン音。 やがて姿を見せたのは、黒い高級車。 「助けが来たみたいだね。」 「……?」 そういうと、火里は俺から離れて、ここから立ち去ろうとする。 「火里?」 「また会おうね。列……。」 俺の言葉も聞かず、彼は廃墟の町に消えていった。 きききっ! その高級車が俺の前に止まると、すぐに中から何人かの女の子が出てくる。 「わっ!美味しそうな女の子が3人も並べられてる〜ッ♪って。一人は雅菜じゃない。」 そのうちの一人は、俺など目もくれず、まるでそこに神歌ちゃんたちがいるのを知っているかのようにそちらへ走っていっていた。 「…私達を呼んだ、あの男性はどこですか?」 俺に話しかけてきたのは、車から出てきた3人の中で、一番若いが一番落ち着いた雰囲気を、そして威厳を放つ女の子だった。 「あ…。彼は…どこかへ行ってしまった。」 「そうですか…。助けが必要と言われたので、ここまでやってきました。けが人は何人ですか?」 「え、ええと、3人だよ。俺の妹とその友達、それに親友の雅菜…。」 彼女はそれを聞くと、先ほど神歌ちゃんたちのほうへ走っていった女の子の方を見る。 …なんだか、神歌ちゃんと華枝を抱えて息を荒そうに車の中に優しく載せている様子が、非常に気になったが…。 「そう、雅菜はここに…。ではあなたが、雅菜の言っていた風瀬さんなんですね。」 「!?俺の事、それに雅菜のことも知ってるの?」 俺が驚くと、彼女は笑顔で答える。 「ええ。あなたのことは、私達の友人でもある雅菜から、いつも聞かされてます。シスコンでロリコンなダメダメ兄ちゃんだって。」 「…………………………。」 雅菜…。起きたら覚えてろ……。 「でも、こうも言っていました。いつも優しくて、それにしっかりした自慢の親友だと。」 彼女はそう、笑顔で話す。 「……。」 ずるいぞ雅菜。ちゃんとフォローの言葉残しておくなんて。 「それにしても、彼女が怪我を…一体、何があったんですか?」 「あ、ああ…。信じてもらえるかどうか、分からないけど…。」 俺は、俺と雅菜に起こった出来事を話す。 町に行く彼女を引きとめ、そのあと怪人に襲われて雅菜が変身して仮面ライダーとなり、 俺をかばって怪我を負い、ベルトを奪われたこと。 「カイズィーギアが、オルフェノクに…!!」 「え?」 驚いたことに、彼女は俺の話を信じたばかりか、俺よりもその状況を把握しているように見えた。 「…分かりました。ここは危険です。早く街に戻りましょう。」 「あ、ああ。」 その少女に促されて俺は、なぜか一人残されて運んでもらえなかった雅菜を抱えて、少女たちの乗ってきた車に移そうとする。 「…………。」 「?」 その俺を、変な目で見つめる女の子。 車から降りてきた3人の女の子の最後の一人だ。 「あんた男のクセに、女の子一人守れなかったの?情けないわね〜。」 「!!」 その口から出たのは、俺を挑発する言葉。 そして、悪戯な気持ちの満ちた顔で笑う。 「でもまあ、無理もないわよね〜。あんた普通の人でしょ?そんな奴が私達の周り、うろうろしないで欲しいわけよね〜。」 腕に抱く、雅菜を見て言う。 「それで草加さんは怪我したみたいだし、いい迷惑よね〜。」 「な、何…!?」 「ま、あんたはおとなしく、家に隠れてこの事態が収拾するのを見てるのね。私達もそのほうが都合がいいしね。」 「く…!」 何なんだこの子は…! 初対面の俺に言いたい放題!それに、普通の人だろうって、うろうろするなって邪魔者みたいに…! 「さっきから人のことを…!君だって、普通の女の子じゃないか!」 「!」 俺のその言葉に、一瞬体を止めるが、すぐにまた笑みを浮かべる彼女。 (ぶち) 「ぶち?」 「誰が……、「普通」の女の子だッ!!!」 ビュウウンッ!! 「!!!!」 その瞬間、彼女の足から疾風が走った。 一瞬、何が起こったのかわからず、身を動かすことすら出来ない。 それが彼女の繰り出した蹴りだと気がついたのは、その風が目の前で止められたときだった。 「寸止めしなかったら、どうなってたか、分かるわよね?」 「…………。」 全身に冷や汗をかく。 目にも止まらぬほどの速さの蹴り、これは「普通」の女の子が繰り出せるものではない。 俺は否応でもこの事実を受け入れる以外術がなかった。 そして…改めて理解する。 彼女たちと俺は、違う世界に生きる人間なのだと。 あの時俺の目の前で変身した仮面ライダー、雅菜……。 彼女達もまた、その同類なのだろうと。俺は感じ取る。 「……言い方は問題があると思いますが、そのとおりです。風瀬さん。」 先ほどの少女が、俺に話しかけてくる。 「私達にはこれ以上関わらないほうがいい…。雅菜とも一定の距離からそれ以上、近づかないほうがいいでしょう。」 距離とは、物理的なものではなく、心と心との事を刺すのだと、すぐに理解してしまう。 