仮面ライダーセレナ第七話「煩悶/クラッシュモード」
これまでの仮面ライダーセレナは
 赤坂鷹音は改造人間である。
 突然現れた謎のキメラ“フレイムファクター”により、突然目の前で火遊びを見せられた鷹音は、ビックリして己の信念が大きく揺らぐのを感じた。
 キレて喧嘩を売るも、圧倒的な力の差にショックを受け幼児対抗してしまった鷹音。
 果たして彼女は元に戻るのか、そして予想外の子育てに苦戦する巻奈の運命は!?
 そして所長の策略で友人をロリっこに変えられてしまったセレナの選択は!?
 物語は新たなステージへ。





 フォックスファクターを死なせてしまった戦いから四日後の金曜日、テストは三日後まで迫っていた。
 イマイチ理解できない社会科(経済・法律)の授業を上の空で聞きながら、私は鬱々と思考する。
 負けてしまった事、救えなかった事、言い返せなかった事。
「つまり、人に害をなすキメラを鎮圧、もしくは討伐する際、その為にやむを得ず行った違法行為は大抵許される。
 “意図的な公共物の破壊”や“他人の所有物の無断持ち出し及び使用”、要は窃盗だな。
 他にも“危険物の所持及び使用”、“無免許運転”、と言った事が許される事に入るな。
 また、対象となったキメラを殺害しても、罪には成らない。
 人に害を及ぼすキメラは、人ではなく害獣として扱われるんだ。
 殺すか殺さないかは討伐者の一存次第って事になるな。
 逆にその際においても許されないのは、一般人を死に至らしめる事だ。
 死に至らなくても、後々に問題が残る様な傷や損害を負わせた時も、ある程度だが罰せられる場合がある。
 まぁ、状況次第では許されるが、基本的に違法だ。
 ここはテストに出るからな」
 片手間でノートを取りながら考える。
 違法でないから殺して良いのか?
 チャンスを、未来を奪って良いのか?
 それとも、間違っているのは私なのか?
(強く・・・・・・なりたいな)
 命を救い、守る為に、悪意を打ち倒す為に。
 誰にも負けない力が、一般の人も改造人間も守り、救えるだけの力が欲しかった。
 無理を押し通し、不可能を可能に変えられるだけの力が欲しかった。
(頑張ろう)
 今はそう思う事しか、出来なかった。


***
 同時刻、要家食卓にて


「はぐっ、はぐはぐ!」
「ほらほら、そんなに急がなくてもご飯はなくなったりしませんよ」
 もの凄い勢いで皿の料理を平らげていく小中学生位の少女と、それを嗜める大学生位の女性。
 クロと巻奈である。
「いやいや、巻奈さんの料理が美味しくてさ、はぐはぐ」
『だからといってそんなにがっつくと喉に詰まりますよ』
 テーブルに置かれたセレナも口を挟む。
「だ〜いじょぶだいじょ・・・ウぐッ!?」
 言っている傍から詰まらせ、目を白黒させるクロ。
「ああ、言わんこっちゃ無い・・・。
 はい、お水です」
 もがきながらコップを受け取り、水を飲むクロ。
「んくっんくっんくっ・・・っはぁ〜〜〜、死ぬかと思った・・・」
 コップを置き、一息つく。
『落ち着きましたか?』
「ま〜ね・・・」

「落ち着いた所で良いですか?」
 突然巻奈が口を挟む。
「え?ああ、そう言えば僕を呼んだ理由を聞いてなかったね。
 ただお昼をご馳走してくれるだけじゃないんだろ?」
「ええ、貴女に一つ聞きたい事があって・・・」
 そう言って一息つき、言葉を繋げる。
「最近、鷹音ちゃんに何が起きたのか、貴女は知りませんか?
 五日前の夜に帰ってきてから、元気が無くて・・・・・・何処か思い詰めているみたいですし。
 それに学校から帰ると、セレナを持って研究所に行く様に成ったんです。
 何があったのか、お父さんはどうせ教えてくれないだろうし、セレナも口を開きません」
『・・・・・・・・・』
「鷹音ちゃんが何をしているのか、何があったのか、分かる範囲で良いから教えて貰えませんか?」
「う〜ん、セレナが話さない事を僕が言って良いのか悩むんだけど・・・。
 まぁ、正直僕も何があったかはよく知らないんだよね。
 ただ、最近よく僕に模擬戦の相手をしてくれって頼んでくるんだ」
「模擬戦・・・ですか?」
「うん、模擬って言うか、死なない程度に普通に戦うんだけど。
 僕も現状の力量とか測りたかったから承諾したんだけどね。
 それに何だか必死に頼んでくるし」
「それで?」
「取り敢えず“六戦中三勝二敗一分け”で僕が勝ち越してるかな」
「そんなに・・・ですか」
『予想より遙かに強くて正直驚きました。
 もう代わりに戦ってくれって感じですよ』
 やや落ち込んだ様な声で話すセレナ。
「あはは、考えとくよ。
 それでさ、戦っている最中によく“こんなのじゃダメだ”とか“もっと強くなきゃ”とか言うんだよ。
 なんだか強さに執着してる感じだった。
 それ以上に余裕がないみたいだったし。
 そんなに僕に負け越してるのが悔しいのかね?
 あんなんじゃ勝てる戦いも勝てないってのにさ」
『・・・・・・』
 セレナは黙り込み、巻奈は黙考している。
「・・・・・・・・・なるほど、ありがとうございました」
「いーよいーよ、具体的な事は何にも分からないし、ご飯もご馳走になってるしな」
 そう言ってクロは食事を再開した。
「・・・・・・」
『・・・・・・』
「はぐはぐもぐもぐあむあむ!うまー!!」
 考え込む巻奈、沈黙するセレナ、食事に夢中なクロ。
 三者三様の思惑を秘め、昼飯時は過ぎて行く。


***


 授業も全て終わり、のろのろと帰りの支度をしていると
「赤坂鷹音さん・・・だよね?」
 突然横合いから声を掛けられる。
 反応して振り向くと、赤みがかった髪の男子が立っていた。
「あ、えーと・・・・・・獅堂灰斗君だったっけ?」
 微妙にうろ覚えだ。
「ひょっとして俺の名前うろ覚えだったか?」
 バレていた。
「ひっどいな、初日に正面衝突しておいて・・・。
 もうちょっと印象付いてると思ったんだけど」
 内容は責める様だったが、苦笑しながら話しているせいか、雰囲気は穏やかそうだ。
「あ〜ゴメンゴメン。
 で、突然何の用?」
「ああ、君もキメラだって聞いたからさ、お近づきになれないかなってね。
 どう?途中まで一緒に帰らない?」
「・・・ナンパのつもり?」
「いっいや、そんなつもりは・・・」
 狼狽える姿が面白くてつい吹き出してしまう。
「ふふっ、まぁ良いよ。
 じゃあ行こうか?」
「お・・・おう!」
 そうして私達は二人連れ立って教室を出た。


