仮面ライダー王虎 レッスン24「暴食の罪人」 |
大河家の道場内。 冴子とミントが入ってくると、中では振袖を着こんだ岸、スリットが太ももまで切り込んであるチャイナドレスを着こんだ宗像、そしてゴスロリドレスを着こみ、顔にはパンクファッション風の眼帯とヘアメイクを決めたエビの姿があった。全員が夜更けだというのに、気合いを入れた化粧で彩られている。 冴子「・・・・何、してるの?」 エビ「見て分からねえか?」 宗像「明日、一次選考じゃろう?前日からお洒落には気をつけていないとのぉ?」 岸「まあ、ワタクシの優勝は間違いないのだから、貴方方はせいぜい無駄な努力をお続けなさいな。こうして貴方方の滑稽なお姿を見ていると、まさしく喜劇を見ているような気分ですわ。オッホッホッホ」 エビ「けっ、ボケた鳥や象なんぞに負ける気なんてしねえぜ。てめえら、とうとうボケが始まって現実と妄想がごっちゃになりやがりましたか?優勝は、オレ様のもんだ!」 宗像「ほほぅ、抜かしおったわ、小娘が。いいじゃろう、その顔が明日一次選考を通るまでせいぜいいい気になっておるがよいわ。ホーッホッホッホッホ」 エビ「へっへっへっへっへ・・・・」 岸「ふっふっふっふっふっふっふ・・・」 冴子とミントは不気味な笑い声が上がる道場を気づかれないよう静かに立ち去った。 ミント「全く、気楽なもんだぜ。しかし、あいつら全員落選したら、それはそれで笑い話にはなるかもしれねえけどな」 冴子「しかし、あのエビだからね。何やらかすか分かったもんじゃないし。それに、岸さんと宗像さんカオスに変身して会場で大暴れしないかな?」 ミント「おいおい、いくらなんでもそこまで・・・・・バカかもしれねぇ」 冴子とミントは一次で落選し、怒り狂って会場で大暴れしているフェザントカオスとエレファントカオスの姿を想像する。 冴子「・・・・・・どうする?」 ミント「・・・・・・・・・・・・・どうするって、おい、なんだよ、その獲物を前にしているような猛獣のような目つきは・・・・・」 ミントのことを爛々と瞳を輝かせて、妖しい笑みを浮かべながら冴子が両手を突き出したままミントに迫ってくる。ミントが後ずさる、冴子が迫る、後ずさる、迫る、そしてとうとうミントは壁に背中がぶつかった。後がなくなった。 冴子「極上のミス・松浦ちゃん、はっけ〜ん!」 ミント「や、やめろ、バカヤローーーーーーー!!!」 ミントの絶叫が大河家に響き渡った。 翌日。 公園の休憩所で風子は目を覚ました。いつの間にか眠っていたらしい。手元には美海の部屋から持ってきたライダーシステムの本がヴァレッドのページのまま開いている。 風子はヴァレッドのページを改めて確認する。そして、書かれている文章を見て憎々しげに見つめる。 2005年・10月4日 仮面ライダーヴァレッドのライダーシステム完成。カードに意志を宿らせて、自身と適合しうる適合能力の資質の持ち主の捜索を開始する。 2005年・11月8日 仮面ライダーヴァレッドの適合者を発見。松浦商業高校2年B組所属の鷹山風子。彼女の身辺調査を行い、得た情報を頼りに彼女に接触し、アンチクロスの一角として引き入れる計画を隠密担当のヒトミを筆頭に行動を開始する。 2006年・1月15日 シスターヒトミからの情報を頼りに、彼女が不良たちに襲われたことを知った。さっそくその不良たちを見つけ出して、シスターマナミの洗脳術によって操り、再び彼女を襲わせる計画を実行に移す。思い人であるらしい同級生の一言によって精神が不安定な状況であるが、慎重かつ大胆に事を進める姿勢で望まれる。 2006年・3月8日 計画は成功。彼女は完全に人間不信に陥ったものと見られ、彼女の精神分析を行った結果、彼女は自分自身で作り出したルールに過敏に反応し、他者の意見を聞き入れ、それによって自分の世界を壊されたり介入されることをひどく恐れている。そこを突いて話に乗り出した結果、シスターマナミの話を聞き入れた彼女はアンチクロスの一員として入隊を決意させる。