「雅菜も、そうしてきたようですし。」 「………。」 俺の腕の中で眠る雅菜の寝顔を見て、その言葉について考えさせられる。 彼女が俺をかばいさえしなければ、雅菜は傷つくことなんてなかった。 俺が、彼女を引き止めなければ、余計なことをしなければ……。 「家へはお送りします。彼女達はこの先に待たせているわが社の救急スタッフに運ばせますから。」 「…!!は、はい。お願いします…。」 考え事に夢中で、その少女の話に途中で気がつく。 そして、知らず知らずのうちに、敬語を使っていることも。 「ま、これに懲りたら、もう首を突っ込まないことね〜。」 ひらひらと手を振りながら、その車に乗り込む金髪の少女。 「………。」 俺は何も言えずに車に乗り込んだ。 そして、合流した救急車に乗せられた華枝たちを見送り、 家に付くまでの間、いや、眠りに付くまで、俺は彼女達について考え続けていた。 考えれば考えるほど、俺は無力だと思い知らされる。 そんな自分に嫌気が差した頃。 (君は優しいね…。) あの火里の言葉が、すごく心地よく聞こえた。 また会うことは、あるだろうか……。 第四章 最終話 また迎えた一つの終わり ユルカ様 「あなたが…あなたが裏切らなければ…こんなことにはぁぁぁぁ!!!!」 アイスキュロスが泣き叫ぶ。 「アイスキュロスが泣くなんて…本気なのね。」 「どういうこと?」 黒姫が冥に向かって問う。 「アイスキュロスは泣くことによって戦闘できる時間が減少しますが、力が2倍に跳ね上がるんですよ。」 「そんなことが!?」 俗に涙は女の武器であるというが、アイスキュロスの場合まったく意味が異なる。 「はあぁぁぁぁぁ!!!」 ものすごい勢いで襲い掛かってくるアイスキュロス。 その勢いは先ほどの比ではない。 「止めないと…!!」 エレクトラとアンティゴネを連続で撃ち、何とかその勢いを止めようとする冥。 が…。 「はあっ!!」 「飛び上がった!?」 飛び上がることによってアイスキュロスは銃弾を回避、そしてその動きを見た冥は次のアイスキュロスの攻撃が見えた。 「っ!!」 冥の動きは素早かった。 エレクトラを左足に装着すると彼女も飛び上がり、必殺キックの構えに入ったのである。 「はぁぁぁぁ!! 卍キィィィィック!!!」 「電光キィィィィック!!!」 アイスキュロスは、体を卍型に捻りながらキックを打ち出す。 かたや冥も、左足をスパークさせながらキックを打ち出した。 「二人とも必殺技…!? でもどこかで聞いたような名前…。」 いや、それ言わないでって。 ドガガガガガガガガッ!!!! 激しくぶつかり合う二人、だが勝負は次の瞬間に決まった。 「でぃやぁぁぁ!!!」 「ぐっ!?」 アイスキュロスが無理矢理、冥を押し切る形で勝負はついた。 二人ともボロボロだったが、アイスキュロスはまだ何とか立てる状態だった。 一方、競り負けた冥はその痛みに苦しんでいた…。 「あ…あぐぅ…く…。」 「フフッ…裏切ったから…裏切ったからこういう目にあうんですよ!」 「ぐっ…。」 「もう終わりです。せめて苦しまずに消滅させてあげますよ。」 ドスッ…。 「なっ…!?」 アイスキュロスの胸には黒姫のナイフが突き刺さっていた。 「こんな…。こんな…。」 「悪いわね、でも私は暗殺者だから。どんな相手だって…殺してみせる。」 ドサッ…。 静かに、そしてあっけなく、アイスキュロスは倒れた。 「立てる?」 「な、何とか…。」 黒姫が冥に手を貸す。それで何とか立ち上がる冥。 「ありがとうございます…。何とか勝てました…。」 「あなたが勝ったわけじゃないわ。ま、貸しにしといてあげるから騎士団に入らない?」 やはり冥を騎士団に入れようとする黒姫。だが、彼女の答えは…。 「今は…考えさせてください…。この借りは必ず返しますから。」 「そう。でも、待ってるから。」 そして同じ頃、もう一つのほうにも決着がついていた。 「いぬみちゃん! 今、助けてあげるから!!」 ブレイドが生体コアへの進入をしようとしたが、モーサドゥーグはそれを振り落とそうとする…。 「一菜の邪魔を、するなっ!!」 「助けてやるのは今だけだぞ、ブレイド!!」 セイバーとカリスが残っていた2本の足を同時に切り落とす。 それによって、遂に動けなくなるモーサドゥーグ。 「今だぁぁぁ!!」 生体コア内に進入し、いぬみを背中におぶって助け出そうとしたブレイドだったが…。 「うぇい!? いいいい、いぬみちゃん、ははははは、裸!?」 一糸纏わぬその姿。 一菜が主役だったらきっともっとすごいことになっていただろうが、そこはそれ。 緊急事態なんだと、自分に言い聞かせ、いぬみをおぶって外に出る。 と同時に、先ほどまでの機械音が止まり、モーサドゥーグは完全にその機能を停止した。 「勝ったんですね…。」 