 私達は色々なことを話した。
 この町の事、学校の事、友達の事。
「そっか、もうクラスには馴染んできてるんだ」
「まあな、友達と言える様な奴も出来たし。
 しかし何故か主に女子が寄ってくるんだが、何でだ?」
「ふ〜む、罪作りな男だ。
 アンタはクラスの男子の何人かを確実に敵に回してるね!」
 断言する私。
 彼は割とイケメンの部類に入る。
 十人中六、七人は格好いいと言うだろう。
「なっ、何でだよ。
 俺別に何もしてないだろ!?」
「ほ〜う、わからんか〜わからんか〜?」
「分かる訳ねーだろ・・・」
「はははっ、まぁ、改造人間だって事で虐められたりしてないんなら良いや」
 私の時はそんな事が少しあったから心配だったのだ。
「ああ・・・みんな良い奴だよ・・・・・・・・・・・・からこそ、ゴミは・・・・・・」
 しみじみと呟く獅堂灰斗。
 しかし最後の方が上手く聞き取れなかった。
「ん?最後の方何て言ったの?」
「いやいや、大した事じゃないって」
「・・・・・・まぁ良いや。
 で、誰か気に成った子とかいるの?」
「いっ、居ねーよ!
 それにもう他に好きなヤツいるし・・・」
 狼狽えつつもボソリと呟く。
「へっ?」
 え?この展開は・・・もしかして、もしかするのか!?
 “実は俺・・・初日にぶつかった時から・・・・・お前の事が・・・”なんて展開か!!?
 いやいや、待て待て。
 私にだって他に気になっている人は居る。
 それにこう言うイベントはもっとフラグを立ててから・・・
「小さい頃からの腐れ縁って言うかさ、幼馴染みってヤツだったんだが・・・って何だ?
 急に脱力したりして」
「いや、何でもない・・・」
 私の早とちりだったようだ。
「そうか。
 取り敢えず・・・この事は他のヤツには言うなよな」
「分かってるよ。
 それにしても幼馴染みが好きとか本当に有るモンなんだねぇ。
 二次元世界の中だけだと思ってた」
 しかし幼馴染みか・・・私にも居たんだろうか?
「って待てよ?
 確かアンタ改造されてるんだよね。
 じゃあその幼馴染みはどうなってるの?」
「・・・・・・俺と一緒に攫われて改造された。
 戦いが終わってからは、一度も会ってないからどうなってるか分からない。
 取り敢えず生きている事だけは確からしいがね」
 寂しそうに呟く。
「そう・・・なんだ」
 しばし無言。
 本当は家族の事とかを聞いてみたかったが、きっと碌な事になっていないだろうと思い、質問するのは避ける。
 代わりにふと気になった事を聞いてみた。
「それじゃあさ、何でその子が生きてるって分かってるの?
 一度も会ってないんだよね」
 すると彼は“しまった”と言う顔をして考え込む。
 やがて顔を逸らすと一言
「え、えーと、風の噂で・・・」
 言いにくい事らしい。
「ふ〜ん?
 まぁ、深くは聞かないでおいてあげるよ」
「ありがとよ。
 ・・・っと、俺はこっちだから」
 初日にぶつかった交差に来た所で彼が言う。
「うん!また今度ねー!」
「ああ、またな!」
 お互いに別れの挨拶をして私達は分かれた。


「思ったより普通(?)の男の子だったな、獅堂君。
 普通に喋って、普通に慌てて、普通に友達が出来て・・・普通に恋もして」
 一人歩きながら呟く。
「うん。やっぱり改造人間も普通の人と同じだよ。
 “悪い事をしたら即抹殺”なんてのは間違ってる、絶対!」
 決意を新たにする。
 不思議と今までより気分が軽くなっていた。
「よし、今日も帰ったらクロに相手して貰おう。
 今日こそ勝ってやるんだから!」
 そう決心すると、私は足取りも軽く家に向かった。


***


 時は少しだけ遡り、クロが帰った後の要家居間にて

「・・・・・・」
『・・・・・・』
「・・・一つ聞いて良いですか?」
『何でしょう』
「セレナは今の鷹音ちゃんに何をしてあげるべきだと思っていますか?」
『私は・・・基本的に何もしないつもりです』
「それは何故?」
『私には人間の心の機微は完全には理解できません。
 それに、こう言う苦境は本人の意志で乗り越えてこそ、らしいですから』
「なるほど」
『では姉さんはどうするつもりですか?』
「私ですか?
 私はあの子が抱えている問題を知っている訳じゃ無いですから。
 少しでも元気が出る様に手を尽くしてあげる位です。
 悩みそのものを、どうこう出来るとは思いません」
『そうですか・・・』
「・・・・・・・・・」
『・・・・・・・・・』
「・・・早く解決すると良いですね」
『全くです』


***


 帰ってきてから約2時間、私は自室で机に向かっていた。
 最初は、研究所に行ってクロと戦おうと思ったのだが、考えてみればテスト直前である。
 模擬戦はもっと色々落ち着いてからやった方が良いだろう、と言う結論に行き着いたので止めた。
 こんな事に今日になって気付くなんて、昨日までの私はかなり余裕が無かったみたいだ。
 獅堂君とのさっきの遣り取りで大分落ち着いのかも知れない。
 悩みそのものが無くなった訳じゃ無いけど、取り敢えず焦りは無くなった。
 強くなる為にも、まずは目の前の問題を一つずつ解決していこうと決めたのだ。
 まずは週明けの期末テストだ。
「いよっしゃぁ―――!あと三日、ラストスパートだ!!」