彼女には2年間イギリスに留学するといった話を聞いて、そのつてで日本を離れることによって、親しい人と離れて精神的に不安定な状態になるであろうが、アンチクロスとしての使命とアンチクロスの掲げる「平和」と「持論」を彼女の頭の中に何度と刷り込ませて任務を忘れさせないようにさせる。 そして、ヴァレッドの設計図には、彼女の持つ怒り・憎しみ・悲しみなど負の気持ちに反応して融合率が高くなるといったデータ資料が書かれていた。彼女の行動すべてがまるでずっと近くで監視されてきたかのようにあの事件の内容が事細かに書かれている。 風子「二年前から・・・・あたし・・・・・いいカモだったんだ。・・・・・仲間なんて嘘だったんだ。・・・・・・あたし・・・・あたし・・・・・・何やってるんだろう。正義とか神の使徒とか・・・・・みっともないよ、何これ」 風子は自分の信念も、アンチクロスとしての誇りも、仲間と思っていた人物たちとの絆も何もかもが崩れていくような感じがした。 風子「結局・・・・人なんて・・・・・皆こんなもんか」 自嘲の笑みをこぼして、風子が嘯く。その時、やべっちの言葉が頭の中によみがえる。 やべっち「何があってもトシだけは信じろ」 風子「無理だよ・・・・あんな・・・・あんな・・酷いこと言っちゃったのに・・・・傷つけちゃったのに・・・・仲直りなんて・・・・無理だよ・・・」 風子の目から涙がこぼれ出す。 その時だった。 シスターヒトミ「ほう、貴女でしたか。大事な資料を勝手に持って行ってしまったのは」 聞き覚えのある、果てしなく感情がなく抑揚のない、冷たく凍りつくような声。 驚いて振り返ると、そこにはシスター・ヒトミが全身から紫色の炎を噴き出して立っていた。 風子「シスター・ヒトミ。本・・・・読みました。・・・・・ここに書かれていることは、事実なのですか?あたしを監視して、不良たちを焚きつけて、事件を起こして、あたしをアンチクロスになるように仕向けたって・・・」 シスターヒトミ「これは心外です。アンチクロスに入ると言い出したのも、人間を勝手に絶望したのも、すべて貴女が望んで選んだ結果ではありませんか。まあ、そうなるように仕向けたのは私たちですが、その後、貴方はなぜ誰にも相談しなかったのですか?なぜ、誰にも頼ろうとしなかったのですか?それは、貴方が頑なに他人とのかかわりを閉ざしてきたから、誰も貴方に近づかなかったから、それを自分のせいではなく人のせいにして逃げ続けてきたからでしょう?自分の弱さを他人に擦り付けるなど、愚かなことですねえ」 風子「そ・・・それは・・・・・それに付け込んでよくもまあそんな図々しいことがいえたものですね。いいでしょう、貴方方から与えられたこの力、万倍にしてお返しして差し上げますわ!!!変身!!!」 「SUMMON OF HAWK」 風子の全身を赤い風が包み込んでヴァレッドの姿に変身させる。 シスター・ヒトミはやれやれと呟くと、指を軽く鳴らして巨大な炎を風子めがけて放ってきた。ヴァレッドはその炎の弾丸を避ける。すると、放った炎は公園の遊具に当たると一瞬にして黒こげとなり、炭となって果てた。 その炎の威力がいかにすさまじいかを物語っている。かすっただけでも全身に猛毒を流し込まれたような激痛が走った。ヴァレッドはその痛みと絶対的な力の差というものを見せ付けられたことによって表情がゆがむ。 シスターヒトミ「生憎遊んでいる時間はありませんの。それに私が手を下すというのもあまりにも酷でしょう?かつての仲間に裏切られて、友人を捨て、自分自身の正義を信じて行動してきた結果がこれではねえ・・・・」 そう言いながらもクスクスと笑う。嘲り笑われていることを察し、悔しさと怒りで全身の血液が逆流するような気がした。しかし、この驚異的な炎の力は自分の風をもってしても叶わない。そんな絶望が彼女に突きつけられる。 一瞬、ヒトミの視線が彼女をそらした。 ヴァレッドは聖風弓を取り出すと、一斉に風のエネルギーを集結させてやがてそれを無数の矢として放った。その矢の大群は暴風のごとくヒトミめがけて押し寄せてきた。 ヴァレッド「ヴァルチャーシューティング!!!」 