このあとの数分は少々長くなるので、(何があったかはあえて書きませんが)短くまとめると…。 とりあえず、危険は去ったのでライダー達はそれぞれの場所へ撤収することとなった。 黒姫と魔眼使い、そして銃使いは騎士団のアジトへ。 フェイトは凪と一緒にそのまま何処かへ。 セイバーは何も言うことなく、自分の家へと帰った。 一菜たちは木場達と合流すべくSB社病院施設へ。 冥は黒姫にEASEのデータが入っているディスクを渡すと、京をつれて同じくSB社病院施設へ。 そして後には、アイスキュロスと破壊された兵器しか残っていなかった…。 と、そこに… 「…お迎えに上がりましたよ。アイスキュロス様。」 「…………。」 「…大丈夫です。あなたはすぐ甦りますから。」 その人物はアイスキュロスを抱くと、どこかへと消えていった…。 第四章 エピローグ 其れは破滅への調べ イシス様 魔術師は嗤っていた。 彼自身、生涯でこれほどまでに愉快なことは久しくなかったと思い返していた。 理由はただ一つ。 Dr.セルファの極秘ファイルの解析結果と、EASEのデータファイルの内容にあった。 そこから、彼は辿り着いたのである。志熊 京の誕生、能力、その存在価値を………… 「すばらしい……キール博士、そしてDr.セルファよ。貴女方は最高の科学者だ!」 クラシック音楽をBGMに、手元でワイングラスを弄びながら、彼は自身が認める唯二人だけの科学者の名を挙げた。 「自身の興味を追及し、さらには己の野望の達成のために、一人の怪物を生み出す。その神をも恐れぬ所業、狂気の沙汰としか思えぬ!」 志熊 京、人の手によって生み出された、仮面ライダーを滅ぼすために生み出された殺戮の破壊者。 それは一切の疑念が入ることなく、騎士団の殲滅対象となる。 それでいて、魔術師はこの哀れな少女の行く末に狂気の声を上げずにはいられなかった。 「貴女方が生み出したその最高傑作、私が見事殺してみせましょう。完膚なきまでに…………」 ドアが開く。その音の方へ目を向けると、そこには彼の専属メイドたる弓使いがいた。 その手に持つのはカイズィーギアだった。 「ニナ君。明日、私は志熊 京を倒そうと思う。そこで、君にも一つお仕事を頼みたいのだがね。」 「…………(コクリ)」 「あぁ、出来れば耳を貸してはくれないかね?どこに傍耳を立てられているか分からないからね。」 弓使いは静かな足取りで主君の下へと歩み寄る。表情を崩すことなく、彼の眼前で立ち止まり、耳を傾けた。 (…………) 「…………(コクリ)」 魔術師の言わんとしている事をいち早く理解し、恭しく一礼しながら一歩下がる。 そして、彼女は見た。主君たる自分の命の恩人がその手に持つ物を。 それこそ、彼を“魔術師”として、騎士団の五指に入る実力者にさせたモノ。 彼が造り、そして彼だけが使いこなす事ができる物。 彼の“魔術”の結晶たる、眩い光を放つ“卵”を。 ノアはパソコンのキーボードを叩きながら、傍らに控えるイクスに声だけを掛けた。 「明日、私達はDr.セルファを倒す。」 その何の迷いもない一言に、イクスはただ無言で頷くだけだった。 「セルファの戦力は既に把握したわ。敵は三対のセルファライダーズよ。」 「……セイバーはよいのですか?」 セイバーはセルファライダーズのファーストモデル、戦う以上、避けては通れぬ相手のはず。 しかし、ノアは対して興味ない口調で返す。 「槍使いの話だと、セイバーはセルファライダーズのセイガーと戦っていたらしいからね。大方、セルファを裏切ったんでしょ?」 「なるほど……しかし、それでもまだ三人残っていますが……」 そう、例えセイバーを数に入れなくても、セルファにはまだセイガーの他にも二人のライダーを抱えていた。 一人は仮面ライダーメツ、もう一人は仮面ライダーシルス。どちらも強敵だ。 「それなら、考えがある。レンナに協力してもらおうと思ってるの。」 「レンナさんを……ですか?」 「えぇ。彼女なら、協力してくれるかもしれないじゃない?」 ノアには、レンナに対するある確信めいたものがあった。彼女には正義の心がある。 悪を憎み、弱者を助けるために戦おうとする真っ直ぐな心が。 彼女なら、自分の私怨のためにライダーを滅ぼそうとするセルファを倒すために戦ってくれるはずだ。 言い方は悪いが、このままセルファを放っておけば彼女の親友の一菜が殺されるかもしれない。 それを防ぐためにも、協力をしろと持ちかけるという方法もある。 どちらにしろ、レンナは自分達に協力してくれるはずだ。 「レンナが動けば、一菜も動くでしょうね。出来れば、セイバーも味方に付けたいけどね。」 魔術師は広いドームにいた。 そこは、以前イクスが暗殺者と模擬試合を繰り広げた場所であるり、今、彼の目の前には三対の怪物がいる。 