L-R!ANOTHER-TUNE AFTERREV-0E |
※CAUTION! これは、今までのアフターストーリーを受けて作者・HICKYが手がけた、 『LEANGLE-REVERSE!』シリーズのアフターストーリーです。 『LEANGLE-REVERSE!』、『@びっくりそうだんしつ!→side:B→』、『L-R!ANOTHER-TUNE』 の全ての話が関係していますので、まだ読まれていない方は軽く目を通していただけると幸いです。 なお、この話の時間設定はAFTERREV-0Cの1週間後に位置します。 また、この作品を持ってHICKYとしては最終作品とさせていただきます。 始穂:「温泉だァアアアアアアアアアアア!!!!!」 沙菜:「やって・・・キタ―――――――――――!!!!!」 凪介:「お前ら・・・駅のド真ん前で何してんだよ・・・」 咲耶:「皆さん元気ですねー、はい」 サクラ:≪元気・・・過ぎやしないか・・・?≫ 帆希:「空気が美味しいーっ☆」 そんなわけでやってきました、遥々遠くの温泉街。 西園駅から電車で北に揺られる事2時間半、避暑地でもあるこの温泉街に、彼女たちはやってきたのです。 皆さん覚えていますでしょうか。 ナギー少年がこの夏校則を破ってまでバイトしていたあの日を。 それが今回、ついに実を結んだのです。 セツ:「おーいお前らー!はしゃぐのはいいけど置いてくなよー!?」 ゲツ:「一応未成年ですから・・・私たちがいないといろいろ大変な事に・・・」 始穂:「あっ、ごめーん♪」 しかし、いくら人数が多くても全員未成年。なので、今回は休暇をもらったセツゲツも一緒です。 末妹のハナは残念ながら秘書のお仕事でお留守番。 始穂の分まで荷物を持たされたセツは、着ていたアロハシャツのボタンを外して白のタンクトップを覗かせながら肩で息をし、対するゲツはジーパンにTシャツとラフな格好ながら、今回は仕事外ということで始穂の強制でさらしオフ。 凪介:「今日はすみません。付き合ってもらっちゃって」 セツ:「気にするなよナギ坊主。むしろ、私は感謝しているんだぞ?」 ゲツ:「一度来てみたかったんですよね、兄者は」 セツ:「そうだ!だから、これで仕事抜きに、心置き無くお前を『葉月』と呼べるわけだ!」 ゲツ:「仕事中でも呼んでいるでしょう!?」 始穂:「まぁまぁ、今日は思いっきり骨休めといきまっしょい!」 そうして、7人は3組に分かれて自由行動へ・・・・・・。 <AFTERREV-0E 『Prelude of 5 Riders' Truth』> 凪介:「こうして2人っきりになるのって・・・いつぶりだっけ?」 始穂:「そうねぇ・・・短いのも含めれば1週間ぶり?」 途中にあったお土産屋でソフトクリームを買った2人は、土産屋の陰にあったベンチに腰掛け、 ゆったりとデートを楽しんでいた。ガッデム。 始穂:「まぁ、お互い努力が報われたって事でいいんじゃない?メブキさんとこ、結構ハードだったもんね・・・」 凪介:「始穂がリバーサーを持ってきたせいでな・・・・・・」 あの夏の日、この旅行の資金のために凪介が働いていた西園海岸沿いの海の家。 そこには、去年同様メブキさんが働いていた。 始穂たちそうだんしつメンバーも然ることながら、主に先走った男子に熱烈なコールをその身に浴びていた凪介、否、始穂によって初穂に変身させられたおかげで、海の家は何故か大盛況。 収量率も250%を超え、それは忙しいと一言で言えるようなレベルでは無いほど恐ろしいものだった。 始穂:「あたしも悪かったと思ってるわよ。だからこうしてアイスはおごってあげたんじゃない」 凪介:「これじゃ足らんわ」 始穂:「え゛ー!?・・・仕方ないわね。そこまで言うんだったら、あたしがアンタをエスコートしてあげるわ」 いつも通り強気な発言で後先を省みない始穂に、凪介はさらに追い討ちをかけるように・・・ 凪介:「・・・・・・どこまでエスコートしてくれるんだか」 始穂:「えっ・・・!?