仮面ライダー貫鬼 その4
「傷つける夜」




「・・・・・・・・・。」
無言で更衣室に入る。
今日の「ほりさわ」の業務を終えて、帰宅の準備。

空は暗く、すでに夜。
午後8時に閉店し、片付けと明日の下準備に1時間。
それらを終えて、従業員は業務明けとなる。

俺はのろのろと着替えを済ませ、足取りも重く「ほりさわ」の戸を引いた。

「お疲れ様でした〜・・・。」

お決まりの挨拶を無人の店内に残し、俺は店を出た。


そしてすぐ立ち止まって、ぼおっと空を見上げる。

夜空には月と星。
きれいな・・・・ながめ。

ここは村だけに、夜が早い。
8時にはどこも閉店し、灯りもすぐに消えてしまう。
だから・・・・山の中にあることもあり、星は都会よりもきれいに見えた。




「はぁ・・・・。」
そんな星空を見ていても、俺の心は晴れることは無い。


この間の事件・・・・。
俺の先走りで、ヒラメキさんに迷惑をかけてしまった。

俺は何も成長していなかった。
一人じゃ何も出来なかったんだ。

俺は・・・・・・・・・・・。





「・・・きれいですね。」
「・・・・・・・・!!!!!」

ひどく驚いた。
俺の立っている横にもう一人、人間がいたのだから。

おまけにそれは、女の人で、それに、




「・・・津浪さんも、星を見る人?」

美由紀さん、だったから。


独特の空気を以って話す、「ほりさわ」の美由紀さん。
俺のすぐ横で、俺と同じように空を見上げていた。

夜空の下の美由紀さんを見るのは、初めてだった。
昼間と雰囲気が違うというか、なんとなく、大人びて見えた。

いや、昼間が子供っぽいのかといえばそうではないのだけど。
彼女は俺よりも年上だ。

歳相応に見えるというか・・・・
あー・・・。

混乱してる。
知らずに近くにいたこと、並んでいたこともあって、頭が付いてこない!!

「・・・・・・?」
「いえ・・・。なんでもないです。」

務めて平静を装って、彼女に返事を返す。

「ふるふる。」

・・・・?

・・・と、その返事に、なぜこの人は首を振るんだ?
しかも、口に出して。

「そうじゃ、なくて。」
「は、はい。」

ぴっと、空を指差した。

「星を、見てた?」

あー・・・・・。
そういうことか。

「い、あ、まあ。なんとなく、ですよ。」
「そう・・・・。」

なんとなく残念そうだった。




「・・・聞きました。この前のこと。」
「・・・・・・・・・・。」
次に彼女の口から出たのは、俺の今最も触れて欲しくない部分だった。

「・・・ヒラメキさんが怒ったのは、津浪さんを心配しているからです。」
「つぎ、気をつければいいだけの事です。」


「・・・・・・・・・。」
そして、俺を気遣う台詞。

でも俺は、嫌だった。
そんな聞いたような台詞、言われたくなかった。


「落ち込んでいても何も変わりませんから。」
「ね。津浪さん。」

・・・そう言えば、俺は元気になると思っているのだろうか。
そんな事、自分では一つも考えていないだろうに。
うわべだけの優しい言葉に、俺はだんだん腹が立ってくる。

「また今度、がんばりましょう。津浪さんはまだ、これからなんですから。」


がんばれ・・・・?
これから・・・・?

嫌だ。

もう嫌だ。

コレ以上、そんな綺麗事を聞くのは、もう・・・・!!!





「・・・やめてくださいよ。そんなの。」

そして、口から出た。


「・・・?」

「あんたなんかに俺の気持ちが分かる訳ない。そんな知ったようなこと言わないで下さいよ。」

・・・しゃべり始めてしまった。
俺の中の不満や、やりどころの無い思いが、口を通して吐き出される。

「どうせあんたも考えてるんだ。俺は鬼に向かないって、いつまでも成長しないダメな奴だって。」
「優しい言葉を投げかけて、自分は他とは違うって思わせたいんだろうけど、俺は騙されない。そんなの認めない!」