それはオルフェノクであった。 しかし、彼らは一様に動かない。 いや、動く事すら忘れているように、あるいは死んでいるようにも捉えることが出来た。 事実、彼らは“二度目”の死を味わった。 一度目は、オルフェノクとして覚醒した時。もう一度は、魔術師に出会った後に。 彼らは魔術師の改造実験に耐え切れず、その意思を奪われた者達。 肉体の機能は失われてはいないものの、思考を失ってしまった。 今の彼らはもはやオルフェノクではない。魔術師の使い魔たる、“生きる屍(リビングデッド)”と名付けた存在だった。 「動け。」 魔術師が号令をかけると、それまで微動だにしなかったオルフェノク達は反応を見せた。 低く轟く唸り声を上げながら、ゆっくりと魔術師へと近づいていく。 彼らの動きは遅い。なにせ、肉体が機能しているとは言っても、大部分に損傷が見受けられるからだった。 その代わりに痛覚は取り除いてある。そのため、あまり問題なく活動出来る。 痛みを感じる事のない、まさに不死身の兵士。対シグマ戦における魔術師の手札の一枚である。 「だが、これだけでは倒す事は出来ない。そのためにも………」 魔術師はその手に黄金の卵を取り出す。その卵には、細かな字で様々な文字が薄く刻まれていた。 そう、これこそがシグマに対する最大の切り札だった。 「暗き世界の魔獣よ、その瞳に宿る滅びの煌きを、我が前に立つ障害へと向けたまえ………」 魔術師の呪文のような言葉に呼応するように、黄金の卵も刻まれた文字のいくつかが紅く光りだす。 さらに、卵からは様々な音が幾重にも響いた。何かの呪言のような、それでいて機械音のような音が。 「暗黒の瞳!」 力強いその一声が、彼らが耳にする主君の最後の一声だった。 突然、彼らの立ち位置に出現する黒い穴。それは、彼らを容易く飲み込み、すぐにその穴を閉じた。 「威力こそ私が持つ魔術最強だが、“対象”ではなく“位置”に設置しなければならないのが難点だな。 課題は、いかにシグマの動きを封じる事か…………」 口ではいかにも難題のように言いながらも、既に彼の頭には必勝の戦略があった。 このために京の事をつぶさに調べ上げたのだ。 彼の計画通りに事が運べば、間違いなく京は絶望の淵に立たされ、その動きを封じる事となる。 ただ、この計画の大前提として、ある条件がなければ意味をなさない。 それは、“京が自分の正体を知らない”という点である。 だが、それの対策も練ってある。そのために弓使いに別行動を取らせる。 罠は二重三重に仕掛けてある。どれか一つにでも掛かればよい。 その時こそ、彼の魔術−騎士団の兵器の雛形をデータ化して卵型のデータバンクに収集し、 彼の声紋によるパスワードによって発動されるマルチウェポンで打倒する。 それこそが、彼の計画するシグマ抹殺作戦だった……… 第四章 エピローグ その少女 空豆兄様 魔女の屋敷の地下。 その広大な容積を持つ施設の中に、1台、一際異質な雰囲気を放つ装置があった。 それは…。審判者、仮面ライダーゼロの言う、『魔再生装置』。 人ならぬものを造り出す、禁断の生命のゆりかご。 魔女はその装置を、新たな改造実験体を造り出す媒体に使用していた。 そして今、その装置につなげられた一人の少女がいた。 青い翼は無残に焼け、巨大砲ヒッポリュトスを零距離で受けたその腹は、吹き飛ばされ、えぐられていた。 肩の傷は盛大に開き、右腕は変色しかかっていた。 仮面ライダー、ミクエイアである。 ゼベイルとの戦闘で敗れた彼女は、魔再生装置によって、新たにその体を再生されようとしていた。 (ゼベイル…。ゼベイル…!!!) その中においても彼女が思うのは、自分をこんな目に合わせたあの女であった。 なぜ彼女に対して、ミクエイアはここまで怒り、憎むのか。 ゼベイル逃走の際、彼女に肩を傷つけられたから? それとも、魔女の最高傑作である自分を超えるやも知れない力を、ゼベイルは持っているからなのか。 それは、彼女にもはっきりしたことは分からなかった。 ただ…。 自分の記憶の奥底で、自分はゼベイルとかつて会い、そして、競い合っていた気がしていた。 何を争ったのか…。そしてその結果、競り勝ったのはどちらだったのか…。 そのすべてを思い出すことは、不可能だった。 魔女に改造されたものは、その過去のすべての記憶を消去され、魔女の手駒としての記憶を与えられる。 それは魔女の4人のライダーとて例外ではない。だが。 ミクエイアだけは、初期のモデルゆえに、わずかに記憶を残していたのだ。 その記憶が、彼女を揺さぶる。 ゼベイルを殺せと。ゼベイルに打ち勝てと。 その衝動は、常に彼女を苛んでいた。 ゼベイルが、ここから逃げ出したその日から……。 (み…いや、私は…。あなた…ううん。