仮面ライダーバルキリーたん 第10話「The Raging wind」 |
5月30日 AM3:30 坂の上団地5号棟 103号室(ビショップの家) ―夢を見ていた。 ―まず視界に広がるのは突然空を割ったように白い光が降り注ぎ、やがてそれが爆発する。 何もかもが白い光に包みこまれていく。 そして、見えなくなる。 何もかもが包まれていく・・・。 空気が震える。 大地が震える。 やがて、それが静かになり、恐る恐る瞳を開く。 そして、目の前に広がる変わり果てた光景に目を見開き、唖然とする。 空に広がる黒い穴が周囲に渦を巻いてあらゆるものを飲み込んでいく。 それは巨大な竜巻と化していた。 そして、赤茶けた空の所々で赤紫色の電撃がいくつも音を立てて荒れ狂い、雷が落ちて紫色の炎が舞い上がり、地面を焼き尽くしていく。 やがて地面は枯れ、乾き、砂塵へと変える。 ビショップは突然起こった事態に思考がついていけず、放心状態で荒れ果てた世界を前に座り込む。 そこにはもう、何もない。 全てを「無」に帰すべく、飲み込まれて消えていく。 もう止めるすべもない。 そこにはかつて、自分たちが築き上げてきた楽園はなかった。 なくなってしまったのだ。 「存在」そのものが消滅していく。 かつては栄華を極めたファンガイア一族。 自分もその一族を支配し、治める役割を担う選ばれた4人の上位クラス。 「チェックメイト・フォー」であった。 ビショップの役割は「全てのファンガイアの在り方を管理する」こと。 その類まれなる莫大な知識と統率力でビショップはこれまで数多くの戦いや異種族同士の諍い、そして一族内における支配をこなしてきた辣腕の策士である。 ファンガイアの一族の繁栄のために、そしてその進化及び在り方を統制するべく、どんな汚い策であろうとも、どんなに汚れた役目であろうとも、彼女はこなしてきた。 そうやって築き上げてきた、永遠の安息と平和が約束された世界を作り上げてきたはずだった。 そのはずだったのに。 ビショップ「・・・・・またあの夢ですか」 ビショップは全身から汗をかき、荒く息を吐きながらベットから起き上がった。 シーツや彼女が来ているネグリジェには汗でべっとりと沁みつき、官能的な肢体に張り付いてくるネグリジェが扇情的な雰囲気をかもしだしている。 ゆっくり起きて、部屋を出ると声をかけられた。 ルーク「おい、大丈夫か?かなりうなされてたけど」 台所に行くと、ちょうどルークがコップにミネラルウォーターを注いでいたところだ。 心配そうな様子でビショップを見ている。凛凛しい顔立ちがどこか不安そうだ。 ビショップ「ルーク。ごめんなさい、起こしてしまいましたか」 ルーク「気にするな。ほい、水」 ビショップ「ありがとうございます」 ビショップが受け取ると、一気に飲み干す。 ビショップ「ふう・・・」 ルーク「お代わりするか?」 ビショップ「いえ、結構。ありがとうございます」 ルーク「おう、それじゃ後でコップ洗っとくわ」 そういって、ルークが煙草を取り出して火をつけると、窓際に立って換気扇の近くで吸い出す。お気に入りの煙草の甘くほろ苦い煙を吸って、ふうっと吐き出す。 ルーク「・・・・悪い夢でも見たか?」 ビショップ「ええ、また、あの夢」 ルーク「・・・・そうか。まあ、無理するなよ。お前、最近公園の調査だけじゃなくて、大学の講義とか論文とか色々忙しいんだからさ。それでぶっ倒れちまったら大変だろう」 ビショップ「・・・お気遣いありがとうございます。でも、あの公園の一件は何としてもケリをつけないと。あの公園にはまだイマジンがいる。この間倒したと思っていたけど、あれだけじゃないんです」 ルーク「分裂型だったってやつか」 ルークが煙草の煙を吐いて、顔をしかめる。 ビショップ「ええ。倒したはずなのに、また公園で気配を感じたとなると、そういうことでしょう。いずれにせよ、またあの公園であのイマジンと契約した契約者を見つけださないと、奴らがいつ過去に飛んでしまうか分りません。