***


『いよっしゃぁ―――!あと三日、ラストスパートだ!!』
 その鷹音の声を、扉の向こうで聞いた巻奈とセレナは居間に引き返した。
「うーん?何か急に元気になってますね」
 巻奈は歩きながら手に持った“妹”に話し掛ける。
『学校で何か有ったんでしょうか?』
 首を捻る巻奈。
 セレナは声だけだが、彼女にも体があれば同じ反応をしていただろう。
「悩みは解決したのでしょうか?」
『或いは問題を先送りにしたのかも知れません』
「なるほど、でも余り気にしすぎて落ち込んでいては戦う時危険ですからね。
 取り敢えず元気が出ただけでも良かったと思いますよ」
『そうかもしれません。
 ですが先送りにしているだけだとしたら、また何が原因でぶり返すか・・・』
「そうですねぇ」
 悩む二人。
 その時セレナに付いている珠状のパーツが一瞬光る。
『・・・!
 姉さん、レーダーが戦闘態のキメラを感知したようです』
「そうみたいですね。
 ・・・私が行きましょうか?」
『いえ、私達が行った方が良いかもしれません。
 マスターには早めに答えを出しておいて貰うべきだと思います。
 どうもマスターはキメラがどう言う存在なのか、完全には理解していないようですし。
 出来るだけ多くのキメラと接触して見聞を広めて貰うべきかと』
 巻奈の申し出に否の意を示すセレナ。
 それを聞いた巻奈は僅かに逡巡すると
「そうですか、そう言う事なら行って貰いましょう。
 本当にこれで良いのかは分かりませんが・・・」
 そう答え、鷹音の自室に引き返して行く。
『それは良くも悪くもマスター次第でしょう。
 マスターにとっては迷惑なだけの話かも知れませんが』
 妹の言葉に複雑そうな表情を浮かべると、巻奈は目の前のドアをノックした。

***

 “コンコン”
 私が古文に頭を悩ませていた私は、部屋のドアを叩く音に思考を中断される。
「あ、巻奈さん?
 今開けるよ」
 扉と所に行き、鍵を開ける。
 案の定扉の向こうには巻奈さんが立っていた。
「ご苦労様、鷹音ちゃん。
 勉強中に悪いんですけど、キメラが出たらしいです。
 至急行って貰えないでしょうか?」
 そう言いながらセレナコアを差し出してくる。
「あ・・・え、えーと」
 いつもなら即答するのだが、今さっきまでテスト勉強中だった事。
 それ以上に前回の事がちらついてはっきり答える事が出来ない。
 口籠もる私を見て慌てる巻奈さん。
「ごっ、ごめんなさい!
 やっぱり勉強は大事ですよね・・・。
 でしたらこの前来た協力者に対処を頼みますかr「私が行く!!」!?」
 気がついたら巻奈さんの言葉に割り込んで答えていた。
 巻奈さんの言う協力者があの燃える改造人間だとしたら、今出現しているヒトが殺されてしまう。
 それは避けたかった。
「私が行くよ。
 丁度行き詰まってたし、気分転換も兼ねて、ね?」
 目を丸くしている巻奈さんに誤魔化す様に言い訳をする。
 怪しまれただろうか?
「そ、そうですか・・・。
 じゃあ、お願いしても良いですか?」
「うん」
 そう言ってセレナを受け取り玄関に向かう。
『何か挙動不審ですね。
 大丈夫なんですか、マスター?』
「うっせ!」
 セレナと問答しながら、私は家を出た。


***


「気を遣わせてしまったでしょうか・・・」
 置いてけぼりにされた巻奈は先程の鷹音の態度について考えていた。
「う〜ん・・・さっきの反応、協力者と言う言葉に過敏だった様な・・・。
 そう言えばこの間来たという彼は、四日前にした行動が原因で戦闘を自粛する様に言われたと言っていましたが、それと関係があるのでしょうか?」
 考えながら居間に向かいながら、協力者に問い質そうかと考える。
「力への執着、それに伴う焦り、協力者との関係・・・」
 ブツブツと呟きながら考える。
「力不足が原因で協力者に何かされたかのでしょうか?
 むむむ・・・抗議の意味も込めて連絡してみましょうか」
 そう決めると巻奈は携帯電話を取りだした。


***


 マシンアクセラーで現場に向かう途中、赤い光点の位置について有る事に気付く。
「セレナ、この位置と方向ってもしかして・・・」
『ええ、商店街の近くですね』
「商店街ではないの?」
『そうですね、今は商店街内ではないようです。
 しかしゆっくりですがそこに向かっています』
「うっそ!?
 急がなきゃ!」
 アクセルを捻り、加速する。


 目標に近付くにつれ、電柱や建物の一部が破壊されているのが見える。
『進路の途中にある物を壊しながら進んでいるようですね』
 やがて進路の先に、焦げ茶色の大きな物体が電柱を叩き折っているのが見えた。
 既に皆逃げたのか人通りはない。
「あれか!」
 チラッとレーダーを見ると白いと赤の光点が重なっている。
 目標に着いたと言う事だ。
『先制攻撃です。
 はねましょう』
「アンタそればっかだね・・・」
 愚痴りながらも加速、巨体に向かって突撃する。
 そして車体が当たる寸前―――
「ふんっ!!」
「嘘ぉ・・・」
 直前に振り向いた“ソレ”に正面から受け止められていた。
 更に―――
「ぉオラっ!!」
「どわあああぁぁぁぁぁ!!!?」
 私はバイクごとブン投げられ、宙を舞った。
『ああ、やっぱり・・・』
「ふぎゃっ!?」
 シートから投げ出され顔から地面にぶつかる私。
 幸い鼻血は出ていない様だ。
「いたたたたtギャンっ!?!?!?」
 そこに遅れて私の上に落ちてきたマシンアクセラーに押し潰される。
「ううううぅぅぅ・・・・・・」
 正直かなり涙目だ。
『酷い有様ですね』
「アンタこうなるって予想が付いてたんじゃないの?」
 割と怒りを込めて聞く。
『ハッハッハッハ!
 そんな訳無いじゃないですか』
「・・・・・・」