お前に必ず、勝つ…。) (勝って、それで、それで、それで………。) (幸せに、幸せになる…。) (お前さえ倒せば、私は……。) (私は……。) 「ミクエイアの傷は…かなりひどい状態じゃ。」 魔女の言葉が、ロビーに下りる。 「ゼベイルが……ゼベイルがやったのか!!!」 ラフエイアの怒号。 魔女は静かにうなずいた。 「……もはや奴は失敗作ではない。進化する脅威じゃ。いかに傷が治りきっていなかったとはいえ、 私の最高傑作であるミクエイアを打ち倒した、奴はな…。」 「これまでに、おばあさまの改造実験体もすべてやられています。」 「もう我慢できねぇぜ!!!」 バゴォォォンッ!!! ラフエイアの怒りに任せた鉄拳が、その床を砕く…! 「こうなりゃオレたち全員でかかろうぜ!もうこれ以上ちまちまやるのはもうやめだ!!」 「…うん、そうだよ!ミクエイアがやられて、黙ってられないもん!」 それにウルエイアも続く。 「……まあ、待て。」 シュンッ!! ロビーに突如黒い空間が現れる。 それはなびくマントの形に姿を変えると、その中心に白い顔が浮かび上がる。 仮面ライダー・ギルティー…その男だった。 「熱くなるな…。もともとお前は好みではないが、さらに見るも耐えなくなる。」 「……!!!!!」 昼間のことを思い出し、頭に血を上らせ真っ赤になるラフエイア。 「その澄ました面、ぐしゃぐしゃに潰してやるッ!!!」 「わ!落ち着きなって、ラフエイア!」 それを一生懸命ウルエイアが止める。 「たく…。騒ぐ女は見苦しい。……ビアンコよ。我に策がある。」 「彼女らには、我の武具の捜索に付き合ってもらわなくてはいけないからな……。」 「ほう…。聞かせてもらおうかの。」 「うむ。……お前達の言う、「あの少女」を使う。」 「キヒヒヒヒ…。興味深いな。」 眠れない……。 今日の事が俺の胸を刺す。 オレには誰も助けられない、俺には誰も守れない。 華枝も、神歌ちゃんも、雅菜も……。 どうしてオレはこんなにも無力なんだ。 彼女らの世界、仮面ライダーと怪人の戦う非現実的な世界では、オレはただの人間に過ぎないのか…!! ぐっ…!!! 唇を噛み締める。 拳を握る。 悔しさをぶつける場所が見当たらない。 苛立ちが募って、眠れない……!! く、そう……。 ……明日、二人の見舞いに行こうか。 それとも、放っておこうか。 …病院には雅菜がいる。 だから、今は行きたくない。 二人にも合わせる顔がない。 オレが勝手に二人から離れたせいで、華枝と神歌ちゃんは傷ついたのかもしれないのだから。 ……駄目だ。 ここで逃げたら、俺は本当に駄目になってしまう。 行くんだ。3人に会いに。 そして、…どうするのか。 はぁ……。 大きく息をつく。 明日、考える。 3人の顔を見たとき。 その時に。 はやく、眠れるといいな……。 いらだつ頭を抱えて、そう願った。 「キャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」 …深夜、その絶叫は病院施設中に響いた。 何事かと駆け込むSB社お抱えの医師達。 その特別治療室では、先ほど自分達の会社の社長がかつぎ込んできた、二人の患者が眠っているはずだったのだが…。 「キャアアアア!!!アアア!!!アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」 その一人が、ベッドで暴れていた。 手足を振り乱し、シーツは剥ぎ取られ、ベッドの上でもがき苦しむ。 「熱い!!熱い!!!い、いたアアアアアアいッ!!!!」 しきりに腹と右肩を抑えてのた打ち回る。 …そんなバカな。彼女の傷は、さっき診察した時では足の怪我だけだったはず。 それほどひどい裂傷ではなかったし、ここまで暴れるほどの怪我では…。 ドサッ!!! 「アアアアアアアアアアアッ!!!!!」 その少女がベッドから落ちる。 ほうけていた医師達は我に返ると、急いで少女をベッドに戻し、暴れる手足を数人がかりで押さえ、痛がる部分を診ようとした。 「こ、これは……!?」 医師が目を見張ったその先…。 ……彼女の腹には、酷い火傷の跡が現れていた。 こんなもの、さっきまではなかったのに! 医師たち全員が目を見合わせる。 「痛い!!!痛い!!!!痛アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」 なおも苦しむ彼女に、鎮静剤を投与。 やがて少女はおとなしくなり、その腹の治療が施された。 右肩はもともと怪我をしていたらしいが、なぜかその傷は開かれていたので、そこにも治療を施した。 …………。 彼女の腹に突然現れた火傷。 一体、あの火傷はなんだったのか。 その原因は全く分からないまま、彼女の医療記録は訂正された。 「はぁ、はぁ………。」 息も落ち着いてきた彼女。 