何としてもそれは阻止しないと」 ルーク「・・・そうだな。でも、今日は講義休みだろ?ルークがちょっと様子見てくるから、少し休んだ方がいい。何かあったらお前かキングに連絡するからよ」 ルークがビショップを優しく諭すように説得すると、ビショップもこくりと頷いた。 ビショップ「・・・・分かりました。ルーク、申し訳ありませんが、公園の調査お願いいたします。何か分ったら連絡下さい」 ルーク「ああ」 ルークが短くなった煙草を口から外すと、ぎゅっと握り潰して煙草の火を消した。 Vライナー ラウンジ 朝方。 慧がVライナーに来てみると、昨日の騒ぎの凄まじさの割には奇麗に片付けてあった。 というのも、ラウンジのソファで死んだようにぐったりと寝ている琥珀のおかげである。 徹夜で掃除をしてくれていたらしい。 律儀にも掃除用具を片付けたあとで、力尽きてソファで果てたそうな。 慧「・・・・琥珀さんお疲れ様。というか、琥珀さんがいないと、ここ、どうなっちゃんだろう」 近くでは。 全身包帯と絆創膏まみれとなった傷だらけのルーベットとトパーズがソファですっかり爆睡し、慧が近くに寄っても全く気付かないほど深い眠りに落ちていた。 ルーベット「zzz・・・・・」 トパーズ「ルーベットのアホウ・・・・・zzz・・・」 慧「今日は私だけで捜査しようかな」 そう言いかけたその時だった。 「いやいや、それは水臭いんじゃないかな?慧ちゅわん」 「そうですなー」 一番手がかかる奴らがいた。 振り返ると、そこにはサファイアとエメラルドが立っていた。 サファイア「こういう時こそ、お姉さんにお任せあれでしょうよ」 エメラルド「こういう時こそ、頼れる妹分の出番でしょうよ」 慧「騒ぎの張本人が何を寝言こいてるんですか。というかサファイアさん、怪我とか大丈夫なんですか?」 サファイア「ふっ、愛の力は無限大だよっ!!ルーベットくんの蹴りも、トパーズくんの鉄拳も愛あればこそのあたしへのアプローチ。ああ、そう思うとハッピーだよねぇ。痛みがやがて快感に変わっていくのさっ!!」 エメラルド「サファイアってさ、変態以前に、バカだよね」 慧「否定したいけど、出来ません・・・・」 サファイア「はっはっは、王子は美しい姫の前では誰でもバカなのだ」 子供の夢とか乙女の憧れとかをぶち壊すこと間違いなしの発言を恍惚とした表情で高らかに言ってます。最高にバカなイマジンである。 慧「うう・・・・何も起こらないことを祈るしかないよぅ・・・」 サファイア「ふふっ、慧、君のことはあたしが守るよ。その美しい顔立ち、透き通るような白い肌、ぱっちりとした瞳、濡れた唇、抱きしめたら折れてしまいそうな華奢な体、誰にも渡せない・・・そう・・・・あたしのものだから」 慧「いつからあんたのものになったっ!?私は・・・えぐっ・・・ぐすっ・・・・私は私のもんだああああああああああああああああああ!!!!!」 慧の悲痛な叫びが時の砂漠に響き渡ったという。 AM10:30 生物準備室 生物の授業が始まる前の準備室に実験器具を取りに行った慧と晶が昨日のことを話し合っていた。 晶「それじゃあ、今日はサファイアさんと行くことになっちゃったの?」 慧「必然的に。ルーベットとトパーズは怪我してるし、エメラルドは夜眠いだろうし・・・」 晶「うーん、少し不安だよね。でもさ、サファイアさんだってそうそうセクハラばかりじゃないよ。信じて・・・あげようよ」 慧「そんな不安そうな表情で言っても説得力ないよ・・・」 晶「サファイアさんってさ、慧のこと励ましてあげたり緊張を和らげてあげようとしているんだろうけどね。何て言うか、遠足の前の子供って感じなんだよね」 慧「遠足の前の子供?」 晶「ほら、小学校の時とか遠足が楽しみで、前日に準備とかしてただろ?テルテル坊主とかさ」 慧「うん、そうだね」 晶「でもさ、世の中、雨が降らないと困る人がいるってこと、分かってないんだよ」 慧「すごく分りやすいね。