 しらばっくれるセレナを無視して何とか起き上がり、正面を見る。
「ふん?お前は最近我らが同志を狩っていると言う、白い仮面ライダーか?」
 こちらに近付きながら問いかけてくる、焦げ茶色の改造人間。
「で、でっけー・・・」
 その身長は三メートル位行ってるんじゃ無かろうか。
 全体の印象からして特性は熊だろうか。
「こちらの質問に答えて貰おうか」
「あ?・・・え、ええと、多分!」
『断言したのか、あやふやなのかよく分かりませんね』
「こうやって封印特区で暴れていれば、何者かは駆けつけるだろうと思っていたが、お前の様な奴が掛かるとはな。
 まぁ良い、後顧の憂いを少しでも断つ為に、お前を倒しておくとしよう!」
 そう言ってその豪腕で私を叩き潰そうとする改造人間=ベアファクター。
「うおっと!」
 その一撃かいくぐりながら、その腹に拳を叩き込みつつ離脱。
「ふん」
 ベアファクターにダメージがないのを確認すると、今度はセレナスティンガンをレイピアモードにして斬る。
「はっ!」
 しかしその一撃はベアファクターに当たって火花を上げる物の、切り傷にすら成らない。
「そんな攻撃ではいくら当てようとも意味はないぞ?」
 悔しいがその通りだ。
 もっと鋭い刃が居ると思った私は、ベアファクターから距離を取り、右のボックスから青いスティックを取り出しスティンガンに差し込む。
『トランスフォーム・・・ニムブルクロウ』
 再度突撃。
「何度やろうと意味は無い!」
 言葉と供に繰り出される豪腕を避けながら爪で斬りかかる。
 そして爪はその皮膚と切り裂きその肉に食い込んで行く。
「ぐぅっ!」
 呻くベアファクター、だが―――
「嘘っ!?」
 何と爪が相手の体に完全に食い込んだ所で進まなくなったのだ。
 慌てて引き抜こうとするも、完全に固定されて押しても引いても動かない。
『マスター!クロウから腕を抜いて「オラァ!」』
「!!!」
 セレナからの助言が終わる前に、私はベアファクターからの一撃で吹き飛ばされた。


“カラン”
 何かが地面に落ちた音で目を覚ます私。
 どうやら少しばかり気を失っていた様だ。
「く・・・・・・う、う」
『マスター、大丈夫ですか?』
「ちょ、ちょっとクラクラするけど何とか行けると思う」
 答えながらも何とか起きる。
 見回すと近くにニムブルクロウが落ちている。
 さっきの音はこれが投げ捨てられた音の様だ。
 ベアファクターは私を倒したと思い込んでいるのか、再び商店街に向かってゆっくり歩いている。
「・・・でもどうすれば良いんだろう。
 今までの手段じゃ有効なダメージを与えられないよ・・・」
『・・・・・・』
 セレナは答えない。
「やっぱり・・・」
 ふと弱気が首をもたげてくる。
「私じゃ無理なのかな」
『・・・』
「私なんかの力じゃ悪い改造人間からこの町を守るなんて無茶だったのかな」
『ならどうするんですか?
 止めますか?』
 突き放した様な、心なしか冷たい口調のセレナ。
「・・・・・・」
 私は答えられない。
 四日前に起こった事が、私の中の何かに大きな傷を付けてしまったのだろうか。
 以前程はっきりと思いが定まらない。
 初めて変身した時の様に心が昂ぶらない。
『まぁ、好きにすれば良いのではないでしょうか?
 確かに“貴女”が戦い始めた当初は、貴女しか戦える者は居ませんでした』
「・・・・・・」
 確かにそうだ。
 あの時は私しか居なかったから、私だけが戦えたから・・・
『ですが、今はあの時とは違います。
 私以外の装備も、既に幾つか解放されています。
 貴女が無理をする必要は、もうありません』
「・・・・・・・・・・」
 それも確かなのだろう。
 あれから一週間以上が経った。
 実際に他の地域でも既に解放された装備が使われていると聞いている。
『それにこの件を知れば、この前の“彼”もあのキメラを倒す為にやってくるでしょう』
「!」
 そうだった、私が諦めればきっとこの前の炎を使う改造人間が、こいつを殺しに来るかも知れない。
 そんな事は許せないと再確認したばかりじゃないか。
 胸の奥に火が点る。

『では、もう諦m「ダメだ・・・」?』
「そんなのダメだ。
 ・・・もう私の前で改造人間を殺されて堪るか。
 誰かの命を奪われて堪るか!」
 はっきりと答えが出た訳ではない。
 誇れる様な主張がある訳でもない。
 それでも、許せない事だけはハッキリしている。
『なら、どうするのですか』
「私が倒す。
 アイツにやられる前に、あの改造人間が誰かを傷付ける前に私が倒してやる!」
 そう宣言してふらつきながらも立ち上がる。
「?」
 私の声に気付きベアファクターが振り向く。
『しかし奴を倒す方策は有るんですか?』
 私ではダメージを与えられないと油断しているのか、ベアファクターの接近する速度は遅い。
「鋭い刃じゃダメってんなら、パワーでぶっ潰す。
 セレナ、アンタの事だからどうせ黙ってるだけで、パワータイプのモードもあるんでしょ?」
『・・・フゥ、やっと気付きましたか・・・“マスター”。
 前もそうでしたけどマスターは本当に血の巡りが悪いですよね』
 相変わらず馬鹿にした様な口調だが、何処か嬉しそうなのは気のせいだろうか。
「五月蝿いな、むしろ黙っているそっちの方が問題でしょうが。
 さっさとやり方出してよ」
『はいはい』
 バイザーに案内が表示される。
 それに従い、バックルの輪を紫色の部分が上になる様に回し、押し込む。
「何をする気だ?」
 訝しむベアファクター。
 カチリという音と共に珠から出た紫色の強烈な光は私の全身を包み込み―――
『クラッシュモード』
 セレナの声と共に弾けた光の中から私は、新たな姿に変化していた。


『今回も上手く行きましたね、流石私』
 セレナの自画自賛をスルーし、私は自分の姿を確認する。
 装甲の各所が角張り、何となくブロックで作られた様な印象に変化している。
 両腕には手の甲側に紫の六角形の盾が装備されている
 また、ニムブルモードで青いラインが入ったのに対して、クラッシュモードには紫のラインが入っており、バックルの珠も紫色に変化している。
 姿の確認が終わった私は、一度拳を打ち合わせてから腰を落として構え、近付いてくるベアファクターを見据える。
「さ、仕切り直しだよ。
 さっきまでの様には行かないと思うからね」
「ほう、性質を変えたと言う事か」
「そゆこと」
 もう両者の距離は殴り合いが出来る所まで縮まっている。
「ふんっ!!」
「だっ!!」
 先に仕掛けたのはベアファクターの方だった。
 私は左腕で頭部をガードしつつ、一瞬遅れて反撃する。
 左腕に衝撃、右拳に手応えを感じるのはほぼ同時だった。