彼女は眠ったままその腹と肩をさする。 「あ、ああ………。」 その寝顔から、涙が零れ落ちる。 痛みによるものか、それとも恐ろしい夢でも見ているのか……。 「れつ…さん……。」 少女は、寝言でそう、つぶやいた。 第四章 エピローグ 解き放たれた破滅 岡島様 工場跡の近く人気の無い場所 そこにサーチャーこと凛堂暦の姿があった。彼女の手には鞄が握られている 彼女は携帯電話でどこかに電話をする 「着きましたけど………」 すると物陰から志保が姿を見せ 「こっちこっち」 と手招きする。志保の元に向かうサーチャー 「どうしたんですか、急に着る物を持ってきてくれって………」 その時、彼女は志保の側で下着姿で黙ったままの凪に気付く 「なんかあったんですか?」 「いろいろとね」 志保はサーチャー連絡し、服を持ってきてくれるように頼んだのだ ちなみにサーチャーは凪が仮面ライダーであることを知っている。 凪に服を着せ帰路に着く三人、凪は落ち込んだままだ 「そういえば、何か街がむちゃくちゃですけど、」 「知らないの、あれだけの騒ぎだったのに」 「今日は朝から遠出していたもので」 「また古本市?」 「はい!今日もたくさん掘り出し物を見つけました」 サーチャーはかなりの蔵書狂(ピブリオマニア)である。古本市があれば 時には仕事を放り出していくことも、なお彼女の調査対象で成功率が高いのは 本である。 そうこうしている内にアパートの前に到着。 「あれ?」 サーチャーは駐輪場にとめてある一台のバイクに気付く 「どうしたの」 「いや、あのバイク」 そこにあるバイクは、市販されているごく普通のバイクだ 「そう言えば、先輩のと同じ型だ」 「それだけじゃなくて………」 突然、凪が 「ナンバープレートの番号も同じ………」 「まさか」 突然背後から、三人は声をかけられる 「そのまさかよ」 その声に三人は振り向く そこには、一人の女性がいた 髪型はショートカットに、眼鏡、白いトレーナーの上から、灰色のコート纏い 下は紫色の長ズボンといった格好をしている 「詩姫先輩………」 彼女の名は当麻詩姫(とおま しき)、以前、志保がいた学校の先輩で 当然、凪も彼女の事を知っている そしてサーチャーの友人。現在はある特殊機関(通称G)に所属している 「何でここに」 「任務よ」 するとサーチャーが 「でも、今、騎士団が」 「状況が変わったの」 場所を志保の部屋に移し、詩姫が真剣な面持ちで話し始める 「今日は、『協力者』のあなた達に協力を求めに来たの。いやなら断ってくれてもいい」 「どうしたんですか先輩」 詩姫は話し始める 「アビスの封印がとかれた」 その言葉に志保達は驚きを隠せない。 凪は 「アビスってあの………」 アビス、通称、破壊天使、『破滅の使徒』の再来とも呼ばれている。突如として出現し 破壊の限りを尽くし数十年前、多く犠牲を払い封印された。 その姿は天使のような姿をしていたという 「昨日、封印地が一夜のうちに破壊されたの」 封印地、それはギルティーによって焼き払われた町 その町は、それ自体が封印の力を高めるものだった。 更にアビスには複数の封印が施されている しかし、インフェルノの力で町が焼き払われ、封印の幾つかが破壊された ギルティーは知らない。自分がとんでもない魔物を解き放ったことを 詩姫は話を続ける 「封印がとかれたと言っても、奴は弱体化しているから、すぐには問題は起きない」 志保が 「でも、時間がたてば本来の力を取り戻す」 「そうよ、だから早めに手を打たなければならない『予知者』がこの街にアビスが現れると予知した」 「だから私達が」 「いやなら、断ってくれてもいい、むしろ断ってほしい………」 すると志保は 「いや、協力します。アビスとは無関係ではありませんし、それに」 しばし沈黙 「私は正義の味方を目指していますから」 凪は黙ったままだ そこにサーチャーが 「私も協力しますけど『G』からエージェントはあなただけなの?」 「いや、私を含め三人、一人は封印地の調査に行ってて、もう一人も直に合流する」 その頃、ボード学園の屋上に包帯姿の少女がいた。 「死者の魂よ我が元に集え」 次の瞬間、無数の青白い光が彼女の元に集まってくる これはモーサドゥーグによって、死んでいった人々の魂だ それは、少女の体へと吸収されていく。すべての魂を吸収し終えた彼女は 「まだだ、まだ足りない」 そこに一つの光が降りてくる。それは人々の魂と異なるもの 「何これ」 それは、彼女の体に飛び込む 「グ………」 彼女は胸を押さえる。次の瞬間彼女は笑い出す 「力が、力がわいて来る。待ってなさい………蒼崎志保!」 第四章 エピローグ 其々の誓い 残影刃様 ビーストを倒し、槍使いと別れた蛍は自宅前で考えていた。 「………やっぱり心配するよね?」 