しかし、ヒトミは指を軽く鳴らして炎で壁を作ると、矢が炎に飲み込まれて一気に消滅する。その上、風の力を飲み込んだ炎は勢いよく燃え上がり、巨大な口を開いて今にも襲いかかってきそうな形に変わっていく。 ヒトミ「悔い改めなさい!」 ヒトミが炎を払うように腕を大きく振るって炎を飛ばしてきた。 ヴァレッド「きゃああああああああああ!!!」 ヴァレッドは炎に直撃して大爆発を起こし、そのままどこかへと吹き飛ばされてしまった。 枝を折り、木の太い枝に叩きつけられ、全身から黒い煙を吐き出しながら彼女の小さな体は公園を吹っ飛び、何処へと飛んで行った。 ヒトミはその様子を見ると、ふうっとため息をついて歩き出した。その時、木の蔭から何者かが潜んでいる気配を感じ、彼女の足が止まる。そして、木に背を向けたままヒトミが言い出した。 ヒトミ「・・・・・・・暴食(グラトニー)ですか。何の用です?」 木陰から一人の女の子が出てきて、ヒトミに人懐っこい笑顔を浮かべる。栗色のウェーブがかかったソバージュヘアに、色白でふっくらとした肉付きのいい可愛らしい女の子であった。フリルとリボンがいっぱいついた白いドレスを着こんでおり、右手には焼きたてのフランスパンをほおばっており、噛むたびにパンの粉が服について、その度に彼女は服を軽く払っている。しかし、彼女の透きとおった空色の瞳には獣特有の細く獰猛な瞳孔を持っていた。 暴食「えへへ、お腹空いちゃったからぁ、あたしだけ先に表に出てきたの!そしたらぁ、人間の世界って美味しいものいっぱいあるねえ。あたしコンビニでおにぎり食べて、お弁当食べて、サンドウィッチ食べて、スナック菓子食べて、お漬物を食べて、アイス食べていたの。そしたらコンビニの食べ物全部なくなっちゃったから、店員さんも食べちゃった。それでもお腹空いたからぁ、パン屋さんでパン全部食べてきたんだけどぉ・・・」 ヒトミ「もういいです。聞くだけで頭が痛くなります。ところで、貴方はここで何をしているのですか?」 暴食「うん、あたしねえ、もっと美味しいものないかなぁって探していたら、貴方とヴァレッドが戦っているのを見てね、なんだか面白そうだから見学していたの」 ヒトミ「・・・気楽なもので羨ましい限りですね。まあ、いいでしょう。私は帰ります」 そういって、ヒトミはその場を立ち去ろうとした。その時、グラトニーが聞いてきた。 暴食「・・・ねえ、あの子、食べても・・・・・いい?」 指についたパンをぺろりと舐めながら、にたりと彼女がほほ笑んだ。ヒトミはその言葉がどういうことを指しているのかを察すると、ふうっと息をついて答えた。 ヒトミ「・・・・御好きになさいな」 暴食「うん!えへへへへへ、ライダーってどんな味がするのかなあ。楽しみぃ!」 グラトニーは可愛らしく笑った。 そして、ミスコン当日。 一室の会場である公民館のステージでは「リズム感審査」と書かれた看板が置いてある。 宗像「何じゃい、あれは?」 岸「さあ?ふふん、ダンスにかけてはワタクシの右に出るものはいませんことよ」 そして、ステージに置かれている大型テレビの画面に100人余りの女性たちがたぬき模様のハッピ姿でひしめきあって踊っている姿が映し出される。 エビ「松浦音頭じゃねえか!!」 岸「・・・・何ですの?この不気味・・・いえ古風で独特な感じがする踊りは」 エビ「松浦音頭だよ。松浦に昔から伝わる民謡“松浦甚句”のリズムに乗せて踊る踊りなんだよ。松浦市民はガキの頃から踊ってきているから、これに関してはオレがエキストラだぜ!!」 宗像「エクスタシーの間違いではないか?」 岸「いえいえ、エクスキューズミーでしょう?」 ミント「・・・・エキスパートだよ、大バカどもが!!」 ミントが歯ぎしりしながら答える。 隣にいる冴子がミントの姿を見て、手を押さえてぷぷぷっと笑う。 冴子「あうーん、やっぱり巨乳で童顔、そんでもって奇麗なキューティクルのロングヘアときたら、メイドたんだよねぇ♪はふぅ・・・・高スペックですぜ・・・」 そういっているミントの姿は周囲からも注目を浴びるほどの美しい・・・いや可愛らしいメイド服姿であった。