「っぐぅあ!?」
「むぅ!」
 ベアファクターは体勢を崩し数歩下がる。
 対する私は何とか受けきる物の、左腕が痺れた。
「このパワーは・・・・・・」
「っつ〜。痺れた・・・。
 でも、これなら行ける!」
 戦くベアファクターと痺れを取る為に左手をブラブラ揺らす私。
「さて、条件が対等になった所で少し質問なんだけど」
「ほう?
 応え得る義理はないが、良いだろう。
 冥土の土産に答えてやる」
「まず、アンタはCCC団?」
「そうだな、一応所属している」
「暴れる理由は何?」
「キメラと、それに対抗する力が集まる封印特区で暴れれば何者かは接触してくるだろう。
 話の分かるキメラならスカウト、その他ならば排除だ」
「それだけ?」
「それ以外に何がある?」
「そっか・・・」
 ニムブルクロウを拾い、スティックを引き抜く。
 それを右のボックスに戻し、紫のボタンを押す。
「じゃあ、アンタを止めるのに躊躇う必要は無いね」
 出てきたスティックを引き抜き、それを元に戻ったスティンガンに差し込む。
 するとスティンガンが紫に輝き、その形を変えて行く。
「今度は何だ?」
 やがて変化が止まる。
『クラッシュハンマー』
 光が消え、新たな武器が姿を現した。


 紫色の長い柄。
 途中には滑り止めとナックルガード、そして引き金の付いたグリップ。
 先の方にはハンマーが有り、丁度叩いた時に相手に当たる部分には大きめの凹みがある。
 そしてハンマー部の更に上には鎖で繋がれた、黒い大きな鉄球が付いている。
 そのフォルムはまるで―――
「「けん玉ぁ!!?」」
 見事にハモる私とベアファクター。
 柄は細い物の、それは正に紫色の巨大なけん玉だった
 柄の反対側、石突きの方をよく見ると、三角錐型のパーツが付いている。
 きっとこのパーツの裏にも凹みがあるのだろう。
『剣玉じゃありません、クラッシュハンマーです』
 何か不機嫌そうな声のセレナ。
「いや、どう見てもでかいk『クラッシュハンマー!!』うわぁ!」
 こんなセレナの大声は初めて聞いた。
「わ、分かったよ」
『このクラッシュハンマーは接近専用のハンマーにフレイルを追加した物で、近距離と中距離で有効です。
 鉄球のロックは引き金を引くと外れますから』
「了解!」
 バイザーのスピーカーからの解説に応え、ハンマーを握り直して振りかぶり、ベアファクターに相対する。
 キョトンとしていたベアファクターも私の様子に気付き、構え直す。
「えいやっ!」
 かけ声と共にハンマーを振る。
 距離が空いているのにハンマーを振る私を不審がったのか、ベアファクターの構えが緩む。
 だが途中で私が引き金を引くと、“カチャン”と軽い音がして、鎖に繋がれた鉄球が柄の先端からすっぽ抜け、正面にすっ飛んで行く。
「!?グファ!!」
 鉄球は面食らったベアファクターのアゴに命中する。
 勢いで跳ね返った鉄球を引き戻し、けん玉の要領で柄に刺す。
 そして接近して右から殴りかかる。
「おりゃぁあ!!」
「なんnブフォァ!?」
 私のスピードが下がっている為ベアファクターのガードが間に合うが、お構いなしにガードの上から殴り飛ばす。
 衝撃で左に流れるベアファクターの体を、今度は左から殴る。
「ふんっ!!」
「ゴフォぉ!!」
 右に流れた体を今度はまた右から
「えいっ!!」
「ブッ!!」
 更に左から
「りゃっ!!」
「むぎょっ!!」
 今度は右、お次は左、更に右、また左、右、左、右、左、右、左、右、左、右、左・・・・・・・・・
「ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!」
 かけ声も作業的になってくる。
「ぐはっ!ぐはっ!ぐはっ!ぐはっ!ぐはっ!ぐはっ!ぐはっ!ぐはっ!ぐはっ!ぐはっ!」
 何故かベアファクターの悲鳴も作業的になってくる。
 作者が一々考えるのが面倒臭くなったから、コピペで済ませたとかでは無い、断じて。
「はあっ!!」
 止めに上から脳天に振り下ろす。
「?!!!・・・グ・・・むぅ」
 “ゴィン!”とモロに喰らったベアファクターは片膝を付き、上半身はフラフラのグロッキーな状態だ。


「よし、止め行くよ!」
 恒例のバイザー表示に従い、鉄球を跳ね上げ、それをけん玉の様にハンマーの凹みで受け止め、その状態でグリップの所に有るスリットにバックルから抜いたキーを差し込む。
『イグニション』
 “ガチャン”と鉄球がハンマーに固定され、反対側のハンマーが展開して中からロケットブースターが出てくる。
『これで殴ってください。
 トリガーを引くとブースターが点火します』
「何かジェット・スマッシュと被ってない?」
『それは今気にする事じゃないでしょう』
 そりゃそうだ。

 気持ちを切り替え、未だふらついているベアファクターに向かって駆ける。
 距離が詰まった所で思いっきり振りかぶり、引き金を引きながらフルスイング!
「ぶっ飛べええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「おごあっ!!!」
 私のスイングとアフターバーナーで加速されたハンマーは、ベアファクターの腹部にクリーンヒット、そのまま振り抜く。
 勢いのまま、巨体が道路の上をすっ飛んで行く。
 途中で何度かバウンドしながらも、数十メートル飛んだ所でようやく止まった。

「ほえ〜飛んだな〜」
『まぁ、あれ位しないと嬲り殺しにするしか無くなりますからね』
 飛んだ跡は少しばかり酷い有様だ。
 途中でバウンドした路上には小さなクレーターが出来て、自動車が普通に通るのは無理だろう。
 その上、空気抵抗による衝撃波で、両側の塀のあちこちにヒビが入っている。
 自分のもたらした惨状に些か辟易しながら、今回も倒したまま放置していたマシンアクセラー跨り、倒れたベアファクターに近付く。
 すぐ傍でバイクを止め、収納スペースから制御リングと毛布を取り出し、ベアファクターに掛けようとした時それは起こった。