それにサファイアさんのこと、フォローも忘れてないし」 晶「サファイアさんが悪い人だったら慧だって放っておかないでしょ?晶だって分かるよ。ただ、ちょっとセクハラやイタズラが過ぎるだけだし、本当はいい人なんだと思うよ」 慧の気分が少し和らいできた。 慧「晶、いつもありがとう。そうだよ、私がサファイアさん信じないでどうするのって感じだよね」 晶「そうそう。本当に大切な人なら、暴走したら力づくでも止めてあげないとね」 慧「あはは・・・善処します」 晶「それに、あの公園調べてみたけど、相当ヤバいことしちゃったみたい。ねえ、あのお社のマーク、実はね、あれ神社じゃ無かったんだよ」 慧「え?でも、あの鳥居のマークは?」 晶「昔の地図では鳥居は、寺社仏閣ばかりじゃなくてね、慰霊碑とか鎮魂のお社とかそういうものにも使っていたみたい。それで、あそこを調べてみたの。そしたら、あそこ、昔何だったと思う?」 慧「・・・・何だったの?」 晶「・・・・処刑場。それもかなり長い間使われていたみたい。江戸時代の罪人の首切り場だったの。罪人といっても、中には罪もない人もいたし、子供も女の人もお年寄りもいたらしいよ。このあたりの土地を支配していた領主が半ば自分の趣味みたいな形で領民を処刑しては楽しんだり、恐怖で土地を支配するために設けた場所という言い伝えがあった」 慧「・・・まさか、そこにあったのって」 晶「その処刑された人たちを弔っていた慰霊碑。都市開発とかいって、かなり強引なやり方で取り払われちゃったみたい。地元の人は祟りが起こるとか抗議してたんだけどね」 慧「それを利用して、イマジンがからんで騒ぎを起こしているとしたら・・・」 晶「慧。この事件、かなりヤバい予感がする。十分気をつけたほうがいいよ。晶ももう少し調べてみる。無茶しないでね」 晶が珍しく真剣な表情で、ドタバタしていた慧をたしなめるように告げると、慧も静かに頷いた。 PM12:30 鏡が池公園 池エリア 池の近くの遊歩道をルークが歩いていた。昼下がりの公園では180センチを超える長身の凛然としたショートカットの美女はあまりにも浮いている光景だ。 ルークが焼きそばパンをかじりながら、池の辺りを慎重に見回している。 ルーク(昨日ビショップがあそこまで痛めつけたのなら、もう契約にこだわらず過去に逃げだすために強引に契約者にぶつかるはず。契約者はどこにいるんだ?) その時だ。 池の近くに、学園の制服を着こんでいる茶髪のショートボブの少女がカメラを持って、池の周りを撮影しているのを見つけた。 ルーク(あれ?あの服装は、学生?でも、平日のこんな時間に何でいるんだ?) そう疑問に思ったその時だった。 ルークの鼻にある「匂い」をかぎ取った。 その匂いの正体を感じ取ると、ルークが確信得たりといわんばかりににっと不敵な笑みを浮かべる。 視界の先には、毒々しい真紅の甲殻の鎧に身を包んだスコーピオンイマジンたんが、契約者である瀬戸沙希を視線で追いかけながら様子を窺っている。 ルークは首の骨をゴキゴキっと鳴らすと、獲物をとらえた狩人のように表情を引き締め、獰猛で粗暴な感情をあらわにする。 ルーク「わっかりやすいねぇ、本当に。さて・・・狩りでも始めるか」 そういって、走り出したと同時であった。 木の蔭からスコーピオンイマジンたんが沙希に向かって飛びかかっていたのは。 沙希「きゃああああああああああ!!」 スコーピオンイマジンたん「ぐあああああああああああああああああああ!」 獰猛な声をあげてニードルを沙希に振りかざしながら襲いかかる。 ルーク「はああああああああああああああ!!」 掛け声とともにルークの左足がスコーピオンイマジンたんの顔面にめりこみ、骨が砕け、肉が潰れる嫌な音がして、遠くにふっ飛ばされた。 そして、座り込んでしまった沙希に、ルークが顔を向ける。 ルーク「早く逃げろ。ここはルークに任せろ」 そういって、ルークが促すと沙希は一目散に逃げ出した。 ルークがジャケットを脱ぎすて、豊満な胸がはちきれんばかりに黒いノースリーブシャツを着こんでいる官能的な肢体を露にする。