「・・・・?・・・?」

「あんたも他と同じだ!心の中で笑ってるんだ!!だからそうやって俺みたいなダメな奴に話しかけて来るんだよ!!」

だんだん興奮してきた。
自分の言葉に酔いしれていく。
その状況に、自分の言葉に、これ以上ないほど感情が篭もる。


「二度と話しかけるな!!!あんた見てると嫌な気分になるんだよ!!!俺の事、いつもニヤニヤしながら見てるだろう!!」

そしてついに、拒絶の言葉まで飛び出してしまった。
あの日以来、腹の中で渦巻いていた悪意の全てを彼女にぶつけていく。

「あ・・・・う・・・。」

先ほどまで、不思議そうな顔をして俺の話を聞いていた美由紀さんも、その言葉には不安な顔を見せた。

「そうやって人を見下して、今になって優しい言葉なんておかしいだろうが!!」
「そ、それは・・・・・。」

「消えろよ・・・・・!あんたの顔なんてもう見たくない!!」


「・・・・・・・!」


がらっ、ぴしゃん!


「ほりさわ」の戸の中に、美由紀さんは戻っていった。
相当応えたのか、最後は何も言わずに行ってしまった。


「・・・・・・・・・・・・。」
言うだけ言って、胸の中のつかえは取れたような気がした。

ああ、すっきりしたよ。
これであの女とは顔を合わせないで済む。
立ってるだけでふわふわと寄ってくる、変な女だったからな。

・・・ふん。
どうせ、これ以上何も変わらないさ。



俺は「ほりさわ」から離れる。
今日は帰ったらさっさと寝よう。

こんな日は寝るに限る。
胸の中、すっきりしたはずなのに、妙にもやもやして、苦しくて、嫌なんだ・・・!



俺は、気がつけば走っていた。
何かから逃げるように。

真っ暗な田舎の道を、少ない街灯の明かりだけを頼りに走る。
車も通らず、店も閉まったこの時間は、俺がこの世にたった一人残された人間のような錯覚を覚えさせた。

いつも通る帰り道に、そんなことを感じるのがおかしいのだが、このときの俺は、本当におかしかったのかもしれない。



・・・その時、まるで車両の通らないこの道に、大きな排気音が聞こえてきた。
毎朝聞いているその大きな音の正体は、振り向くまでも無く想像ができた。

ギキキキイーッ!!!

俺の目の前に躍り出て、乱暴にバイクを止める。
・・・考えるまでも無い。
このへんで、こんな派手で大きなバイクに乗っているのは、たった一人しかいないのだから。

「サカマキさん・・・。近所迷惑ですよ。」

「気にすんなって坊主。どうせこの時間、誰も彼もおねんねしてるさ。」
フルフェイスのヘルメットのバイザーをあげ、わずかに声を出すサカマキさん。

「俺に何か用ですか?」
「ああ。ちょっと夜のドライブに付き合えよ坊主。どうせ帰って寝るだけだろ?」

「・・・・まあ、良いですけど。」
「よし決まりだ。後ろに乗れよ。」

バイクの向きを変え、後部座席を俺に向ける。
俺はそれにまたがり、サカマキさんにしがみつく。

「・・・・平気なんですか?」
「ん?気にすんなよ。二人乗りなんて誰も見てないし、ヘルメットしてなくてもばれやしないって。」

「いや・・・。男にしがみつかれて、という意味で。」
いつもサカマキさんが言ってることだ。
俺のバイクの後ろには、女しか乗せない・・・って。

「あ〜・・・。それも気にすんな。」
「・・・そうですか。」

「じゃ、いくぜ。しっかり捕まってろ、坊主・・・!」



バルルルルルルルルーッ!!!

サカマキさんのバイクは走り出した。
俺の体験したことの無いような恐ろしい速度をたたき出し、そのまま俺たちは、山道の方へと入っていった・・・。





きっと、これから起こることを、俺は予想できていたに違いない。
でも俺も、それでも構わないと思った。

このもやもやした気持ちを、どうにかしたかったから。




そして何より、今の俺は誰よりも傷つけられて然るべきだと、そんな自虐的なことを考えていたから・・・・。









「折れる心」








バキィッ!!!