 思い出したかの様にベアファクターの全身にヒビが入り、爆散する。
「しまっ」
 このままではモロに見てしまい、私の精神に深いダメージを食らってしまう、そう思った時
『モザイクフィルター、ON』
 そんな声が聞こえ、何か幕の様な物が私の視界を覆った。
 そして爆散したベアファクターの中から出てきた物は
「え?」
 何か肌色のモザイクの掛かった謎の物体だった。
「え?あれ?セレナ、何かした?」
『すっかり忘れてましたが、これも前の改造で追加された機能です。
 任意の物体にモザイクを掛けてマスターの精神を保護する物ですよ』
 得意げな声のセレナ。
「何か今までで一番有り難い機能な気がするよ・・・」
 本気でそう思いながら、私はモザイクが隠れる様に毛布を掛けた。
 大柄なのか毛布の上と下からモザイクがはみ出している。
「フィルター外して」
『了解』
 さっきとは逆に、視界を覆う幕が晴れると共にモザイクも晴れる。
 毛布からはみ出ているのは頭と脚の先だった様だ。
 ちょっと安心。

「よし、改めて封印だ」
 慎重に毛布を捲り、首にリングをはめて起動させる。
 そして以前の反省を生かし、変身前にマシンアクセラーの収納スペースに入れておいた携帯電話で警察に通報する。
「うん、これでOK!
 じゃあ、帰ろうか」
『そうですね、ご苦労様でした』
 警察への説明を終えた私は携帯を閉じて仕舞い直し、シートに跨る。
「発進!」
 アクセルを捻り、私達は家に向かって発車した。


***


「ええ、はい、ありがとうございました。
 それでは“ピッ”
 ふう・・・」
 巻奈は電話を切り机の上に置く。
 今まで“協力者”に確認の電話をしていたのだ。
(なるほど・・・何となくですが、鷹音ちゃんの悩みが分かりました。
 ですが、やはりこれは鷹音ちゃん自身がどうにかするべき問題かも知れません)
 自分ではありきたりな助言しかできない。
 だから自分に出来るのは、彼女が答えを出すまで心が折れない様にサポートする事だけだ。
(頑張ってくださいね、鷹音ちゃん。
 貴女自身の為にも・・・)
 そう、祈る様に思うのだった。


***


 とあるマンションの一室で少年は頭を抱えていた。
 その空間で彼はさっきまで、四日前に関わった白い少女の関係者からの電話に応えていたのだ。
「うぅ・・・やはり無茶をしすぎたか・・・。
 隊長からは戦闘を控える様に言われるし、さっきの人からは愚痴を言われた上に根掘り葉掘り聞かれるし。
 手ぇ出さなきゃ良かったかも・・・」
 ソファーに座り込みながら、彼はひたすら後悔していた。


***


 戦闘から帰ってバイクを格納庫に戻し、徒歩で家に帰る途中でセレナが聞いてきた。
『マスター、答えは出たのですか?』
「何の?」
『戦う理由ですよ。
 戦う理由が無いのなら、戦いを止めれば良いじゃないですか。
 そうすればこの間の様に悔やむ事も無いのに』
「・・・そうだね、ホントの所まだハッキリ理由が見つかった訳じゃ無いんだ。
 でも・・・許せない事だけは分かったから」
『許せない?』
「改造人間に普通の人達が傷付けられて、それでお互いが憎み合っちゃう事。
 あと、この前みたいに悪い事をしたからって、簡単に改造人間が殺される事。
 取り敢えずこの二つの事が許せないかな。
 少なくとも私の近くでこんな事は起こって欲しくない」
 まだあやふやだが思った事をそのまま答える。
『そうですか・・・。
 まぁ、良いんじゃないですか?
 戦闘中に悩んで私を巻き込んだりしないなら、問題有りません』
「それ自分の為って事?」
『そうなりますね』
「ひっどいな、AIの癖に」
『マスターこそマスターの癖に生意気ですよ』
「そりゃどう言う意味だっ!?」
『あはは、それで良いんですよ』
「え?」
『深く悩むなんて“貴女”らしくありません
 そうやって単純な方が“マスター”らしいです。
 理由なんて戦ってれば後から着いてくる物ですよ』
「セレナ・・・・・・アンタ」
 ちょっと感心した。
『と言う感じの遣り取りをこの間学習しました』
 思わず脱力する。
 感心して損した・・・。
「は、ははは・・・セレナもその方がセレナらしいよ」
『いやぁ、それほどでも有りません』
「褒めとらん・・・」


 そうこうしている内に家に着く。
 変身前にマシンアクセラーに携帯電話と一緒に納めておいた鍵を使い家に入る。
「ただいま〜っと。
 ・・・・・・・・・あれ、巻奈さん居ないのかな?」
 誰も返事をしてこない。
『最近マスターがよく食べるからって、頻繁に買い物に行く様に成りましたからね』
「最近よく出掛けると思ってたけど、私のせいだったのか・・・」
 割とショックだ。
「仕方ない、変身解くか」
 ベルトを外すと、まずセレナの珠が元の白色に戻、その後スーツが光って、元の服に再構成される。
「ふぅ・・・っておろ?」
 服が元に戻った事を確認し終わるや否や、体に力が入らなくなって倒れてしまう。
 いや、力が入らないと言うより全身が強張って殆ど動かせない状態だ。
 いつもの反動かと思ったが、意識はハッキリしているし、空腹感もそこまで酷い訳じゃ無い。
「ど・・・・・・どーなってんの!?」
『あー』
「何だ!?また何か説明し忘れてたのか!!?
 テメーらはいつもそうだな!!!
 いい加減学習しやがれ!!!!」
『マスター、口調が「さっさと説明しろぉ!!!!!」・・・ハイ』
 大人しくセレナは話し始めた。

 簡単に言うと、クラッシュモードはスーツの出力だけでなく、私自身の筋力も引き上げているらしく、結果発動中は全身の筋肉に大きな負担が掛かるらしい。
 幸い筋肉が強張ったり筋肉痛になる以上の反動は無い為、命の危険はないのだが、変身を解くと筋肉疲労が一気に押し寄せてくる為、一時的に動けなくなるんだとか。
 因みに慣れると、段々平気になってくるらしい

「くそっ!あの変態オヤジが!!」
『ですが役には立ったでしょう?』
「・・・・・・」
 認めたくないがそれは確かだ。
「って、前もって警告する位の気は利かせろって言ってるの!
 畜生、許せねぇ――――!!」
『まあまあ』
「オメーも同罪だ!」

 そのまま私は三十分後に巻奈さんが帰ってくるまで、玄関に倒れたまま喚き続けた。

***

『あ』
「今度は何?」
『きっと明日は全身酷い筋肉痛に成ると思いますよ』
「・・・・・・」


第七話 完
@PF
2009年04月10日(金) 03時46分45秒 公開
■この作品の著作権は@PFさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
こんばんは、@PFでございます。
この前車とぶつかりました。
これで人生で四回目の衝突事故です。
幸い殆ど傷も無く、壊れた物も無かったので相手の携帯番号を聞いてその場を終えました。
皆も車には気を付けてね!