//////い、いやその・・・あたし・・・・・・//////」 途端に顔を真っ赤に染めて、左手で頬の温度を確かめながら、そっぽを向いてアイスクリームを上から頬張った。 どこまで想像したんだか。 ―――――そんなこんなで、日も暮れて。 ひとしきり自由行動も終えて、今日泊まる旅館にやってきたご一行。 7人一部屋の大部屋を借り切った一行はこの旅館の目玉とされている露天風呂のことで話が持ちきり。 しかし、ふと凪介は気づいた。 いつのまにか、帆希の姿が消えている。 トイレでも行っているのかとは思ったが、彼女は凪介が一人みんなのジュースを買いに行ったロビーにいて・・・。 O帆希:「ぅああ・・・そうそうそこそこ・・・くぅうううう・・・これすごく良い所突いてくるってわけ・・・! そんなにしたらほぐれ過ぎるぅううううううう////////////」 コイン式のマッサージチェアの上で仰け反っていた。 その顔は、もはや天にも昇ってる最中かのように蕩けまくっている。 凪介:「・・・・・・そんな所にいたんだ、ほま・・・オデットさん」 O帆希:「ぇ?・・・・・・な・・・ッ!?//////ア、アンタ、いつからそこにあふうっ//////」 またしてもちょうどいい所にローラーがめり込み、思わず甘い声が出てしまう。 彼女持ちとはいえ男の前で。 凪介:「いやついさっきからだけど・・・・・・背中、痛いんですか?」 O帆希:「あぁ・・・まぁそうね、背中がちょっと筋肉痛ってわけ。飛びすぎて」 それは、帆希の日課に原因があった。 ステイルとして飛ぶ事に慣れてなかった帆希は、システムが『IIシリーズ』になってからも飛行訓練だけは欠かさなかった。 途中から飛行訓練をオデットと彼女の姉であるオディール、つまり☆スートのカテゴリーKが唯一実体化できる『時の砂漠』に移してからは、オデットは帆希に付きっ切りで、飛ぶことに関して教鞭を執っていたのだ。 そのせいで、普段使わない筋肉まで使ってしまって、特に翼の辺りの背中の筋肉が痛くて仕方が無い。 そんなわけで、このマッサージチェアが功を奏しているのである。 凪介:「飛びすぎてって・・・どこで飛んでるんですか?変身もできないのに・・・そもそもする必要が」 O帆希:「あぁまぁ・・・・・・いろいろあったというかなんと言うか・・・・・・」 バツが悪そうに目を逸らすオデット。 さすがの凪介も、困惑が過ぎたのか・・・ 凪介:「何があったんですか・・・何も無いなら、オデットさんが筋肉痛になることも無いじゃないですか・・・」 O帆希:「そう・・・ね・・・フッ、アンタみたいなユルバカだったらスルーしてくれると思ったのに、予想外ってわけ」 そう言うなり、ポケットをまさぐってケータイを取り出したオデットは、 O帆希:「―――――『あぁ始穂ちゃんっ?ごめんちょっとロビーに来てもらって良いっ? ・・・え?あぁ・・・一緒にいるよっ。ちょっと用事が・・・ありがとっ。じゃ』 ・・・・・・ふぅ。帆希のマネも楽じゃないわね。今始穂を呼んだわ。事情はあの子が一番知ってるってわけ」 凪介:「なんか・・・・・・無理言ったみたいでごめん」 O帆希:「今更何よ・・・いずれにしろ、言わなきゃいけない時だってあったんだから。 そもそも、この前何ではぐらかしたかが一番分からないってわけ。 来たら私も聞いてみよっと・・・・・・」 再びマッサージ器に横たわったオデットは、脇のポケットケースに手を突っ込んで中のリモコンのスイッチを入れる。 すると、背中を這う機械のローラーの巧みな動きに再び嬌声を上げ始めた。 O帆希:「そうそう〜〜この機械気に入ったってわけ・・・・・・んぁああ!//////」 凪介:「そんなに・・・・・・こってたんですね・・・・・・//////」 中身が違うとはいえ、帆希本人が 少なくとも、これを書いている作者は書くの初めてです。 ??:「あらあら〜、何だか可愛い声が聞こえると思ったら〜」 凪介の背後から突然別の、凛とした鈴のような声が耳に入る。 背後にいた彼女は、この旅館特製の白地に青のラインの浴衣を襟の部分だけ少しだけ着崩し、 特徴的なインテークヘアが揺れ、いつも横で縛っている髪は解かれていた。 元が子供っぽいだけあって、今の彼女は大人の雰囲気さえ感じられ・・・・・・ 沙菜#:「お晩です、凪介さん♪」 凪介:「蒼い目・・・スミレさんですか。どうしたんですか?」 沙菜#:「ふふっ・・・オデットさん、気持ち良さそうです〜。わたくしはこれからちょっとお庭をお散歩に」 凪介:「一人で・・・ですか?オレも行きましょうか?」 沙菜#:「大丈夫です〜。ここのお庭は一本道の遊歩道ですし、一応ここのパンフレットも」 言葉通り、手には旅館のパンフレットが握られていた。 確か、2ページ目に乗っている女将の写真の下に庭の遊歩道の見取り図も乗っていたはず。 沙菜#:「そうですね・・・もし迷ったら凪介さんに助けを求めるって事で・・・宜しいです?」 凪介:「うーん・・・・・・まぁ旅館の敷地から出ないなら」 沙菜#:「はい♪では、行ってきますね、凪介さん♪」 そう言ってにっこり笑いつつ、彼女は細い御御足を惜しげも無く出しながらスキップで旅館を出て行った。 凪介:「・・・・・・あんなに元気なスミレさん、初めて見たかも」 始穂:「凪介っ!」 呼ばれて振り返ると、凪介の瞳は一気に見開かれていた。 浴衣はさっきのスミレのと同じにもかかわらず襟は彼女らしくビシッと決め、 解いた赤茶色の髪は仄かにシャンプーの匂いがした。 始穂:「お待たせ。少し前までお風呂にいたからこんなんだけど・・・・・・で、何?」 凪介:「お・・・・・・おぉ・・・・・・//////」 始穂:「・・・・・・何赤くなってるのよ?このくらい、もう見飽きてる頃じゃないの?」 凪介:「浴衣なんてそうそう無いだろ・・・常識的に考えて」 始穂:「あぁそっか・・・・・・で、何?」 O帆希:「それは、私から説明するってわけ」 そこに割って入ってきたのは、ようやくマッサージ器を堪能し終えた・・・・・・ 始穂:「オデット・・・さん?」 ――――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――― ――――――――――――――― スミレ:≪ごめんなさい・・・・・・沙菜さん・・・・・・≫ 沙菜:「んもおお!?ここどこ―――――――!?」 空は暮れ、道に沿って立てられた電灯だけが彼女を照らす。 手に持つのは旅館のパンフレット。しかし今では役に立たない。 沙菜:「何でこうなるかなー・・・・・・」 スミレ:≪すみません・・・わたくしが欲を出さなければこんな事には・・・・・・≫ 沙菜:「いくら方向音痴でも、いつの間にか敷地を出てたとかどういう事なの・・・・・・ しかもケータイは旅館に置いてきてるし・・・・・・ハァ・・・」 電灯の下で途方に暮れ、沙菜はついにへたり込んでしまった。 自分のいる電灯の周りは他の電灯に沿って一本道。 暗い夜道だけが彼女を取り囲んでいた。 途方にも暮れ、沙菜はついに瞑想という名の現実逃避に・・・・・・ ??:「あの・・・どうかなさったんですか?」 沙菜:「・・・・・・へ?」 そこに突然現れたのは、一人の少女だった。 こんな夜道なのにたった一人で現れた彼女。短いアホ毛がついた黒髪のショートヘアがそよ風に揺れる。 ??:「こんな所で寝てしまっては・・・・・・風邪をひくんじゃないかと」 沙菜:「あぁ、いやその・・・・・・アハハハハ・・・だよね」 寝るつもりなんて毛頭無い。 沙菜は慌ててお尻の砂を払ってすっくと立ち上がった。 スミレ:≪沙菜さん沙菜さん、もしかしてこの子・・・地元の子じゃないです?