彼女が考えていた事は、自分がライダー少女である事を姉や周囲の人に隠していくというものだった。 「……うん、やっぱり巻き込みたくないし」 蛍は、誰にも自分に起きた事を話さない事を誓い家に入っていった。 「ただいまぁ」 「蛍!今まで何処に行ってたのよ!」 蛍は秋菜に挨拶すると、秋菜は蛍を睨みながら叫んだ。 「え、あの…ちょっと道に迷って……」 「本当?嘘じゃないわよね」 「うん、……嘘ついてないよ……」 蛍は、姉に嘘をついた事に罪悪感を持ったが、嘘を突き通した。 すると、秋菜は怯えたような表情で蛍を抱きしめた。 「そっか、……大丈夫よね…蛍は、あの馬鹿みたいに消えないよね?」 「…………うん、大丈夫だよ……」 秋菜が聞くと、蛍は優しく姉の背中を撫でながら頷いた。 そして、彼女は行方不明になった幼馴染の青年の事を思い出した。 その頃、陣は自宅で暗殺者と電話で話していた。 『そう、ボード学園に潜入する気なのね?』 「……ああ、……だから編入手続き頼む」 『わかったわ、それと……体の調子はどう?』 暗殺者に体調の事を聞かれた瞬間、陣は言葉を詰める。 しかし、すぐに平静を装い、 「ああ、大丈夫だ…問題ない」 『…その様子だと大丈夫じゃないみたいね』 「…………………」 陣が黙っていると、暗殺者は小さく笑う。 『……ふふ、相変わらずねえ、図星を疲れると黙る癖は』 「………五月蝿い………」 『しょうがない子ね、薬作って持っていってあげるから大人しくしていなさい』 「……断『陣?』……分かった…持ってくるまで戦闘はしない…」 暗殺者に電話越しに威圧され、陣は溜息をつきながら折れた。 『それじゃ、またね』 「……ああ、またな」 別れの挨拶を済ますと、陣は電話を切り壁にもたれる。 その時、陣は息が急激に荒くなった。 「…ガ…あ…呑まれて…たまるか…」 陣は一瞬、心の奥底の何かに呑まれそうになり壁を叩く。 すると、壁は硝子の様に大きくひび割れた。 「…あの時の…誓いを…果たすまでは……」 陣は、苦痛に耐えながら自分の誓い…剣使いの敵を討つと言う事を新ためて胸に誓った。 第四章 エピローグ 本当のハジマリ ウェイド様 レンナ「……デュナミスト…亜種……ライダー」 複数の記号…今だ分からない記号……。 レンナ「誰か…教えてよ」 少女は眠りにつく……。 運命の日が明日だとは知らずに。 一方、白き銃騎士『ウォーガ』と黒い悪魔『アラストール』の戦いは……。 ウォーガ『これで……ラスト!』 自分の武器『オクスタンライフル』のトリガーを引く、ウォーガ。 その弾丸はアラストールの仮面を弾いた。 仮面は宙を舞い。 そして月の光が二人の姿を照らす。 ウォーガ『子供!?』 それに少女…マスターよりも少し低い程度。 二度目を装填するのを忘れていた。 だから……。 アラストール「危険と判断…撤退します」 奴が瞬間移動するのを見失った。 瞬時に索敵したが……。 ウォーガ『アンノウン(未確認物体)ロスト』 まさか…これが私たちの…本当の戦いの始まりだとは…思っていなかった。 一方、騎士団秘密基地屋上 ガーゴイル「………この重力の歪み方……まさか…『ヘヴンクロノスゲート』が開くのか?」 スティール「だとしたら…『破壊者』の再覚醒もありえるわ」 いつものような顔ではなくまさに真剣そのもの…こいつでもこんな顔できるん(二秒後機械の集団に踏み潰される) ガーゴイル「…今何やった?」 スティール「なんでもないわよ」 このときガーゴイル氏によると 『別人だろあれ、なんか残酷すぎたぞ』 だそうでした。 今から本当のハジマリ。 でも、破壊者によって壊されるかも。 守れるかな? 守れないかな? 運命は分からない。 運命はゲーム。 ??????「だよね〜、ヴォルグ」 ヴォルグ「そうだね〜、イプシロン」 さあ……本当のハジマリだ。 第四章 エピローグ 親友×強敵×新たな力 ユルカ様 「…新しい力が…?」 「はい…。自分で分かるんです…。」 SB社病院施設…。 夕菜たちと合流するために京たちはここまで来ていた。 もっとも、京といぬみは非常にまずーい状態だったので、今は病院にあった代わりの服を着ている。 (といっても、そんなにオシャレな服なんかでなく診察などのことがしやすいような上下白の服ですが。) そして今、京は冥と話しているわけで…。 「一菜さん、始穂さん、レオナさんと協力して技を使った時でしょうか、そのときに体の感覚が少し違ったんです。」 「”能力名:連携”ね。他のライダーとの連携プレイがうまくできるようになったのよ。」 「でも、冥さん…。」 「なぁに?」 「どうして…私を助けたんですか…? 私と冥さんは…敵同士の関係だったはずなのに…。」 京の疑問はもっともだった。 あのエウリュディケの元で任務をこなしてきた冥は京にとっては敵として考えてもいいはず。 