アレ?おかしいな。
セレナの外道成分が減少している気がするんだが・・・。
気のせいだろうか?

今回は“鷹音ちゃん取り敢えず悩む”、“クロが仮面ライダーより強くなっていた”、“クラッシュモード登場”の三つがテーマです。
え?二つ目のはちょっとだけだったって?
まぁ、順当に行けば四回後の話でクロとの模擬戦を書こうかなと思っているので、その伏線的な感じで・・・。
鷹音の悩みは解決しては居ませんが、取り敢えずゆとりは持てる様になった感じです。
ぶっちゃけもう答え出てんじゃね?って感じかも知れませんが、本人が自覚していないので出ていません。
ジャックフォーム直前の剣崎みたいな感じですかね?うろ覚えですけど。

そしてどんどんやっつけになって行くあらすじ・・・。

来週のテーマは“鷹音ちゃん、筋肉痛に苦しむ!”と“巻奈さん頑張る!”の二本で行こうかなと思っています。
え?「言ったからには守れよ」?・・・・・・まぁ、予定は未定と言う事でw
ああっ!やめて、物を投げないでください!


ふぅ、ではレス返し行きます!

>DarkMoonNightさん

>あらすじ

これに関しては結構手探りというか、行き当たりばったりというかw
その内ディケイドみたいに台詞を抜き出して並べる、なんて物もやってみたいかな

>吹いたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
>やべぇ、AIセレナが可愛く見えてきた・・・・・・

何となく幼馴染みを起こす女の子ってのを書いてみたいなー、と思ったのですが「設定的に無理!」でしたのでこんな感じになりました。
可愛いと思って戴けたなら取り敢えずは成功かな?

>お約束のパターンだが、へたれな鷹音ちゃんが面白いぜっっ!!
>しかし、気になるのは柚乃っちの話す内容でもあるんだぜっっ!!

自分なりに人付き合いが苦手な子を意識してやってみました。
柚乃の話に関しては深く考えている訳ではないんですけどね(汗

>>クロちゃん
>・・・・・・うん、気持ちはわかるんだ・・・・・・けれど、そんなことに力を使うなら、セレナの改良が先でしょうがっっ!!
>このままじゃ鷹音ちゃんの食費でやばいことになるぞっっ!!しっかりしろ所長!!

可愛く言えば抜けている、悪く言えば自分の欲望に正直な人なのですよ>所長w

>>フレイムファクター
>言っていることはわかるんですけどね・・・・・・セレナの言い分も正しいものがある。
>いずれ改心することになるのか・・・・・・?
>正体はなんとなく想像つきますけどね。

殆どの人が自分の正義に従って動いています。
当然それぞれに主張がある訳で・・・。
まぁ、彼の考えが変わるかどうかはその内と言う事で。

>というか、最後で鷹音ちゃんのお兄さんみたいなイメージがわいた俺は何なんだ!?

その発想は無かった・・・


>レアキャラ・八兎ジャックさん

>やめてー。それは下手すれば窒息死するわー。(棒読み
>世の中には自分で凍らせたこんにゃくゼリーを子供に与えて殺しといて
>それで会社に損害賠償請求する害虫レベルのバカもいるんだからー。(謎

まぁ、そうですね。
嫌な大人が増えた物です。
巻奈に関しては、優しく流し込んだ感じで一つw

>相変わらずステキAIで好きだなーセレナちん♪ 一家に一台!

なんか時々妙に人気だな、このAIw

>いやその鷹音ちんいかにキミがハラペコキャラかつ
>朝はちゃんと食うべきとは言え、フレンチトーストで4枚は食べすぎw
>……太るぞマジで?

鷹音「はっはっは!改造人間は体内のナノマシンがあれやこれやしてくれるお陰で、体形が崩れないのだ!」
セレナ『胸も成長しませんね』
鷹音「・・・・・・(泣)」
因みに最終的には六枚食べました。

>謎の転校生とのフラグ

取り敢えず友情フラグは立ちました。
最終的にこの関係がどう変化していくのかはその時のお楽しみ(?)と言う事で・・・
恋愛フラグは立たない予定ですがw

>「洗練された技術に、如何に無駄な要素を付加できるかどうかが科学者の才能であり業なのよっっ!」

所長「全くだな。“遊び”のない技術程詰まらん物は無い!
 “応用”とは無駄から生まれる物だと私は思っているのだ」

>このセリフでえっちな方面を想像した俺様は鷹音ちんにぶん殴られる前に逃げるので、ではまた。(ぉぃ

まぁ、流石にそっち方面の事をするのは、キメラの姿じゃ無理なので・・・w
しかし中にはそう言う事された子もいる可能性は無きにしもあらず(マテ


>YPさん

>もう変“身”ベルトじゃなくて変“態”ベルトに改名しちゃいなYO!
>DX変態ベルト、セレナ! 税込み3490円! みたいな?
>というか、鷹音ちゃんを起こすのになぜ“萌え”を選択したんだぜ……w

所長「ほう、我が研究所の資金源として考える価値はありそうだな」
巻奈「止めてください、お父さん。どうせ一部のマニアにしか売れませんから・・・」

>とりあえず登場もしていない所長さんがどんどん変態キャラになっていくのはいいんでしょうか?w
>だが『ボクっ娘萌え!』には全力で同意します。

所長「変態ではない!求道者と呼んでくれたまえ!!あと、私の想いを理解してくれてありがとう!!!」

>>動いたら撃つ☆YO
>外道だ! バックを取って銃を突きつけるとか、本気で外道だ!?
>しかし鷹音ちゃんはフォームチェンジを上手いこと使ってるなぁ……。

鷹音はむしろ余り戦いたがっていませんから。
戦わずにケリが付くなら卑怯でも良いと思っていたりしますw
因みにセレナが体を動かせたら、質問無しで問答無用で撃っちゃいますから外道レベル的にはまだまだw
フォームチェンジに関してはそう言って戴けると光栄です!
必死こいて考えた甲斐がありましたw