≫ 沙菜:「えっ?・・・えっと、あなた、地元の子・・・・・・なの?」 ??:「そうですけど・・・?」 沙菜:「・・・・・・・・・(で、それがどうかしたの?)」 スミレ:≪初めてのわたくしたちよりここの地理に詳しいじゃないですか〜≫ 沙菜:「ち・・・・・・り?」 スミレ:≪んもう・・・・・・彼女に道を聞けば万事解決です〜≫ 沙菜:「あっ!そっか・・・・・・ねぇ、このパンフの旅館、どこにあるか知ってる?」 そう言って、少女に丸めたパンフレットを手渡す。 ぐちゃぐちゃになったそれはもはやパンフレットと呼べるかどうかすら分からない紙屑と化していたが、 少女はそれを丁寧に広げ、そこに載っている地図を確認した。 ??:「あっ・・・・・・駅の近くなんですね。駅まででしたらご案内できますけど・・・」 沙菜:「ホント!?お願いします!超お願いします! 早く帰らないと晩御飯が!超晩御飯が!」 ??:「はわわわ!?は、はい、わ、分かりました・・・・・・」 頭を全力で下げ意味不明なお願いの仕方をしつつ彼女に詰め寄る沙菜(涙目状態)。 さすがの少女も些か退かざるを得なかった・・・・・・。 ――――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――― ――――――――――――――― ≪CHANGE RIDER CHALICE≫ ≪CHANGE RIDER STEILE≫ 凪介:「・・・・・・は!?」 場所を移して薄暗い遊歩道の人気の無い隅っこ。 大方の説明をし終えた彼女たちは、その証拠を根源する姿を凪介に明かすことになった。 カリスII:「BOARDでデバイスを封印した後、戦う術が無かったあたしたち、あとアリスね。 新たに貰ったこの力で、アンデッド以外の敵とも戦ってたわけ」 ステイルII:「凪介君も何度か見たよねっ。えっと・・・・・・ブタみたいなのと、クモみたいなの」 凪介:「ブタとクモ・・・・・・クモってまさか、嶋先生にそっくりだった?」 カリスII:「そっちはアンタのイメージで生まれたヤツね・・・・・・ってか、何で嶋先生なの!? 何であたしじゃないの!?普通あたしじゃないの!?」 泣きそうな目で始穂は彼に凄む。 変身した事によって彼より5cm大きくなった彼女の迫力は普段の約30倍。 凪介:「そ、そんな事言われたって・・・・・・」 ステイルII:「まぁまぁ始穂ちゃん・・・・・・でね、一応説明した通り、戦い自体はとっくに終わっててね。 ホントはもう必要は無いんだけど・・・・・・」 凪介:「無いんだけど・・・・・・何?」 カリスII:「その戦いじゃ、アンタが狙われてたのよ・・・・・・」 今までの経緯を思い出し、始穂はどうしても彼の顔が直視できない。 俯きながら、彼女は言葉を続ける。 カリスII:「この前ちゃんと言うべきだったんだけど・・・今の所、アンタが死ぬとこの世界は・・・・・・消える・・・って。 狙ってたのは・・・・・・天王寺遥香の双子の妹、天王寺桃香」 凪介:「消えるって・・・オレが死ぬと・・・か!?」 オデットII:「信じられないのは当然だと思うよ・・・・・・ウチらだってすぐには信じられなかったし・・・ でも、さっきも言ったでしょっ?戦いは終わってるんだよっ」 凪介:「ごめん、意味が・・・・・・」 カリスII:「倒した・・・というか、行方不明になったのよ、天王寺桃香は。だからもうアンタを狙うヤツはいない。 でも、この前みたいに別の世界に飛ばされた事もあったでしょう? まだ燃えカスみたいなものも残ってるのよ。残党だっているかもしれない。 だから、あたし達はまだこの力を持ってるって事ね。いわゆる予防線」 天王寺遥香の双子の妹、天王寺桃香は、姉を封印された恨み辛みにより、ある人間を狙っていた。 それが、仮面ライダーレンゲル、つまり柳田凪介である。 