しかしその体は鍛え抜かれているせいか、腕は筋肉で細く引き締まり、無駄な脂肪がない。 スコーピオンイマジンたん「貴様あああああああああああ!」 ルーク「イマジン・・・潰してやるぜ。うう・・・・ウガアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!」 ルークがノドが張り裂けんばかりに空に向かって吠えると、その顔にステンドグラスの紋章が浮かび上がり、やがてその官能的な肉体が紫色のステンドグラスのような紋章を全身に宿し、全身に岩石のような剛強な甲冑を纏い、整った顔立ちがカメのように鋭い嘴と牙をもつ禍々しい異形の姿へと変わっていく。 アーケロンファンガイアたん。 亀の祖先ともいえる恐竜の仲間の一種であるアーケロンの姿を模した漆黒の機動要塞が敵をせん滅するべく突進し、岩をも切り裂く鋭い硬度を持つ爪を宿した手甲を振り上げてきた。 一方、沙希が必死で逃げてきた方向にいたのは、まぎれもないスコーピオンイマジンたんであった 沙希は驚きの余り腰を抜かしてしまう。 スコーピオンイマジンたん「あんたのせいで、とんでもない目にあったわっ!!分身どもに後は任せて、あたしはもう過去へと飛ばせてもらうわ!!」 そういって、沙希の体に手をかざし、緑色の光が渦巻く空間へと飛び去っていった。 そこへ慧が駆けつけてきた。 晶から沙希が新聞部部長から昼間の公園の調査を頼まれて取材に行ったと聞かされ、嫌な予感がしてやってきたのだった。 結果遅かった。 慧がカードをかざすと、「2010/05/25」と5日前の日付が浮かび上がる。 聞くとその日は取材を頼まれた日であったということらしい。 慧「サファイアさん、行くよ」 サファイア「あらほれさっさー!!」 そういって、サファイアが憑依すると、青いメッシュを宿し、青い瞳を光り輝かせるロングヘアを三つ編みにした姿へと変わる。 ベルトを巻き、青いボタンを押してからパスを通した。 ベルトから青い光が放たれて、みるみる慧の体を包みこんでいく。 S慧「変身♪」 そしてその姿を仮面ライダーバルキリー・ガンフォームへと変身した。 2010/05/25 5日前。 公園にスコーピオンイマジンたんとバルキリーたんがたどり着いたのはほぼ同時である。 Gバルキリー「さあてと、とっとと倒させてもらうよ?慧、学校午後の授業もあるしさ」 スコーピオンイマジンたん「くっ、しつこいな!!」 Gバルキリー「まあ、それが性なものでね。ふっ、それでは、君のハートに・・・ロックオン。ばぁん♪」 そういって、Vガッシャーを銃の形へと組み立てると、素早く銃口を向けて銃弾をぶっ放す。 正確無比な銃弾は敵の急所を撃ち貫いていく。 スコーピオンイマジンたんは斧で攻撃を防ぎながら突進しようと試みるが、容赦のない団幕の嵐にもはや身動きが取れない。 どんどん体力が失われていく。 やがて隙ができ、急所に無数の弾薬が着弾し爆発する。 スコーピオンイマジンたん「ぐああああああああああ!!!」 スコーピオンイマジンたんが地面を転がり、全身から煙を上げている。 Gバルキリー「さて、そろそろフィニッシュかな?」 パスを取り出し、ターミナルバックルにかざすと、青い光が銃口に集結する。 「Full charge」 そして、引き金を引くと巨大な青い鳥の形をした弾丸を発射した。 Gバルキリー「セイレーンレクイエム!!」 青い翼を広げた破壊の歌姫が奏でる破滅の歌声の名を冠する青い光の弾丸を受けて、スコーピオンンイマジンたんは凄まじい悲鳴を上げて大爆発を起こした!! スコーピオンイマジンたん「ぎゃあああああああああああああああああっ!!!!」 爆発し、業火に焼かれていくイマジンに背を向け、ガンフォームがふっと銃口の煙を吹き消す。 Gバルキリー「ふっ、楽勝楽勝」 エメラルド(いや、ヤバいよ!!後ろ!!) エメラルドの慌てたような声に、後ろを振り返る。 