>鷹音ちゃんの過去に関わるキャラがようやく登場。
>……ようやく? セレナってまだ六話じゃね? 早くね? ……面白いからいっか!(ぉ

う〜ん、自分も早いかなーとも思ったんですが、役職の設定上余り遅くなるのもどうかと思ったのでこのタイミングでw
それに今回の話でも出ている様に、彼はしばらく積極的に戦闘が出来なくなりましたから・・・。
その間は日常パートと、暗躍者としての役割ですかね。
飽くまで自粛であって禁止ではないので、絶対ではありませんが。

>で、フレイムファクターさんはどうもキメラのことがめちゃめちゃ嫌いみたいですネ。

より正確に言うなら、能力を犯罪に使うキメラに対して殺意を抱く感じですかね。
正義感と憎悪が結びついてエラい事になっている感じです。

>PV付きCD

キイィィィィィィィ!!(ハンカチを噛みながら)
皆上手い事やりやがってぇ!
くそっ、何で俺あの日にバイト入れちゃったんだよぅ・・・(泣


今回なんか心理描写が甘い感じがするので、意見があったら仰ってください。
あと、ベアファクターの暴れる理由が無理矢理かも(苦笑
練習がてら、大幅には無理ですが、多少なら修正してみます。

設定では金曜日の話なのに、鷹音と灰斗の別れ際の台詞が「また明日」と成っていたのでちょっと修正。

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あぢぃ……つい先日まで寒いなぁとか言ってた自分をボコボコにしてやりたい気分ですとも。
てか、早いとこ“はちみつ”も“ぶれいど”も“G”も書かなきゃイケナ感想かきますネ!

>鷹音ちゃん、悩んで迷って答えを出すのコト
平成ライダーって割と“何のために戦うのか”ってトコに重点おきますよネ。
ただとある方が「答えはいつも平凡にしかならない」って言うように、そろそろ解答バリエーションが尽きてきた気も。(苦笑
それでも決意 → 覚醒 → イベント補正で敵をボッコボコってのはいいモンですよね。
萌え、もとい燃えますのよー。

>変態ベルト
さすがに七話にもなるとキャラが固まってきました。
……元からこんなんだった気もしますが。
なんだかんだ言っても、セレナは鷹音ちゃんのコト大事に思ってるんだなぁw
ところで女性格なんでせぅか、セレナはん?(わぴたんはガチ関西人)

>けん玉モード
まさかパワータイプウェポンがけん玉とはw
ちなみにわぴたんはけん玉をしたことありません。

>獅堂灰斗
“獅”に“灰“……はたして彼の正体とは?
【 註:しらじらしすぎ。いゃこれがブラフだったらスゴイですがw 】
まぁ小ネタはおいといて、イケメンかぁ……がっでむ!

でわ、今回はこの辺で。





>車に跳ねられたんだ☆ZE
あー、ご無事でなによりです。
交通事故っていうのは怖いものでしてねー、下手すりゃ死んじゃうこともあるんでねー、お互い身体は大事にしなきゃですねー。
さて、今から放射線治療としゃれこむか!
50 YP ■2009-04-09 14:44:46 proxy20064.docomo.ne.jp
カツカレーうどん定食の回からご無沙汰と言う狂気、ひだりでございまーす!おさかなくわえたドラね(略

前回、フレイムファクターに完敗してしょんぼり煩悶ingの鷹音ちゃん。
>「つまり、人に害をなすキメラを〜〜〜
「正義」にどれだけの正当性があるか、と言うのは凄くデリケートな問題ですよぬ。
正義と悪の二元論じゃあ片付けられないこんな世の中じゃ、って感じです。
鷹音ちゃんがキメラであると言うのもなんか王道+社会派(?)な苦悩で、良い意味での「イマドキのライダー」と言う印象を受けました。

>獅堂灰斗くん
>「ああ・・・みんな良い奴だよ・・・・・・・・・・・・からこそ、ゴミは・・・・・・」
むむう、先述の、「正義の正当性」をキメラ側から振りかざす暴走自浄キャラ……?
これももう少しすればもっとハッキリキャラクターが見えてきますかね?かね?

>『クラッシュハンマー!!』
セレナさんハッスルするの巻。なんか無性にツボりました。
こんだけプッシュする理由とはなんぞや……剣玉のフォルムはセレナさん発案だとか?
皆さんにさんざ言われた後ですが、ホンマええキャラしとるでセレナはん(エセ関西人)。

>「ど・・・・・・どーなってんの!?」
>『あー』
>「何だ!?また何か説明し忘れてたのか!!?
> テメーらはいつもそうだな!!!
> いい加減学習しやがれ!!!!」
>『マスター、口調が「さっさと説明しろぉ!!!!!」・・・ハイ』
鷹音ちゃんハッスルするするの巻。
こういう崩し方が出来るキャラは素敵だし美味しいなあ。キー(嫉妬)!!
余談ですけど自動車学校に通い始めて400ccのバイクに乗り始めたひだりですが、
未開拓の筋肉使いすぎて全身痛いです。これってトリビアになりませんか。なりません。

んだば今日はこの辺りで、アディオスアミーゴ!



………………ディケイドのOPのDVD付き?
ハハッ、予約余裕でした!(サムズアップ)
50 ひだり ■2009-04-09 00:55:18 p5193-ipbfp204takakise.saga.ocn.ne.jp
ども〜!!DarkMoonNightです〜感想行きますぜっっ!!

>クロちゃん

意外な強さ判明っっ!?でも、鷹音ちゃんもいろいろ余裕が無かったし、これからはどうなるのやら・・・・・・いまさらながら、僕っ子はいいですね。

>フラグ(?)
ある意味お約束だな!!しかし、“幼馴染”か・・・・・・

>悩み

とりあえず立ち直ってよかったよかった・・・・・・かな?

>クラッシュフォーム

色、武器でキバドッガフォームを連想しましたが・・・・・・巨大けん玉だとっっ!?使いこなせればおっそろしい武器じゃねぇか・・・・・・余談ですが、ハンマーと聞くと某勇者王が思い浮かんだり・・・・・・

>ラスト

・・・・・・新フォームが出るたびにこんななの?鷹音ちゃん、全身筋肉痛はきついぞ〜

しかし、5フォームといっていたな・・・・・・残りを考えると、“感覚強化フォーム”、“対空フォーム”、“潜水フォーム”・・・・・・かな?多分最後の二つは外れていると思うけど・・・・・・

それでは、今回はこの辺で・・・・・・
50 DarkMoonNight ■2009-04-07 09:05:41 61.127.191.3
合計 180
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