と同時に、別の世界で自らの計画を破綻させた張本人である『アリシア・A・メルフロウ』をも、そのターゲットの内だった。 自分と契約したイマジン・ネガタロスと共に2人を狙う彼女に立ち向かうため、始穂、帆希、そして自らの意思でアリスもその仲間に加わり、今まで彼女とイマジン軍団に立ち向かってきた。 その彼女が造った発明品を勝手に持ち出し、過去の世界に設置したネガタロス。 それは意識だけとはいえ一度は凪介、始穂、沙菜、咲耶、相川終奈の5人を別の―リュミエールの―世界に飛ばした。 結局燃えカスとして残ったその発明品は、今年(2012年)になって凪介が拾い上げたことで再び発動。 今度は彼を身体ごとリュミエールの世界へと飛ばしてしまった。 『世界の鍵』である凪介を失った世界は崩壊の一途を一時は辿るも、間一髪で凪介を元の世界に戻す事に成功したのである。 人知れず、一度は交わした約束を犠牲にして・・・・・・。 凪介:「そんなの・・・言ってくれたらオレだって!」 カリスII:「って絶対言うと思ったから・・・言えなかったんじゃん・・・・・・」 そう言って、彼女は自分の胸に凪介を引き寄せた。 凪介の頬が冷たい胸の装甲に当たり、彼女の腕もいつしか彼の首の後ろに回っていた。 ステイルII:「おぉ・・・・・・//////」 凪介:「・・・・・・ここ、抱きしめられるようなシーンか??」 カリスII:「バカ・・・・・・あたしはアンタに助けられたんだよ? だから、今度はあたしがアンタを助けたかったのよ・・・そのくらい察しなさい・・・//////」 凪介:「始穂・・・・・・」 途端、彼女の身体から光が弾け飛び、元の浴衣姿の彼女に戻った。 そしてゆっくり、その身体を引き剥がす。 2、3歩後ろに下がり、腿の辺りを軽く手で払うと、そのまま明後日の方へ向いてしまった。 オデット:≪こいつら・・・・・・私らがいながら堂々とストロベるなんて・・・≫ ステイルII:「え?すとろ・・・何?何かの武器?」 オデット:≪いっそ猫耳でも出してしまえばいいってわけ!あーあ暑い暑い≫ ステイルII:「みみ??」 始穂:「そうだ・・・・・・そういえば!」 まるで人生に編集点でも入れたかのように元の真剣な表情に戻る始穂。 凪介:「何だよ?」 始穂:「戦いこそ終わったけど、あたしたちってあの天王寺桃香のことについて・・・・・・ いや、天王寺遥香の事さえ、あたしたちはよく知らなかったのよ。 調べがついてたら、双子だった事も察しがついたはずだし」 ステイルII:「そういえばそう・・・だね。じゃあ始穂ちゃんもしかして・・・・・・?」 始穂:「うん・・・・・・最近、BOARDの資料を全部ひっくり返してしらみ潰しに探したわ。 そうしたら、興味深い情報が手に入ったのよ。もちろん聞くでしょ?」 ステイルII:「うんっ!」 凪介:「もったいぶんなって」 2人が快諾したのを確認すると、始穂は一呼吸置いて・・・・・・ 始穂:「天王寺遥香はね、初穂・・・あたしの妹を養子に迎えた後、自分たちも子供をもうけてたのよ・・・。 でも本人も夫も2人とも会社の重役だったし、子供は親戚筋に預けられてたみたい。 妹が知らないわけね・・・・・・えっと、確か名前は・・・・・・」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 沙菜:「ユウコちゃん、って言うんだったっけ?」 ??:「はい。優しい子、と書いて、『優子』です」 一方、スミレのせいで道に迷った沙菜は、通りすがりの地元少女・優子の助力によって順調に駅へと向かっていた。 沙菜より少し大きいくらいで、やわらかい雰囲気をかもし出す不思議な少女だった。 沙菜:「ホント、名前通りの子だねっ♪」 優子:「いえそんな・・・・・・大したことはしていないですよ」 沙菜:「大した事だよう!?ボク知らない街で野宿とか嫌だよ!?」 