「ぐ・・・・!」

人気のない山の中に連れてこられた俺を待っていたのは、やはり予想通り、サカマキさんの手荒い説教だった。
サカマキさんの拳が俺の頬を捉え、よろける。
ぐっと踏ん張って立っているのは、まだサカマキさんに屈したと思われたくないからだ・・・・。

「・・・いいか。俺はお前がどれだけヒラメキさんに叱られようと、どんなに落ち込もうと興味はない。」
「だがな、だからってお前に、その事で他の誰かを傷つけていい権利なんてないんだよ・・・!!!」



やっぱり、美由紀さんのことか。
なぜか・・・安心した。

「俺、同情なんて要りませんから。」
「不愉快だったんで、突き放したんです。・・・いいじゃないですか。別に。」

でも俺は、さらに憎まれ口を叩く。

「・・・ひどく叱られたんで、今度はひねくれたか?」
「俺はもともと、こんな奴なんで。」




「お前はガキか。」
「ガキで結構です。」

「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」

短い問答の後は、お互いの顔をにらみ合う格好になる。

拳を握り締めて立つサカマキさんに対し、俺は両手をだらりと下げ、片足に体重をかけてだらりと立っていた。
サカマキさんはそんな俺の態度に、一層表情を硬くする。

「・・・・もういい。お前みたいなガキには何言ったって無駄だ。」
「せっかく俺が時間を割いてやったのに、そんな態度じゃな・・・!」

はあっとため息をつき、道路に置いたバイクの元に戻るサカマキさん。

「別に、頼んだわけじゃないですから。」
「・・・・!!!」

ポツリと漏らした一言に、またサカマキさんの顔が険しくなる。
「・・・ッとに可愛くない野郎だな、お前は。」

「ガキなんで。」



ぼりぼりと頭をかきむしるサカマキさん。
そのまま彼のバイクにまたがる。

「俺は置いてきぼりですか?」
エンジンをスタートさせ、ヘルメットをかぶりだすサカマキさんに、無駄とは思うが確認する。

「ここに連れてくる時、自分で言ったろう?」
「ああ・・・。そうでしたね。」

「ああ。俺は男にしがみつかれる趣味はない。」
行きは特別だった。
だから、帰りのことなど知らないというのだろう。

「じゃ、あばよ。心配しなくても明日は坊主は休みだって伝えてやる。」

それこそ余計なお世話だった。


爆音を立て、サカマキさんのバイクは山道を走り去っていく。




「勝手な人だよな・・・。」

俺は、また一人残された。
この間の、ヒラメキさんのときのように。



殴られた頬を押さえる。

思えば、殴られるのも慣れっこになっている。
魔化魍とかと戦っているのに、殴られるのが怖いっていうのも変な話だけど。

そして、未熟な俺は音撃が使えず、魔化魍も倒せず、出来ないといって殴られるか・・・。



・・・自分が何をしているのか、分からなくなってくる。
都会の自分の家を飛び出し、こんな田舎にまでやって来て鬼の弟子入り。


毎日が鬼の修行に追われるばかりで、そのくせろくな成果も上がらない。
その日その日を乗り切るのが精一杯で、自分が何をしたくてこんな仕事に就いたのかものかも思い出せない。


出来ないことがいっぱいだ。

ここに来て二年、何の成果も見出せない。













・・・・俺はここまでなのかもしれない。





そんな弱気な言葉がよぎった。
ヒラメキさんに叱られ、サカマキさんには突っかかられ、もはや立つ瀬も何もない。
俺がこんなところに居てもしょうがない。

・・・・だったら、帰ればいい。

自分の実家に。
全てを捨てて出てきたはずの我が家に。


でも、俺にはそんな大それたことは出来ない。
そもそも家を飛び出したのだって、俺にとっては思い切った出来事だった。

仲のいい友達も居た。
兄弟もいた。
でも俺は、「鬼」の道を選んだんだ。

そのキモチが、その時は何より強かった。




・・・なんだろう。
親兄弟や友達を思う気持ちより、強い気持ちっていうのは。



何だろう・・・。





俺は、とぼとぼと歩き出した。
どこへ向かっているのかも分からないが、とにかく歩き出した。
耳に小さく聞こえる、何かの音を辿るように、ゆっくりと。



頭は考え事でいっぱいだ。

さっきまで考えていたこと。
店先での出来事。

美由紀さんのこと。



変な話だ。
気になんかしていなかったのに。

独りぼっちになって、俺が傷つけたあの人のことを思い出すなんて。


どんな想いだっただろう。
俺に酷いこと言われて。
俺だってあんな酷いこと言われたことない。





(月人君は、人の痛みを知らないんだよ。)




「・・・・・・・。」




(だから、人に優しくできないんだよ・・・。)







一人で居るからだろうか。
・・・懐かしい人の言葉を、思い出した。






ざっ、ざっ・・・。

いつの間にか道路を外れて、森の中に踏み込んでいた。
仕事の疲れと、いろいろ物事を考えた精神的疲労があって、意識がはっきりしていない。
考え無しにさまよっているので、本能のままに歩いているらしい。