純白のブラウスに青いエプロンドレスを着こみ、フリルとリボンがたくさんついたレースリボンを装着し、ポニーテールにしてまとめあげられている髪もストレートロングに下されて、下で青いリボンで縛っている。 ミント「・・・ちくしょう、こんな恰好見られたら、何言われるか分かったもんじゃねぇ・・・」 冴子「いやいやいや、この美しさは今日からメイド喫茶で働いたら即人気アイドルだよぉ。あたし、毎日通ってくどいちゃうかもぉ」 ミント「やめてくれ、マジで!つーか、てめぇ、なんで大学生なのにセーラー服着こんでるんだよ。ある意味マニアにしか受けねえよ」 冴子「いやいや、貧乳でチビでも、こういった感じで妹系や小動物系少女ということで需要はあるのだよ?」 ミント「知らねえよ、それにこういう場所の審査員がそんな判断基準持ってるわけねえだろうが」 そして、会場からアナウンスが流れた。 アナウンサー「それでは、これから審査に移ります。参加者の皆様、どうぞこちらへ」 音楽が流れ出し、おばちゃんたちの集団がノリノリで踊り始めた。そして、取り残されていたエビたちが周囲を見回して気づいた。 エビ「ひょっとして・・・・若いやつで参加しているの・・・・オレたちだけ?」 おばちゃんたち「そ〜れ、まあ〜つう〜らああああ・・・・よお〜いいいいところおおおおお・・・」 会場内で踊りが行われている中、やべっちとトシとクマが疲れ果てた様子で公民館から出てきた。 クマ「わかってはいたが、まさか松浦復興キャンペーンのシンボルガールを決めるためとはな。そりゃ、若い子なんか参加しねぇよ」 そばではやべっちが滝のように涙を流しながら、嗚咽を上げて地面に座り込んでいる。相当ショックであったらしい。 トシ「それで優勝したら、やぐらの上に立たされて街を3周しながら松浦音頭を踊るって?それこそ拷問じゃねえか」 トシが呆れて言った。 トシ「俺、ちょっとトイレ行ってくるわ」 クマ「おう」 トシはひとり、公民館の中にあるトイレへと入った。そして、用を足そうとしたその時、窓から庭に何かが横たわっているのが見える。 黒く所々がボロボロにほつれている、布の塊のような物体。 よく見ると、それは人であった。 トシはトイレを飛び出すと、その倒れている人に近づいた。身体の所々に痛々しい火傷のあとが生々しく刻まれている。 トシ「あ・・・・・!!」 顔を見てトシは驚きの声を上げる。 それは、まぎれもない、鷹山風子の変わり果てた姿であった。 トシ「お、おい、鷹山!!鷹山!?どうした!?しっかりしろ!!おい!!」 トシが鷹山の体を抱き上げてゆり起すが、鷹山は目を閉じたままぴくりとも動かない。 しかし、わずかだが呼吸をしており、心臓も鼓動している。気を失っているだけらしい。 トシは鷹山を背中に背負い込むと、立ち上がって歩きだした。 トシ「待ってろよ、必ず病院連れてってやるからよ」 その時だった。 暴食「あはっ、美味しそうなライダーちゃん、はっけ〜ん!」 トシの目の前にグラトニーが可愛らしく笑いながら歩いてきた。 トシ「な、なんだ、お前。鷹山に何か用か!?」 暴食「その子、あたしにちょうだい!あたし、お腹空いちゃったのぉ。だからぁ、その子食べれば少しは満足できるかもしれないの!」 トシ「ふざけるな!!そんな話、乗れるわけないだろう!」 トシがすごむと、グラトニーは不敵な笑みを浮かべる。そして、舌を突き出すと、舌には水色の蛇が輪を描いて自分の尾を自分で噛もうとしている紋章が光り出し、見る見るうちに彼女の体を異形の化身の姿に変えていく。 暴食「そぉ?それじゃあ、先にお兄ちゃんから食べちゃおうかなあ?それで食べ終わったら、お姉ちゃん食べちゃおうっと!!キャハハハハハ!!」 グラトニーの姿はイノシシを模したボアカオスの姿に変身した。ボアカオスはシールドを装着すると側面から二本の鋭い牙を突き出してトシに迫りくる。 トシは風子を自分の背に隠すようにして後ずさりする。 トシ「くそっ・・・・!」 