Gバルキリー「・・・げっ、マジッスか」 振り返ってみると、爆発した破片が収束し、やがて暴走体へと姿を変えていく!! 「Gyaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!」 今や巨大なトリケラトプスのような形態と化した「ギガンデス・チャリオット(戦車)」は大地が震えるような咆哮をあげながら、8つの瞳でガンフォームを睨みつける。 Gバルキリー「やっべー・・・とりあえず、逃げるしかねーわ、これ」 ズガアアアアアアアアアアアアアアアアン!!! 「Gyaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!」 燃え盛る火の海の上で、トリケラトプスの姿のギガンデスはビルを頭突きで粉砕し、津野から発射する光線で目の前に広がるありとあらゆるものを焼き尽くしていく。そして己を力を誇示するように咆哮をあげる。 そんな破壊者の姿をガンフォームは片膝をつきながら見上げていた。 Gバルキリー「さーてと、とりあえずどっか特異点のライダーでもバイトで雇って手伝ってもらうか・・・ってくるわきゃないよね、こんな状況下じゃさ」 エメラルド(はー、本当にバカだね。サファイアは。こういうときのためにあたしがいるんじゃん!!ちょっと変わってよ!!) そういって、緑色の光が飛び込むと、ソードフォームへと姿を変えていく。 慧(どうするの?) Sバルキリー「まあ、見てな!!」 そういって、指をパチンと鳴らす。 その時だった。 パアアアアアアアアアアアアアン Sバルキリー「いえい!!」 慧(Vライナーだ!) 突如空間に時空間の穴が開き、『Vライナー・フェニックス』が姿を現した。 それだけではない。続いて1両ずつ、3両の列車が姿を現した。 金色の装飾を施した列車は先頭の部分を180度回転すると、黄金に輝くドリルを高速回転させながらフェニックスの前に乗り上げて連結する。 青色の装飾を施している列車は上部か16連のミサイルポッド、側面から4門の超陽性電磁キャノンの大砲をせり出し、最後に連結した緑色の列車はまるで新幹線とF1カーがくっついたかのような不思議な形をしており、それが装着されると、一気にエンジンを全開にし、マッハ3の速さで一気に上昇する。 それが合体し、フェニックスの第2車両の側面が開き、ウイングの部分となって広がると、まるで荘厳な空を支配する鳥の王のようにもみえる形態へと変形する。 そして、空に線路が作られていくと、一気に上昇して、巨大な戦闘機の姿へと変形していった。 金色の列車は「Vライナー・ロードス」 青色の列車は「Vライナー・キグナス」 緑色の列車は「Vライナー・ハルピュイア」 そして合計6両の列車が合体したこの車両こそエメラルドの労力の結晶ともいえる「超時空飛行列車・ガルディウス」である!! Sバルキリー「超重連合体!!Vライナー・ガルディウス!!!本日も定刻どおり出発完了!!」 すべてがエメラルドの得意そうな顔から想像がつくように、クズ鉄から作られたジェット戦闘機とドリル探索機、F1カーや戦車などさまざまな車両を電車として取り込み、一つに合体させた最新式の時の列車である。 慧(こ、これって、エメラルドが作ったの!?) Sバルキリー「へへっ、そうだよ。どうよお姉ちゃん、やっぱお姉ちゃんにはあたししかいねぇだろっ!?」 ルーベット(こ、このような列車を作れるなんて・・・!) トパーズ(・・・・参った) サファイア(意外とやるね・・・・ひょっとして天才かも) そういって飛び乗ると、Sバルキリーが運転席のコクピットに置かれているバイク型運転装置「マシンハミングバード」に乗り、ハンドルを一気に回す。 そして先頭車両のドリルが急速回転し、ミサイルポッド及びキャノン砲が全開し一気に発射してチャリオットを攻撃していく。 「Gyaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」 チャリオットの装甲がミサイルによって破壊され、肉が焼ける嫌な臭いが漂う。 