戻るのも身体が嫌がるので、このまま進む。
耳に入ってくる小さな物音を辿って、俺は身体の赴くまま。



・・・・森は不気味なほど静かだった。
動物や鳥の声も一切なく、虫すら鳴いていない。

ただ俺の、落ち葉を踏みしめる音だけが大きく聞こえる。
その中にあるほんの小さな音を頼りに、俺は歩を進めた。




それは、水の流れる音のようだった。
近くに河があるのかもしれない。

そういえば、喉も乾いた。
「ほりさわ」の仕事が明けてから、何も飲んでないや。
だから、身体が水を求めているのかもな・・・。





はぁ、はぁ・・・・・・。

今、何時だろうか。
どれだけ歩いただろうか。

緑の闇は、相変わらずその底の深さを俺に見せつけ続ける。
出口などないかのように。

そんな中、河の音を頼りに歩き続けてきたが・・・。



いい加減、眠りたい・・・・。

そう考えた時、自然に膝は折れ、俺はそのまま落ち葉の地面の上に倒れ伏した。



秋の夜風も、俺に冷たかった。







そして俺は夢を見る。

懐かしいあの頃の夢を。
それは、弱い俺の心が見せる、帰りたい場所、時間・・・・・。





・・・・・・・・・。


(大学、行かないんだって?)
(・・・・・!!)
「ああ。」

(どうしてだよ。なんでまたいきなり意見を変えるんだよ!)
「やりたいことが見つかったんだ。だから、大学には行かない。」

(美川だって、お前と同じ大学に上がるって、今がんばって勉強してるじゃないか!)
「関係ないだろ。・・・こいつが勝手にやってるだけだし。」

(・・・・・・・・・。)

(やりたいことって、なんだよ。)
「それは・・・。言えない。」

(なんだよ、それ・・・・。長い付き合いの俺や、美川にも言えないって言うのかよ!)
「いいだろう?俺が何したって。お前はお前で、美川は美川で、大学に進学して。」

(・・・お前の気まぐれは今に始まったことじゃないけど、わけくらい聞かせろ、一体何があったんだよお前!?)
「たいした・・・事じゃない。」

(夏休み以来・・・だよね。大学の話、しなくなったの。)
(美川・・・・。)

「・・・・・・・。」
(一人で月人君登山に行って・・・・。あのときも、月人君が勝手に一人で山にいったんだったよね。)
「・・・・・・・・・・・・・・・。」

(私も、真山くんも、楽しみにしてたんだよ。3人で海に行くの。でも、月人君は・・・・・・。)

「・・・・・あれは、俺はもともと山に行きたいって、言ってたから・・・。」
(でも、約束したよね?海に行くって。3人で、高校生活最後の思い出に。3年生になったら、勉強に追われるからって・・・・。)

「いいだろ、べつに・・・・!」

(お、おいまてよ!先に行くな!)


(・・・・・・・・・月人君は、約束を破られた人の気持ち、考えたことがある?)

「・・・・・・。」

(約束っていうのは、相手の事を信じて交わすものなんだよ。)
(それを破られるのって、すごく辛いんだよ。)

「だから、それは・・・・。」



(人を傷つけても平気なの、直した方が良い。それだと、誰も月人君の味方、してくれなくなる。)

「そんな事、ない。俺は・・・・。」

(ううん。だって、月人君、その時も、今だって一言も謝らないもの。)

「・・・・・・・!」

(月人君は昔からそうだよね。ずっと一緒にいたから知ってる。)


(月人君は、人の痛みを知らないんだよ。)




「・・・・・・・。」




(だから、人に優しくできないんだよ・・・。)




・・・あの時の言葉は、今でも覚えてる。
それから、俺が鬼の弟子入りをし、付き合いがだんだん薄くなっていって。
まともに話をしたのは、それが最後。

今でもそのことは忘れられない。


一人ぼっちになっている今の状況が、その頃と似ていて、だから思い出したんだと思う。
真山と、美川。
俺の友達。

俺が何度も傷つけた、それでも友達でいてくれた二人・・・。
人を平気で傷つける、この俺の。

人の痛みが分からない、俺の。



(そんな月人君が、出来るわけない。)

(人を助ける「鬼」の仕事なんて、出来るわけがないんだよ・・・・。)





空豆兄
2009年03月29日(日) 05時41分51秒 公開
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■作者からのメッセージ
仮面ライダー貫鬼 七之巻、八之巻の再掲載です。

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