と言いつつ、隣で苦笑いを浮かべるスミレにこっそり睨みを利かせた。 スミレ:≪あははは・・・・・・沙菜さん怖いです〜・・・・・・≫ 優子:「この街へは、観光か何かでいらしたんですか?」 沙菜:「うん!この街の温泉はなんかいろいろすごいらしくてねー。と言ってもボクにはよく分かんないんだけどね?」 優子:「ここは山の近くですから、沸き水も沸いていて綺麗なんです。気に入ってもらえると嬉しいです」 沙菜:「もうすっかり気に入ったよー!・・・・・・とはいえ、まだ温泉には入ってないんだけどねー」 と言いつつ再び睨みを以下略。 優子:「ふふふっ♪・・・・・・もうすぐ駅前に出ますよ、沙菜さん」 大通りを抜けると、目の前にはライトアップされた駅前広場が広がっていた。 ここまで来れば、目的地である旅館は目と鼻の先である。 沙菜:「ここ知ってるー!良かったぁ・・・・・・ホントありがとう、優子ちゃーん!」 嬉しさの余り、思わず優子に思いっきりハグハグ。 たまらず優子も耳まで真っ赤に染め・・・・・・ 優子:「はわわわわわっ!?//////」 沙菜:「いろいろありがとね、優子ちゃん」 優子:「いえ・・・・・・お役に立てて光栄です。もう夜も遅いですし、早くお帰りになった方がいいですよ」 沙菜:「うん、そうする!この恩は一生忘れないよっ!」 そうして、沙菜は両手をぶんぶん振りながら、旅館の方へと走っていった。 願わくば、再会を望みつつ・・・・・・。 優子:「・・・・・・・・・レン」 夜道の真ん中で、ボソッと独り言のように彼女は呟いた。 すると、彼女の背後に光が灯り、それが形を形成していく。 背中には翼、彼女の面影を狂いも無く残したオレンジ色の髪。 同じオレンジを貴重としたメイド服をなびかせ、彼女は現れた。 レン:≪・・・・・・優ちゃん、やはり、あの方は・・・≫ 優子:「まさか・・・こんな所で会うなんて・・・予想外でした・・・」 レン:≪ではやはり・・・・・・今がその時なんですね?≫ 優子:「始まるよ・・・・・・私たちの・・・・・・ そうしてポケットから取り出したのは・・・・・・一枚のカード。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ―――8:23pm 始穂:「う゛あ゛〜〜〜〜〜〜何度入ってもさいこお〜〜〜」 所変わって皆様お待ちかねのお風呂タイムです。 ちなみに変身してもポニテが外れない帆希さんのロングヘアーが見られるのはこのシーンだけです。 みんな!妄想で刮目するんだ! 沙菜:「夜空も綺麗だし、温泉はやっぱこうでなくっちゃねー!」 咲耶:「癒されます、はい〜」 帆希:「おっ?咲耶さんや、一杯どうっ?」 咲耶:「何ですかそのとっくり・・・まさか中身は!?ダメですよお!?」 帆希:「中身はただのオレンジジュースだよ?」 咲耶:「えっ!?//////」 始穂:「ずいぶん用意が良いじゃない?まるで最初から準備してたかのように」 帆希:「だってこれ私物だもんっ」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 一同唖然。 始穂:「帆希ちゃん・・・・・・まさか家で・・・・・・」 帆希:「あー違う違う。お父さんがこういうの集めるの趣味でいっぱい家にあるんだよっ。 杯とか、枡とかも家にあるけど、使い道が無くてねー」 始穂:「なるほど・・・・・・あ、そうだ。凪介っ?なーぎすけー!!」 一方、壁の向こう側の男湯では。 セツ:「おうっ、ナギ坊主、一杯どうだ?」 凪介:「何ですかそのとっくり・・・・・・まさかその中身は!?」 セツ:「ん?もちろん焼酎・・・・・・」 凪介:「未成年に勧めないでくださいよッ!?」 ※お酒は二十歳になってから。 『なーぎすけー!!』 凪介:「ん?始穂かー?」 壁の向こうから、始穂の声が少しくぐもった感じで聞こえてきた。 