そして、ボアカオスのシールドが思いきり振り上げられた! ボアカオス「いっただっきまーす!!」 トシも覚悟を決めたのか、風子の前から一歩も動かないまま瞳を固く閉じた。 その時、シールドを横から思い切り弾き飛ばされた。高い音とともにシールドごとボアカオスが後ずさりする。そこへ蹴りを放ち、ボアカオスが転がって倒れる。 それは、日本刀を携えた銀色のライダー・銀牙であった。 トシ「大神さん!」 銀牙「邪魔だ。どいていろ!」 銀牙はトシと風子を乱暴につかみ上げると思い切り投げ飛ばして壁に激突させた。トシは全身の激痛をも必死でこらえて、風子を肩に腕をまわして抱き上げた状態で歩き出す。 銀牙「フン、さっさと叩き斬ってやる。こい!」 銀牙が聖月刀を構えると、ボアカオスが立ち上がって突進攻撃を仕掛けてくる。 猛然と突っ込んでくるボアカオスを素早くよけると、がら空きとなった背中めがけて銀牙が刀を振り下ろす。ところが、その頑強な筋肉の鎧に阻まれて、刀が弾かれた。腕にビリビリと痺れが襲う。 銀牙「ちっ、なんて硬さだ!!」 ボアカオス「上級なめたらダメだよぉ?あたしたちは、そん所そこらのカオスとはわけが違うんだからぁ」 銀牙「ほざけ!!」 銀牙がボアカオスに刀を振り下ろすが、ボアカオスのシールドと頑丈な鎧で弾き飛ばされて全くきいている様子がない。 ボアカオス「それじゃあ、今度はこっちから行くよ!!」 ボアカオスがシールドで銀牙のパンチをはじくと、ボディに強烈なフックを打ちこんできた。ボディが火花を出してはじけ飛ぶ。銀牙は激痛に歯を食いしばってこらえるが、ボアカオスの猛攻は止まることなく次々と銀牙のボディを破壊していく。 銀牙「うわああああああああ!!」 ボアカオス「それえ!!」 とどめといわんばかりに大きく腕を振るうと勢いよく素早いアッパーカットを放った。 銀牙「かはっ!!」 強烈な一撃を食らった銀牙は思い切り空中に吹き飛ばされて地面に転がっていった。 銀牙「く・・・・こいつ、とんでもないバカ力だ・・・!」 ボアカオス「それじゃ、とどめだよ!」 ボアカオスの手に青白く凍えるような冷気が集結し、やがてそれは巨大な氷の弾丸のような形へと変わっていく。無数の棘がついており、その威力は見る限り凄まじい破壊力を秘めているように見えた。 ボアカオス「フリーズクラッカー(爆ぜる白氷の無限弾)!!」 氷の弾丸が勢いよく回転しながら打ち出されて、それを銀牙に着弾すると銀牙は思い切り吹き飛び、壁を砕いてその向こう側の道路に投げ出され、そのまま変身が解除された。 月「あ・・・・ああ・・・・・・あああ・・・・」 月が苦しそうにうめき声を出して、何とか壁に手を伝って全身を立ちおこす。しかし、足元はもう完全にフラフラになっており、全身を気を失うような激しい痛みが支配する。 月「こ、こいつ、痛覚っていうものがないのか・・・?」 ボアカオスは満身創痍の月をあざ笑うようにシールドを構えて近づいてくる。 ボアカオス「違うよ。貴方が弱すぎるだけ。貴方の戦い方は心も技も体も全部中途半端なの。唯一支えているのが“願い”だけじゃあたしには勝てないわ」 月「知ったような・・・ことを・・・いうな!!」 月がこぶしを振り上げてボアカオスに襲いかかる。しかし、ボアカオスは拳を簡単に素手で受け止めるとそのままぎりぎりと力をこめて締め付ける。月の顔が苦痛でゆがむ。 ボアカオス「話にならないわ。出直してくることね」 そういって、ボアカオスが月を持ち上げて、思い切り放り投げた。月は電柱に叩きつけられる。 月「ま・・・・・・まて・・・・・」 月は遠ざかる意識の中、悠然と立ち去っていくボアカオスの背中に向かって呼びかけるが、ボアカオスは振り返ることはなかった。 そして、そのまま月の意識は途絶えた・・・・・。 トシは風子を背負ったまま病院までの道を足早に歩いていた。 トシ「鷹山、何があっても必ず守ってやる。絶対に・・・!」 その言葉は風子に届いたのであろうか?背中に背負われた風子はピクリともせず、ただ眠り続けていた・・・。 続く |
SHT