なのに、今の彼女は味方だ。そこに疑問を抱くのも当然の話だった。 「仲間を殺せなかったから…ここにいるのよ。」 「え…?」 「そして、ソフォクレスとしてではなく、豊桜 冥として生きたくなっただけよ。」 「冥さん…。」 「私の知ることを全部教えてあげる。京。あなたは生きなければならないの。どうしても…。」 その頃、エウリュディケは…。 『やっぱり…エウリピデスも逃げたか…。』 「どうなさいます? アイスキュロス様も魂が見つからないのですが…。」 エウリュディケに話しかける一人の人物。 少し背の高いその人物は、女性ながら冷静な観点を持っていた。 『「K」に直接つなぐしかないか…。彼女にはまだ役に立ってもらわなきゃいけないんだからね…。』 「ケテル・ティフェレト組、コクマー・ネツァー組、ケセド・ホド組から連絡がありまして、亜種の巣をそれぞれ潰したと。」 『それなら…少しは早くなるのかもね…。彼女の復活もさ…。』 アイスキュロスのほうを見て少しだけ笑うエウリュディケ。 「ビナーとマルクトは連絡がつきませんが?」 『仕方ないさ。基にした人材が悪すぎた。まぁ、彼女達の言う可愛い子に絶望を植えつけるのにはぴったりだけどね。』 「ちなみにイェソドは血の色のお風呂で遊んでます。」 『すぐ全員呼びだせ!!』 さすがにエウリュディケはその行為だけは許せないと感じたようだ。 10分後… 『やっとそろったね…。セフィロトナンバーズ。』 「また任務〜? いいかげんにしてよね〜。」 赤と水色のツートンカラーの服を着た少女:ケテルがめんどくさそうに言う。 「うっさい! さっきまで倒した亜種の数自慢してたくせに!」 黒のボディに所々、黄色のワンポイントの服を着た少女:コクマーがすかさず突っ込む。 「でも、アイスキュロス様を甦らすには、まだ足りない…。そして甦ったらあんなことやこんなこと…。」 気持ちも服も暗めのトーンの少女:ビナーが妙なことを言っている。 「どうでもいい。全部ぶっ潰すだけだよ。ね、ホド。」 白と緑のマーブルカラーの服の少女:ケセドがホドという少女に話しかける。 「うん。でも先にアイスキュロス様を甦らせてあんなことやこんなこと…。」 ビナーと同じようなことを言っている少女:ホドはケセドと話している。 「大丈夫だよ。私が全部倒すから。」 海のように深い青と血のように濃い赤の鎧の少女:ティフェレトがその顔に似つかないセリフを言う。 「無理しないで。できる限りのことも僕がする。」 紅と緑という眼の痛くなりそうな組み合わせの色の少女:ネツァーがティフェレトに話しかける。 「楽しみだね。強い奴を倒すのって。どんな断面してるんだろう。」 深緑に深紅の服装をした少女:イェソドが楽しそうに怖いことを言う。 「ウフフフフフフフフフ…。明日からも可愛い子見つけて捕まえて服溶かして着替えさせて抱きまくったりして…。」 よだれをたらしまくる少女:マルクトがとても容易に想像できること(ぇ)を口にする。 「いい加減にしなさい。私たちの目的は私欲ではないわ。」 リーダー格の少女=アイスキュロスを連れ帰った少女:ゲブラーは皆に注意する。 『諸君。明日からの任務はここまで同じだけど、対象が少し変化する。』 「と、申しますと?」 『ケテル・ティフェレト組、コクマー・ネツァー組、ケセド・ホド組は今日と同じく亜種を倒していくんだ。』 「「「「「「了解。」」」」」」 6人全員が同時に答える。 『ゲブラーとイェソドそしてビナーはモニターの監視をお願いする。』 「わかりました。」 「チェッ。また留守番かぁ。」 「何で何で…。あんなことやこんなことが…。」 イェソドがつまらなさそうに、ビナーは恨めしそうに言う。 『そして、マルクト。君への任務対象を変更する。』 「誰?」 『ファイズィーチームとブレイドチームに絶望を植えつけてくるんだ。そして9人全員に絶望を植え付けてきたなら…。』 「きたなら…?」 『君の好きにしていいんだよ。それで絶望の2文字をさらに増幅させればいい。』 「わかった。」 マルクトのその顔はこれまでで一番すごかった。(ぇ) 『じゃ、はじめようか。絶望の種を撒き散らすのを…。』 エウリュディケの新たな計画がスタートした。 10人の強い従者を従えて…。 第五章に続く…。 |
オリジナルライダー・リレー企画
http://ameblo.jp/yuruka0415/ 2006年12月14日(木) 09時37分18秒 公開 ■この作品の著作権はオリジナルライダー・リレー企画さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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