『初穂に変身してくるなら今よー?』 ザバァアアアアアン!!! 壁の向こう側で水しぶきが聞こえてくる・・・・・・。 『なっ!?何言ってるんですか始穂ちゃんっ!?』 『そりゃ、一年前とかだったら願ったり叶ったりだけど今はダメぇえええええ!?』 『まぁ正体知った仲だしねーっ』 凪介:「安心しろー。行く気なんて無いし、第一、リバーサーはBOARDにまた返したんだろ?」 『あたしのカバンの中に入ってるわよー!』 ザバァアアアアアアアアンッッ!!! さっきより大きいのは男湯でもしぶきが飛んだから。 凪介:「ちょ・・・おま・・・・・・!?」 セツ:「また所長に黙って持ってきたなーッ!?」 『冗談よ冗談!ちゃんとBOARDにあるはずよー!』 凪介:「何だよ・・・驚かすなよ・・・・・・」 セツ:「それにしてもよ、いい温泉だよなあ、ここは。あの娘もようこんな所見つけたもんだ」 凪介:「始穂の話だと、終奈さんの紹介らしいですよ?」 セツ:「・・・・・・あのねーちゃんがか?」 相川終奈=パラドキサアンデッドのお風呂好きは通常のそれを遥かに超え、もはや変態の域だった。 彼女が雇われで管理している某時の列車の銭湯車両がきっかけで、始穂が旅行のプランを温泉に絞った際、 終奈が勧めたのがこの旅館の露天風呂だったのだ。 お風呂好きが高じて温泉巡りをしていた彼女は、西園周りの温泉・約25ヶ所を封印される1ヶ月も前に制覇しているのである。 その風呂バカが勧める温泉である。普通の温泉では無い事くらい予想はついていた。 凪介:「夜景は綺麗だし、空気は美味いし、温泉も、たまには良いですね」 セツ:「そうだな・・・・・・よし、景気付けにどうだ?」 凪介:「だからとっくりはもういいです!!・・・・・・ところで、ゲツさんはどうしたんですか? さっき脱衣所前で別れた時にはいなかったんですけど」 セツ:「あぁ・・・・・・仕事が溜まってるんだと。アイツ、仕事してないと生きていけない病だから。 でも、すぐ来るんじゃないか?アイツもアイツなりに楽しみにしてたみたいだしな」 『あっ!ゲツさーん!』 『すみません、遅くなりました。兄者の分まで片付けてきまして』 『あとで締めるしかないわね』 『ゲツさーん・・・・・・なんか、すごいグラマー・・・ですねっ』 『えっ!?いやその・・・!?』 『お腹もすごい締まっていて・・・うらやましいです、はい』 『よーし、今日はゲツをいぢりたおすわよー!!』 『よっしゃぁああああ!!』 『うわ−いっ!』 『ぇえ!?い、良いんですか・・・!?』 『良くないに決まっているでしょうッッ!?』 セツ:「嗚呼・・・・・・かしましいな」 凪介:「・・・・・・後でどうなっても知りませんよ?」 2時間後、部屋の外で正座させられる一人の男がいたとかいないとか。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ―――――翌朝。 部屋に差す日の光。 眩しさの余り、凪介は瞼をこすりながら身体を起こした。 昨日の晩は、始穂が持ってきた人生ゲ○ム・ビター版で盛り上がった一行ではあったが、 今ではいろんな所で掛け布団が盛り上がっている。 隣で寝ていた始穂のおでこには、ゲーム中に1枚しかない『万里の鉄壁』カードがなぜか張り付いていた。 徐に、足元にあったTVのリモコンで電源を入れてみる。 ちょうどニュースが放映されていた。 『昨夜2時過ぎ、東京花菱総合病院の一室に何者かが押し入り、 入院していた16歳の少女を誘拐しました。 現在もこの犯人は逃走中で、目撃者によると、病院の上空を人が飛んでいたと・・・』 凪介:「何で病人を誘拐なんか・・・・・・ん?この病院・・・」 咲耶:「あ、凪介さん・・・お早いお目覚めで・・・おはようございます・・・はい」 凪介の背後で、咲耶も掛け布団から這い出てきた。 