2007年08月05日(日) 12時15分48秒 公開 ■この作品の著作権はSHTさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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ご意見ありがとうございます!!いつも楽しみにしております。 もうカオス三人娘は一人を除いてノリノリですなw 修「にしても、音頭とはねー。今時の若いモンはそりゃ来んわ。」 だね。 ミントちゃんのメイド服は見てみたい! メイドさん、最高だぜ、イィヤフゥーッ!! 修「この変態めっ!しかし、街を音頭踊りながら三周って……軽い虐めじゃん。」 もしくは尊い貢ぎ物? >ミント「果てしなく面倒くさい上に恥ずかしい展開に巻き込まれることだけは避けたいぜ、全く。それにしても、冴子の衣装って胸はきついし、腰はスースーするしで、着にくいんだよな。その事を冴子に言ったら何か知らんけど部屋に閉じこもっちまった。人間って訳が分からない生き物だな」 風子ちゃんの未来やいかにっ!? 修「たこ殴りにされたみたいだなー?」 グラトニー、許すまじ! 修「じゃ、自分で仕返しに行けよ。」 勝てないからムリ! >ミント「はっきり言うな、オイ(笑)」 風子ちゃんは、水晶ちゃんみたいなことにならないとを心から祈ってます。 るなぴょん、今回はいいとこ無かったね。 修「馴れ馴れしいな、お前。」 いや、公式設定でしょ? 修「うーん………それでいいのか、大神月?」 次回、るなぴょんはリベンジを果たせるのか!? るなぴょんのパワーアップは!? >ミント「まあ、作者もそこの所は考えているらしいから、今後とも宜しく頼むわ」 あと、光理ちゃんを嫁に貰ってと言われてたけど、どうする? 修「そういうのは興味ないなー。千景よりも美味いケーキが作れるっていうなら、考えてもいい。」 お? 結構乗り気? 修「ケーキが美味くて、退屈しなけりゃいいんだよ。」 冴子ちゃんは? 修「きっと見てて飽きないんだろーなー。」 >ミント「俺はいい。結婚とか交際とか面倒くせーし。あー、でも、ケーキ作りだったら冴子は負けるな。あいつにケーキ作らせたら、レンジは爆発するし、見た事の無い青緑色のフルーツをどこぞから取り寄せて盛り付けちまうし、食べたクマややべっち、トシが病院送りになったからな」 何時もご感想ありがとうございますー。 |
10点 | SHT | ■2007-08-06 15:19:58 | p3092-ipbf206akatuka.ibaraki.ocn.ne.jp |
相変わらずペースの早いこと。 うーん、見習わねば(汗) もうカオス三人娘は一人を除いてノリノリですなw 修「にしても、音頭とはねー。今時の若いモンはそりゃ来んわ。」 だね。 ミントちゃんのメイド服は見てみたい! メイドさん、最高だぜ、イィヤフゥーッ!! 修「この変態めっ!しかし、街を音頭踊りながら三周って……軽い虐めじゃん。」 もしくは尊い貢ぎ物? 風子ちゃんの未来やいかにっ!? 修「たこ殴りにされたみたいだなー?」 グラトニー、許すまじ! 修「じゃ、自分で仕返しに行けよ。」 勝てないからムリ! 風子ちゃんは、水晶ちゃんみたいなことにならないとを心から祈ってます。 るなぴょん、今回はいいとこ無かったね。 修「馴れ馴れしいな、お前。」 いや、公式設定でしょ? 修「うーん………それでいいのか、大神月?」 次回、るなぴょんはリベンジを果たせるのか!? るなぴょんのパワーアップは!? あと、光理ちゃんを嫁に貰ってと言われてたけど、どうする? 修「そういうのは興味ないなー。千景よりも美味いケーキが作れるっていうなら、考えてもいい。」 お? 結構乗り気? 修「ケーキが美味くて、退屈しなけりゃいいんだよ。」 冴子ちゃんは? 修「きっと見てて飽きないんだろーなー。」 |
50点 | YP | ■2007-08-05 13:17:29 | proxy2107.docomo.ne.jp |
合計 | 110点 |