そして、反撃を試みているのか角から光線を発射する。 Sバルキリー「おっせぇよ!!」 そして、ハルピュイアの後部のエンジンがさらに加速させ、目にも止まらない速さで一気に線路を突き進み、光線を軽々とかわしていく。 Sバルキリー「行くぜ行くぜ行くぜ!!!!!」 まるでジェットコースターのように風景がくるくると回転し、視界が定まらず暗転しきそうな気分に慧がなる。しかしエメラルドは楽しそうに空を舞い上がり、敵の攻撃をかわすと、陸地に線路をかけて、敵の下腹部に向かって弾薬を一斉発射を仕掛ける。 慧(はうあうあう〜・・・・!!) Sバルキリー「かああああああああああっ!!!サイッコー!!!やっぱ闘ってる時が一番楽しいぜっ!!!」 そういって、ボタンを押すと、ガルディウスが一気に超加速し、黄金色の光を全車両から発し、ドリルを回転させながら目にも止まらない速さで一気に突き進む。 Sバルキリー「決めるぜ必殺技!!インパクトキャノン!!ファイヤアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」 黄金色の光がやがて車両を巨大な不死鳥のような姿へと変えていく。 そしてそのまま黄金の不死鳥に体を貫かれ、大きく穴をあけたチャリオットは絶叫上げて灰燼へと帰っていく。 Sバルキリー「おっしゃああああああああああっ!!!!」 ソードフォームがガッツポーズをとる。 そのころ。 アーケロンファンガイア「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 アーケロンファンガイアに殴られ、蹴られ、ずたぼろにされたスコーピオンイマジンたんが地面に転がり落ちる。 スコーピオンイマジンたん「がああ・・・何だこいつ・・・なんで剣が利かない!?」 見るとそこには剣が完全に折れ曲がってしまっている。 そして、砕け散った。 アーケロンファンガイアの頑強な鎧によって、ありとあらゆる攻撃が無効化され、自らの体力が消費していく中で、反撃と言わんばかりに超至近距離で食らう蹴りやパンチのラッシュはスコーピオンイマジンたんの肉を裂き、骨を砕いていく。 アーケロンファンガイアは首をゴキゴキ鳴らす。 そして、獰猛な笑みを浮かべた。 アーケロンファンガイア「お前・・・つまらねぇ。もういいわ。おとなしく・・・消えろ」 冷酷なまでに宣告された死刑宣告。 そして、彼女の両腕に大地から紫色の光が集まりだし、彼女の周りの地面がゆっくりと宙に舞い上がり、やがてその部分だけが無重力のように浮かび上がる。 彼女の能力は「大地の力」を操ること。 大地の力が集まりみるみる彼女の腕に紫色の光が渦を巻いて禍々しい力を発している。 スコーピオンイマジンたんは恐怖する。 そして悟った。 自分が挑んでしまった相手はもはや今でさえ本気の実力を発揮していない。 それほど途方もない強さを持つ相手なのだと。 そして、一気にアーケロンファンガイアが飛び上がり、光をまとった左拳を一気に突き出してスコーピオンイマジンたんのボディに殴りかかる!! アーケロンファンガイア「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 スコーピオンイマジンたん「ぎゃああああああああああああああああああ!!」 拳が肉体を貫き、断末魔をあげてイマジン少女が消滅した。 そして、ルークは人間の姿に戻ると、足早にその場を立ち去って行った。 そして公園を出る時だった。 慧「やっばい、早くしないと授業始まっちゃう!!」 そういいながら通り過ぎて去って行った少女から感じた気配。 ルークが振り返ると、その少女は焦ったように公園を飛び出していく。 ルーク「ん?」 ルークがふと、青いパスケースが落ちていることに気づく。 そして、そこに書いてある少女の名前と住所、そして配属先の学校名を学生手帳から見て笑みを浮かべる。 それは獲物を前にした狩人のような獰猛な目つきであった。 ルーク「・・・・イマジンか。ついでだ。あいつも、ぶっ飛ばしておくか」 ルークがゴキゴキと首を鳴らして、凶悪な笑みを浮かべている先には、慧の姿があった・・・。 続く 次回「第11話 Those who annihilate it by rage」 |