凪介:「おはよう・・・・・・あっ、咲耶ちゃん、東京花菱・・・って病院、知ってる?」 咲耶:「東京花菱・・・・・・香凛ちゃんが入院している病院です、はい」 凪介:「香凛ちゃんって確か・・・・・・今16歳・・・だよな!?」 咲耶:「それがどうかしたんですか・・・??」 今お目覚めの椿咲耶がギャレンになる前に、ギャレンのアーマーを装着した、初代適合者である。 彼女は凪介たちの一つ下で、当時3年生だった彼女の兄・ あれからいくらか残ってしまった事故の後遺症を治すべく、『東京花菱総合病院』で治療とリハビリに専念しているはずである。 凪介:「いや・・・・・・まさかな・・・・・・」 バンッッ!!! ゲツ:「みなさん!!起きてください!!!」 急に部屋のふすまが音を立てて開き、ゲツが血相を変えて飛び込んできた。 その様子と物音で、寝ていた他の全員が目を覚ます。 始穂:「何よゲツ・・・・・・こんな朝っぱらから」 ゲツ:「今すぐ西園に帰りましょう・・・・・・緊急事態です」 凪介:「緊急事態・・・・・・??」 風雲、急を告げる――――――――。 ゲツ:「BOARDで・・・・・・アンデッドが全て解放されました・・・・・・所長も・・・アンデッドに・・・・・・!!」 始穂:「えっ―――――!?」 凪介:「アンデッドが・・・・・解放・・・・・・!?」 ―――――AFTERREV-0E THE END ALL AFTER STORY COMPLETED――――― < ト ク ホ ウ > ―――――そう、夢か現実か――――― ―――――そう、居るか居ないか――――― ―――――そう、存在するか否か――――― ―――――そう、それは、嘘か、真か――――― 再び現代に現れるアンデッドたち。 消えていく仲間たち。 現れる新たな戦乙女たち。 彼女たちの周りに渦巻くのは、真実か、虚偽か。 『邪魔だけは・・・してほしくありません。センパイ』 『アンタも・・・あたしの闇に飲まれちゃいナ!!』 『もうやめてください!こんなの・・・あなたらしくない!』 『いいだろう。我が相手になる・・・・・・守護神を舐めるな!!!』 『聞こえなかった?Get out quickly, little girl.』 『いーっぱい、遊んであげるんですぅ・・・・・・♪』 『ちょっくら・・・倒しちゃおっかなっ・・・☆』 『・・・・・・アンタは私が倒すってわけ、お分かり?』 『目を覚まして・・・そんな嘘・・・聞きたくないよ・・・!!』 『沙菜さんが嫌って言っているんです・・・・・・わたくしも、容赦はしませんよ?』 『久々に・・・・・・昔の自分を思い出せそう・・・かも?』 『あたしは先に進む・・・・・・アンタを倒してでも!!』 『あくまでマイスターの邪魔をするならば・・・・・・申し訳ないですが、容赦するつもりはありません』 『私信じてるよ・・・・・・ナギー君のこと』 『あなたが・・・あなたが私の母様を・・・!!』 『アンタ・・・・・・まさかアイツの・・・・・・!?』 嘘が嘘を呼び、それらが真実を生み出す。 虚を 激情版・LEANGLE-REVERSE!−Truth in the Lie− サヨナラ、アイカワハツホ――――― 『凪介ぇえええええええええええええええええ!!!!!』 ―――――August 2009 @ Clover’s high!――――― ―――――Do you wanna ENCORE REVERSE?――――― |
HICKY=Suina-Nakumo
2009年06月23日(火) 17時04分42秒 公開 ■この作品の著作権はHICKY=Suina-Nakumoさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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