鴎
2009年05月16日(土) 23時10分52秒 公開 ■この作品の著作権は鴎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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どうも、『鴎』さん。『烈』です。 【仮面ライダーバルキリーたん 第10話「The Raging wind」】の話ですが、この話の冒頭で“ビショップ”の寝ている際に見た“悪夢”として、語られていた“ビショップ”達、『チェックメイト・フォー』が居た“世界”の崩壊していく描写ですが、想像すると結構いやなものが残った気分になります。それでいて、結構疲れ気味な“ビショップ”に変わりに公園の調査などを行う“ルーク”の姿に信頼関係がちゃんとあるんだな〜と思いました。(失礼なことをいっている自覚はありますが、このことは原作の【仮面ライダーキバ】における『チェックメイト・フォー』のメンバーの様子を思い出したりしていたので……、不愉快な気持ちにして際待ったのなら謝ります。本当にすみません。) そして、今回メンバー中で最初に“ファンガイア”としての姿を見せた“ルーク”。姿のベースが古代亀の“アーケロン”ということですが、何で“アーケロン”にしたのですか?なんとなく“ルーク”と呼ばれる存在にはあっていますけどその能力が“「大地の力」を操ること”というあたりがなんとなく微妙のように思えてきます。 それについで、『バルキリーたんメンバー』ですけど、色々と慧ちゃんの(精神的面での)苦労が強い感じがしてきます。(まあ、あの“変態青玉白鳥と一緒じゃあ、仕方ないといえば仕方が無いが……(汗 )……そんな彼女の精神的サポートをしている親友の晶ちゃんのアドバイスなどが気持ち的のも優しいものを渡された気分になった気がします。 ……ところで、何故“例の公園”が昔処刑場であったという設定を考えたのですか?何気にイマジンを倒したというのにまだ何かありそうな気がしてきます。 そして、今回の見所は初の“ギガンデス戦”となりましたけど、まさか『Vライナー・フェニックス』以外の『Vライナー』がエメラルドが造った物であったというのが驚きです。って、いうよりもどうやって造るための材料となるべき物を何処から調達したんだ、あのダンシングピジョンは!?それと今回の話でエメラルドの性格って、結構バトルジャーキーな感じがあると『ガルディウス』で『ギガンデス・チャリオット』を攻撃している際に感じました。 ……なお、ふと疑問に思ったのですが、アーマー新幹線「キグナス」の名前の由来はサファイアの姿の元である白鳥の星座である『白鳥座』から採られているのはわかるのですが、残りのドリル新幹線「ロードス」とそしてターボ新幹線「ハルピュイア」、それと全ての『Vライナー』が連結合体をした「超時空飛行列車・ガルディウス」の名前の由来が何なのかが気になって仕方がありません。できれば何を元に名前をつけたのかを教えてください。お願いします。 次回あたりは“ルーク”とのぶつかりあいが起こる事が予測されますが、ルーベット達『バルキリーイマジンズ』はともかく、慧ちゃんの性格上あまり彼女と戦おうとはしないような気がします。今回何気に一番の働き者として徹夜の結果爆睡をしている琥珀さんにエールを送りつつ、次回の更新を楽しみにしています。 |
30点 | 烈 | ■2009-05-17 16:31:08 | i114-189-58-148.s10.a044.ap.plala.or.jp |
合計 | 30点 |